2009-10-29 23:07:52
意外なところで、あるSF作品の名前が登場したので報告しておこう。
2009年10月29日のWired Visionの記事「ゴキブリは排尿しない:その優れた代謝系が明らかに」を読んでいたときのことである。この記事は、ゴキブリに共生しているBlattabacteriumという菌が排泄物の尿酸を処理することで、ゴキブリはほとんど排尿することもなく、窒素源を回収して生きていけるのだという。「ゴキブリは窒素を全く含まない餌上でも、半年近く生存できる」のだそうだ。全然知らなかった。この共生微生物のことも、ゴキブリが窒素を回収して生きてけることも。
さて、この記事を読んでいたら突然「これに比べれば、SF小説『デューン』シリーズに出てくる砂漠の民、フレーメンが着ているスティルスーツ[体から出る水分を再利用できる衣服]など、まだまだ不経済だ。」という言葉が出てきたのだ。フランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』で始まるシリーズ作品である。後に、ブライアン・ハーバートが書き継いだが、その辺りは私は読んでいないからよく知らない。
最初の『砂の惑星』を読んだのは中学生のときだったか。巨大な砂虫が跋扈し高値で取引されるスパイスの穫れる砂の惑星アラキスを舞台に、アトレイデ家の公爵の息子ポウルが砂漠の民フレーメンの救世主となって、アトレイデ家とアラキスを陥れた陰謀に立ち向かう話である。
その頃、『デューン 砂の惑星』は最高のSFだと信じていた。当時の私だったら、ゴキブリとフレーメンを一緒にするな! と激怒しただろうが、今はもうそんな元気もない。久しぶりに『デューン』シリーズを読んでみたいなと思うだけである。しかし、何ということだ。このシリーズの本は新刊書店でほとんど買えないではないか。あの傑作が書店で買えないなんて、何か間違っているような気がする。世の中理不尽なことに満ちていると思う今日この頃である。