2009-01-17 10:02:27
子供の頃からいつの日か月に、火星に、いや宇宙に行きたいと思っていた。実は今でも思っている。健康に長生きしなければ、一般人が宇宙に行くまで生きていられないと思い、毎日早寝早起きを心がけ、毎日多すぎず少なすぎない食事を摂り、一時間以上歩くようにしているくらいだ。酒も滅多に飲まないし、煙草なんて論外である。過激な運動は躰に悪いと信じているので、スポーツなどはしないけれども。
15日にTechnobahnに掲載された記事「カイコは宇宙食として最適な食料、中国人研究者」を読んで愕然とした。宇宙食に蚕とは。私は芋虫や毛虫が大嫌いである。毛虫風呂に放り込むぞと云われたら、もうあることないこと何でも喋ってしまいそうだ。ゴキブリの1万倍くらい嫌いである。
蝗(いなご)は食べたことがある。大好物ではないけれども、食卓に出てきたらいつでも食べられる。しかし、蚕はちょっと難しい。誰だ、こんなことを書いたのは。本当に宇宙食に蚕が導入されたら私は宇宙に行けないではないか。Advances in Space Researchに昨年末に掲載された Silkworms culture as a source of protein for humans in space という論文だ。著者は、Yunan Yanga, Liman Tanga, Ling Tongb, Hong Liuで、北京大学の人たちだ。
中国の人は困るねえ、昆虫なんか食べて……と思ったら、日本人も同じ科学雑誌にEntomophagy: A key to space agricultureという論文を発表しているではないか。植物だけでなく昆虫も含めた方が生態系の構築としてすぐれているし、人の蛋白源としても利用できるのがいいと書いている。「Some candidate species are the silkworm, the hawkmoth, the drugstore beetle, and the termite.」と書いてあるのだが、何かと思えば、蚕、雀蛾(スズメガ)、ジンサンシバンムシ(どんな虫か私は知らない)、そして白蟻だ。嫌だなあ、食べたくないなあ。
それでも私は宇宙に行きたい。もう一度書棚から『虫食む人々の暮らし』を引っ張り出してきて、読み返そうか。表紙の少年はあんなに美味そうに嬉しそうにカメムシを食べようとしているではないか。たった今、不意に思い出したのだが、映画「パピヨン」で主人公が光のない独房でゴキブリを捕まえて食べる場面があった。この少年みたいに嬉しそうではなかったが、人間、生きるためなら何でも食べなければならないのだ。それくらいの覚悟がないと人間はまだ宇宙に行ってはいけないのかも知れない。