2012-10-08 13:55:19
本の匂いが好きな人なら、開いた本のページの間に顔を近づけて思い切り息を吸い込んだことがあるに違いない。紙とインクの匂いを体に満たしたいという衝動を抑えるのは難しいものである。新刊書の匂いもいいが、古い本の匂いはまた違う味わいがある。革装や羊皮紙の匂いも素敵なのかも知れないが、残念ながらさういふ本を持ってゐないので判らない。古い本がたくさんある図書館はまた特別の匂いが漂うものである。そうだ、せめて匂いだけでも、古い本がたくさんある図書館のようにできないかと思ってちょっと検索してみると、図書館の香り香水があるではないか。
Christopher Brosius Limited (CB I Hate Perfume) にあるIn the Libraryである。(身に付ける)香水15 mLで90ドル、2 mLで12ドルである。私は香水を身に付ける習慣はないので、home spray $45.00が気になるところだ。これを一吹きしたら部屋はもう図書館のような芳香に包まれるのだろうか。欲しい、今すぐ欲しい!
早速問い合わせのメールを出してみるとすぐに返事が来た。送料はおよそ100ドル、税金などは別にかかりますという。そして、本体価格の何倍もの送料を払うのがいいことなのかどうかは疑わしいと書き添えてあった。でも、欲しい。どうしようかと悩んでいたら、追加のメールが。Home sprayは国外発送はできません。仕方がない、今度ニューヨークに行ったら買ってこよう(行く予定は全くない)。
次に見つけたのが図書館の香りを放つ蠟燭である。複数見つけたのだが、今回註文したのはTrue Graceというイギリスの会社が作っているもの。註文はHuttonsというところにした。蠟燭が£17.46で、送料が£15.00。註文して一週間ほどで小包が届いた。小包を開けて中の包みをさらに開けて箱を取り出す。鼻を近づけて吃驚! 臭い、臭すぎる! こんな臭い図書館に行ったことはない。もしかして、イギリスの図書館はこんなに臭いのか。イギリス人が信じられなくなった。
蠟燭に火を灯してみた。やはり臭い。箱を読むと「A smoky blend of cedar and sandalwood with a little birch tar amber and moss」と書いてある。革装とか羊皮紙とか紙とかインクとか、そんなことは全然書いていない。これでは材木屋ではないか。何なんだこれは! そのままテーブルの隅に放置したままになっていた。
数日して箱の匂いも薄まってくると、臭いとは思わなくなってきた。次第に部屋にも馴染んだのか、ひょっとして図書館っぽくないかという気になってきた。これでいいのかも知れない。
もう一度、True Graceを検索してみると、今度は製造元のサイトが見つかった。なぜか蠟燭は見つけられなかったのだが、Librasyという名前の商品があるのに気がついた。RoomsprayというのとRoom Diffuserがある。前者はまあスプレーだろう。後者は、瓶の中の芳香剤が棒状のものを伝って上昇し部屋に芳香を発散するもののようだ。匂いの説明を読むと、蠟燭の箱よりも詳しく、「A smoky blend of wood, amber and moss to recreate the sensation of walking into an old library. The leather of book covers, the scent of furniture that has been lovingly polished with beeswas and the dark gloss of ancient library shelves」となっている。そうか、そうなのか。ちゃんと図書館の香りを再現しようとしているじゃないか。
私は今、Room diffuserを註文しようか、Roomsprayを註文しようか、気が狂いそうなほど迷っている。