2009-12-20 20:06:21
古くさいものが好きだということと、腕に何かを巻き付けておくのが嫌いだということなどがあって、私はあまり腕時計は使わず、懐中時計を使っていた。ただ、夏はポケットが少なくなるので、もっぱら冬に持ち歩いていた。
今使っているのは高校生の頃に買ったもの。つまり今まで一回しか懐中時計を買ったことがない。腕時計は小学生の頃に買ったことがあるだけだ。多分、それが壊れたのが高校生のときで(本当だろうか)、時計を買ってくれと親に頼んで買ったのが、この懐中時計だ。自分の小遣いはすべて本に消えてしまっていたので、時計など買う金は残っていなかったのである。確か、12000円だった。
高校生なんて莫迦だから、この懐中時計を見ると10人中9人は手に取って目の前でゆらゆら振り子のように揺り動かして「催眠術……」という。するとその10人のうちの1人は手を滑らせて床に落としてしまう。腕時計を床に落としても壊れないが、この懐中時計は床に落とすと壊れてしまう。同級生は簡単に壊れてしまう時計を最初は信じないが、本当に自分が壊したことを確信するとしぶしぶ修理代を払った。そりゃあ、壊したんだから払ってもらわなくてはこちらも困る。そんなわけで、3〜4人の高校生が修理代を払うことになった。一回、5000円くらいだったと思う。
その懐中時計を久しぶりに動かそうと思ったら、動かない。ちょっと動いてすぐに止まってしまう。この頃、携帯電話の表示で済ませていたのだった。今でも修理できるのだろうか。特に楽しい思い出があるわけでもないのだが、これは長く使い続けたいと思っている時計なのだ。