2009-06-10 18:14:55
ナショナルジオグラフィック ニュースの“光子通信”、未来の暗号化通信技術という記事が面白かった。「もつれ合い光子対」というのを使って通信をすると、万が一暗号通信を第三者に傍受されてしまったときに、その盗み読んだ相手を特定できるのだという。私には「量子レベルでの不可思議な相関関係」なんていう難しいことは判らないので、「次の目標は、もつれ合った光子対を双方向で送信することだ。それが実現すれば、遠隔地にいる仲間同士が、暗号化した情報を衛星経由でやり取りできるようになる。」と書いてあっても、それがどれくらい難しいことか、それが達成されるとどんなに素晴らしいことが実現できるのかもよく判らない。私が面白いと思ったのは、内容を説明するそういう文章のあとにある解説やコメントだ。三人のコメントが紹介されているのだが、ロバート・J・ソウヤー、カール・フレデリック、ジェリイ・オルションがその三名だ。三人ともSF作家である。もっとも、ロバート・J・ソウヤー以外は知らなかったけれども。
ソウヤーは邦訳が何冊もあって日本でも馴染みのある作家である。少なくとも私にとっては。カール・フレデリックという名前は知らなかった。作品一覧を見ると、analogやAsimovs Science Fictionに作品を発表している作家のようだ。本にまとまったものはなく、邦訳は多分ない。ジェリイ・オルションは、アダム=トロイ・カストロとの合作「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」がSFマガジンに掲載されたことがある作家であるが、そんなに有名ではないと思う。
こういうところでは、SF作家のコメントを載せるのが一般的なんだろうか。直接SFとは関係ないような気がするのだが。カール・フレデリックは物理学者でもあるからなのか。「SF作家としていくつも賞を受賞している未来学者」のソウヤーって書いてあると、未来学者が本業みたいだが、多分SF作家が本業だ。まあ、いいんだけど。原文では「Award-winning science fiction writer and futurist Robert J. Sawyer」である。
私は別に文句を云いたいわけではなく、未来の通信技術っていうと三人もSF作家が出てきて、ちょっと嬉しかったわけだ。やはり未来はSFなのだ。