2月28日(土)

 紀伊國屋書店に、
●ピアズ・アンソニイ『女悪魔の任務』(山田順子訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
●カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』(浅倉久志訳/760円+税/ハヤカワ文庫SF)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
●チャールズ・ストロス『アッチェレランド』(酒井昭伸訳/2300円+税/早川書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
●若島正編『モーフィー時計の午前零時』(2800円+税/国書刊行会)[Amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店]
●浅暮三文『ポルトガルの四月』(1800円+税/早川書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
●ピーター・アトキンス『万物を駆動する四つの法則』(斉藤隆央訳/1800円+税/早川書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
を註文。チェス小説アンソロジー『モーフィー時計の午前零時』にはSF/ファンタジイ作家の作品がいくつも収録されてゐるから楽しみである。チェスのことはよく知らないけれど。浅暮三文『ポルトガルの四月』は「目覚めると男は記憶を失っていた。そばには炎上するバスと見慣れない少年。少年とともに、くさい食べ物を求めてヨーロッパをさまよいながら、男は徐々に自分の過去と犯罪を思い出してゆく…。奇妙な味のクライムノヴェル。」といふ内容らしいので購入。全然説明になってゐないけれど。ストロスももちろん期待してゐる。

 今回も本は埼玉の家に届くことになってゐるので、手に取るのは三月第4週になるはづだ。

 本とは関係のない話なのだが、実はこの歳になるまで歩行者が歩行者用信号に常に従はなければならないとは知らなかった。あれは、人や車が多いときにどちらが先に動いたらいいか判らなくならないやうに設置されてゐるもので、全然車が通ってゐないときには気にせず道を渡っていいものだと思ひ込んでゐたのである。今日、車が来てゐないことを確認して道を渡ったら、信号待ちをしてゐた車の中の警察官に拡声器で「歩行者は信号を守りなさい!」と厳しく注意されて驚いたのだった。私はそんなに厳しく注意されなければならないやうなことをしたのか。さっそく家に帰ってから調べてみると、確かに道路交通法第7条に「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない。」と定められてゐた。さらに、第121条に「次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。」として、「は第7条(信号機の信号等に従う義務)若しくは第8条(通行の禁止等)第1項の規定に違反した歩行者」といふ項があるのだ。全然知らなかった。今日は勉強になった。これからは、警察官の近くでは信号を守ることにしよう。でも、目の前に書店でもあったら、ついふらふらと信号を無視してしまひさうだ。

 引越しの日を間違へたせゐで、インターネット接続は明日で切れてしまふ。どうしたらいいのだ。


2月27日(金)

 引越しと頭痛などで二日休んでしまった。結局、本の箱は一箱も開けられず、自宅サーバの設置もできず、虚しく福岡へ戻る。それにしても9インチの液晶画面は小さい。この小さいキーボードも甚だ使ひにくい。

 NTT東日本のフレッツ光の工事も終はり、インターネットに接続できるやうになった。が、勘違ひしてゐたのだが、実家は既にADSL回線を導入してゐたのだった。わざわざ金をかけてこんな工事をするまでもなかったのかも知れない。しかも、そのADSLの導入時に申し込みやルータの接続などすべての手配を私がやったらしいのだ。全然覚えてゐなかった。最初は惚けた両親が悪いADSL売り込みに騙されたのかと思ったのだが、惚けてゐたのは私だった。やれやれ。

 Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]を読みながら福岡へ。読みやすい文章なのですらすら読める……はづなのに、まだ60ページまでしか進んでゐないのはなぜなんだ。本の修復の師匠が殺されて自分が容疑者にされてしまった主人公といふ出だしである。もっと速く読まなければ。

 福岡に戻るとSFマガジン4月号が届いてゐた。特集は「ベストSF2008」上位作家競作。岸祐介、ロバート・チャールズ・ウィルスン、高野史緒、小川一水、ジョン・スラデック。


2月24日(火)

 引越しのために埼玉へ向かふ。Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]を手に取って出かける。飛行機の中では眠くてあまり読めない。夕方家に着いて、荷物の移動などして搬入の準備。明日はNTTのフレッツ光の工事も。

 ネットのつながる部屋はあまりにも寒いので今日はこれで。明日からは暖かい部屋で接続できるはづ。自宅サーバも復活できるはづ。


2月23日(月)

 今日は引越し、荷物を送り出す日。本が多すぎ、重すぎ、机がどうしてもトラックに乗らなかった。トラックを変更して出発するといふ。重い箱を部屋の天井まで積み上げてゐるので驚かれる。

 その後、J:COMのインターネット接続の確認、Willcomの機種変更など行ふ。私の苦手な仕事が多く、疲れたので、早めに寝る。

 早川書房から、テリー・グッドカインド『魔宮の凶鳥3 警告の砂時計』(佐田千織訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)をいただきました。ありがたうございました。


2月22日(日)

 今日も引っ越し準備。到底終はりさうにない。まあ、引っ越し準備は大抵さういふもののやうだけど。このあとPowerMac G5とCelsius 300 (Ubuntu 8.10) を落として接続を外して移動の準備をする。自宅サーバ(Ubuntuの方)を止めるのは数年ぶり。尤も、自宅サーバは二週間ほど前から外部からの接続はなくなってゐるけれども。

 日にちを間違へて申し込んだNTT西日本の工事は延期が認められて大丈夫だったのだけど、Yahoo!BBの方は間に合はなかった。といふことで、二週間ほどインターネットに接続できなくなってしまふことになる。何とかして代替手段を確保しなければ。

 明日は朝から引っ越し業者が入って作業。きっと本なんか読めないだらう。


2月21日(土)

 一日中引っ越しの準備。電話もインターネットの契約も準備万端と思ってゐたら、引っ越しの日にちを間違へてゐたことが判明し愕然とする。埼玉への引っ越しは月曜日なのだが、福岡市内の引っ越しは来月だったのだ。両方月曜日だと思って準備を進めてゐた。これは困った。


2月20日(金)

 Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]を手に取って出勤。遅々として進まない。

 今日は職場の荷物を宅配便で発送。段ボール箱3箱。少ない。

 Amazon SimpleDBから開発者向けメールが届いて、"With Select Count, developers may now count the number of items that meet the condition(s) specified by the predicate(s) in a query."と書いてあった。これはちょっと便利になるかも。かういふことは別館の方に書いてゐたのだが、今は引っ越し作業で休止中なのだ。

 今月は25日頃、買ひたい本がいろいろ出る。でも、ちゃうど引っ越しの日なのだ。引っ越しの混乱に紛れて、忘れてしまったりしたらどうしようと心配で夜も眠れない今日この頃である。

 来週水曜日に引っ越し後の部屋のネット環境が整備できたら、サーバを自宅に戻さうかと考へてゐる。戻すときのことはあまり考へてゐなかったので、些か不安である。データベースの差を取って移行させたりしなければならない。またその頃、繋がりにくくなったり、情報が少し混乱したりすることもあるかも知れない。

 引っ越しといへば、水苔と食虫植物が心配である。いや、こんなことばかり考へてゐても仕方がないからもう寝よう。


2月19日(木)

 Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]を手に取って出勤。古書の保存や修復をする人(女)が主人公。まだほんの冒頭部分。これからきっと殺人が起こるんだらう。

 紀伊國屋書店に、
●シャンナ・スウェンドソン『コブの怪しい魔法使い』(今泉敦子訳/1080円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●城田真琴『クラウドの衝撃』(1500円+税/東洋経済新報社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●谷崎由依『舞い落ちる村』(1333円+税/文藝春秋)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●野村恒彦『神戸70s青春古書街図』(1200円+税/神戸新聞総合出版センター)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。
 創元推理文庫のは《(株)魔法製作所》の第四弾。クラウドコンピューティングの本はがっかりしないだらうかと些か不安を感じながらの註文。70年代の古本屋の話は、「路地の向こうに、古本の匂いのする街があった。学生時代、アガサ・クリスティと横溝正史に夢中になって始めた神戸の古本屋巡り。探偵小説に取り憑かれた古書渉猟人が、サイケで熱かった頃の神戸を巡るミステリー・ツアー。」といふものらしいので、ちょっと楽しさう。

 本は註文したものの、このままでは本が届く頃にはもうここにはゐないので、送付先は転居後の住所にしておく。しかし、引っ越し作業を終へたら一旦福岡に戻ってくるので、多分すぐには読めないのだ。


2月18日(水)

『プルーストとイカ 』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。読んでよかった。文字、そして本を読むといふ行為に関わる脳の領域は、元来識字のための領域ではなかったために速く滑らかに文章を読んだり書いたりすることは相当な訓練を要求する技であること、言語形態の種類によって脳の活性化する領域が異なることなどがよく判るとともに、ディスレクシアについていろいろと知識を得た(今までほとんど知らなかったから)。言語によって脳の活性化される領域が異なるなら、使用しながら育ってきた言語によって世界認識がそれなりに異なってゐても当然ではないかと思ふ。サピア=ウォーフの仮説はあまり流行らない考へ方になってゐたやうだが、私は無視できないくらゐの影響があるのではないかと密かに思ってゐる。検証するのは私には無理だけど。

 本の箱詰めがほとんど終はる。92箱。予想よりもかなり少ない。疲れた。とにかく疲れた。明日から普通の荷物の荷造りに取りかからう。


2月17日(火)

 今日も『プルーストとイカ 』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。素晴らしい本で、「読む」ことが好きな人にとっては必読書である。しかし、私はちょっと飽きてきた。今日はディスレクシアの人の空間認識の話など。

 Amazon.co.jpから、『OpenVPNで構築する超簡単VPN入門』(2000円+税/ラトルズ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と、日経Linux 2009年3月号(1490円/日経BP出版センター)が届く。どうもOpenVPNでは私のやりたいことができなかったやうなのだ。がっかり。それにしても、雑誌と云ふのは買ふ前は本当に素敵な内容に満ちあふれてゐるやうに見えるのに、手元に届くと何か色あせてしまったやうに思へるのはなぜだらう。いや、この号にそんなに落胆した訳ではないのだが。

 昨日、Amazon.co.jpから、David W. Ussery, et al. Computing for Comparative Microbial Genomics (Springer-Verlag, 1/2009) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届いたことを書くのを忘れてゐた。バクテリアゲノムを色とりどりの輪で描いてゐる図は実に美しい。細かいことはよく判らない。もう引っ越し用の箱に入れて封をしてしまったから。

 今日は82箱目まで。やはり90くらゐで終了か。

 大嫌ひな電話でのやりとりをしなければならない用事が今日は二件。NTT西日本がフレッツ光はいつ利用できるか判らないといふ。建物は利用可能なものと指定されてゐるのに、内部の工事がまったくなされてゐない状態だからだといふのだ。私には理解できない状況なので、とりあへずフレッツ光は取りやめにして、J:COMにインターネットで申し込むとすぐに確認の電話がかかってくる。電話だけでも嫌なのに明日は自宅まで書類を持ってくるといふ。そこで書き込んで契約となり工事日程の打合せだとか。人と話すのは苦手なのだ。でも、インターネットが使へないと困るので我慢する。J:COMはケーブルTVの会社だから、ケーブルTVも勧められたが、我が家には数年前からテレビ受像器がないのだと答へると、ぢゃあまた観たくなったら思ひ出してくれといって話は終はる。この頃はどの会社もしつこく勧めることがないので、ちょっと物足りないくらゐだ。頼みもしないのに掛かってくる電話はしつこいけど。節税対策のマンション購入とか。


2月16日(月)

 ダンセイニの解説原稿は昨夜送信。ほっとして本を箱に詰め始めるが、なかなか進まない。今日は78箱まで。何となく、百箱にもならないのではないかといふ予感がしてきた。88箱くらゐで終はるかも。

『プルーストとイカ 』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む時間も足りない。あと少しなのだが。ディスレクシアの話を読んでゐると、果たして自分はちゃんと言葉を読んでゐるだらうかといふ不安に襲はれる。ディスレクシアではないだらうが、本当に文章を理解してゐるのかといふことは、自分では測り難いので判断が困難である。言葉を読み上げることができたからといって、内容を理解したことにはなりはしない。自分は何をどこまで読んでゐるのだらうかと常に疑ひながら、毎日本を読んでゐる。疑ひながらも、読むのを止めることはできないからだ。


2月15日(日)

 引っ越し準備をしながら、ダンセイニの解説原稿を書く。なかなか難しい。昼頃から胃が痛くなってくる。

 私は電話が大嫌ひなのだが、今日はADSLのプロバイダに解約の電話をかけなければならなかった。申し込みは簡単にオンラインでできるのに、解約は電話で解約申込書を送ってもらふやうに頼んでから、その書類を送ってやうやく手続きが進むのである。私だって解約したくて解約するのではないのだ。転居先ではそのプロバイダが利用できないからやむなく変更するのだ。

 紀伊國屋書店から、Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]が届く。主人公は古書の修復に携はる女性のやうだ。読みやすさうなので、明日からこれを読んでみようか。一昨日、ジュゼップ・カンブラス『西洋製本図鑑』(市川恵里訳/6600円+税/雄松堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いたばかりなので、製本気分が漲ってゐるのだ。

 そろそろオンライン書店に本を註文するのも控へた方がいいかも知れない。一ヶ月ほど、引っ越し先の住まひも引っ越し前の住まひも中途半端な状態になりさうだからだ。


2月14日(土)

 相変はらず『プルーストとイカ 』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。自分がいつから本を読み始めたかを思ひ出さうとしたけれども、思ひ出せなかった。いつから文字が読めるやうになったのだらう。幼い頃はそんなに本を読むのが好きでもなかった。小学校の4年生くらゐだったらうか。本ばかり読むやうになったのは。学校の書棚に『宇宙戦争』があって、それで本に取り憑かれたのだったか。
 高校生の頃は本を読むのが速かった。この頃は文字の音を頭の中で発してしまったりして、読むのが極端に遅くなってゐるが、当時は音を介することなく映像が頭の中に展開してゐたものだ。そのうち、言葉が気になるやうになり、遅くなった。英語の本を読むのが遅いのは、日本語よりも読み方を確認してしまふから。解ってゐるが、なかなか音の束縛から逃れられない。もう一生無理なのかも知れない。

 Amazon.co.jpから、マヌカはちみつ500gが届く。早いではないか。これで明朝からまた蜂蜜を食べられる。もしかしたら習慣性があるのではないか、この蜂蜜は。

 Amazon.co.jpに、
『OpenVPNで構築する超簡単VPN入門』(2000円+税/ラトルズ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
と、日経Linux 2009年3月号(1490円/日経BP出版センター)を註文。VNCとかNetbook(Netbookといふ言葉を使ふと文句を云はれるらしい、堂々と表紙に書いてゐるけれども)に関心を抱き始めたので。

 Amazon EC2での運用を始めて数日になるが、どうも新刊情報自動取得スクリプトの動きが妙な具合である。全然情報を取得できないのなら動いてゐないと決められるのだが、不完全に情報を集めて来るので、どうにも納得できない。手動で動かしてやると、取りこぼしてゐたと思はれる情報を保存するのである。どういふことなのか。

 今日も引っ越し荷物の用意。本を70箱まで詰めた。まだまだ終はらない。どうしてこんなに読まない本を持ってゐるのだらう。


2月13日(金)

 多田文明『それでも会社を辞めますか?』(743円+税/アスキー新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。世の中厳しいのだ。一時の激情に駆られて仕事を辞めてはいけない。次の仕事の目処を付けてからでなければ辞職してはいけない。もう若くないのだから。そんなに役立つことがいろいろ書いてある本でもないのだが、思はず仕事を辞めてしまはうと思ったときに読むと、冷静になれるかも。私も気をつけよう。

 紀伊國屋書店から、ジュゼップ・カンブラス『西洋製本図鑑』(市川恵里訳/6600円+税/雄松堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた。何だか大きい本が届いたなと思って開けてみると、『西洋製本図鑑』だった。ページを捲ると、製本の過程の写真が次々に目に入ってくる。感動である。布装本から総革装、無線綴じの本を扱ったり糸のかがり方を解説したり、さまざまな材料でさまざまな手法で本を造ってみせてくれる。本を造りたくなってきた。今まで何冊か本を造る本を買ったのだが、かがり台の作り方が載ってゐるのはこの本だけである。道具を見ているだけで、楽しくなってくる。

 難しいのが文字の箔押しである。これには挑戦したことがない。道具もない。いちどやってみたいものだ。

 自分はものを作るのが好きなのだなと気がついた。本を造ってみようとしたこともあるし、パンを作ったり牛頬肉の赤ワイン煮を作ってみたり、こんな日記の載ってゐるサイトを作るのも、何かができあがっていくのが楽しいといふ点では同じである。今は引っ越し準備でパンを焼く暇もない。


2月12日(木)

 紀伊國屋書店から、ナギーブ・マフフーズ『シェヘラザードの憂愁』(塙治夫訳/2800円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、マッケン『白魔』(南條竹則訳/629円+税/光文社古典新訳文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ジャスティーン・ラーバレスティア『あたしのなかの魔法』(大谷真弓訳/820円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ジョー・ホールドマン『ヘミングウェイごっこ』(大森望訳/700円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、多田文明『それでも会社を辞めますか?』(743円+税/アスキー新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。『それでも会社を辞めますか?』(743円+税/アスキー新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をつい三分の一くらゐ読んでしまふ。考へてみれば、私も仕事を辞めるんだった。今週辞職願も出したのだから、間違ひない。この本に載ってゐるやうな厳しい世界ではないのでよかった。

 メアリアン・ウルフ『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? 』(小松淳子訳/インターシフト)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら、出勤。日本語、英語、中国語で、脳が活性化する領域が異なるといふのは興味深い。本当かなと思ふくらゐ表音文字の英語、表意文字の中国語、両方併用の日本語で見事すぎるほど領域の組合はせが違ってゐる。

 Amazon.co.jpに、マヌカはちみつ500gを註文。前回註文したのが去年の10月のはづだから、四ヶ月はもったといふことか。ちょっと高いけれども、年に三〜四回くらゐならいいだらう。この独特の風味といふか芳香に取り憑かれてしまった。


2月11日(水)

 サーバの調整を続けながら、引っ越し荷物の準備。crontabによる自動運転がどうもよく解らない。うまく動いてゐるのかゐないのか。よく解らなくなってゐる理由の一つに、時間がアメリカ東部時間になってしまったから。時差があっていつ動くべきなのかどうも摑めないからだ。何となく、だいたい動いてゐるやうな気がする。甚だ心許ない。

 本の箱詰めは51個まで。半分くらゐまで進んだと信じたい。とにかく疲れて、体中が痛い。手も荒れるし、本は傷むし、いいことは一つもない。いや、「こんな本を持ってゐたんだ!」といふ発見もあるから、強ち嫌なことだけでもないし、本の埃を払へるといふ利点もないわけでもない。「どうしてこんな本を買ったんだらう」といふことの方が多いのだが。

 SFマガジン編集部から『SFが読みたい! 2009年版』(700円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をいただきました。ありがたうございました。私もベストSFの投票をしてゐる。ロバート・チャールズ・ウィルスンの『時間封鎖』が今年のトップになったけれども、これは私も推した作品。昔は偏屈な投票ばかりしてゐたが、この頃はすっかり普通の人の投票になってゐる。もう若くないといふことなのでせう。


2月10日(火)

 メアリアン・ウルフ『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? 』(小松淳子訳/インターシフト)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら、出勤。もともと言語専用の機能領域が脳にあるわけではないので、言葉を理解する能力はさまざまな領域の機能を組み合はせて構築しなければならず、過酷な訓練を要するのだといふ。なるほどさうかと納得する。まだ最初の方だが面白い。

 朝五時から本を箱に詰めてみたりするが、全然捗らない。こんなことでいいのか。

 アメリカのSF情報誌Locus 2009年1月号が届く。フレデリック・ポールがまた歳を取ってしまって……。まあ、私が物心ついたころから歳を取ってゐたから仕方がないか。欲しい本の話はまた明日にでも。今日も予定外に遅くなってしまった。


2月9日(月)

 The Book Depositoryから、Conrad Bessant, Ian Shadforth, Darren Oakly Building Bioinformatics Solutions: With Perl, R and Mysql (Oxford University Press, 2/2009) [Amazon.co.jp, Amazon.co.uk, 紀伊國屋, The Book Depository]が届く。MySQLから始まって、Perl、R、Webサイトにアプリケーションを構築といふ具合に話が進んでいくのは珍しいやうな気がする。私にとってはなかなか都合のいい本である。大いに役立ちさうだが、他の人も同じやうに感じるかどうかは解らない。

 紀伊國屋書店に、
●ナギーブ・マフフーズ『シェヘラザードの憂愁』(塙治夫訳/2800円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●マッケン『白魔』(南條竹則訳/629円+税/光文社古典新訳文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ジャスティーン・ラーバレスティア『あたしのなかの魔法』(大谷真弓訳/820円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ジョー・ホールドマン『ヘミングウェイごっこ』(大森望訳/700円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●多田文明『それでも会社を辞めますか?』(743円+税/アスキー新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。アラビアンナイト関連書は好きなので、迷はず購入。アスキー新書は、私は別に会社を辞めやうと思ってゐるのではないかれども、世の中の厳しさを知るために。引っ越しのために本を箱に詰めてゐるといふのに、本の箱がかうやって新たに届くのだ。

 サイトの移行は終はったやうで全然終はってゐない。自動収集用スクリプトの設置がなかなか進まない。といふのは、どのスクリプトがどんな仕事をするのかよく解らなくなってしまってゐるからだ。中には収集箇所のサイトの構成が変はって機能不全に陥ってゐるものもある。これを機会に少しづつ整理していきたいが、そんな余裕がない。


2月8日(日)

 サーバの移行ができたやうです。おそらく現在表示されてゐるのは、Amazon EC2にあるサーバにあるものでせう。URLは変はらないので、違ひは感じられないかも知れませんが。いや、もしかしたら、今までよりも格段に速くなったりするかも知れません。私はいつもサーバ機と同じ部屋からアクセスしてゐたので解らないのですが。

 欠点は、動かしてゐると使用料金が発生することです。引っ越しが終はって落ち着いたら自宅サーバに戻す可能性大です。もしも思ひのほか料金が安かったら別ですが、そんなことはないでせう。また、いろいろな情報収集スクリプトの設定がまだできてゐません。数日は新刊情報の取得とか、書評情報の取得が遅れるかも知れませんが、ご容赦願ひます。

 ああ、移行作業に時間が掛かってしまって本を註文できなかった。

 実はサーバの移行作業だけでなく、今日は引っ越しのために本の箱詰め作業を一日やってゐたのだ。23箱詰めて、ほぼ一部屋分が終了。あと、この三倍の本を箱に詰めなければならないかと思ふと、考へただけで腰が痛くなる。やれやれ。

 解説の仕事の締切もあるといふのに。


2月7日(土)

 門倉貴史『貧困ビジネス』(740円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。後半は、性産業の話には疎いので知らないことばかりだったが、その他の部分は他の本で読んだことのある内容が多く、些か物足りないとはいへ、全体として見れば、現状を解りやすくまとめてゐると思ふ。

 引っ越し作業を少しやって嫌になる。

 その引っ越しに関連して、お知らせです。引っ越しの間も本サイトを中断することなく運営するために、Amazon EC2への移行作業に着手しました。うまくいけば数日中に完了すると思ひますが、難航する可能性もあります。うまく行っても、自宅サーバからの切り替へ時に、繋がりにくい状態になる可能性もあります。見られなくてもそんなに損をするサイトではありませんから、気長に待ってみてください。


2月6日(金)

 恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』(1400円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋, Yahoo! Books]読了。かういふ恩田陸はちょっと苦手。歳を取ってから高校、大学時代を思ひ出すといふ設定が苦手なのか。高校生が主人公の作品は大丈夫なのだが。それは私自身が昔を思ひ出したくないからだらうか。目立った事件も起こらない。何だか解らないうちに終はってしまった……

 門倉貴史『貧困ビジネス』(740円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を少し読み進める。サブプライムローンの話から、人身売買、臓器売買の話へと進んで行く。が、眠気に堪へられなくなってきたので、もう寝なければ。

 引っ越しの備へ、フレッツ光ネクストを申し込んだり、コレガ CGBARFX3VQ超高速有線ルータを註文したり。


2月5日(木)

 恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』(1400円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋, Yahoo! Books]を手に取って出勤。三分の一くらゐまで進む。大学生の話。冒頭に大学生時代に戻りたいと云ひ合ふ中年男たちの話題が出てくるが、私は決して戻りたくはない。子供の頃はもっと嫌だ。過去に戻るなんて恐怖以外の何ものでもない。過去から逃れるためにこんなに毎日懸命なのに、敢て戻るなんてとんでもない。

 紀伊國屋書店から、アルジャナン・ブラックウッド『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(植松靖夫訳/1160円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、門倉貴史『貧困ビジネス』(740円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、金原瑞人『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(540円+税/ポプラ文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた……と思ったら、カレー屋になるはづだった本が文庫本ではない。変だなと思ったら、ポプラ文庫ではなく、2005年に牧野出版から出た方[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を買ってしまったやうだ。安くて場所をとらない文庫版が出たから註文したのに。これなら四年前に買っておけばよかった。

 門倉貴史『貧困ビジネス』(740円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を少し読む。アメリカの貧困ビジネスのことを書いた本は何冊か読んだが、日本のことを詳しく書いた本はまだ読んだことがなかった。アメリカのサブプライムローンも貧困ビジネスだし、さまざまな貧困ビジネスの頂点に立つのが軍隊であるといふのが私の認識である。偽装請負の話などは知ってゐたが、「ゼロゼロ物件」が貧困ビジネスだとは今まで知らなかった。アルバニアがネズミ講で破綻したといふのも初耳である。これはちょっと調べてみようと思ったところで、もう寝る時間だ。


2月4日(水)

 下條信輔『サブリミナル・インパクト』(900円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋, Yahoo! Books]読了。「情動の政治」の章で、潜在意識に働きかける力には、「知ってゐる」だけでは対抗できないかも知れないと思ひ知らされる。それだけでは足りないのか。潜在意識には潜在意識で対抗なんて書いてあるけれども、(本書にも書いてあるやうに)いつも成功するとは限らない。集団とすればどうしようもないやうだが、少なくとも自分は何をされたのか気づいてゐたい。
 この章で、ハンバーガーのマクドナルドのことを「マクド」といふ省略形で呼んでゐる。著者は関西出身の人かと思って略歴を確認したら、東京生まれ東京育ちのやうだ。珍しい。カリフォルニア工科大学では、「マクド」といふのだらうか。

 今日引っ越しの見積もりで、本の量が100箱と評価された。ちょっと少ないのではないか。前の引っ越しでも70箱あったのだから。一段に二重三重に並べてゐることに気づいてゐないのか。本棚には遮光カーテンが掛けてあるから、気づかなかったのかも。

 紀伊國屋書店に、
○Kate Carlisle Homicide in Hardcover (Signet, Feb 2009) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
を註文。愛書家ミステリだと思ふけれども、もしかしたら違ふかも知れない。どうやら、新人のデビュー作。シリーズ作品の第一巻らしい。YouTubeに作品紹介動画があった。さういふ時代なのか。


2月3日(火)

 下條信輔『サブリミナル・インパクト』(900円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋, Yahoo! Books]を手に取って出勤。半分を少し越えたところである。反復と変化がもたらす快感、現代の光や音といった刺激の増大、活動速度の増大といふのはこれまでもいろいろな本で読んできたやうな気がするが、「脳内を活性化するものこそ最もリアル」だとする現代社会の特徴の指摘は私には新鮮だった。

 本といふものは、光や音の刺激が極めて少ない。もちろん、視覚から情報を得てゐるのだが、動かない活字である。自ら読み取って行かなければならない。TVや映画、あるいはゲームのやうな、大量の光(映像)と音の洪水に比べると何と穏やかなのだらう。それでも、私の脳内ではそれに匹敵する刺激が発生してゐるのだ。それに、現代社会の特徴である速度の増加傾向は他の媒体と変はらず、速く読める本が歓迎される。私も毎日、もっと速くもっと速くと本を読み続ける。もう少し、ゆっくり読んでもよささうなものだが、なかなかそれができない。もっと速く、もっと速くと、本を読む。一冊が終はれば、もう一冊、そしてもう一冊。読むのを止めたら死んでしまふのではないかという強迫観念に追はれてゐるかのやうに。


2月2日(月)

 下條信輔『サブリミナル・インパクト』(900円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋, Yahoo! Books]を手に取って出勤。まだ第一章が終はったばかり。

 今日は自分の話題がないので、普段あまり書くことのない作家の死去の情報など。イタリアのSF作家リーノ・アルダーニがなくなったさうである。ハヤカワSFシリーズ『第四次元』があるが、もう40年近くも前に出た本である。所謂「銀背」と呼ばれた叢書である。持ってゐたと思ふが手元にはない。『異邦からの眺め』に「おやすみ、ソフィア」が収録されてゐる。申し訳ないが、全然作品を覚えてゐない。ああ、こんなこと紹介しなければよかった。でも、日本で全然注目されてゐない作家だから、私が書かなかったら誰も書かないのではないかと思ひ、やはり意味のあることなんだらうと決めつけた。
 あ、情報源を記しておかねば。SF Scopeである。元になった記事は、イタリアの出版社のIl Blog di Uraniaのようだ。謹んで哀悼の意を表したい。

 先日からしばらく玉蜀黍のことや団栗のことが書いてある本を読んでゐた。ちょっとこの頃休んでゐるけれども。本は休んでゐても、心の中の団栗や玉蜀黍はすくすくと育ってゐたのである。私のパンに対する執着と妄想を滋養にして。さうしたら、石臼が欲しくなってきた。穀類を挽く石臼である。挽き臼には縁のない生活を送ってきたので、どこでどうやって手に入れればいいのか皆目見当もつかない。私が知ってゐる臼は、猿蟹合戦の臼だけである。芥川龍之介の「猿蟹合戦」が収録された本なら買へるが、石臼の買ひ方は判らない。何しろ、蟹は最強だからね。解る虫と書いて、蟹といふくらゐだ。でも、石臼はオンラインショップで簡単に買へることが解った。問題は価格が高いこと。固いものを細かく挽くには重くて大きい臼でなければならないらしい。何万もするのだ。大きさなどでいろいろあって、3〜10万円くらゐだらうか。どれを買ったらいいんだらう。私の頭の中は石臼でいっぱいである。だんだん重くなってきた。もう寝よう。


2月1日(日)

 今日は全然気が進まない映画 Mamma mia! を観に連れて行かれた。私はこの舞台作品も観てゐないし、音楽の方にも興味がない。私が関心のある曲はバッハだけなのだ。それにしても、メリル・ストリープが歳を取ってしまって……。それはどうでもいいのだが、娘の名前がソフィとは。メリル・ストリープでソフィときたら、『ソフィーの選択』といふ暗い映画を思ひ出してしまうではないか。観てゐないけど。『フランス軍中尉の女』も同じ頃だったか。観てゐないけど。『クレイマー・クレイマー』は観た。あと、92年頃の天国に行く話を観たんだが、題名が解らない。つい最近では『プラダ』を。いや、今日はメリル・ストリープの話がしたい訳ではなくて、このソフィの父親を捜したいといふ料簡が気に入らない。何が不満なんだ。私は、会ったこともなく育ててもらったこともない親を探す話は好きではないのだ。そこに自分の起源か何かがあると思ふのが気に入らない。さらに、それはどうでもいいと納得したところで、父親を探すのを止めて自分を探す旅に出てしまふのは最悪である。自分探しをする若者は苦手なのだ。一体何を期待してゐるんだ、自分なんて、いま解ってゐる以上の存在である訳がないぢゃないか。

 気を取り直してパンを焼く。

 パンを焼いたら気分も落ち着いたので、紀伊國屋書店に本を註文。
●ジュゼップ・カンブラス『西洋製本図鑑』(市川恵里訳/6600円+税/雄松堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●アルジャナン・ブラックウッド『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(植松靖夫訳/1160円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●門倉貴史『貧困ビジネス』(740円+税/幻冬舎新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●金原瑞人『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(540円+税/ポプラ文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『西洋製本図鑑』を註文してしまった。昨年末に出た本なのだが、今までずっと我慢してゐたのである。理由は高いから。でも、「西洋製本の歴史から、道具と材料、具体的な製本の工程、修復にいたるまでを、全ページフルカラー写真で詳細に図解。昨今注目される西洋製本技術に親しめる一冊。」といふ内容なのだ。これを買はずにこの先一生後悔して生きていくのがいいか、思ひ切って註文して高い本を買ってしまったと落胆するのがいいか、ちょっと考へれば後者の方が遙かに心穏やかな一生を過ごせることは明白である。私もいつ古書の修復なんかしなければならなくなるか解らないではないか。
 最後のカレー屋になるはづだった話は、四年くらゐ前に出た本の文庫化。

 ダンセイニを少し読み進める。『サブリミナル・インパクト』は読めなかった。


最新の日記に戻る