5月31日(月)

 ふと思ひ立って三省堂書店本店へと急ぎ、
●関根正雄編『旧約聖書外典 下』(1050円+税/講談社文芸文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。誰でも時には旧約聖書外典を買はねばならないこともあらう。今日の私がさうだったのである。

 Amazon.co.jpから、Robert J. Sawyer WWW: Wake (Ace) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届く。早い!

 紀伊國屋書店から、岸本佐知子訳・編『変愛小説集 〈2〉』(1900円+税/講談社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、フィリップ・K・ディック『未来医師』(佐藤龍雄訳/820円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、大西科学『さよならペンギン』(700円+税/ハヤカワ文庫JA)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Booksが届く。
 さて、明日から何を読まうか……と云ひたいところだが、読む本が溜まっていく状態が続いてゐる。この頃、読むのが遅くなったやうな気がする。気のせゐならいいのだが。


5月30日(日)

 来月ハヤカワ文庫FTから刊行される予定の作品を読む。今月中に読まなければならないのだ。今月とは今日までだと思ひ込んでゐたのだが、何と今月はあと一日残ってゐるではないか。さうか、さうだったのかと、意思の弱さが現れさうになるのであった。


5月29日(土)

 ロバート・J・ソウヤーがカナダのPrix Aurora Awardsの英語長篇部門を受賞したといふので、お祝ひに一冊註文してみた。Amazon.co.jpに。
○Robert J. Sawyer WWW: Wake (Ace) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]

 AirMac Express ベースステーション [AppleStore, Amazon.co.jp] をアップルストアに註文する。すでにAirMac ExptremeとAirMac Expressがそれぞれ一台あるのだが、二つの間の接続が頻繁に切れてしまふのである。最初はそれほどでもないと思ってゐたのだが、この頃切れてゐる時間の方が長いくらゐである。そこで中継点を増やして、無線LANを安定させようといふ考へである。室内ではどの部屋にゐても安定した無線LANに接続できなくてはならない。もちろん、将来iPadを買ったときのためだ(嘘)。いや、あながち嘘でもなく、それはiPod Touchでもいいのだが、どの部屋でも無線LANに接続できた方がいいに決まってゐる。やがて、無線LANに接続できないと、自分の蔵書にもアクセスできず、読書もできないといふ時代が来るに違ひない。それに備へなければならないのだ。


5月28日(金)

 ロイス・マクマスター・ビジョルド 『死者の短剣 遺産』(小木曽絢子訳/1300円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。次第に前の話を思ひ出してくる。湖の民の男が地の民の娘と結婚したんだった。その世界には何やら脅威が迫ってきてゐたのである。細かい背景はまだ頭に蘇ってこない。

 眠くて倒れさうなので、今月最後の本の註文を紀伊國屋書店で済ませる。
●岸本佐知子訳・編『変愛小説集 〈2〉』(1900円+税/講談社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●フィリップ・K・ディック『未来医師』(佐藤龍雄訳/820円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●大西科学『さよならペンギン』(700円+税/ハヤカワ文庫JA)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上四冊。今月はペンギンの月らしいので、二冊。次の眠気が襲ってくる前にこれを書き込まなくてはならないので、今日はこれで。


5月27日(木)

 東京創元社から、ロイス・マクマスター・ビジョルド 『死者の短剣 遺産』(小木曽絢子訳/1300円+税/創元推理文庫)をいただきました。ありがたうございました。
『死者の短剣 惑わし』に続くシリーズ第二弾である。が、第一巻の内容がさっぱり思ひ出せない。

 大塚英志『定本物語消費論』(619円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。さすがに少し古いものも収録されてゐることもあって、ビックリマンチョコレートの話は別のところでも何度か読んだことがあるやうなきがする。それでも、いろいろ興味深い。私も毎日物語を消費して生きているわけである。さういふ世代の人間でもあるから、当然なのだ。

 前にも書いたことがるやうな気がするのだが、読売新聞に「「ウチドク」 家族で読書、つながる心」といふ記事がまた載ってゐた。「親子で読書の楽しさを共有する「家読(うちどく)」」なんていふのがあるらしい。そんなのはまあ家族の勝手なのだが、「家読を推進する自治体は年々増え、現在、約70に上るという」といふところが特に気持ち悪い。個人の、そして家族の読書に自治体が介入するなんて、あまりにも不愉快である。読書は密やかな楽しみではないか。それを家族で共有するだけでもかなり恥づかしいのに、自治体に奨励されるなんて、余計なお世話である。家族で同じ本を読むのは家計には助かるからいいのだが、「読んだ本について話す」のはまた別の問題で、家族であっても、いや家族だからこそ語り合ひたくないこともあるのだ。それが読書といふものなのだ。


5月26日(水)

 風邪のため、もう一回休み。


5月25日(火)

 野間秀樹『ハングルの誕生 — 音から文字を創る』(980円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。音から創られた文字だといふことは知ってゐたが、発声器官の形から文字の形を創ってゐたとは知らなかった。これほど人工的な文字がよく普及したものだと感心する。それだけよくできてゐたといふことだらう。人工文字の試みはそれこそ無数にあるといふのに。
 文字を創るといふことは何を書くかといふことでもあり、そして文体の創出でもあることもよく判った。

 紀伊國屋書店から、ジュリアン・バーンズ『文士厨房に入る』(堤けいこ訳/2400円+税/みすず書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、穂村弘『絶叫委員会』(1400円+税/筑摩書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(1800円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、大塚英志『物語消滅論』(743円+税/角川0neテーマ21)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、大塚英志『定本物語消費論』(619円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、スティーヴン・L・ケント『共和国の戦士』(嶋田洋一訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。Amazon.co.jpから、メアリ・ルノー『アレクサンドロスと少年バゴアス 』(堀たほ子訳/2800円+税/中央公論新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。うっかり、穂村弘『絶叫委員会』(1400円+税/筑摩書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]のページを捲ってしまふ。可笑しい。あまりにも可笑しい。

 まだ咽喉が痛くて気持ち悪いので、今日はここまで。


5月24日(月)

 風邪のため、一日休み。


5月23日(日)

 危ふく篠田真由美『緑金書房午睡譚』(1600円+税/講談社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]を読み始めさうになり、我慢する。

 来月刊行予定の翻訳ファンタジイを読み進める。2002年12月のLocusを読みたくなり、書棚を漁る。奇跡的に発見。二度の引越しで順序が完全に乱れてゐたのだった。やはりきちんと年代順に並べ替へようと固く心に誓ふ。

 その関連で、Amazon.co.jpに本を註文。
●メアリ・ルノー『アレクサンドロスと少年バゴアス 』(堀たほ子訳/2800円+税/中央公論新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
一冊のみ。原題をPersian Boyといふ作品(のはづ)。読む時間はないやうな気もするが、念のため買っておく。

 雨のせゐで朝顔の植ゑ替へが予定通り進まなかった。今日は早く寝よう。


5月22日(土)

 昨日買った本の続き。この頃、立ち向かへないくらゐの眠気に襲はれるのである。今はとりあへず大丈夫だが急がなければまたあの眠気がやって来るだらう。急がなければ。
●穂村弘『絶叫委員会』(1400円+税/筑摩書房)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(1800円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●大塚英志『物語消滅論』(743円+税/角川0neテーマ21)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●大塚英志『定本物語消費論』(619円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●スティーヴン・L・ケント『共和国の戦士』(嶋田洋一訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上である。

 SFマガジン7月号[Amazon.co.jp]が届く。ありがたうございました。特集は〈柴野拓美追悼〉と〈メタルギア・ソリッド〉。来月は浅倉久志追悼。追悼が続く。

 ああ、眠気がやって来た。急がなければ。急がなければ。

 ディックの新刊でも買はうと思って三省堂書店本店に仕事帰りに寄ったのだが、一階で本を買ってしまひ、二階まで行かずに帰宅。
●ジェレミー・マーサー『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』(市川恵里訳/2600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●吉田篤弘『パロール・ジュレと紙屑の都』(2100円+税/角川書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●篠田真由美『緑金書房午睡譚』(1600円+税/講談社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
以上3冊。書店の話と言葉の話があると抗へない。オンライン書店では気付かなかった本。やはり現実の書店は怖い。


5月21日(金)

 前島賢『セカイ系とは何か』(760円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。セカイ系の変容と安定まで読んで、自分の知らないところではこんなことが起こってゐたんだと不思議な感じがした。興味は抱いたけれども、その作品群を観ようとか読まうとかは思はない。今から全体を把握するために観たり読んだりするのは大変だからでもあるし、あまり作品自体にも関心を抱けないのだ。なぜか。

 紀伊國屋書店に本を註文。
●ジュリアン・バーンズ『文士厨房に入る』(堤けいこ訳/2400円+税/みすず書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
 他五冊を購入。が、もう眠いので続きは明日。


5月20日(木)

 前島賢『セカイ系とは何か』(760円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み進める。やうやく観たことのあるアニメが登場した。『うる星やつら ビューティフルドリーマー』である。他は相変わらずさっぱり判らない。それでも読み進める。

 毎月手に取ってゐたSFマガジンの記事で何が話題になってゐたのか、今になってやうやく判ったことがいろいろある。さうか、さういふ話だったのか。

眠くてもう駄目だ。本の註文もできさうにない。


5月19日(水)

 前島賢『セカイ系とは何か』(760円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。読み始めてすぐに私はここに登場するアニメやマンガ、ライトノベルを全く観たこともないし読んだこともないことに気がついた。だから論じてゐる対象である作品群についての智識がほとんどないのだ。これは読みにくい。『新世紀エヴァンゲリオン』も『涼宮ハルヒ』も、『DEATH NOTE』も『最終兵器彼女』。『エヴァ』に先立つ作品群として言及される『機動戦士ガンダム』も『トップを狙え!』、『超時空要塞マクロス』も『少女革命ウテナ』も。『宇宙戦艦ヤマト』も私は断片的に観たことはあるものの、どういふ話なのか未だに知らない。作品のことは全然知らないが、それでも「セカイ系」とは一般的には「少女と少年の恋愛が世界の運命に直結する」「少女のみが戦い、少年は戦場から阻害されている」「社会の描写が排除されている」といった要素を持つ作品と云はれながらも、この条件に当てはまらないものが多く、結局のところ「エヴァっぽい作品」ではないかといふところから始まる本書は興味深い。知らないからこそかも知れない。

 アメリカのSF情報誌Locus五月号が届く。


5月18日(火)

 紀伊國屋書店から、レイ・ブラッドベリ『永遠の夢』(北山克彦訳/1900円+税/晶文社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、河野淳『ハプスブルクとオスマン帝国 歴史を変えた〈政治〉の発明』(1500円+税/講談社選書メチエ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、野間秀樹『ハングルの誕生 — 音から文字を創る』(980円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、前島賢『セカイ系とは何か。』(760円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 橋本治『言文一致体の誕生』(1800円+税/朝日新聞出版)[Amazon.co.jp , bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]やうやく読了。面白い。言文一致体を作るといふのは、たんに言葉遣ひをどうするかといふだけのことではなくて、何を書くかといふことでもあったといふ。文学において何をどう書くかといふ問題と関連しながら、日本文学が私小説の方向へと進んでいく。「蒲団」といふ小説があることは知ってゐたが、言文一致体との関係は考へたこともなかった。

 夕方、職場のUbuntu 9.10を10.04にアップグレード(新規インストール)した。この忙しいときにとんでもないことをしてしまったといふ恐怖に襲はれ、怖くなったままとりあへず帰宅。


5月17日(月)

 昨日の続き。過去だったら、「たり」とか「ぬ」、あるいは「り」もあるけれども、あまり人気はないやうだ。「ぬ」では、『風とともに去りぬ』は有名だが、いま話題にしてゐる小説の分野とはちょっと違ふ。翻訳小説ではあるけれど。ハヤカワ文庫FTでは『死せる魔女がゆく』で珍しく「り」が使はれてゐる。確かに「死す」に「き」は使ひにくい。『死せし魔女』になるとは思ふけど。「たり」は思ひつかない。個人の記憶と関係ない過去や継続の意味なら「試されたる王」の方がいいのではないかとふと思ったりする。本当だらうか。『護られたる者』、『海より生まれたる娘』、『選ばれたる者たち』、『虐げられたるテクラ』? これなら『護られた者』、『海より生まれた娘』、『選ばれた者たち』、『虐げられたテクラ』の方がすっきりしてゐる。「ぬ」の連体形を使ったら、『護られぬる者』、『海より生まれぬる娘』、『竜王戴冠 1 選ばれぬる者たち』、『虐げられぬるテクラ』? 変だ。ぬるぬるしてゐる。結局のところ、個人の記憶と関係なく、過去の意味を表す「たり」の代はりに安易に「き」が利用されてゐるだけなのだらう。『終わらざりつる物語』とか『終わらざりける物語』はかなり落ち着かない。
 だが、私の関心は本当は、どうして「き」が採用されたのかといふことではなく、どうして海外ファンタジイの翻訳で文語調の題名が使はれるのかといふところにある。しかも、さういふ題名は中世風の異世界を舞台にしたファンタジイに多く見られるといふところに。続きはここではなく原稿に書くことにしよう。

 Amazon.co.jpから、Biblitheken 2011 [Amazon.co.jp, Amazon.de]が届く。図書館の写真ばかり載ってゐるカレンダーである。重厚な図書館は趣があるが、そればかりでもちょっと飽きるかも。買ってはみたものの、こんな大きなカレンダーを掛けられるやうな壁は我が家にはあまりないのだ。ないことはないが、そこはカレンダーを見るやうな場所ではなかったりする。写真集だと思へば壁に掛けなくてもいいかも。
 図書館の写真を見たら、Literaturkalender 2011 Leselust: Wochen-Aufstellkalenderも欲しくなってきた。

 橋本治『言文一致体の誕生』(1800円+税/朝日新聞出版)[Amazon.co.jp , bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み進める。もしかしたら今日読み終はるのではないかと思ってゐたが、無理だった。


5月16日(日)

 今夜は「し」について考へてみたい。それはべつに私が深刻な悩みを抱へてゐて死について思ひを巡らしたとかいふことではない。「き」の連体形の「し」である。先日も書いたが「試されし王」といふ題名をみて、どうして「し」なのかと思ったわけだ。この頃多くなったやうな気がしないか、「××されし○○」といふ翻訳ファンタジイが。『海より生まれし娘』とか、『竜王戴冠 1 選ばれし者たち』、『虐げられしテクラ』、『護られし者』などである。まあ、そんなに多いって訳でもないが。形容詞で文語風なのは、『新しき神々』、『青き薔薇の魔石』などいくつか。さういへば以前、北杜夫が『白きたおやかな峰』を1966年に出したとき、その不統一をよく指摘されたさうだ。「白き」なら「たおやかなる」になるはづだし、「たおやかな」なら「白い」となるはづだと。いや、今日は「し」の話だった。
 J・R・R・トールキン『終わらざりし物語』といふ本がある。どうして「終はらざりし」なのか。「終はらざる」ではいけないのか。さういへばハヤカワ文庫FTに『ありえざる伝説』といふのがあった。あれは「ありえざりし」ではない。どうしてなのか。辞書を引けば、「過去に直接経験した事実、または過去にあったと信じられる事実を回想していう意を表す」といふ説明が得られる。が、何となくしっくりこない。過去に直接経験したことなのか。ああ、あのとき物語は終はらなかったなあといふ経験があるのだらうか。ちょっと違ふ感じがする。「過去にあったと信じられる事実を回想」? 回想してゐるのか。もう一つの意味は、「動作が完了して、その結果が存続している意を表す」のだといふ。嘗て終はらなかったことがあり、今も終はらない状態が続いてゐるといふことだらうか。これならまあ納得できる。
 では、「試されし王」はどうだらう。嘗て試されたし、今も試され続けてゐるといふのはちょっと変だと思ふ。いや、さうなのか。確かに主人公は日々試されてゐるやうだった。過去に直接体験した事実の表現ではなささうだ。私にはどうもよく判らない。前の巻の「遺されし力」は嘗て遺され今もなほ遺されてゐるといふことなのか。では、次の巻の「秘められし言葉」は、以前秘められたし、今もなほ秘められた状態が続いてゐるといふことなのだらうか。あ、もうこんな時間だ。この件はまた明日考へよう。

 紀伊國屋書店に本を註文。
●レイ・ブラッドベリ『永遠の夢』(北山克彦訳/1900円+税/晶文社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●河野淳『ハプスブルクとオスマン帝国 歴史を変えた〈政治〉の発明』(1500円+税/講談社選書メチエ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●野間秀樹『ハングルの誕生 — 音から文字を創る』(980円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●前島賢『セカイ系とは何か。』(760円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]

 とりあへず今日は寝ることにしよう。


5月15日(土)

 橋本治『言文一致体の誕生』(1800円+税/朝日新聞出版)[Amazon.co.jp , bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。まだ半分も読んでゐないのだが、実に面白い。「他にもいくつか書きたいことはあったのだが、忘れてしまったので、今日はこれで。


5月14日(金)

 明石昇二郎『グーグルに異議あり!』(集英社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。著者はずいぶん感情的になってゐるが(そもそも感情の問題といふ部分も大きいやうな気もする)著者の主張は概ね筋が通ってゐると思ふ。それでも私がGoogle Booksに勝手にスキャンされたことに不快感を感じない。それは多分、自分の全文検索への強い渇望のせゐだらう。自分では達成できない世界中の言葉を検索したいといふ欲望を、Googleはもしかしたら満たしてくれるのかも知れないと思ふと、もう何をされてもいいといふ気分になってしまふのだ。不完全でもないよりはましと思って、一言でも多く検索対象に加へたいのである。さう考へるとついGoogleの味方になってしまふ。
 著者は、アメリカの一企業が世界の書籍を勝手に集めて検索させたりさせなかったりを決めたりするのは許せないとして強い懸念を表明しているが、私はむしろ国家権力によって書籍が収集され管理される方が怖い。一企業が勝手に管理することが好ましいとは思はないが、もっと不快で恐怖を感じる事態と比べれば、その方がいいと思えるのだ。国家権力とGoogleのどちらが怖いかといふと、私にとっては間違ひなく前者である。日本も国益を考へれば国が率先して全書籍データベースを構築すべきだといふ意見もある。それは正しいのかも知れないが、それでも私は国に勝手にスキャンされて管理される方が不愉快なのだ。


5月13日(木)

明石昇二郎『グーグルに異議あり!』(集英社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。Google Booksに対して日本の著作権者の一人として異議を申し立てた顛末である。まだ全部読み終へてゐないけど。この検索にはいいところも悪いところもあるが、主に勝手にスキャンされたことに怒りを感じてゐるやうだ。私は世界の誰にスキャンされでもそんなに不満があるわけではない。
 不満ならもっと優れた書籍検索システムを構築すればいいのだと思ふ。それを利用して、Google Search、Video Search、Google News、G-mailなどを使はないやうにすればいい。皆が使はなければ、Googleは困るはづだ。さまざまなGoogleの商品を利用しておいて、Google Booksは駄目だといふのも何だか釈然としない。

 もっといろいろ書かうかと思ったが、もう眠くて仕方がないので、きょうはこれで)。


5月12日(水)

 ブランドン・サンダースン『ミストスピリット2 試されし王 』(金子司訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。やうやく面白くなってきた。赤い太陽や降ってくる灰とか。いつか植物は緑に戻るのだらうか。
「〜しないといけない」といふやうな言ひ回しが多いやうな気がする。とふと思ふと、気になってしまふ。前に小林信彦がこれは関西から入ってきた云ひ方だと書いてゐたことを思ひ出したりする。

 書いてゐるうちに何度も眠ってしまふ。今日もそろそろ寝ようか。


5月11日(火)

頭痛につき一回休み。


5月10日(月)

 ブランドン・サンダースン『ミストスピリット2 試されし王 』(金子司訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。面白くなってきたが、もう少し手短に話を進められないものかとちょっと思ふ。

 無性にセメダイン8060プロシリコーンシーラント ホワイト Sr-072 Sr-072が欲しくなり一つ註文してしまった。

 自宅サーバ復帰に伴ひ、いろいろ修正・改良しようかと思ったりするが、なかなかできるものでもない。

 昨日貼った書棚扉の壁紙、一晩経ったら落ち着いてかなりいい感じになってきてゐる。これでよかったのかも知れない。


5月9日(日)

 ブランドン・サンダースン『ミストスピリット2 試されし王 』(金子司訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら埼玉の家へ行く。登場人物や舞台背景などを思ひ出すのに少々時間がかかる。どうしてこんなに記憶力が弱いのだらう。部屋の片づけはほとんどせず、食虫植物(ハエトリソウ)を一鉢持って帰る。水苔も少し生きてゐる。

 帰宅してから朝顔の種蒔き。曜白の赤と青、西洋朝顔二種。桔梗咲きは明日にでも蒔かう。買ってくる小型の鉢の個数を間違へて桔梗咲き朝顔を蒔けなかったのだ。

 夕方届いた壁紙を半透明の書棚の扉に貼ってみる。ちょっと失敗する。半分で力尽き、これを書いて就寝。


5月8日(土)

 ナンシー・クレス『アードマン連結体』(940円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]やうやく読了。「齢の泉」が期待以上によかった。自分は甘い話が好きなのではないかとときどき思ふ。あと、執念深い話。この作品はその両方を兼備へてゐる。「マリ」ゴールド・アウトレット」は私の苦手とする種類の作品である。最後の「わが母は踊る」はよく判らない。
 多くの作品に登場する新しい技術に反発する人々は気に入らない。もちろん、それが作品の主張ではないのだが、頻繁に出てくると印象に残ることは間違ひない。私は化学と技術の進歩は人類の進歩だと信じてゐるのだ。あまりSFらしさが感じられない作品集であった。

 Amazon Web Serverから自宅サーバへの復帰作業がほぼ完了する。まだすべての動作確認ができたわけではないので、どこかうまく表示されないところもあるのかも知れない。ついでに書評情報を取得するスクリプトを修正したりする。

 数日前に註文した壁紙の宅配便配達状況が、「配達中」を表示してゐるのでずっと待ってゐたのに結局来なかった。最初からできない約束はしないように。バッハも聴かずに待ってゐたんだ、こっちは。


5月7日(金)

 この頃、本が全然読めないではないか。これは一体どういふことか。もしかしたら、これが忙しいといふ状態のことなのだらうか。私の最も嫌ひな状態である。私は暇な日々を送るために、それは大変な努力をしてきた。厳しい壁を乗り越え大きな成果が得られる道と、低きに流れ小さな成果しか得られない二つの道があるときは、必ず後者を選んできた。昔から得意げに忙しさを自慢する奴は嫌ひだった。徹夜自慢をする学生とかはその最たるものだ。私は寧ろ惰眠を貪ることを自慢したかったが、残念ながら長時間眠ると頭痛がするので、さういふわけにもいかなかった。怠惰に生きるのも難しいのである。
 将来はただ本を読む高等遊民を目指してゐたはづなのに、本を読む暇もないとは、私にとっては極めて恥づかしい状況でもある。こんなことをしてゐてはいけない。もっと怠惰に生きなくては。

 10.04にしたUbuntuは、AirMac Diskをちゃんと自動的にマウントするやうになった。これはよかった。いつの間にか自動バックアップがとれなくなってゐたのだ。これから、サーバをAmazon Web Serviceから自宅のDell PowerEdge T100に移さう。といふわけで、この週末は一時的にアクセスができなくなることもあるかも知れない。ご了承願ひたい。

 といふことで、海外SF情報や書評情報を取得するスクリプトを修正したりする。気付いたところから直すやうには心がけてゐるのだが、なかなか追ひつかない。


5月6日(木)

 ナンシー・クレス『アードマン連結体』(940円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。「アードマン連結体」と「初飛行」を読む。集合意識への参加個体候補が老人ばかりといふところは目新しいが、思い切らなかった人たちの側の視点で終はってゐるので、SF的な感動は薄い。少なくとも私にとっては。「初飛行」は懐かしさすら感じる短篇。それがいいのかも知れないが。

 この頃、電子書籍などの話で「コンテンツよりもコンテキスト(コンテクスト)」といふことを云ふ人がゐるのだけど、私はどうも釈然としなかった。やうやく気付いたのだが、釈然としないのではなく、気に入らないだけだったのだ。気に入らない理由は、コンテクストを読み取るのが苦手だといふことがあるだらう。一対一でコンテンツと向き合ふのが私には精一杯だし、そこにこそ関心があるわけだ。作り手と読み手の間でコンテクストの共有なんてことができるのか(できるのだらう)。本来コンテンツのみを共有しそこで勝負だと思ふのだが。

 三ヶ月くらゐ止まってゐたPowerEdge T100を再び動かし、Ubuntu 9.10の細々としたアップデートを済ませ、続いて10.04へのアップグレードも行う。いま実行中だが、眠いからもう寝よう。


5月5日(水)

 連休中に書棚の整理をしようと思ってゐたのだが、結局思ふやうに捗らなかった。まあ、大抵のことは思ふやうに捗らないものだが。書棚改良のための壁紙と鏡を註文したりする。書棚の扉の遮光効率があまり良くないのではないかと不安になったのだ。鏡はまた別の問題。

 毎年六月になるとDie schönsten Bibliotheken der Weltといふカレンダーが発売される。今年もそろそろ来年の分が出るかなと思って検索したら、やはり来月Die schönsten Bibliotheken der Welt 2011: Wandkalenderが出るやうである。予約註文してしまはうかなと思ひながら、検索結果を眺めてゐたら、Bibliotheken 2011 (Korsch, März 2010) [Amazon.de, Amazon.co.jp]といふのを発見した。これは新しく始まったシリーズなのか? Die schönsten Bibliotheken der Weltの方は同名の本から写真が採られてゐるやうなので、すでに知ってゐるものばかりだったら嫌だと思って実は註文してゐなかった(と思ふ)。でも、これは見たことがない写真のやうだ。買ってしまはうか……気がついたらAmazon.co.jpに註文してゐた。3018円だった。ああ、BücherWelten 2011: Wandkalender, monatlichなんていふのもあるのか。同名の本があるはづだが、そこから採った写真だらうか。どうしようか。
 かういふカレンダーや写真集を買ふと、家中図書室にしたくなって困るのだ。まあ、いいか、カレンダーなら。図書館を買ふわけではないのだから。


5月4日(火)

 今日も書棚の整理。ハヤカワ文庫SFをまとめてみようとしたが、800番台後半の集まりが悪くそこで止める。どこに行ったのだらう。サンリオSF文庫は比較的簡単に一ヶ所に集まった。まあ、冊数が少ないが。

 今日は歩数計をつけてみた。気付くのが遅れて、午前九時から四時間ほど。凡そ4千歩だったので、一時間に千歩といふことになる。多いのか少ないのかもよく判らない。いや、あまり多くないかな。いやいや、書棚の整理だけで歩くのだから、少なくもないのかも。

 Deutsch Science-Fiction-Preis 2010の候補作が発表されてゐた(SFCD)。どれも読んでゐないので、よく判らない。


5月3日(月)

 今日も書棚の整理。ハヤカワ文庫SFを並べてゐて、どうやら自分がこの文庫を買ひはじめたのは200番台だったやうだ。つまりハヤカワ文庫SFは全部で二百数十冊しかなかったといふことだ。読まうと思へば全部読める。今の若者はさう簡単にハヤカワ文庫SFを全部よむなんてことはできない。でも、私は読まなかった。当時、店頭から消えつつあったハヤカワSFシリーズ(所謂銀背)を買ひ集めてゐたりしたのである。困ったものだ。しかも暇を持て余してゐたのか、買った本に全部パラフィン紙を被せてゐた。他にすることはなかったのか!

 本棚の前を行ったり来たりしながらハヤカワ文庫SFを集めてゐたのだが、本当に疲れた。特に足が。意外に歩き回ってゐるといふことなのか。明日は歩数計を付けて歩いてみよう。


5月2日(日)

 朝から晩まで書棚の整理。本を一ページも読めず、とにかく疲れる。

 ELECOM マグネット付き7ポートUSBハブ U2H-Z7Sシリーズが届く。強力な磁石で固定できるらしいが、金属があまり好きではない私の机には金属がないので固定はできないのだ。それでもたくさんUSBケーブルを接続できるのは便利だ。スキャナー2台、プリンター、デジタルカメラ、手用トラックボール&足用マウス、キーボード、iPodTouchなどを同時に接続できる。同時に使うわけではないけど。

 明日も書棚の整理は続く予定。だが、もう飽きた。


5月1日(土)

 SFセミナー2010に参加する。数年ぶりである。最初の小川一水氏の話は作品を読んでゐないので判らない。二番目の「柴野拓美:日本SFの転換点」は興味深い。生ひ立ちが人の生き方にどれほど影響を与へるのだらうかとふと思ふ。さういふことは、別の生き方をした同一人物と比較することは絶対にできないので、永遠にはっきりしないだらうとは思ふのである。三番目の「日本SF翻訳の楽しみ」は、日本のSFをアメリカに紹介する話。新しい日本のSFがアメリカで刊行され、それなりに読まれるやうな状況になってきてゐる話は面白い。四番目の「東浩紀インタビュー:SFのイマココ」は会場を抜け出して床屋に行ったので聴いてゐない。
 数年前より知ってゐる人が少なくなってゐた。

 翻訳出版業界の不景気な話を会場の外で聞く。送った原稿の話と引き受ける原稿の話をちょっとする。インド料理を食べて帰宅。

 今日は普段よりも少し日記みたいな日記になった気がする。

 明日からは書棚の整理を再開する予定。だからきっと本は読めない。


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