2009-04-07 21:55:11
鳥居みゆきが持っている包帯だらけの熊のぬいぐるみの名前である。これが「多毛さん」という名前で売られるようになったことは知っていた。でも、それを買う勇気はなかった。買う理由もあまりなかった。私が「多毛症」を片手に舞台上で「ヒットエンドラ〜ン」とか叫ぶことはないからだ。私の芸風はそういうのとは違うのだ。本当は芸風が違うのではなくて、仕事が違うのだけど。
でも心の奥底では、ちょっと欲しいなと思っていたのだ。
先月末まで働いていたところを辞めて、今は別のところで勤務しているのだが、前のところの若い人たちが数人でこれを買ってくれたのだ。ただ、これを入手したときにはすでに私の送別会も終わっていたから、いつ渡そうかと機会を窺っていたという。その若い人たちの一人の結婚披露宴があって、私が乾杯の音頭をとることになっていたのだが、その披露宴会場に行ってみると、椅子の足下の引き出物の袋の中に多毛症が入っていたのだった。驚いて、そのまま「多毛症」を片手に前に進み出て乾杯の音頭をとるところだった。そんな訳で、「多毛症」片手に、ヒットエンドラ〜ンの練習に余念のない今日この頃なのだ(といふのは嘘で、動作に入る前に「多毛症」は足下に落とすのが正しいやり方だ。それに練習は電車の連結の部分でするというのがふさわしい場所なのである)。