2009-12-10 23:58:40
中島敦の「文字禍」という作品がある(青空文庫)。アッシリアの楔形文字で書かれた粘土板が保管された図書館の話で、そこの図書館長を任された男が、文字の霊を探し求めた末に霊を見いだしたものの、今度は言葉と文字の意味や音を見失ってしまう。最後に主人公は大地震による図書館と粘土板の崩壊の犠牲になり、文字の間に押しつぶされてしまうのだ。
素晴らしい。私もそんな一生を送りたいものだ。
さて、National Geographic Newsにアッシリアの粘土板の話が掲載されていた。今年の夏にトルコ南東部に位置する古代宮殿から発見された粘土板に書かれた楔形文字の文の内容が解読されつつあるというのだ。一体、何枚くらい発見されたのだろう。内容は日常的な国政に関する事柄だという。物語でもあればもっと面白いのに。
わが家にも楔形文字で埋まった粘土板があればいいのに。残念ながらまだ読んだり書いたりできないが、今、無性に楔形文字の勉強をしたくなってきた。楔形文字を使ったアッシリア語教室が近所にあればいいのだが。