11月30日(月)

 ル=グウィン『ヴォイス』(谷垣暁美訳/1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を半分くらゐまで読む。何だか話の進みが遅いのだが。文字や本に対する特別の思ひを込めた文章が続くので、喜びに震へながら本が読める。とはいっても、書籍が弾圧される話だから、そんなに喜んでばかりもゐられない。

 紀伊國屋書店から、赤井都『豆本づくりのいろは』(1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と美篶堂『はじめての手製本』(2000円+税/美術出版社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、そして、ジャック・キャンベル『彷徨える艦隊4 巡航戦艦ヴァリアント』(月岡小穂訳/860円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。豆本だ! 作り方を見ると、普通の手製本とそんなに変はらない。小さいだけである。小さくしなければならない理由が私にはよく判らないのだが、いくつか作ってみれば判るだらうか。一緒に届いた一般的な手製本の本にも、実は豆本の作り方が載ってゐるのだ。図や写真が多くて判りやすい。無性に本を作りたくなってきた。が、もうすぐ引越しである。そんなことをしてゐる余裕はない。

 今日も銀行で多数の書類を書いて疲れたので、この辺で。


11月29日(土)

 小田雅久仁『増大派に告ぐ』(1400円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。読み始めていきなり気が重くなる。別の世界が見えてゐる人の話は苦手なのだ。声が聞こえてくる人の話は苦手なのだ。暗く重い雰囲気に満ちてゐる。増大派とか減少派とか云はれてもね。

 気分が重くなってしまったので、東急ハンズ池袋店に寄ってみた。明後日は部屋の寸法をたくさん測らなくてはならないから、メジャーを買ひたかったのだ。巻き尺とは関係ないけれど、メジャーについて調べようとすると大リーグのことばかり出てくる。majorはメイジャーと書いてくれればいいのに。イギリスの元首相はメジャーとは書かずにメージャーと書くのだから。そんなことを考へながら、Komelon KMC-36といふのを買った。ちなみにAmazon.co.jpでも売ってゐる。まだ気分は晴れないので水平器も買った。こんな感じのもの。さらに、シールテープも買ってみた。カクダイの15mのものである。これは水栓の取り付けのときなどに使ふもの。このシールテープでちょっと気分が明るくなった。前から欲しかったのだ、シールテープ。かういふ工具を買ふと楽しくなる。何か今までできなかったことが出来るやうになるやうな気持ちになるからだ。もちろん、能力は向上しないから何も変はらないのだけど。足取りも軽く駅に向かひ、『増大派に告ぐ』を電車の中で読んで再び重くなった足取りで帰宅。

 それにしもAmazon.co.jpは何でも売ってゐる。


11月29日(日)

 小田雅久仁『増大派に告ぐ』(1400円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。何なのだ、これは。頭の箍が緩んでしまった男の妄想に付き合はされただけのやうな感じがする。気分が沈んでしまふではないか。結局、増大派も減少派も出てこない。もちろん、私は増大派である。減少派なんてゐる訳がないのだ。熱力学第二法則に反することからも、それがあり得ないことが判る。それにしても、どうしてこれがファンタジーノベル大賞の大賞を受賞したのだらう。全く理解できない。受賞しなければ私がこれを読むこともなかったのに。そのせゐで、気がつくと片目で世界の闇を見つけようとしてゐる自分に気付き怯えるやうになってしまったではないか。夜にはもっと深い夜が必要なのだ。

『西のはての年代記』三部作の第一部は見つからない。仕方がないので、もう一回買はうと思ったのだが、ドバイショックで家計が苦しくなってしまったので断念。第二巻『ヴォイス』から読み始めることにした。本当に読みたいのはこの第二巻だったからそれでいいのだ。読み始めたばかりで、まだ何も判らない。

 本が見つからないのは、本の収納がきちんとできてゐないからだ。どんな本でもすぐに手に取ることができなければ持ってゐる意味がない。近いうちに引っ越すのだから収納には十分気をつけて準備しなければならない。気がつくと頭の中は収納問題でいっぱいになってゐた。頭がいっぱいになるとオンライン書店に行ってしまふのが私の悪いところである。収納に関する本を探してしまふのだ。次々に収納の本をクリックしてゐたとき、『住まいの収納300の知恵』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]の表紙から目が離せなくなった。何か変だ。一見、ありふれた壁一面の書棚である。しかし、何か変である。よく見ると、書棚の棚一段に本が二段並んでゐる。なぜだ? 上の本は下の本の上に直接載ってゐるのか。下の本を取り出したいときにはどうするのか。本が激しく傷みさうなのだが。本の上に時計が載ってゐるやうにも見える。どういふことなのか。さういふ収納をこの本は推奨してゐるのだらうか。これは本を買って確認しなくては! 紀伊國屋書店に註文した。
『住まいの収納300の知恵 改訂新版』(2381円+税/ニューハウス出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『大人の上質インテリア』(1300円+税/エクスナレッジ)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『大人の洗練インテリア』(1300円+税/エクスナレッジ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
気になる書棚の表紙の本の他に、「大人の上質」とか「大人の洗練」とか、感じの悪い言葉の本も註文してみる。上質や洗練は私には縁のない世界だが、知らない世界だからこそ本を買ふ意味はあるのだ。上質な書棚とか洗練された書棚が載ってゐればいいのだが。ありさうにないけど。


11月27日(金)

 デイヴィッド・ウェーバー『オペレーション・アーク1』(矢口悟訳/880円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。軍隊の話は基本的に好きではないのだが、後半は中世風の世界を舞台にしたヒロイックファンタジイのやうな雰囲気に満ちてくる。でも、科学の進歩と人間の自由への強烈な渇望が如何にもSFらしい。この中世風の世界には、科学が一定以上の水準に達すると謎の異星人に抹殺されてしまふので、人類の生き残りを掛けて建設された最後の植民性といふ背景があるのだ。それを口実に世界を支配する教会を構築した勢力と、それに対抗する一派との戦いが主に第一巻の内容で、最初に出てきた異星人との戦ひはしばらく出てこない。巻頭の登場人物表を見るとちょっと驚くが、登場人物が多い。当然私の脳では把握できない。活字は大きくなっても、私の脳の容量は大きくならないのだ。

 活字が大きくなって背が高くなったハヤカワ文庫だが、未だに慣れない書店員はカバーを掛けるときに普通の文庫本の大きさにあらかじめ折っておいた紙を被せようとして大きさが合はず狼狽へたりする訳だが、Amazon.co.jpでは、ハヤカワ文庫の新刊が〈新書〉と表示されることが増えてきたのは、この「トールサイズ」のせゐだらうか。

 今日も眠くて気を失ひさうなので、ここまで。


11月26日(木)

 紀伊國屋書店に本を註文。
●赤井都『豆本づくりのいろは』(1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●美篶堂『はじめての手製本』(2000円+税/美術出版社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ジャック・キャンベル『彷徨える艦隊4 巡航戦艦ヴァリアント』(月岡小穂訳/860円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊。豆本、私はこれまであまり興味がなかった。「読むこと」を主たる目的に作られた本ではないから。本は読むために存在すべきである。と云ひながらも私は読んでゐない本をたくさん持ってゐるし、読まないだらうと思ひながらも買ってしまふ本がたくさんある。だからこそ、本は読むために存在すると自分に云ひきかせ続けなくてはならないと思ってゐた。しかし、ふと、そんな固いこと云はなくてもいいのではないかと思ったのだ。歳をとったといふことなのだらう。さう思ふと同時に、豆本を作ってみたいといふ衝動が躰の奥底から湧き上がってきたのである。本は宇宙である。宇宙を圧縮したいといふ願望は誰にでもあるはづだ。その欲望を満たせるのは豆本だけである。などと訳の判らないことを云ひながら、普通の大きさの本の製本に関する本も買ってみる。こちらは今年四月に出た本。見逃してゐた。

 うっかり見逃してゐた本といへば、今年のファンタジーノベル大賞受賞作である。二週間くらゐ前には出てゐたと思ふのだが。毎年同じ時期に出ると思ふのに、毎年買ふのが遅れてしまふ。やうやく今日気がついたので、仕事の帰りに池袋のジュンク堂書店に寄って購入。
●小田雅久仁『増大派に告ぐ』(1400円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●遠田潤子『月桃夜』(1400円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●潮木守一『職業としての大学教授』(1600円+税/中公叢書)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上、ファンタジーノベル大賞受賞作二作と大学の話である。三冊目のは、「大学教員はどう育成され、どう選抜されてゐるのか。米英仏独と日本を比較して明らかになるメカニズム」といふ内容である。書店の棚で見つけて何となく面白さうだと思ったので。

 紀伊國屋書店から、Graham Joyce The Devil's Ladder (Faber Children's Books, August 2009) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届く。最初、一体何の本を註文したのか思ひ出せず狼狽へたが、よく見たらグレアム・ジョイスの作品だった。

 今日は少し本を買ひすぎてしまったかも知れない。少し控へよう。と云ひながら、買ふときは買ふのであるが。本は気になったときにすぐに買っておかないと、気がついたときは書店の店頭から消えるばかりか、オンライン書店で入手不可になってゐたりするのだ。


11月25日(水)

 SFマガジン2010年1月号(2500円/早川書房)[Amazon.co.jp, bk1]に掲載されてゐるテリー・ビッスンの「スカウトの名誉」について、訳者の中村融氏によると、60ページ上段7行目にある「耳をすます——話といってよければ。」といふ箇所は、「耳をすます——そして話をする。話といってよければ。」となるべきところだったといふ。

 リチャード・キャドリー『サンドマン・スリムと天使の街』(川野靖子訳/840円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。ハードボイルド・ファンタジイである。地獄から蘇った男が殺された恋人の復讐をする話だ。個性的な登場人物たちとハードボイルドの語り口は悪魔や天使や吸血鬼が行き交ふ現代ロサンゼルスによく合ふ。快調に読み進められるのだが、私は復讐の話は実はあまり好きではない。復讐で得られるものは少ない。他人の復讐で得られるものはもっと少ない。

 1ドルが87.50円近くになってしまった。困るではないか。

 今日は疲れてゐるので、これで。


11月24日(火)

 毎日新聞の「家読:家族のふれあい リビングに「文庫」、親子で感想話し合って」といふ記事が目に留まったので読んでみた。「家族で読書の楽しみを共有する「家読(うちどく)」運動が静かに広まっている」のだといふ。「家読」? 初めて聞いた、そんな言葉。私はちょっと嫌だ。家族で読書の楽しみを共有しなければならないなんて。たまたまさうなるならいいのだが、目的意識を持ってそんなことをするのはちょっと気持ち悪い。学校で行はれてゐる「朝の読書」運動はそれなりに成果をあげてゐるらしい。みんな素直ではないか。偏屈な子供だった私なら反発して読まなかったかも知れない(いや、これ幸とひたすら読みまくったかも知れない)。私が小学生だったとき、担任の先生は休み時間には皆で一緒に校庭で運動をすべきであるといふ信念の持ち主だったために、一人で教室で孤独に暗く本を読むことは推奨されなかった。運動といっても、一人で黙々と走ったりするのは駄目で、皆で遊ばなくてはならないのだ。最初は私も付き合ってゐたが、やがて教室で本を読むやうになった。どうしてそんな不愉快なことにつきあはなくてはならないのか。本ばかり読んでゐないで少しは躰を動かせといふ言葉を無視して読む本はまた格別の味はひであった。本は隠れて読み反抗して読むときほど楽しい。朝読とか家読とか、楽しみが半減する企画である。まあ、皆がそれで楽しく本が読めるのなら私がとやかく云ふことではないが、私は嫌だな。

 リチャード・キャドリー『サンドマン・スリムと天使の街』(川野靖子訳/840円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。私は「家読」よりも、電車の中で読む方が好きなのだ。ハードボイルド・ファンタジイとでも呼ぶべきこの作品を気分よく読み始めたところが、どこかで座って眠りこけてゐる乗客から異音がしてきた。鼾である。電車の中ってこんなに鼾の音が聞こえただらうか。たまたま私が乗ってゐる電車に多いのだらうか。せっかくの朝の読書の楽しみを妨害されて不愉快極まりない。今日は二人の鼾を聞かされてしまった。6時台の東武東上線に乗ってゐるのだが、年明けには引っ越す予定である。今度の住まひは、通勤に複数の路線の組み合はせを選べる。鼾のない路線を選んで通勤したいものだ。

 仕事の帰りに池袋のジュンク堂に寄って本を購入。
●デイヴィッド・ウェーバー『オペレーション・アーク1』(矢口悟訳/880円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『自分でできるリフォーム&修繕大百科』(1600円+税/学研)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『DIY素材&道具百科 保存版』(1524円+税/学研パブリッシング)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊である。たうとうこんなものまで買ってしまった。ハヤカワ文庫SFのことではなく、DIY関連の二冊である。土曜日に買った『清く正しい本棚の作り方』のせゐで、本棚に限らず自分でいろいろできるのではないかと思ったのだ。思っただけならいいのだが、思ひ付くと何でも本を買ってしまふところが困ったところだ。本が増えて困る。

 帰宅すると、SFマガジン2010年1月号(2500円/早川書房)[Amazon.co.jp, bk1]が届いてゐた。創刊50周年記念特大号の第一弾「海外SF篇」である。テッド・チャン、グレッグ・イーガン、ジーン・ウルフ、シオドア・スタージョン、コニー・ウィリス、アレステア・レナルズ、ジョン・スコルジー、パオロ・バチガルピといった作家たちの作品が掲載されてゐる。再録も5篇。もうあれから50年か……などといふ感慨はない。創刊当時、私はまだ生まれてゐなかった。
 私の文章も掲載されてゐる。特集とは関係ないが。


11月23日(月)

 ここでは本と関係のないことはあまり書いてゐないのだが、あまりにも驚いたのでちょっと「事業仕分け」のことを書いてみる。仙谷由人行政刷新担当相が、十日ほど前に「事業仕分け」について「文化大革命」といふ言葉を使ったと教へてくれた人がゐたので、早速毎日新聞の記事を読んでみた。「これまで一切見えなかった予算編成プロセスのかなりの部分が見えることで、政治の文化大革命が始まった」と云ったといふ。全く意味が理解できないが、「文化大革命」を起こさうといふ気持ちを持ってゐることだけは判る。正気だらうか。そのうち、大躍進とか云ひ始めるのだらうか。若手研究者に対する研究助成金枠を軒並み減額した仕分け結果を知って憤慨したのだが、文化大革命なら仕方がない。当然だらう。学問とか研究とか文化とか、さういふものにはもう用はないといふことなのだらう。事業仕分けの中身に気を取られて、この発言については見逃してゐた。かういふ大変なことはもっと早めにはっきり云ってくれなければ困るではないか。みんな文革の嵐に備へよう。紅衛兵の目に付かないやうに蔵書を隠さなければ。ぼんやりしてゐると、私もいつ三角帽子を被せられるか判らない! これを読んでゐるあなたもだ。

 この頃、fictionwiseからThe Magazine of Fantasy and Science Fictionの発行の知らせが来ないなと思ってゐたら、定期購読が切れてゐた。定期購読切れの知らせくらゐ送ってくれればいいのに。円高ドル安なので2年分の定期購読を申し込んだ。どうやら4/5月号が最後だったやうだ。6/7月号に遡って購読を更新したから途切れずに済んだけれども、半年も気付かなかったことからも容易に判るやうに、買っても全然読んでゐないのだ。一体何のために買ってゐるんだ! と自分でも思ふこともあるが、実はこれは五年に一回くらゐ役立つこともあるのだ。いや、さういへば昨年一つ短篇(中篇)を一つ読んだかも知れない。

 河野純一『ハプスブルク三都物語』(780円+税/中公新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。前からハプスブルク家の帝国には関心があって、何冊か本を読んだ。そんなわけで、ジュンク堂書店で見かけたときには気になったのだが、少し我慢してみようと思って通り過ぎたのだが、なぜか気がついたら買ひ物かごに入ってゐた。ジュンク堂はあの買ひ物かごがいけない。知らないうちに本が飛び込んでくるのだ。精算するときに驚くのだが、もう遅い。勝手に入ってきたんですなどと云ったら気が狂ってゐると思はれるだらう。だから平然と、カバーは要りませんとか云って鞄に入れて帰るのだ。道理で本が増えるわけだ。
 この本は、ハプスブルク家の支配した帝国の中でもウィーン、プラハ、ブダペストの三つの都に話題を絞ってゐる。私は20年くらゐ前にウィーンに行ったことがある。他の二つにもいつか行ってみたいと思ひながらも、資金と気力が足りなくてまだ訪れたことがない。私は基本的に旅行が大嫌ひなのだ。
 ハプスブルク家に関心はあるが、国立新美術館で開かれてゐる「THE ハプスブルク」は見に行ってゐない。何でカタカナにTHEが付くのだらう。ハプスブルク家の帝国に英語圏は入ってゐないのに。今回は日本とオーストリア・ハンガリー帝国の国交樹立140周年を記念した企画だといふのに、どうしてTHEが付くのだ。納得できないから観に行かない。私は英語が嫌ひなのだ。

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へ、『西のはての年代記』三部作も読まなければと思ひ、書棚を探したけれど、第二巻しか見つけられなかった。どこに行ってしまったんだ、『ギフト』は。この際、買ってしまはうか。どこかにあるのだけど。困った。


11月22日(日)

 昨日の続きである。穂村弘『世界音痴』(457円+税/小学館文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]は、「自然さ」を持てないために世界の中に入れない人間の苦しみについて語った本である。面白い。会社の飲み会で自然に振る舞へないとか、鮨屋で自然に註文を云へないとか、そんな話だ。私もかなり「自然さ」に欠ける人間なので、共感できる部分もある。先に挙げた二つの例はまさにさうである。しかし、この著者は就職して何年も会社に勤めてゐる。私は就職したことはあるが、会社勤めではない。会社といふところがどんなところかよく知らないが、私には勤まりさうにない。この著者と同様、離婚、一人暮らしや骨折、手術をしたことがないが、結婚、子供を持つ、家を買ふ、料理、洗濯などはしたことがある。自分より社会との接触が希薄な人の話を読んで安心したりするのは健全なこととは思へないが、実は少しそんなことを思ふことがある。
 最初の方に、昔から知ってゐる「翻訳家の西崎憲」さんが出てきてちょっと驚いた。この本の著者と同様、短歌の人でもあるから不思議ではないのだけど。

『清く正しい本棚の作り方』(1700円+税/スタジオタッククリエイティブ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]については、別館の方に書いた。

 本間義人『居住の貧困』(760円+税/岩波新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み、自分が新しい住居を購入できることが如何に恵まれてゐるかを思ひ知る。国の政策として低所得層が住める住居がどんどん減ってきてゐること、さらに中堅層の住まひすらも減少し、富裕層の住まひばかりが供給されるやうになってゐることがよく判る。中曽根内閣以来の、「民間でできることは民間へ」といふ流れであり、小泉内閣時代に頂点に達した方針である。アメリカからの圧力と阪神大震災の影響で建築確認の民営化が促進されたことを本書でも指摘してゐるが、よく住宅取得の本に、耐震構造に関連して阪神大震災以降の法律改正の後に作られた建築物が安全と書かれてゐるのは本当にさうなのかと私が疑問に思ふのは、さういふ指摘が気になるからで、寧ろ民営化・市場化の流れが始まる前の古いものの方がましではないかとすら思へるのである。しかし、さういふ小泉内閣を日本の有権者が圧倒的に支持したのだから仕方がない。結局、国民全体(特に低所得層)が損をする政策も、「自分たちよりも少しだけ得をしていい思ひをしてゐる人々を引きずり下ろしたい」といふ日本人の嫉みやっかみの心理をうまく利用して、次々に実現していった手腕には今でも私は感嘆の念を押さへられない。その辺りの手法は鳩山内閣でも学んでゐるやうで、事業仕分けは世論調査では評判がいいやうだ。

 清く正しい本棚を諦めつつ、『ライフスタイルを生かすマンション・インテリアの基本 』(1500円+税/新星出版社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]のページを捲ってゐると、本棚以外にもいろいろ考へなければならないことを思ひ出してくる。人間、書棚だけでは生活できないのだ。うっかりしてゐた。
 そんなわけで、今週もサンウェーブのショールームへ行って、キッチンの構成の確認。面倒くさくなってくる。東京ガスのショールームにもちょっと寄ってみる。何もかも疲れてくる。

 苦手なショールームから疲れて帰宅すると、Amazon.co.jpから、Ana G. Canizares 150 Best Apartment Ideas (Collins Design, 2007) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]とMontse Borras The New Apartment: Smart Living in Small Spaces (Universe, 2007) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届いてゐた。重い! 一体何が入ってゐるのだらうかと思って箱を開けてみると、註文した本が二冊入ってゐるだけだった。これが重いのである。特に150 Best Apartment Ideasの方は、600ページもあって重い。中には豪邸としか表現できないやうな住居もある。もう別世界の話になってしまふのだが、見てゐるだけならそれはそれで面白い。かういふ本には意外に書棚がよく登場するのも楽しい。壁面一面が書棚といふ写真がこの二冊にもいくつも見つけられるのだが、さういふ写真を見ていつも不思議に思ふことがある。どれも素敵な部屋で明るく爽やかである。ただ、それでは陽の光が書棚に注がれることになり、本の背と小口が焼けてしまふのではないかと心配でならない。本棚の前に扉か遮光カーテンをつけた方がいいのではないかと思ふのだが、不要なのだらうか。私は社交は嫌ひだが、遮光は大好きなのだ。


11月21日(土)

 朝、出勤するときに、咄嗟に手に取ったのが、マーセデス・ラッキー『魔法の使徒〈上〉』(945円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]だったので、電車の中で読み始めたのだが、やはり読み続けることはできなかった。若い男二人が胸ときめかせながらいちゃついてゐる描写を読むのは、私がファンタジイを読む目的とはどうも合はないのだ。帰りの電車の中では別の本を読むことに決めて本を閉じる。

 仕事の帰りに、コイズミ照明のショールームに行く。今の私の最大の関心事は照明である。嘘だけど、自分にもさう云ひきかせてショールームに向かふ。私はショールームが苦手なのだ。
 秋葉原駅から歩いて数分の建物に入ると受付があって記録用紙と照明のリモコンスイッチを渡される。かういふやり取りが苦手である。会場は思ひのほか狭く、期待してゐたものは見つけられなかった。はっきりいふと、実は自分が何を期待してゐるのかもよく判らないのだが。

 次に新橋にあるパナソニックリビングのショールームに向かふ。目的は照明と収納だったのだが、床材のところで声をかけられ少し話を聞く。が、かういふときに話をやめる頃合ひがよく判らない。ごく自然に話を終へてその場を離れるのが困難なのだ。飽きてきた頃に話を打ち切り、いつものやうに何だかぎこちなくそそくさと離れていく。思ふやうな収納や照明は見つけられず、池袋のジュンク堂へ。

 何の居心地の悪さも感じることなく入れる店は書店だけである。書店では私も自然な立ち居振る舞ひをしてゐると思ふ。尤も、書店では商品説明に呼び止められることもないし、読書方針を話し合ひながら決めていくための相談員もゐない。安心である。いつものやうに安心して本を購入。
●穂村弘『世界音痴』(457円+税/小学館文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●リチャード・キャドリー『サンドマン・スリムと天使の街』(川野靖子訳/840円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●本間義人『居住の貧困』(760円+税/岩波新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●河野純一『ハプスブルク三都物語』(780円+税/中公新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●大倉祥子監修『ライフスタイルを生かすマンション・インテリアの基本 』(1500円+税/新星出版社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●(TT)戸田プロダクション編『清く正しい本棚の作り方』(1700円+税/スタジオタッククリエイティブ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上六冊。『世界音痴』を読みながら帰宅。もう眠くて先が書けないので続きは明日。もうさっきから何度も間違へて全然進まない。


11月20日(金)

 門倉多仁亜『タニアのドイツ式部屋づくり』(1429円+税/ソフトバンククリエイティブ) [amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を出勤時の電車の中で読む。当然のことながら「リビングの壁一面を本棚に」のページを喰ひ入るやうに読んでしまふ。「鏡で部屋を広く見せる」といふページにも強い関心を抱いて読む。私は合はせ鏡を考へてゐるのだ。さうすると部屋が無限に続いてゐるやうな錯覚を味はへるのだ。

 帰りの電車の中では、南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』(860円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。こんなに一箱古本市が広がってゐたとは知らなかった。ときどき、ネットの愛書家たちのブログで見かけることがあったけれども、これほどとは。私も一箱古本市に行って本を探してみたくなった。私も一箱古本市に店主として参加してみたくなった。でも、私は人と話すのが嫌ひだから、参加者たちとの交流は無理だらう。

 私の頭の中は新しい部屋でいっぱいである。ドイツの部屋の本を買って面白かったので、今度はアメリカの部屋を御代見ようと思ひ、Amazon.co.jpにアメリカの本を註文。
○Ana G. Canizares 150 Best Apartment Ideas (Collins Design, 2007) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
○Montse Borras The New Apartment: Smart Living in Small Spaces (Universe, 2007) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
日本の部屋は狭いからもしも参考になるところがあれば真似てみたいと考へてゐるので、apartmentといふ語の入ったものを選んでみる。


11月19日(木)

 マーセデス・ラッキー『魔法の使徒〈上・下〉』(各945円+税/・創元推理文庫)上[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]/下[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。200ページを少し越えた辺りまで。異世界を舞台に、少年の成長物語を軸に話は進んでいくのだらうか。しかし、200ページ付近からちょっと厳しくなってくる。斜体が読みにくいとかいふ問題ではなく、内容がといふか描写がといふか、私には馴染めない嗜好の場面が続くやうになったのだ。

 紀伊國屋書店から、久保田由希『ベルリンの大人の部屋』(1500円+税/辰巳出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、門倉多仁亜『タニアのドイツ式部屋づくり』(1429円+税/ソフトバンククリエイティブ) [amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』(860円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた。ドイツの部屋の本をぱらぱらと捲ってみると、英国の本に比べてしっくり感じられるものが多い。英国ではなく、ドイツだったのか! もっとドイツの部屋の資料を買ひたくなって困った。

 Google Booksearcgの全米出版社協会との和解案修正について、「米国著作権局に登録済みの書籍、または米、英、オーストラリア、カナダの4か国で出版された書籍」に限定したことで、日本の書籍は対象外となり、「影響を受けないことになった」などと報じられてゐるが(たとへば読売新聞 )、どうも「影響を受けずに済んでこれで安心」みたいな印象を与へるやうな書き方に思へてならない。検索対象から外れることはいいことなのだらうか。「勝手にスキャンされた」と怒ってゐる人もゐるやうだが、スキャンは大抵勝手にするものである。スキャンしといてなんて云はれる方が私は嫌だ。私の代はりにスキャンして検索できるやうにしてくれたのだから、むしろ嬉しいくらゐだ。検索して誰かの興味を引く記載があることが判って、その本を買ってくれる人がゐたらもっと嬉しい。検索して全文読めてしまふ訳ではないのだから、読みたい人は何らかの方法で本を手に入れなければならない。Google社以外の会社が同様の検索システムを構築しようとしたときに、それが妨害されないやうになってゐれば、一向に問題ないと思ふのだが。中には「「グーグルブック」修正和解案の日本への影響は」のやうに、「英語圏では知識を共有して利用する電子ビジネスが出てくるのに対し、日本が後れを取る可能性」を指摘する人もゐる。私はどちらかと云へばこの考へ方に同意できる。


11月18日(水)

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』を題材にした王女ラウィーニアの物語。トロイア戦争後の、ローマ建国前の話である。物語の構造に一捻り工夫を凝らしてゐる。時を超えた(でも、超えてはゐない)愛の物語でもあるのだ。が、その魅力を語ることは私の能力が足りないやうだ。うまく書けない。残念ながら。

 東京創元社から、マーセデス・ラッキー『魔法の使徒〈上・下〉』(各945円+税/・創元推理文庫)[上amazon.co.jp/下amazon.co.jp]をいただきました。ありがたうございました。

 Amazon.co.jpからVernon Lee The Virgin of the Seven Daggers: Excursions into Fantasy (Penguin Classics, 2008/10) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]、紀伊國屋書店からGraham Joyce The Exchange (Viking Juvenile, July 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]が届いた。

 今日は遅くなってしまったので、これで。


11月17日(火)

 昨日はイギリスの貴族の館に感嘆したわけだが、貴族の館はあまり自分にとっての参考にはならない。私はそんなに金持ちではないし、貴族でもない。イギリスがだめならドイツだらうといふことで、紀伊國屋書店に註文したのは、
●久保田由希『ベルリンの大人の部屋』(1500円+税/辰巳出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●門倉多仁亜『タニアのドイツ式部屋づくり』(1429円+税/ソフトバンククリエイティブ) [amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●南陀楼綾繁『一箱古本市の歩きかた』(860円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊。ドイツの部屋の本二冊と古本の本一冊。何の根拠もないのだが、ドイツの部屋といふとしっかりしてゐて無駄がないのではないかと思ってしまふ。私は部屋に安らぎとかくつろぎとか、憩いとか癒しとかは求めてゐないのだ。驚きとか戸惑ひとかだらうか。恐怖はちょっと嫌だが。別にドイツの部屋に驚きとか戸惑ひが期待できるとは思ってゐないのだが、まあ、それ以外の部分で。

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へようと思ってゐたのに、帰りの電車の中が込んでゐて本を読めなかったのだ。何といふことだ。そんな電車なら乗らない方がましだ!


11月16日(月)

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。半分を少し越えたところ。私は『アエネーイス』の物語のことはよく知らないのだが、それを題材にした、少し不思議な構造を持った作品を、少しづつ味はってゐるところである。

 Amazon.co.jpから、『英国スタイルの部屋』(1533円+税/Parco出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と『図説英国貴族の城館』(1800円+税/河出書房新社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。『英国スタイルの部屋』は些か期待はずれ。ものが多い白い部屋がたくさん出てくる。かういふ部屋には馴染めない。一方、『図説英国貴族の城館』は素晴らしい。さすが貴族は云い部屋に住んでゐると感心した。装飾過剰だが、重々しく迫力がある。嬉しいのは、本がたくだん出てくること。書斎(図書室)には、立派な書棚に豪華な本がぎっしり並んでゐる。表紙になってゐる部屋も、三方の壁が(四方かもしれない。一方向は見えないので判らないのだ)本で埋め尽くされてゐる。かういふ部屋を見てゐると、人間の価値は蔵書で決まるのではないかといふ気がしてくる(嘘)。
 写真を観てゐて気がついたが、天井に明かりがほとんどない。夜は暗いだらうなと思ふ。何かの本で読んだが、ヨーロッパで集合住宅を外から眺めると日本人が住んでゐる部屋はすぐに判るのだといふ。夜になって、ひときわ明るく見えるのが日本人の部屋だといふのだ。日本人は電灯の光が好きなのか。煌々と明かりをつけるらしい。どうして日本人がヨーロッパ人に比べて照明を明るくするやうになったのかは私には判らない。アメリカではどうなのだらう。アメリカ文化の影響なのだらうか。


11月15日(日)

 ル=グウィンは電車の中でゆっくり読むことにして(家より電車の中の方がゆっくり読めるのも変な気がするが)、今日はまづ新書から。岡田尊司『アスペルガー症候群』(800円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。どうして私のことが書いてあるんだらうと思ってしまひさうになるほどだが、そんなものだらう。私はそれなりに現実社会と折り合ひを付ける方法を探りつつやってきたので、特別困ったことにはなってゐないが、いつまで経っても世間話は苦手で、興味のない話題について話すことができない。日常会話ほど難しいものはないと今でも感じてゐる。ここに書かれてゐることはよく判る(自分が当てはまらないこともそれなりに判る)が、さういふ人を自分がうまく相手にできるかどうかは判らない。多分できないと思ふ。私はあまり寛容ではないし、器用でもないのだ。かういふ人たちに関する本など全然読んだことがなかったら、まづ最初に手に取る本として最適なものであると思ふ。

 こんな本を読んだら気分が沈んできたので、憂鬱な気分に相応しい金原ひとみ『憂鬱たち』(1143円+税/文藝春秋)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読んでみた。何なんだこれは。精神科を受診に行けない状況がくりかへされるからなぜか苛々する。妄想の内容が昼間っから読むやうな内容でもないし、帯に書いてあるやうに快感でもない。かういふのがポップっていふのか。帯にさう書いてあるけれども。ポップの意味が私には判らない。「いらいらしている全ての人に」って書いてあるが、読み終へて苛々は募り、憂鬱な気分はいよいよ深まった。何なんだこれは。

 香山リカ・菊池誠『信じぬ者は救われる』(1400円+税/かもがわ出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。スピリチュアルとニセ科学に騙される人たちに関する対談である。この手の本をある程度読んでゐればそんなに新しい内容はないのだが、騙されたい人に対してはそのままにしておくべきかといふ問題は私も気になるところである。でも、この本を読んでもどうすべきかは簡単には判らない。各自が自分で考へるべきことなのだらう。そのためのきっかけとしてはよい本だと思ふ。
 内容と関係ないが、活字の間隔がつまってゐて少し読みづらい。無理に大きな字にしてはゐないか。

 引っ越しのことなどもあって、少し前に大型電気店のエアコン売り場を見てきたのだが、マイナスイオンとやらを出さない機種が実に少ないことを知って驚いた。ニセ科学フリーの電気店があればいいのに。

 SFマガジンの2009年SFマイ・ベスト5アンケートを送る。もちろん、その内容はここには書かない。毎年これが来ると、もっと本を読まなければと思ふ。毎年毎年、さう思ふ。思ふだけで全然状況は改善されてゐない。もう来年からはさう思はないことに決めようか。


11月14日(土)

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。まだ70ページ。

 仕事の帰りに再びサンウェーブ工業のショールームに寄ってシステムキッチンの確認。かういふところで話をするのは苦手である。その後、池袋東武の旭屋書店に行って新書三冊を購入。ときどきちょっと胡散臭い新書を買って読みたくなる。胡散臭いといへば金儲けの話である。あなたもこれを読めば富裕層の仲間入りといふ類ひの本である。そんな本を読んで富裕層に入れる訳がない。こんな本ばかり読んでゐると社会の不要層に入ってしまひかねないから要注意である。
●森智紀『お金持ちになる技術』(714円+税/ベスト新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●岡本吏郎『サラリーマンのためのお金サバイバル術』(740円+税/朝日新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋##店, Yahoo! Books]
●永江朗『書いて稼ぐ技術』(740円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『お金持ちになる技術』は、結局海外ファンドを買へといふだけの内容だ。長期で保有すれば年10%以上の率で増えていくのだといふ。でも、最低購入単位が数万ドルである。日本の証券会社や銀行では販売してゐない。そんな資金もなければ時間的な余裕もない。これで金持ちになると云はれてもね。
『サラリーマンのためのお金サバイバル術』の方はもっと現実味のある内容。まづ「人並みな生活」なんていふ考へを捨てること。人並みな生活などといふものは、自分の収入の範囲を超えてゐる消費生活なのだといふ。そして、住宅や車といったものに「人並みな」ものを求めずに、貯蓄と投資をせよといふ。その際、地域・通貨の分散と時間の分散を心がけよといふことで、世界株式と世界債権のインデックス投信を買へばいいらしい。結局、どの本を読んでもここに落ち着くのだ。頃合ひをみて儲けようなどと思はず常に積立てよといふことである。「運用とは退屈なもの」なのださうだ。
『書いて稼ぐ技術』は、フリーライターになるにはどうしたらいいかといふ本。いろいろ尤もなことが書いてあるが、意外なことはあまり書いてゐない。私が大いに賛同できたのが、「やりたいこと」より「できること」といふ項。「やりたいことをやりなさい」などいふのは嘘だといってゐるのだ。そんなことを云はれると「やりたいこと」を探さなくてはならないくなる。そんなことはよく判らないものだし、「やりたいこと」ではないことをしてゐることが悪いことのやうに感じられてきたりする。さらに、「本当の自分探し」なんていんちき臭いと断言してゐる。自分に「本当」も「偽物」もない。「そうやって定職に就かない若者を増やし、労働力を流動化させようとした財界と役人と政治家の陰謀です。(中略)さんざん「やりたいことをやりなさい」=「やりたいことをやらないのはダメ人間」、「本当の自分を探しなさい」=「いまのあなたはニセモノ」というメッセージを発して、若者たちを非正規雇用に向かわせたのは誰なのか。さんざん煽ったのは誰なのか」と糾弾してゐる。まさにそのとほりだと私も思ふ。さうやって所謂下流社会へと巧みに誘導して、いまさら自己責任とかいって切り捨てよとしてゐるわけだ。私は本当の自分なんてあったとしても知りたくもないから、さういふ人の気持ちは理解できないのだが。

 結局、かういふ本を買って読んでみても金持ちにはなれない。文章を書いて稼げるやうになるかどうかはよく判らない。何れにせよ、「買ひたいものより、買へるもの」を買ふ生活をしながら、いまできることをするしかないのである。


11月13日(金)

 William Heaney (実はグレアム・ジョイス)The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]読了。絶望と逃走、そして再生の物語であり、家族の物語であり、愛の物語でもあるが、題名が古書の贋作ではあるものの、古書の物語ではなかったやうだ。現在と過去の話を交互に綴っていく書き方で、謎の提示とその後の展開が並行して進んでいくのが、強い印象を残す効果をもたらしてゐると思う。見事である。

 アーシュラ・K・ル=グウィン『ラウィーニア』(谷垣暁美訳/2200円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を訳者の谷垣さんからいただく。ありがたうございました。

 Amazon.co.jpに、
『英国スタイルの部屋』(1533円+税/Parco出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『図説英国貴族の城館』(1800円+税/河出書房新社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。この憂鬱な気分には重苦しい英国風の部屋が相応しいと思ったのだが、別に私が英国風の部屋に住めるといふ訳ではない。でも、こんな本を買ふだけならできるといふことである。

 三省堂書店本店で、
●香山リカ・菊池誠『信じぬ者は救われる』(1400円+税/かもがわ出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。内容はよささうだが、よく見ると文字が少ない。ページ数も少ない。ちょっと損した気分である。


11月12日(木)

 憂鬱だったので三省堂書店本店に行って、まづは一階で、
●金原ひとみ『憂鬱たち』(1143円+税/文藝春秋)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。憂鬱をじっくり味はへることを期待して。しかし、本を手に取ってみると思ひのほか薄かった。もっと、気が滅入るくらゐ厚ければいいのに。

 五階へ移動して、今度は心の中の闇に光を当てるために、
●結城未来『照明リフォームでお部屋の模様替え』(1500円+税/小学館)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。この頃は照明にもいろいろあるのだねと感心する。近々引っ越しをするので、部屋の改装などすることになってゐて、判らないことだらけなので照明についても一冊本を買ってみたわけだ。
 いろいろ感心したが、照明の本で心の闇は払はれなかった。


11月11日(水)

 SFマガジンに書いた原稿のpdf版校正刷りが届いたので目を通したら生きてゐるのが嫌になった。

 SFマガジンの年間SFベスト投票の依頼と候補リストが届いたので、目を通したら、今年も全然本が読めなかったことが判った。去年よりは通勤時間が増えたから少しは読んでゐたつもりだったのに。もっと速く、もっと多く、読まなければならない。もっと速く、もっと多く、もっと速く、もっと多く。

 紀伊國屋書店から、Jonathan Strahan The Best Science Fiction and Fantasy of the Year (Nightshade Book, 2009/03) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届く。いつも買ふだけだが、少しは読まなければ。


11月10日(火)

 疲れたので一回休み。


11月9日(月)

 今日もWilliam Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら出勤。

 池袋東武の旭屋書店に寄って、
●デイヴィッド・エディングス&リー・エディングス『アルサラスの贖罪2 女王と軍人』(宇佐川晶子訳/900円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●岡田尊司『アスペルガー症候群』(800円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。『アスペルガー症候群』は前から実は気になってゐた本。でも買ったら自分によく当てはまる内容を読み続けることになるので、今まで躊躇ってゐたのだ。上着のポケットに入る本が欲しかったといふこともある。

 今朝も電車の中で鼾。うるさいなあ。太ってゐる人は気を付けた方がいと思ひますね。知らず知らずのうちに、電車の車内で他人の読書を邪魔してゐるのかも知れないから。


11月8日(日)

 岩崎純一『音に色が見える世界』(720円+税/PHP新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出かける。今日は何も荷物を持たずに出かけたかったので、新書を上着のポケットに入れて家を出た。かういふときは、薄い新書か文庫が重要になる。文庫でも骰子のやうに分厚いものだとちょっと困る。
 本書は共感覚に関する本である。著者自身が共感覚の持ち主である。共感覚の持ち主の男女比が偏ってゐるといふことは初めて知った。男の方が圧倒的に少ないといふ。著者はその数少ない男性共感覚者の一人である。一つの感覚が他の感覚に滲み出るやうに影響を与へていく様子を判りやすく説明してくれてゐる。それでも、さういふ感覚を持ってゐない読者にはかなり判りづらい。
 著者は、共感覚は昔は人間は皆が持ってゐた能力であらうと考へてゐる。それが、西洋文明の発達に伴って排除されていったのだと推測してゐる。共感覚は育った言語に影響を受けると云ひながら、言語を獲得する前の共感覚の記憶について語ってゐるが、一見矛盾するやうにも見えるところは些か判りにくい。英語と日本語の比較がどう共感覚の話と関係があるのかについても。

 日本人として生まれたことによる先祖から受け継いだものが言語と共感覚に影響を与へてゐるといふ考へは納得できない。いくら何でも言語は遺伝しまい。さういふ無茶な推論は本書の信憑性をさげてしまひはしまいかと心配である。
 それでも本書の内容は実に新鮮だった。読んでみてよかった。
 この本にも出てきた、日本人は昔、色を表現する単語として、赤、青、白、黒しか持ってゐなかったといふ話を前にも読んだことがあるのだが、一体何だったのか思ひだせない。岩波新書だったやうな気がするのだが。

 今日出かけたのはサンウェーブ工業のショールームである。キッチンの話を聞く。慣れないことで難しい。難しかったので帰りに紀伊國屋書店新宿南店に寄って本を購入。判らなかったら何でも本を買へばいいと思ってゐるのだから仕方がない。
『本当に使いやすいキッチンのルール 』(1200円+税/成美堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『最高の水まわりをつくる方法 』(1200円+税/エクスナレッジ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『東京インテリアショップ 2008-2009 』(1200円+税/エクスナレッジ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊である。『東京インテリアショップ 2008-2009 』は2008-2009と云ひながら2007年12月の刊行。ちょっと損した気分である。別に問題はないのだけど。判りやすいのは『キッチンのルール』である。慣れない話をきいたら本当に疲れてしまった。今日も寝よう。


11月7日(土)

 今日もWilliam Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら出勤。面白く読み進める。だんだん怖くなってきたところだ。
 ところで、この本はアメリカではHow to Make Friends With DemonsAmazon.co.jp, 紀伊國屋]といふ題名で、Nightshade Bookから来月出るやうある。Graham Joyce名義で。危ふく間違へて註文してしまふところだった。紛らはしいことはやめてほしいものだ。

 このまま帰るのもつまらないので、ここ数年で買ひ逃してゐたGraham Joyceの本を註文することにした。
○Graham Joyce The Exchange (Viking Juvenile, July 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
○Graham Joyce The Devil's Ladder (Faber Children's Books, August 2009) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
を註文。両方とも若い読者向きの作品である。Graham Joyceはこの頃そんなものばかり書くやうになってしまってゐたやうな気がする。久しぶりに大人向けの作品を書いたと思ったら、名前を変へてゐた。あれはどういふことなのだらうか。

 再び、新宿へ行ってTOTOのショールームへ。慣れないことをすると本当に疲れる。これを書いてゐてもときどき意識が遠のくのでもう寝なければ。寝なければ!


11月6日(金)

 William Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら出勤。が、あまり進まなかった。といふのは、今朝も寝坊して少し遅い電車に乗って出勤したからである。日の出が遅くなって目覚めたときに真っ暗なので時間が判りにくいといふこともあるのだらうか。目覚めてゐても勘違ひしてすぐに起きないこともあるのだ。四時と五時の区別が付かなくなってきてゐる。ただ寝ぼけてゐるだけならいいのだが、ぼけてきてゐるのだとしたら少し困る。いや、大いに困る。とにかく、少し遅れると混んでゐて、本が読めないことがあるのだ。早ければいいといふ訳でもなくて、今日は速い電車に乗れて安心だと思ったのも束の間、鼾で本に気持ちが集中できないこともある。音楽でも聴けばいいのだらうが、私はどうも怖くて外では音楽を聴けない。周囲で何が起こってゐるのか判らなくなるからである。何が起こってゐるのか判らなくして本に集中しようといふことなのだから当然なのだが、それでは危険を察知できなくなってしまふ。電車に乗って通勤するだけでも、いつ誰にホームから突き落とされたり、刃物で刺されたりするか判らない時代である。常に危険を察知できるやうにしておかなければ。

 突然、ヴァーノン・リーの本を買ひたくなって、Amazon.co.jpに、
○Vernon Lee The Virgin of the Seven Daggers: Excursions into Fantasy (Penguin Classics, 2008/10) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
を註文した。しかし、考へてみれば、2002年にAsh-Tree Pressから刊行されたHauntings [Amazon.co.jp, Ash-Tree Press]を持ってゐるのだから、今更この本を註文する必要もなかったのではないか。一体私は何をしてゐるのだ。引っ越し前に荷物を少しでも減らしたいと思ってゐるこのときに。


11月5日(木)

 William Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら出勤。面白くなってきた。これなら最後まで読み終へられさう。

 仕事の帰りに池袋東武の旭屋書店に寄り、恥づかしい本を買ってしまった。
●岩崎純一『音に色が見える世界』(720円+税/PHP新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●勝間和代『目立つ力』(740円+税/小学館101新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
の二冊を買ったのだが、恥づかしいのはもちろん共感覚の本ではなく、勝間和代である。私はこの人の本があまり好きではない。本当に懸命に生きないと許されないやうな感じになってくるからだ。しかも今回は「インターネットで人生を変える方法」などといふ副題の本である。インターネットで人生が変はってたまるか。インターネットで「目立つ」ことは立体名刺である。さうやって自分の評価を高め、評判を広め、人と繋がっていけば新しい人生が開けるといふ訳だ。本当かね。そのためにはまづブログでも書けといふ。漫然と書くだけでなく、コンセプト、目的、内容を決め、読者を想定し、差別化を考へよといふ。これは別に目新しい考へ方ではなく、インターネット関連の本ではいつも云はれることだ。さうやって努力しても、駄目な人は駄目である。99%くらゐの人が駄目だと思ふ。その人にしか書けない内容を、読者に訴へる文章で書ける人なんて、なかなかゐない。さういふ人がゐたならば、こんな本を読まなくても何れは目立つやうになり、評価されるやうになると思ふのだ。

 私は10年この日記を書いてゐるが、読者数はそんなに増えないし、仕事をもらったことはほとんどないし(全然ない訳でもない)、人との繋がりは一向に増えない。人との出合ひが嫌ひなのだから仕方がないのだが。RSSリーダでこの日記を購読するとタイトルが表示されるが、この本によればタイトルは大事なんださうだ。タイトルだけで内容が判るものでないと、読んでもらへないのだといふ。私は内容を全く想像できないタイトルを毎日何かの本から引用してゐるから、何の役にも立たないタイトルである。また、歴史的仮名遣ひを使用することにより、検索サイトの解析と表示に不便になるやうに心がけてみた。コメントを付けられるやうにせず、読者との交流が生まれないやうにしてゐる。どれもこれも、本書で勧められてゐることと正反対である。ただの偏屈な書痴である。アフィリエイトは儲かるものではないといふところは、本書と私で意見の一致するところだ。それでも、載せた方がいいといふところも。

 ブログなんかで人生が変はってたまるものか。その人は、その人の能力と努力で人生が変はったに違ひない。ブログで変はったのではないのだ。

 私は変はらない。さう毎日心がけてゐる。偏屈になるとはさういふことに違ひない。


11月4日(水)

『書痴半代記』読了。序文を書いてゐるのが城左門で、本文中に城左門は城昌幸のことだと書いてあったのでおやと思ったのだが、後書きに城昌幸に序文を書いてもらったと明記してゐた。あまり私は馴染みがない作家なのでだからどうといふ感動もないのだが、「若さま侍捕物手帖」の城昌幸だ。多分私は『怪奇の創造』しか持ってゐないのではなからうか。1982年に有楽出版社から出たものか。他にはアンソロジーに短篇が収録されてゐるだらう。有名な「若さま侍捕物手帖」は一冊も持ってゐない。

 朝、目が覚めて時計を見て驚愕する。普段ならもう家を出て歩いてゐる時間である。昨夜は遅くなったといふことと、寒くなって前よりも快適に眠れるやうになってきたからであらう。慌てて起きて朝食を食べ、出勤。仕事自体は二時間くらゐ遅れても平気なのだが、少し遅い時間の電車だと本を読みにくくなるのだ。だから、今朝はあまり本が読めなかった。行き帰りの電車の中で本が読めなかったら、何のために出勤してゐるか判らないではないか。

 紀伊國屋書店から、菊池理夫・菊池邦子『基礎からわかる間取りの読み方描き方教室』(2000円+税/週刊住宅新聞社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]とニール・ゲイマン『壊れやすいもの』(金原瑞人・野沢佳織訳/2800円+税/角川書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。『間取り』の本は、住宅に関する一般的な話がほとんどで、ごく真っ当な内容ではあるのだが、間取り図に関するマニアックな変な本を期待してゐた私は少々がっかりしたのだった。

 職場でUbuntu8.10で使用してゐるPCに9.10を新規インストールしたら、ファイルのバックアップをとっておいたハードディスクが認識できなくなってしまった。何度かやってゐるうちに認識・マウントがなされるやうになったのだが、中に見えるのは今日コピーしたファイルではなく、なぜか二年前のバックアップのみ。二年分の記憶が消えてしまった。本当に何もできない。この大きな欠落は無視できない。本当に頭の一部を奪はれたやうな感じがする。どうしようもなくなって帰宅したものの、絶望的な夜を迎へてゐるところである。


11月3日(火)

 歩いても汗をかかないくらゐ寒くなったので、今日は外出することにした。西新宿にあるTOTOのショールームである。主に浴室の改装に関する相談に行く。リフォーム業者とはある程度打ち合はせずみだが、材質や色はショールームで自分の目で見てきた方がいいと云はれたのだ。云ふことは尤もだと思ったので出かけたのだが、浴室のことなどあまり考へたことがないので気分は重い。書庫のことなら年中考へてゐるのだが。

 出かけるときに悩んだのが行き帰りの電車の中で読む本である。今日は荷物を持たずに出かけたかったので、上着のポケットに入る文庫本がいい。しかも、あまり厚くないものが望ましい。書棚を見てもまだ読んでゐない本が近くにはなかった。この頃、本をよく読んでゐるのだらうか。ふと、岩佐東一郎『書痴半代記』(ウェッジ文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を買っただけでまだ読んでゐなかったことを思ひだした。これにしてみようと心に決めて、西新宿に向かったのである。面白い。これは面白い。本が好きな人の文章は大抵面白いが、昔の書痴の語りには現代人とはまた違ふ味はひがあるといふものである。40ページくらゐ残った中途半端な状態になってしまってゐるが、残りは明日の楽しみにとっておかう。

 浴室や厨房の話をした後に、ビックカメラで冷暖房機、照明、冷蔵庫など見る。人が生きて行くにはいろいろなものが必要なのだとよく判った。しかし、金がかかってしかたがない。
 それにしても、何とかイオンの類の胡散臭い商品が如何に多いことか。どれだけ騙されれば気が済むのだと云ひたいくらゐである。同時に、イオン抜きで機種を探せば安くて効率的なものが見つけられさうな感じがしてきた。
 書棚を選んだりできるのはまだまだ先である。


11月2日(月)

 アーサー・C・クラーク『メデューサとの出会い』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]で思ひ出したことを記すのを忘れてゐた。エッセイ「五感以上」の中で、蝙蝠の「音響定位」の話が出てきた。蝙蝠の話の後、人間も実は音で物の位置を推定してゐることを、暴風雨の音の中で卓球をしたら球の位置を捕へづらくて試合にならなかったと書いてあった。耳の聞こえる普通の人も比較的簡単にこの音響定位の能力を身につけられるらしいのだ。今年七月のナショナルジオツラフィックの記事「反響定位、人間でも訓練で可能に」を読むと、十人の学生を使って実験したところ、数日のトレーニングで舌打ち音を使って効果的に歩行の障害になる物体を感知できたといふ。私も練習してみようかと思ったのだが、まづは連続的に安定した舌打ち音を出す練習をしなければならないことが判って嫌になった。

 今年のWorld Fantasy Awardが発表された(worldfantasy.org)。ジェフリイ・フォードが長篇部門The Shadow Year [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]と短篇集部門The Drowned Life [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]の二つも受賞してゐるではないか。私は両方とも持ってゐるのに、どちらも読んでゐない。The Shadow Yearの方は途中まで読んだのだが、いつの間にかやめてしまった。短篇版の方は読んでゐるのだが。短篇集は読むつもりだったのに、いつの間にかどこかへ。引っ越したあと姿を見てゐない。見つけ出して読みたいのだが、またもうすぐ引っ越しだから難しいところだ。せっかくかうやって久しぶりに賞を取った、しかも二部門もとったのだから、短篇集を一つ日本で出せないものだらうか。

 受賞作品リストを見てゐたら、今年はファンタジイの年間傑作アンソロジーを註文してゐないことに気がついた。いくつか買っておいた方がいいだらう。もうすぐ引っ越しだけど。といふことで、紀伊國屋書店に以下の本を註文。
Fantasy: The Best of the Year, 2009 Edition (Prime Books, 2009/9/30) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
The Year's Best Science Fiction and Fantasy, 2009 (Prime Books, 2009/11) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
○Jonathan Strahan The Best Science Fiction and Fantasy of the Year (Nightshade Book, 2009/03) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
以上三冊。3月に出たStrahan編のを前に買ってゐなければいいのだが。表紙に見覚えがないし、三月は引っ越し作業中だから洋書は註文してゐないはづなのだが。自分の日記を検索してみたところ、昨年と一昨年には註文してゐるが、三巻目となる今年の三月には註文してゐなかったやうだ。かうやって買ふだけでなく、ちゃんと読まなければ。本を買ふたびに反省してゐる。


11月1日(日)

 年末の改装工事と引っ越しに備へ、昨日から間取り作成アプリケーションの使い方などを調べてゐたのだが、気がつくと部屋の間取りと内装、家具の配置などに没頭してゐた。本が全然読めなかったではないか。しかし、本を効率的に収納するためにも必要な作業である。昨日と今日調べた限りでは、Floorplannerが使ひやすくて便利に思へた。

 熱中すると本を買ってしまふのが悪い癖だ。「間取りとはそもそも何なのか」を真剣に考へてゐるうちに、気がつくと紀伊國屋書店に本を註文してゐた。
●菊池理夫・菊池邦子『基礎からわかる間取りの読み方描き方教室』(2000円+税/週刊住宅新聞社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ニール・ゲイマン『壊れやすいもの』(金原瑞人・野沢佳織訳/2800円+税/角川書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。間取りの本とニール・ゲイマンである。こんな本を買ふこともないんぢゃないかと自分でも思ふものの、今は頭の中は部屋の図面でいっぱいなのだ。


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