2008-09-10 23:22:01
小学生か中学生の頃、食虫植物に夢中になっていた。何十種類という食虫植物を集め、水苔に植えては成長を見守っていた。植物を育てるというのはあまり少年らしくない趣味だが、食虫植物というところは少年らしい。食虫植物の育て方をいろいろ調べてくるとよく見かける文章が、「生きている水苔に植えるのが最適」だというものである。生きている水苔って何だ。いや、何かは解るのだが、一体どうやったら手に入るのか。園芸店でも見たことがない。一度だけ旅行先の園芸店で見かけたことがあるのだが、盆栽の一部で、水苔だけは売っていないという。水苔のために高価な盆栽を買って水苔以外の部分を捨てるわけにもいかない。それ以前に、そんなものを買う金は持っていなかった。私は中学生だったのだ。
やがて食虫植物に注ぐ気持ちも余裕もなくなって、本ばかり読む生活を続けていたが、なんと今年の八月に生きている水苔を手に入れたのだ。インターネットとは恐ろしい。何でも手に入る。百年前のダンセイニに関する新聞記事を読むこともできれば、生きている水苔を買うこともできる。水苔を手に入れて、久し振りに購入したハエトリソウを植えた。嬉しかった。30年以上の願いが叶ったのだ。
この頃はハエトリソウよりも水苔の育ち具合の方が気になってしまう。水苔と食虫植物の話はまだまだ続く(と思う)。