2010-09-27 11:27:19
論文のpdfファイルをどう管理するか、頭を悩ませていた。実は、前に本欄に書いたことがあるのだが、Amazon S3を使ってファイルを保存し、その論文のタイトル、著者、内容などで検索、ダウンロードできる仕組みを自分で作り、これが便利だと一人で悦に入っていたのだった。ところが、Ubuntuのアップグレードの際に事故があって、バックアップ用内蔵ハードディスクの内容が、二年前までしか読めなくなったことがあったのだ。どうしてそんなことになったのかは判らない。システムのインストールはハードディスクを初期化してのものだったので、二年分の記憶が消えてしまったというわけだ。発狂しそうになったが、私がいくら慌てたり喚いたり、祈ったり歌ったりしても、記憶は戻ってこない。その失われた記憶に含まれていたのが、自作の論文管理システムだ。悲しみのあまり、半年くらい放置していたのだが、やはり仕事に差し支えるので、何とかしようと思った。しかし、また自作する元気はない。なにか既製品でいいのはないだろうか。
私が求める条件は、MacOSXでも Ubuntuでも同じように使えるということ、オンラインで同期できること、できればpdfファイルはどこかのサーバー上に保存できること(自分のコンピュータに事故があってもファイルは失われないように)、もちろん、いろいろな検索ができること、そして安価であることである。そんな夢のようなものがあるのかと思って探してみると、あった。便利な時代になったものだ。Mendeleyという。まずは、Ubuntu版をインストールしてみよう。説明にしたがって進めていけば簡単である。私は10.04なので、 /etc/apt/sources.listに下の一行を付け加える。
Lucid/10.04: deb http://www.mendeley.com/repositories/xUbuntu_10.04 /次にterminalから、次のようにして、melendydesktopをインストールする。
sudo apt-get update sudo apt-get install mendeleydesktopいろいろ表示されて、インストール終了である。完了後、
mendeleydesktopと打てば、動き始める。メニューの「Applications->Education」にも、Mendeley Desktopという項目が現れるので、これを選んで起動することも可能。
私の場合、自分で溜め込んだpdfファイルを管理したいので、左上のAdd Documentsをクリックして、ファイルを保存しているフォルダを指定すると、そこからタイトル、著者、Journal名、要旨、本文などを自動的に抽出してくれる。あまり見慣れないJournalの場合、抽出に失敗することもある。そんなときは、自分で手動で追加したり変更したりできる。
右上のSync Libraryをクリックすると、Mendeleyサーバにファイルが保存されて、自分のハードディスクが壊れてもファイルを失わなくてすむ。ファイルの保存容量は500 MBまで無料。3.5 GBまで月に5ドル、7.5 GBまで10ドルである。私のpdfファイルの容量を調べてから、有料版にアップグレードしようかと考えている。
Microsoft WordやOpenOffice.orgと連動して、論文の引用文献リスト作成機能を使える。これは便利である。が、私は論文を書くときはLaTeXを使うことが多い。そんなときは、BibTeX出力機能を使えばいいだろう。
論文にメモを貼り付けたり、強調線を引いたりできる。とにかく、何かと便利なようなのだ。