2009-01-27 21:34:37
Gizmodo Japanで見つけた記事なのだが、これにはちょっと驚いた。もとの画像はここ。
何だか南の海に夕日が沈んでいるような絵が描いてあるのだが、これは寒天培地上に菌で描いた絵なのだ。蛍光を発するタンパクを作り出すようにした菌(多分大腸菌)なのだが、蛍光の波長が異なる6種類を使って描いたという。昔は緑しかなかったのだけど、この頃、青や黄色、赤もある。もちろんそれは、こういう絵を描くために開発されたものではなく、複数の波長の蛍光タンパクを使えば、同条件で複数の遺伝子の挙動を観察したりできるわけなのだ。
BFP, mTFP1, Emerald, Citrine, mOrange, mApple, mCherry, mGrapeの8種のタンパクを使っているようだ。これの難しいところは、絵を描くときに色が見えないどころか、線もよく見えないことである。菌が分裂を繰り返し、目に見えるくらいまで増えて、励起波長の光を当てて初めて色が見える(線は菌が増えてきたら見えるけど)。もっと難しいのは菌を塗りつける量である。目に見えないので、どれくらい着いたのか全然わからない。だから、最初の方はどっぷり塗りつけてしまい、急激に細くなってしまう間抜けな線になってしまいかねない。この掠れた感じを出すのが難しい。海の方には、発色していないような線が観察されると思うのだが、気のせいだろうか。何らかの理由で一色だけ、発現に失敗した遺伝子があるのかも。
どうして私にこんな線の引き方の難しさがわかるのかというと、もちろん私も絵を描こうとしたことがあるからだ。まだ若かった頃。大学院生だった。誰でも若い頃には遺伝子組み換え大腸菌でシャーレに絵を描いてみたくなったりするものである。私にも若い頃があったのだ。