2011-10-24 22:16:01
映画「ステキな金縛り」を観に行った。立教大学のタッカーホールで試写会があったのだ。どうして私がそこに行ったのかという経緯はどうでもいいことなので省略することにするが、観に行った理由は、私がいま住んでいるマンションが登場するからだ。ここに何度も写真を掲載しているマンションである。
撮影は昨年の初夏。朝顔の種を蒔く前だったような気がする。いや、蒔いた直後だったかも。主人公の宝生エミ(深津絵里)が住んでいるマンションという設定である。しかも、住んでいる部屋が私の家がある場所ということになっている。当然のことながら、室内の撮影はセットを造ってやるので、我が家でロケをやるわけではない。だから、深津絵理が我が家に来たということもない。でも、三谷監督はきた。私は会っていないが(妻が会った)。
私は当日撮影があることを妻に云ったつもりになっていてうまく伝わっておらず(実は妻は一年遅れで引っ越してきたのでその日はたまたま福岡からこちらに来ていたのだった)、呼び鈴がなってドアを開けたら目の前に三谷幸喜が立っていたときの驚きは大変なものだったらしい。
室内の撮影はないが、中から照らす必要があるということでプロ仕様の照明が持ち込まれ、カーテンも付け替えた(あらかじめ寸法は測りに来ている)。ベランダの植木鉢も見えないところにどかして、用意した花を設置して、下から撮影。晴れの日の午前の撮影と、夜の建物の姿の撮影(照明は夜用)。
最初の場面は、深津絵理が「遅れちゃう!」と云いながら家を飛び出してくるところ。映画が始まって数分といっていい場面。日時計の下から階段を駆け下りてくる。どういう時間設定なのかよく判らないが日時計の時刻を読むと撮影時の時刻が判ってしまう。
後は、夜の全体像。これは中や外からプロ仕様の照明を駆使して、夜の中に美しく浮かび上がるように撮影されていた。あと、電線などはうまく消去しているようだ。盤面としてはほんの数秒。そのほんの数秒のためにそれだけの労力と時間をかけるのだと感心する。もっとも、私は仕事から帰宅したのが九時ころで、ちょうどそのとき撮影隊が去っていくところだった。仕事休んで見物すればよかった。
プロの照明なしに夜の建物を撮ろうとするとこんな風になってしまう。この日はどの部屋にも明かりがついていなかった。どうしたのだろう。みんな留守にしていたのか、奥の方の部屋にいたのか。
映画の中でこんなふうに下から見上げる場面があって、もちろん建物も綺麗に映っていた。建物の上には満月が輝いていた。ほんの数秒だけど。
建物が登場するのはこれだけ。室内の場面はスタジオで撮るのだろうが、外観と矛盾しないように丁寧に採寸していた。窓の高さとか、ベランダの柱の太さとか。だから、陰陽師が窓から侵入してくる場面では、ちゃんとベランダの柱が見えていた。カーテンも同じ柄のものを付けて撮影していたと妻は云っている。ただ、そのとき陰陽師阿倍つくつく(市村正親)が窓から飛ばされていくところで、満月に向かって飛んでいくのだが、さきほど書いたように、下から見上げて満月が見えていたので、月の方角が矛盾しているのではないだろうか。
内部は全然関係ないので、間取りはまったく違う。天井もうちより高そうだった。
最後のクレジットタイトルにはマンションの名前も出ていた。
映画の招待券をもらえるような話を聞いていたのだけど、もらっていないのでたまたま出身大学でやっていた試写会に行ってきたというわけである。この日は、ホームカミングデーというものだったのだ。
映画は、変な題名だなと思ったわりには面白かった。コメディ風味なのでいろいろ可笑しい場面があって楽しい。ただ、最後のわざとらしいしんみりする場面は苦手。そもそも、死後の霊的な存在がやってくる話が苦手なのだが。私も「スミス都へいく(Mr. Smith goes to Washington, 1939)」よりも「素晴らしき哉、人生!(It's a Wonderful Life, 1946)」の方が好きだというのは同感。