2009-12-11 19:58:35
私は電話が大嫌いである。電話が鳴っても五回に一回くらいしか出ないほど嫌いである。電話で話すと手は震え(いつも震えているけど)、背中には冷たい汗がどっと噴き出してくる。こちらの都合もお構いなしに突然鳴る。頭の中に電話の触手が捩じ込まれるような感じがする。こっちからかけるのはもっと不愉快である。どうしてもかけなければならないとなると、朝から気分が悪い。生きているのが嫌になってくる。もちろん、程度の喩えであって死んだりすることはないのだけど。
ところが、いくら嫌いだとは云ってもないと困る。電話がないと申し込めない手続き書類もあったりする。この頃は携帯電話の番号でいいところも増えてきたが、固定電話でなければ駄目なことも多かった。だから、新しい住まいには新しい電話が必要なのだ。
あればいい。使わなくてもいい。番号があって、電話がつながれば。だから、子機がいくつもあって家の中でどこでもすぐに電話を取れなくてもいい。隣の部屋で鳴って呼び出し音が聞こえなかったら運が悪かったと思ってもらうことにしよう。必要最低限の機能があればいいではないか。いや、機能なんてどうでもいい。使いたくないのだから。面白ければいいのだ。新居で使う電話機は機能を無視して選ぼうと心に決めた。
これだ、私が使う電話はこれにしよう。古いもの好きの私にはちょうどいい。 木製キャンドルスティック TELEPHONE【HT-05C】(上の画像)だ。値段も子機が二つくらい付いた高機能の電話機に比べれば決して高くはない。もう少しで註文するところだったが、考えてみれば私は一人で暮らす訳ではないのだ。妻や娘もいる。家の固定電話だから私だけが使うものではない。念のため、訊ねてみると、やはり使いにくそうだから、ちょっと嫌だと云われた。さらに慎重に検討した結果、これになったアンティーク磁器電話器(オリジナル堂ズバッと!目利き職人)。しかし、私は上の耳に当てるところと口元に当てる部分が分離しているものの方が良かったんじゃないかと密かに思っている。理由は、使いにくそうだから。両手で片方ずつ持ったらメモも取れそうにない。電話なんて使いにくい方がいいのだ。
そんなわけで、来年以降わが家に電話してもこの電話機がある部屋にいないと電話に出ない可能性が高いので、メールか携帯電話で連絡をとる方がいいと思います。