2009-08-23 15:43:31
新しい住まいを探している。事情があって妻と娘が福岡に残り、私は埼玉にある両親の家に住んでいるが、来年4月からまた家族3人で東京で暮らせるようになる。3人で暮らすには、まず住まいを見つけなければならない。しばらくこれで真剣に頭を悩ますことになるので、ここは当分の間、住まい探し日記になってしまうと思う。
予定通りなら娘は来年から大学生だ。この先何年親と一緒に住むかは判らないが、長くて10年だろう。ということで、主に夫婦の希望で住まいを探すことになる。私の希望は当然のことながら、本がたくさん置けるところ。都心から遠くても、通勤時にたくさん本が読めるくらいにしか思っていない。ネット環境とか、パンを焼きたいとか、細かいことはいろいろあるけれども、まずは本を置くための広さである。一方妻は、「狭くてもとにかく都心に」というのが希望である。まったく噛み合わない。いや、無限の資金を持っていれば簡単で、都心に本をたくさん置ける広大な住まいを確保すればいいだけのことだ。だが、現実はそうはいかない。
今回は資金と時間に限りがあるので(次回があるとしてもそうだろうけど)、中古マンションである。夫婦の条件と資金の限度に合致するものを探して、なるべく住みやすいように作っていこうということである。夫婦の住まい探しの話の噛み合わなさ加減については、おいおい書いていくことにして、まずは本を置くということを考えてみたい。私はそれしか考えていないとも云えるわけだけど。
最初は本を置くために本を買う。置くための本ではない。いくら何でも私もそこまで莫迦ではない。たくさん本を置いて生活することを考えるための本を読んで参考にしようということである。
何年も前から持っている本なのだが、『本を愛する住まい』(彰国社/1997年)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]というそのものずばりの題名の本がある。この本のページを捲って、いつか本を愛する住まいを作る日に備えて来た。実はこの本は、本そのものの説明や書籍を巡る状況などにもページを割いていて、住まいのことに関する記述ばかりでもないのだ。第三部「本のある住まいの設計」がそれに当たる。そのさいしょに「本棚のいろいろ」とか、「見せる収納、隠す収納」などという説明があり、その後に書斎・書庫の例が載っている。これは楽しい。ところが、ほとんどが一戸建ての大きな邸宅の例が多い。狭い中古マンションで何とか本と暮らしたいという人の例は載っていないのだ。唯一「マンションに設けた夫婦の書斎」があるだけである。楽しい本だが、あまり参考になりそうにない。
アラン・パワーズ『自宅の書棚』(2006年/産調出版)は素晴らしい本である。副題が「本のある暮らし。本をインテリアとして生かす。」となっている。この後半に戸惑う人もいるかも知れないが、本とともに暮らす以上、本の存在が馴染む住まいにしないと、家族は人間的な生活を営めなくなってしまうだろう。ただ本を詰め込めばいいというものではないのだ。床から本を積み上げれば本は部屋に入っていくわけだが、それでは人間の生活として好ましくはないし、本を探し出せなくなる。
この本では、多くの写真とともに、大量の本の収納について、「リビング、ダイニングから廊下や階段、さらにキッチンやバスルームまで、住宅のあらゆるスペースに本を収納するためのアイディアを満載しています」という本なのだ。書棚の写真ばかりで実に楽しい。しかも美しいものばかり。唯一の不満は日本のマンションで暮らす上の注意点などが載っていないこと。日本人が書いたのではないから当然だけど。
今のところ、私が求める本には出会っていない。考えてみれば私が求める本を出しても売れないだろうけど。