2008-10-20 22:50:50
よく「野菜しか食べないと云われても驚かない」と聞くので、あまり肉が大好きなようには見えないらしいが、肉ばかり食べている。もちろん、パンを焼いて食べたりもするけど。
魚は臭いから嫌いである。野菜は驢馬か兎になったような気がするので嫌いである。植物なら果物は好きだ。しかし、野菜も大事だと思っている。肉を美味く煮るためには玉ねぎやトマトが欠かせない。香辛料だって諸靴物由来だ。決して植物を憎んでいるわけではない。
子供の頃から肉が好きだったが、一時期、うまく食べられないことがあった。おそらく、幼稚園かどこかで、食べ物はよく嚙んで食べなさいとか云われたのだろう。よく嚙んでいると、繊維の固まりのような変な物体に変容するのである。肉が好きなのに、肉が食べられない。これはつらい。子供の私は毎日悩んだ(嘘)。
子供の頃、野生動物の番組とか、世界の未開の領域を旅するTV番組が好きだった。「すばらしい世界旅行」とか「野生の王国」である。あるとき、ありがちなアフリカものの映像を観ているときに気がついた。これだ、肉の食い方はこうなのだ! ライオンは肉をよく嚙まない。引きちぎるように嚙んで、がつがつと飲み込む。くちゃくちゃよく嚙むのは草食動物じゃないか。草のように肉を嚙んで美味いはずがない。幼い私は大発見に驚き喜び、感動に打ち震えた。もう明日から悩まなくていいのだ。肉汁を味わうように数回嚙んだら、あとは飲み込んでしまえばいいのだ。肉は喉ごしだ!
それ以来、私は肉をよく嚙まずに食べている。美味い。肉は本当に美味い。
娘もまた幼い頃、肉をよく嚙んで食べようとして、不味い繊維の固まりを作っていた。よく嚙むな、セレンゲティのライオンになった気持ちで肉を食え。ライオンはくちゃくちゃ嚙まない。草を食べる動物がよく嚙むのだ。牛なんか反芻してまで嚙む。牛になるな、ライオンになれ。そんなふうに教えたせいか、ちょっと変わった子に育ってしまった。もう「野生の王国」が放送されていなかったから、いい見本を見せられなかったのだ。