目覚めると五時半、寝坊である。いつもより三〇分遅れで家を出て、地下鉄に乗って<ゲド戦記>第二巻『こわれた指環』を読んでいたら、地下鉄を乗り換えるのを忘れてしまう。いつもより五〇分遅れで職場に辿り着く。
bk1に本を註文する。
ローレル・フェラン『アーサー王妃物語』(奥野昌子訳/九一四円/角川文庫)
カート・ヴォネガット『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』(浅倉久志・伊藤典夫訳/二四〇〇円/早川書房)
宇野尚志『現代ニホン語楽苦書帳』(文芸社/一三〇〇円)
『コミュニケーション・ワーク』(二五四八円)
『最新社員教育研修ガイドブック』(二〇三九円)
最後の二冊は仕事の資料。私が求める情報が載っているかどうかもよく解らないままに註文してしまう。
ル・グインの<ゲド戦記>に属する作品を読み、『伝説は永遠に(3)』を読了。
<ゲド戦記>第一巻『影との戦い』を読む。昔読んだ筈だが殆ど覚えていなかった。『伝説は永遠に(3)』のテリー・プラチェットとタッド・ウィリアムズを読む。前者はいつものように明るい話。後者は実に暗く思いファンタジイである。どちらもなかなかよい。
家庭の事情で村山七郎『日本語の起源をめぐる論争』(三一書房/一九八一年)を読む。
Amazon.com Booksに本とCD-ROMを註文する。
Nalo Hopkinson, ed. "Whispers from the Cotton Tree Root: Caribbean Fabulist Fiction" ($13.45, October 2000)
Webster's Third New International Dictionary ($62.95, May 2000)
American Sign Language Dictionary Book/CD-ROM for Macintosh Bundle ($12.95, March 1995)
辞書二つはCD-ROMである。必要ないかも知れないが、いつか役立つ日が来るかも知れない。
『伝説は永遠に(3)』を読みながら出勤。午後には、bk1から<ゲド戦記>四巻が届く。全四巻と書きたいところだが、来年第五巻が本国で出るらしい。題名はTHE OTHER WIND。本当は一気に全部読んでしまいのだが、家庭の事情でローズマリー・サトクリフ『ベーオウルフ』(井辻朱美訳/沖積舎/一九九〇年)と『ベーオウルフ』(忍足欣四郎訳/岩波文庫/一九九〇年)を読む。両方とも買ったような気がするのだが、買ってあったとしても埼玉の方に置いてあるので、図書館で借りてきたものを読んだ。
また寝坊してしまった。目覚めると五時半、いつもより三〇分遅れで出勤。
bk1から本が届く。南條竹則『ドリトル先生の英国』と村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』の二冊。
早川書房から『伝説は永遠に(3)』のプリントアウトが届く。解説を書くのは難しそうだ。
SFマガジン十二月号着。もう今年も終りか。早いものである。来年以降も私はファンタジイ評の原稿を書くことになっているので、来年は七年目である。歳をとるのが早い訳だ。
Amazon.com Booksに本を註文する。
Peter S. Beagle A DANCE FOR EMILIA (Roc, Oct 2000, $13.45)
Philip Pullman THE AMBER SPYGLASS (Knopf, Oct 2000, $15.96)
Michael Swanwick TALES OF OLD EARTH (Frog Ltd, June 2000, $20.00)
合わせて四九ドル四一セント。送料九ドル八五セントを加えて、合わせて五九ドル二六セント(縦書き用の数字表記を横書きで読むとなかなか読みにくいものである)。
仕事から帰ると東京創元社から本が二冊届けられていた。
シンシア・アスキス他『淑やかな悪夢』(倉阪鬼一郎・南條竹則・西崎憲 編訳/一九〇〇円/東京創元社)
T・コラゲッサン・ボイル『血の雨』(青山南訳/一九〇〇円/東京創元社)
もうすぐ出るもうすぐ出ると云われ続けていた英米女流作家怪談集が漸く出た。
他にCD-ROMが二枚。一つはMacOS X、もう一つはNisus Writer 6.0である。今日はどちらもインストールする時間はない。なぜならSFマガジンのファンタジイ評を書く日だから。午前零時頃書き終えて送信。すぐに寝る。
目覚めると六時であった。慌てて飛び起きる。いつもならもう駅に向かっている時間である。通常より三十分遅れで出勤。この頃、体内時計の目覚まし機能が衰えてきたようで、寝坊してしまう。目覚まし時計を用いなければならないのだろうか。これまで、目覚まし時計を使わなくても、いつでも起きたい時間に起きられることを自慢していたので、出来れば使いたくない。
bk1に本を註文。
アーシュラ・K・ル・グイン『影との戦い』(一六〇〇円)、『こわれた腕環』(一六〇〇円)、『帰還』(一八〇〇円)、『さいはての島へ』(一七〇〇円)(何れも岩波書店)
南條竹則『ドリトル先生の英国』(文春新書/七一〇円)
村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』(文春新書/七四〇円)
ル・グインの四冊は<ゲド戦記>。『伝説は永遠に(3)』解説のための資料である。実は<ゲド戦記>はまだ読んでいなかったのであった。大学生の頃、第一巻だけペーパーバックで読んだだけだ。どうしてわざわざ英語で読んだのかというと、単に岩波書店のハードカバーが高くて買えなかったので、三冊ペーパーバックで買った(当時はまだ第四巻は出ていなかった)のである。早く手元に届けばよいのだが。
フランク・ディレイニー『ケルトの神話・伝説』を読み始める。これも全然期待せずに繙いたのだが、面白いではないか。一気に読み終えたかったが、眠気には勝てず、十時には寝てしまった。
『伝説は永遠に(1)』を読み進めようとしたのだが、眠くて手から本が落ちてしまうので、諦めて一眠りする。深夜の一時に目が覚めたので続きを読む。三時頃読了。このアンソロジーは総てシリーズの外伝という作品ばかりが収められていて、第一巻に入っている四作品のうち、二作品が属するシリーズを私は読んでいないのであった。が、それなりに面白い。あまり期待していなかった<アルヴィン・メイカー>が素晴らしく、感激する。五時まで寝ようと、ひとまず就寝。
アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』を読み終える。『伝説は永遠に(1)』を読み始める。予定より大幅に遅れている。急がねば。
今日は昼から妻が外出したこともあり、娘と二人で夕食の買い物に出かける。私が買い物に行ったら肉である。牛のたたきがあったので迷わず購入、他にステーキ用の牛肉を買う。私は霜降りの和牛なんかは嫌いで、口にいれたら溶けるような肉は肉ではないと思っており、顎が疲れるくらい噛んで喰うのが大好きなので金はかからない。家に帰ると空腹になったので、おやつに娘と二人で牛のたたきを喰う。特別美味い肉ではなかったが、美味い美味いと云いながらたちまち喰い尽くしてしまう。妻が帰ってきてから私が肉を焼く。私は生が好きなので、表面だけ少し焦げ目がつくくらいに焼いて冷めないうちにすぐに喰う。噛むと力強く押し返してくるものの、そこをぐっと噛み切ると中から暖かい肉汁が口の中に広がるというほどよい焼き加減である。肉ばかり喰っていい気分になって寝る。『伝説は永遠に(1)』を最後まで読むのを忘れて寝てしまった。
午前中少しだけ出勤してから帰る途中で丸善に寄る。ユリイカ十月号<泉鏡花特集>(一二三八円/青土社)とロバート・シルヴァーバーグ編『伝説は永遠に(1)』(風間賢二他訳/ハヤカワ文庫FT/七四〇円)を購入。ハヤカワ文庫FTは、いつも送って貰えるのだが、この頃刊行日から随分日にちが経ってから届くので、今月のSFマガジンの原稿を書くのに間に合わないに違いないと思って買って帰った。たまにこういうことをすると必ず良くない結果が齎されるというのが世の常で、夕方早川書房から同書が届いた。
MacOS X public beta日本語版が今日から販売開始となった。私はここに再三書いているように、既に先月アメリカで販売されたものを入手したのだが、また日本語版を買ってしまった。今回発表された日本語版のCD-ROMには、日本語版の他に英米仏版も一緒に入っている。実は、先月の英米仏版にも不完全ながらも日本語版は隠されていたのだ。で、その英語版もアメリカで発表になったものよりは新しくなっているらしい(噂では)。改良されているところがあるのではないかと期待して買ってみた訳だ。もしかしたら、今度のCD-ROMなら我が家のPowerMac 9500にもインストールできるかも知れない。
私はプロ野球には殆ど関心がなく、どこが優勝したって構わないのだが、少なくともどこが優勝したかくらいは知っている。私の妻は私よりもプロ野球に疎く、巨人が優勝したことを知らなかった。ダイエーが優勝したことは、近所のダイエーが優勝セールを派手に行なったので知っているようだ。「ふ〜ん、巨人が優勝してたの。で、この頃騒いでいるOL対決って何?」と訊かれた時には驚いた。私もプロ野球に疎いことには結構自信があるが、これにはとても敵わない。
目覚めると五時三〇分、寝坊である。二日も続けてこんなことになるとは。風邪でもひいたのか(風邪をひくと寝坊するということが経験的に解っている)。
Franny BillingsleyのThe Folk Keeperを通勤の電車の中で読んでいて、やっと半分くらいまで進んだ。なかなか面白いのだが、そろそろ日本語の本を読まねばならない時期になったので、明日から暫く中断せざるを得まい。通勤で電車に乗る時間が一日三〇分くらいというのは、読書にはとても足りない。片道三〇分は乗りたいところだ。
目覚めると五時十五分、寝坊である。急いで朝食を食べて出勤。
帰宅するとbk1から本が届いていた。フランク・ディレイニー『ケルトの神話・伝説』、ベン・C・クロ ウ編『巨人ポール・バニヤン』、井村君江『妖精とその 仲間たち』の三冊。今日は読む時間はないので、とりあえず袋から出して 机の上に置いて、一分ほど眺めてから、寝る。
知らないうちにNisus Writer 6.0が発売されていた。Nisus Softwareで早速申し込む。古い版の を持っているので四九ドル。送料が七ドルくらい。このワープロソフトのよいところ は、アラビア語もヘブライ語も日本語もドイツ語もロシア語も、いろいろの言語が混 在していても自由に書けますというところなのだ。でも、考えてみると、私はアラビア語もヘブライ語もロシア語も、読めないし書けないのである。それでも、欲しいの は何故だ。
先月のSFマガジンの特集解説で、Web上で指摘している人がいて気がついたのだが、何と私は<ハリー・ポッター>がヒューゴー賞の候補にまでなったと書くつもりが、何故か<ハリー・ポッター>がヒューゴー賞を受賞までした、と書いてしまっているのだった。何という恥ずかしいことをしてしまったのだろう。あの原稿を書いたのは八月二三日だから、ヒューゴー賞の受賞作品なんてまだわかっていないではないか。だから、受賞作品を勘違いした訳でもなく、もう自分がしたことがさっぱり理解できない。まあ、「候補」と「受賞」の単なる書き間違いだろう。ああ、情けない。
bk1から本が届く。ホルヘ・ルイス・ボルヘス&アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ドン・イシドロ・パロディ六つの難事件』と筒井康隆『魚籃観音記』の二冊。
MacOS X日本語版が明後日から発売になるようだ。英独仏語版を買ってインストールできなかったのに、日本語版も欲しくて仕方がないのは何故だろうか。
bk1から註文受付の連絡がないので、註文履歴画面で調べてみたら、昨日の註文は確かに受け付けられており、しかも二冊は既に発送されていた。どうやら少なくとも二通の電子メールが行方不明になったようだ。
SF情報誌LOCUSの定期購読更新がオンラインでできることに気づき、これは便利だと早速手続きをしたのだが、カード番号あるいは有効期限の入力間違いでクレジットカードが使えませんとの連絡があった。ちぇ、やりなおしか。
この頃すっかり日が短くなり、私が出勤するときにはまだ薄暗く、帰宅するときにも暗くなるようになってしまった。私は毎日懐中電灯をつけて食虫植物の鉢を見なければならない。懐中電灯片手にベランダで蹲るのは些か情けない。陽の光の下で食虫植物をじっくり見られるのは休日だけなので、休みの日ともなると二時間おきくらいに食虫植物を見つめに行ってしまう。
今日は朝から娘と妻は運動会である。小学校のではなく、この辺の校区の子供会とやらのである。始めは私も一緒に行くはずだったのだが、数日前になって妻に電話がかかってきて、父兄の競技に出てくれという連絡があった。何と、借り物競争か騎馬戦だという。私は嫌だと云って、運動会には行かないことにしたと伝えてもらう。という訳で、今日は家で一人留守番である。ここ数日の間に溜まっていた郵便物の整理と本の註文。
bk1に本を註文する。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス&アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ドン・イシドロ・パロディ六つの難事件』(一八〇〇円/岩波書店/木村栄一訳)
筒井康隆『魚籃観音記』(新潮社/一三〇〇円)
フランク・ディレイニー『ケルトの神話・伝説』(鶴岡真弓訳/創元社/二八〇〇円)
ベン・C・クロウ編『巨人ポール・バニヤン』(西崎憲訳/ちくま文庫/七八〇円)
井村君江『妖精とその仲間たち』(ちくま文庫/七二〇円)
レズリー・ミルロイ『生きたことばをつかまえる 言語変異の観察と分析』(太田一郎ほか訳/松柏社/三五〇〇円)
三五〇〇円も出して『生きたことばをつかまえる 言語変異の観察と分析』などという本を買ってしまう自分が信じられない。言語の研究をしている訳でもないのに。でも、読みたいのだから仕方がない。
本の註文も終えて、そろそろMacOS Xでもインストールしてみようと、CD-ROMを入れて再起動。しかし、起動できない。CD-ROM内のインストーラをクリックすると勝手に再起動して動き始めるという事例を読んだことがあったので、それを試みるが、再起動はするもののアップルの顔の印が出てきたところで止まってしまう。PowerLogixのG3カードが悪いのではなかったのか。やっと解ったがもう遅い。
午後からSFマガジンの海外SF紹介欄SF Scannerの原稿を書く。今回はニーナ・キリキ・ホフマンのA RED HEART OF MEMORIES (Ace, 1999)について。今年の世界幻想文学大賞の候補作になっている作品である。夕方には書き終えたが、今回はいきなり送信せずに、一晩おいて読み直してから送ることにしよう。
日本生化学会という学会である。学会の展示場書籍売り場で、牧野賢治『理系のレトリック入門』(化学同人/一二〇〇円)を購入してしまう。
今回の出張にはThe Folk Keeper by Franny BillingsleyとKing of Shadows by Susan Cooperを持っていった。後者は、ニューベリー賞を取ったこともあって邦訳もあるスーザン・クーパーの作品。舞台俳優を目指す少年が、シェイクスピアの時代の同姓同名の舞台俳優と数日の間入れ替わってしまうという話で、こう書いてしまうと何だか下らない話のように感じられてしまうかも知れないが、これがなかなか面白い。演劇には疎いので、その辺りのことは何を書いてあっても私には物珍しく新鮮である。四〇〇年前の英語の言葉遣いの話なども出てきて興味深い。帰りの飛行機の中でスーザン・クーパーは読み終えたが、前者の方は全く手を付けられなかった。残念。明日から読むことにしよう。
土曜の夜に帰宅すると、言語十一月号が届いていた。特集は「否定の意味論」。面白そう。おや、来月の特集は「神話」である。これは読み逃せまい。アメリカのSF情報誌LOCUS十月号も届いている。定期購読更新の催促の手紙も届いている。八五ドルか。
一つ大きな箱も届いていた。Outpost.comで買ったG3カードCrescendo G3/PCI 375MHz/512K Level 2 Backside Cache(Sonnet Technologies社)である。早速、PowerLogixのカードと入れ替えてみる。今度はちゃんとProcessor Speed: 375HHz, Bus Speed: 50.0MHzとなった。PowerLogix社のものも本来はそうなる筈だったのだが、何故かProcessor Speed: 337HHz, Bus Speed: 45.0MHzになってしまうのだった。ディップ・スイッチを切り替えると、その辺の値が変わるようなのだが、説明書の設定と数値が一致しないので、どうも変更してみる勇気を持てなかった。そういえば、PowerLogix Japanは、同社のG3カードでMacOS Xが動くと発表しているが、一体どうすればインストールできるのだろう。まあ、もう入れ替えてしまったからどうでもいいのだけれど。OSXのインストールに挑戦するのは明日以降である。
季刊 本とコンピュータ二〇〇〇年秋号が届く。定期購読している訳ではなく、何故か毎号送ってくださるのだが、これは古い住所に送られてくる。私は一体誰に住所変更を知らせればよいのだろう。
Weinberg Booksからカタログが届く。引越して住所が変わったそうだ。そのためか、在庫処分の安売りをやっていて、よさそうなものがあったら沢山買ってしまおうかなと思ったのだが、Ash-Tree Pressなどは安売りになっていなかった。当たり前か。F&SFのバックナンバーでも買おうかなという考えがふと心に浮かぶのであった。
さて、明日から土曜日まで横浜での学会に行くためにこのページの更新は暫くお休みです。電子メールによる連絡もできません。
今日は祝日で休みである。ロバート・シルヴァーバーグ編『遥かなる地平1』と『遥かなる地平2』がbk1から届いた。多分これは読まない。
トーキングヘッズ叢書第十五巻 英国偏屈展覧会(アトリエサード)の原稿を書く。カズオ・イシグロとベン・オクリについて書こうと思っていたら、カズオ・イシグロだけで指定枚数に達してしまった。読み返してみると、ありきたりのことを書いているような感じがしてどうも物足りないが、これが私の能力の限界だと諦めて送信。
家族三人で新鮮な烏賊(いか)を食べに行く。私は片道二時間くらい車の運転をさせられるので終始不機嫌である。途中で激しく雨が降りだし景色を楽しむ天気ではない。確かに烏賊は新鮮で、まだぴくぴく動いており足の吸盤は皿などに張り付いて食べづらいほどだ。埼玉に住んでいた時には烏賊というと真っ白の不透明なものしか食べたことがなかったのだが、福岡に来て初めて透明でひくひく動く烏賊を食べることができた。しかし、問題は私が魚介類には殆ど関心がないということである。烏賊が如何にも死んでいますという不透明の白色だろうが、まだ命が残っていますという透明な色合いだろうが、どうでもいいと思っていて、烏賊好きの方には甚だ申し訳ないのだが、美味い烏賊を喰っても全く喜びが喚起されない。この金で肉を喰いたいなどと思ってしまうのだ。
車の運転をしても幸い頭痛もなく、ただ疲れただけで帰宅することができた。本当は書かなければならない原稿があるのに、井上史雄『日本語の値段』を読んでしまう。言語には経済力によって価値に差が生じているという話で、前から感じていることで新鮮な驚きは全く感じられなかったものの具体的な数値や資料を提示してくれるとなかなか説得力があってよいものだ。これに国家の言語政策や植民地支配の話があるとよかったと思った。
この頃は、何かしなければならないことから逃れる読書には、こういう言語に関する書物を選んでしまうことが多くなった。小説は「何かしなければならないこと」と関係があることが多いせいだろう。少し寂しいような気もする。
今日は出勤せず、まず部屋の片づけから。机の上に積まれた本や書類を整理する。これで半日が潰れてしまう。片づけの最中にbk1から本が届く。アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』とロアルド・ダール『まるごと一冊ロアルド・ダール』の二冊。ロアルド・ダールは巨大な本であった。ページを開いてみると横書きである。エッセイや児童向けの短い作品、長篇の抄録など。縦書きなら読んだかも知れないと思いながら書棚へ収める。アンジェラ・カーターの方は数週間以内に読むべき本専用棚へ。
書棚を眺めて、鍋倉健悦『異文化間コミュニケーション』(丸善ライブラリー/一九九七年/六二一円)を読んでみる。何だか前に読んだことがあるような気がしないでもない。続けてカズオ・イシグロ『日の名残り』を読む。イギリスの老執事が主人公で、六日間の短い旅に出た間に回想したことを記した物語。何故これが楽しめるのか解らないが、一気に読み終えてしまった。ブッカー賞受賞作品。
カズオ・イシグロ『浮世の画家』を読む。幻想味は全くないが、なかなか楽しく読み終えた。イギリス育ちの日系イギリス人が描く戦後間もない頃の日本は微妙に不思議な雰囲気を漂わせている(ような気がする)。
MacOS Xをどうしても我が家のPowerMacintosh 9500にインストールしてみたいので、OS X対応を謳っているG3カードCrescendo G3/PCI 375MHz/512K Level 2 Backside Cache(Sonnet Technologies社)を註文してしまった。Outpost.comで一九四・九五ドル(+送料二一・八九ドル)。こんな無駄づかいをしていていいのだろうか。でも、一時は、OS Xのために新しく本体を購入しようかとさえ思ったのだから、これで随分出費は減らせる訳だ。
bk1に本を註文。
アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』(加藤光也訳/国書刊行会/三二〇〇円)
ロアルド・ダール『まるごと一冊ロアルド・ダール』(評論社/七五〇〇円)
ロバート・シルヴァーバーグ編『遥かなる地平1』(ハヤカワ文庫SF/八八〇円)
ロバート・シルヴァーバーグ編『遥かなる地平2』(ハヤカワ文庫SF/八八〇円)
以上四冊。アンジェラ・カーターが出ていたのに気がついていなかった。この『夜ごとのサーカス』は前から読みたいと思っていて、出てすぐにハードカバーで購入し、なかなか読めないので数年後ペーパーバック版を購入したので、二冊持っているのだが、結局十年以上たった今でもまだ読んでいないのであった。ペーパーバックなら電車の中でも読みやすいだろうと考えたわけだが、読めないのは本が重いせいではなく、私の英語の理解力が足りないせいだったので、何の意味もなかった。
ロアルド・ダール七五〇〇円は少々高い。
我が家のPowerMacintosh 9500にはどうしてもMacOS Xをインストールできない。こうなったら、あのポリタンクの如きG4かG4キューブを買わねばならないのかと考え始めていた。しかし、あの奇妙な形の計算機は買いたくないし、立方体の方は形はよいのだが些か問題が多いようだ。それに何よりも購入資金が足りない。もっと安く済む方法を思いついた。MacOS X対応のG3(G4)カードを買って、今のCPUカードと差し替えればよいのだ。
こういうことをするからアップル社のコンピュータが売れなくなって売上高が低下するのだ。株価急落を心配するなら、株を買い支えるなどと考えずにアップル社の製品を購入することこそ正しいアップル支持者のすることである。このところ私は中古を購入あるいは廃棄品の譲渡などでMacintoshを手に入れ、改造と補強を重ねているので、アップル社から機器を購入していないのであった。
で、職場のPowerBookの方はMacOS Xをインストールして三日目、とにかく仕事ではまだ使えないことが解った。MacOS 9.0.4でアプリケーションを動かすと、すぐにエラーが生じて止まってしまう。もちろんOSXの方は止まらないので全体がフリーズするという事態は免れる訳だが、作業はそこで中断してしまう。休息時にちょっと動かしてみる程度である。今は、システムの表示言語をドイツ語にして、少しずつ新しいオペレーション・システムに慣れようとしているところ。
『イギリス新鋭作家短篇選』を読む。こういう話は私にはさっぱり解らない。しかも、外国出身のイギリス作家を読みたくて読んだのに、読み終えてから皆イギリス生まれの作家であることが解った。どうやら私は買う本を間違えたようだ。
Fantasy CentreからMary Elizabeth Braddon THE COLD EMBRACE (Ash-Tree Press)が届く。同時に註文した他の二冊は別の人にとられたようだ。一冊だけ届いた本を、これは一生読まないかも知れないなと思いながら書棚に収める。
パット・マーフィのTHERE AND BACK AGAINを読み終える。遅すぎる。一箇月もかかるとは。大宇宙版『ホビットの冒険』というものもなかなか面白いということは解ったが、一箇月もかけて読むものではない。同じくパット・マーフィのWild Angelも読んでみようという気にはなった。
職場のPowerBookにMacOS Xをインストールする。これまでのMac OSとは余りにも勝手が違うので何が何だかさっぱり解らない。クラシック版アプリケーションが起動すると、システムが二つ同時に動くことになるので、どうやらメモリが足りなくなってしまうようだ(現在のメモリ使用状況はどうやって見たらいいかも解らない)。そのせいか、MacOS 9.0.4下で動いているアプリケーションはすぐにエラーを起こして終了してしまう。それでも、私は自宅の方でもMacOS Xが使いたくてたまらず、新しい機種を買いたくて仕方がないのである。
学会で頭痛に苦しんだ翌朝はやはり寝坊。とにかく出勤。帰宅するとAmazon.com Booksから八月二六日に註文した本が届いている。
Sister Emily's Lightship and Other Stories by Jane Yolen ($18.36, August 2000, Tor Books)
King Rat by China Mieville ($19.16, October 1999, Tor Books)
Wild Angel by Pat Murphy ($19.16, August 2000, Tor Books)
The Folk Keeper by Franny Billingsley ($14.40, October 1999, Atheneum)
King of Shadows by Susan Cooper ($14.40, November 1999, Simon & Schuster)
Black Light by Elizabeth Hand ($5.39, April 2000, Harper)
The Silent Strength of Stones by Nina Kiriki Hoffman ($5.39, September 1995)
以上七冊。読みたい本は多いのだが、なかなか読めないものである。
もう一つ、薄っぺらの国際宅配便の荷物が届いていて、中身はMacOS X public betaであった。やっと届いた。この二週間、いろいろな記事を読み、我が家のPowerMac 9500(G3)にはインストールしない方がよかろうという結論に達していたのだが、目の前にあるとインストールの誘惑には逆らえない。そこで、先ず先日購入したメモリを装着。それにしても、この機種はメモリの着脱が甚だ面倒臭い。PCIカードやCPUカードを全部外してすっかり解体しないとメモリのソケットに触れないのだ。で、64MB DIMMを一枚追加して再び組み立て直して起動すると、どうもおかしい。200MB+64MBで264MBになる筈なのに、254MBにしかなっていない。どうやら8MBが一枚認識されていないようだ。もう一度解体する元気はない。まあ、いいやと思ってMacOS X public betaのCD-ROMを入れてCキーを押しながら再起動。しかし、?マークが出て起動できない。やはり、G3カードを挿したPowerMac 9500では起動できないようだ。そろそろ新しいのを買おうかなという気分になってくる。
ところで、数日前にアップル社は業績の下方修正を発表した(G4 Cubeの売り上げが予想を下回ったという)ら、株価が半分にまで急落してしまって、その影響でアメリカのコンピュータ業界の株価がつられて急落し、アメリカ株式市場全体に価格下落を誘ったらしい。ここで、一つ私がアップル社の株を買い支えてやろうかとも思ったが、考えてみたらそんな金はない。考えてみなくても普通すぐ解るけど。
帰宅するとbk1から本が届いていた。
J・R・R・トールキン『ホビットの冒険 上(新版)』(七二〇円/岩波少年文庫058)
J・R・R・トールキン『ホビットの冒険 下(新版)』(六八〇円/岩波少年文庫059)
山口明穂『日本語を考える 移りかわる言葉の機構』(二八〇〇円/東京大学出版会)
井上史雄『日本語の値段』(一六〇〇円/大修館書店)
『イギリス新鋭作家短篇選』(柴田元幸訳/一二六二円/新潮社)
の五冊。