10月31日(水)

 昨日は疲れて帰ってきて、いろいろ試すことがあって、気がついたら午前零時を過ぎてゐたので、日記を書かずに寝てしまった。やれやれ。

 昨日何を試したのかといふと、小さいKindleに別アカウントを登録してみたのである。こんなことをここに書いていいのかどうかは判らないのだが、その別アカウントは合衆国に住んでゐる自分である。合衆国に住んでゐると当地で出版されたKindle本の値段が日本から買うのとは違ふのである。値段が違ふのは我慢しても、日本に住む者には売らないといふ商品もある。日本のKindleストアで売ってゐればいいのだが、そうでない本が欲しいことだってある。ただでくれとか云ってゐるのではない、対価を支払ふつもりに満ちあふれてゐるのである。でも、日本にゐると売ってくれない。インターネットの世界に国境はないなんていふのは大嘘である。国境もあれば税金もある。

 どこからアクセスしてゐるかは主にIPアドレスで推測する。北米にあるサーバにログインしてアクセスすれば北米からアクセスしてゐることになると思ふ。これは別に悪いことではない。Amazon EC2とかを利用すればいいのだから。この日記もEC2にある。しかし、アメリカに住むのは難しい。引っ越せばいいのだが、日本には日本の生活がある。日本に住みながらアメリカに住むのが難しいのだ。しかし、住所欄に住所を書くことならできないわけではない。昔住んでゐた住所とか、親戚、友人が住む住所を書くことは可能だ。しかし、そこを現住所にするとクレジットカード決済のときに困ったことになりかねない。普通は問題ないが、何か問ひ合はせしなければならない状況に追ひ込まれたとき、虚偽の住所を登録してゐたりしたら、それは悪いことである。クレジットカードが使へなくなったり、アマゾン・アカウントを抹消されたりすると困る。日本での生活にも極めて悪い影響を及ぼしてしまふ。クレジットカードを使はずに買ひ物をしなければならない。それには日本に住む自分から合衆国に住む自分にギフト券を送ればいいのである。さうするとクレジットカードを登録せずに買ひ物ができる。そんなに悪いことはしてゐないはず。

 まあ、そんなこんなで遅くなった。

 昨日買った本。
The Unnaturalists (Simon & Schuster)[Amazon.co.jp, Amazon.com]
先日届いたLocusで紹介されてゐたから、ふと。

 KoboTouchはライブラリと同期できなくなったままである。初期化してしまはうか。と思って後ろの小さな穴にクリップを突っ込んでみたのだが、初期化できなかった。それでも、「ログアウト」はできて、そうするとユーザ登録をやり直すことになり、さうしたら、唯一の楽天IDによる登録者として特定されて同期ができるやうになった。購入した書籍も読めるやうになった。よかった。いろいろ助言してくれた楽天koboカスタマーケアの人から、専門家が調査するから少し待ってくれといふ聯絡が来てゐたので、専門家が調べ続けてはいけないと思って解決した旨報告しておいた。

 これで三つの電子書籍リーダーが使へるやうになったから、今までの三倍の速さで本が読めるに違ひない。きっとさうだ。さうに違ひない!

 ちょっと休んでゐたG. Willow Wilson Alif the Unseenを読みながら出勤。やうやく面白くなってきたやうな気がする。最初はネットの話かと思って、このままそんな感じだったらどうしようかといふ不安を抱へてゐたのだが、謎めいた本を受け取って動きが出てきたので大丈夫だらう。小さいKindleで読んでみた。

 これは小さいKindleといふ名前ではなくて、ただのKindleといふ名前である。今まで私が使ってゐたのは、多分Kindle Keyboardといふのだ。買った当時はただのKindleだったのだが。で、この今のただのKindleは一まはり小さいのでポケットに入りやすいのだが、別に読みやすいわけではないことが読んでみて判った。特別表示が早いとか、画面が綺麗とかいふこともなく。Kindle Paperwhiteは本当に綺麗なんだらうか。


10月29日(月)

 小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』(新潮社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]読了。膨大な蔵書と本から生まれる書物と大阪のある家族の物語だ。手記といふ形式で書かれてゐるが、本当に語り手が書いたのかどうかは実はよく判らない……といふのは読み終へると判る。判らないといふことが判る。主人公の深井家の書庫では、本と本の間から新たな本が生まれてしまふといふ。その本を深井一族は幻書と呼んでゐた。幻書は出鱈目な言葉が並んでゐることもあれば、過去の出来事を記してゐることもあれば、ときには未来の出来事を書いてゐることもあるのだ。その幻書と深井家の四代にわたる歴史が深く関り合ってゐることは後ろの方になると次第に判ってくる。最初は何だか下らない話だだらだらと続いてゐるやうな感じでそれはそれで実に心地よいのである。もうこのままでもいいとすら思へるのであるが、最後には見事に過去と現在と未来が繋がって、膨大な本にまみれて幸せな気分でページを閉じることができるのだ。こんなことを書いてゐてもさっぱり判らないだらうが、実はあまり判らせたいといふ気持ちもないのである。本が好きな人は読めばいい。本が嫌ひな人にはたぶん面白くないと思ふ。本が嫌ひな人はどんな本でも読まないだらうから、まあどうでもいいのだが。

 Amazon.comから、小さいKindleが届いた。ずいぶん早く届くものだ。アカウント設定も終はり、無料の本を一冊購入してみた。明日は有料の本も買ってみよう。クレジットカードを使はずに註文するのだ。


10月28日(日)

 小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』(新潮社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]を読み進める。あまり捗らない。この本は、あまり急がずだらだら読みたい。

 kobo Touchのライブラリの同期がうまくできなくなってしまったので、楽天koboに問い合わせたらすぐに返事が来て、アカウントの統合を行なふから二つのIDを知らせるやうにといふ内容だった。二つのアカウントを切り替へて使ふことはできないらしい。そこで、返事を出すとすぐに統合されたことは、デスクトップアプリやWebからのログインで確認できたのだが、kobo Touchのライブラリが同期されない。楽天IDで購入した本が入ってこないのだ。それについても問ひ合はせ中。

 Amazon.co.jpでKindleを扱ふやうになって急激に値上がりしたAmazon.comの日本向け価格が、少し戻ってきた。私が数週間前に買った9.99ドルの本は、昨日20ドルくらゐまで上がってゐたのだが、今日は12〜16ドルくらゐになってゐる。完全に元に戻るといいのだが。そして、英語の本の地域制限がなくなればいいのにと思ふが、これは多分なくならないだらう。

 不意にドアクローザを交換したくなり、写真を撮って、問い合わせる。

 子供の頃、蔦の絡まる赤煉瓦の家に住みたいと思ってゐた。もちろん、中には立派な図書室のある家である。大人になってみると、そんなことは到底無理であることが判ってしまったわけなのだが、先日蔦の絡まる赤煉瓦の図書館の写真を撮ったりして、蔦が欲しくてたまらなくなった。ちょっと買ってみようか……と思ひ、アイビージャパンであれこれ眺めて、品種を選んでゐる。落葉しないのがいい。
 Wikipeadiaのツタの項には「ツタの絡まる校舎」として、先日写真を撮った立教大学本館の写真が載ってゐるではないか。先日写真を撮っただけではなく、九年間通った大学なのだが。
 その本館の特設サイトなどといふものができてゐるではないか。中も何だかすっかり綺麗になって驚くばかり。私が大学生だった頃は、ぼろぼろだったのに。といっても、二年目のドイツ語の講義を受けたことがあっただけで、滅多にこの建物を使ふことはなかった。


10月27日(土)

 神保町ブックフェスティバルに行ってみた。仕事の帰りにちょっと寄ってみたのだが、人が多いのに驚く。去年も人の多さに驚いたし、一昨年も人の多さに驚いてゐるので、実はもうそんなに驚いてゐない。でも、人の多さに驚いたと書いてしまふのは、人の多さの表現として安易な言葉を選んでゐる私の怠惰な心のせゐである。

 そこで購入した本は二冊。人の多さに辟易してすぐに出てきてしまったのだ。早川書房の前には長蛇の列で、ワゴンの中を覗くのにもその列に並ばなくてはならないかった。そこは通りすぎて、本の雑誌社のワゴンを覗き込み、二冊だけ購入。現金をそれくらゐしか持ってゐなかったのである。
●大橋博之『SF挿絵画家の時代』(本の雑誌社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
『別冊本の雑誌16 古本の雑誌』(本の雑誌社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
 SF挿絵画家の本は、ページを捲るたびに懐かしさで胸が苦しくなるやうなものばかりが載ってゐる。買ってよかった。ちなみに、著者の署名入り。別冊本の雑誌は古本にまつはる話ばかりだが、かうしてみると自分は古本に対する情熱が稀薄だとつくづく思ふ。

 小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』(新潮社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]を読み進める。あまり捗らない。特別可笑しいとも思へないやうな仄かに可笑しい話がだらだらと続く。ページに文字がいっぱい詰まってゐるかんじがして心地よい。歴史的仮名遣ひが気になってしまふことを別にすれば、一言一句が楽しい本である。
 我が家の本が思ひのほか増えてしまふのもやはり本から生まれてくるからだらうか。それなら仕方がない。増えても仕方がない。

 comキンドルストアに北米からログインすれば、洋書は日本よりも安く買へるし、日本には売らないといふ地域制限のある本も買へるからいいことばかりだと思ってゐたが、よくよくみればイギリスの本は表示されない。したがって、イギリスのペーパーバックを元にしたKindle本は日本の方が安く買へたりすることもあるのだ。もちろん、koboの方が安いこともある。これからは、いろいろ値段を比較してみなくてはならない。面倒臭いことになった。


10月26日(金)

 日本中で、今までアメリカから英語のKindle本を買ってゐた人たちの怒りと戸惑ひの声があがってゐるが、そんなのはおそらくこれから日本のAmazon Kindleストアで本を買ふ人たちの数に比べれば些細な人数に違ひない。だから、そんな珍しい生き物たちが怒りの声をあげたところで、多分何も起こらない。些細な人数なのだから、その中のさらに極く僅かの人数がちょっとしたアカウントの工夫でさらに多くの洋書を買はうとしても見逃して欲しいのである。

 紀伊國屋書店から、エリザベス・シュ-エル『ノンセンスの領域』(高山宏訳/白水社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]と小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』(新潮社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]が届いた。早速『本にだって雄と雌があります』を読み始めた。

 実は、G. Willow Wilson Alif the Unseen (Grove Press)を読み始めたところだったのだ。Alifには少し待ってもらって、先に本の話を読んでしまはう。

 27インチの液晶モニターが二万円で買へることに気づき、一つ、できれば二つ、欲しくなってしまった。が、さすがに買ひものがここ数日多かったので我慢しよう。


10月25日(木)

 Mac miniを買ってしまった。ハードディスク500GBの一番安い機種。メモリは二倍の8 GBにした。今は4 GB。来週届くらしい。

 今日から日本でもKindle本が買へるやうになり、いろいろ判ってきた。日本でも英語の本は買へるが、品揃へはAmazon.comと同じではない。だから、アカウントは統合しない方がいいのだ。結局、従来のKindleをcomアカウントで、新しいPaperwhiteをjpアカウントに設定して使ふことになるだらう。そして腹立たしいのは、日本での洋書の販売価格に合わせて、本国のKindle本も日本人向けには値上げしたこと。二週間くらゐ前に9.99ドルで買った本が今は16〜20ドルになってゐる。実に腹立たしい。こんなことなら日本に進出してくれなくてよかったのに。

 そんなわけで、腹が立ったあまり、楽天koboで洋書を購入してみた。
○Jasper Fforde The Last Dragonslayer (Houghton Mifflin)
である。実は紙の本はもう持ってゐる。が、本が邪魔で途中でやめてしまったので、電子版なら読めるのではないだらうかと思ったのだ。値段は848円。楽天ポイントがなぜか千円分くらゐあったので、それを支払ひに充てた。

 これを購入すると、マイライブラリに出てくる本の名前の隣にadobe drm epubという文字があるのが判る。これをクリックすれば、Adobe Digital Editionで開けるファイルがダウンロードできる。これをKoboに転送とすればkoboに入るのだが、普通はそんな面倒臭いことはしない。同期すればいいのだから。しかし私はカナダ時代のkoboアカウントがあって、すっかりkobo Touchが混乱してどれに同期すればいいのか判らなくなり、もはや日本で買った本のライブラリと同期できなくなってしまったのだった。まあ、それはいいとして、Adobe Digital Editionから転送されたファイルはCalibreを使って他の形式に変換して保存できる。その際に、DRMも外せる。つまり、楽天koboで洋書を買って、Kindleで読むことができるのだ。これでkoboが洋書を格安で売ってゐればすべて解決なのだが、実際は値上げ後のAmazon.comのKindle価格と同じか僅かに安いだけなのだ。残念ながら。

 日本のAmazon Kindle ダイレクト・パブリッシングも始まった。私も何か出版しようか。

 Kindleについていろいろ調べてゐるうちに、あの小さなKindleが欲しいなと思へてきた。欲しい、あれが欲しい。と思ったら、気がつくと註文してゐた。Kindle, Wi-Fi, 6" E Ink Display - for international shipment である。日本への送料を含めて89ドルである。安い。できればこれは今までのとは別のアカウントで登録したい。

 ハンヌ・ライアニエミ『量子怪盗』(酒井昭伸訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]読了。ルパンを思はせる怪盗と高度な戦闘能力に漲る美少女が火星からあるものを盗むのを火星の探偵が阻止しようとする話なのだが、これが判り難い。しかし、これはじっくり理解するのを楽しむといふより、一気に勢ひに任せて登場人物たちの冒険を戸惑ひながら追ひかければいいやうな気がする。そして、それが楽しいのである。読み終へたときには四半世紀ぶりにアルセーヌ・ルパンが読みたくなってきた。


10月24日(水)

 やうやく日本で発売された Kindle Paperwhite、早速。まだ、予約註文で発送は11月20日頃だけど。Kindle Storeはまだ。明日からか。新書がこれで買へるやうになると少し楽になる。本当はその品揃へが大事なのだが、とりあへず註文したいから註文したのだ。アメリカと日本のアカウントの関係はどうなるのだろうか(Amazon.comで買ったKindle本はそのまま日本で買ったKindle Paperwhiteでは読めないのか?)とか、心配なこともあるが、まづはKindleが買へるやうになって嬉しい。

 こんな情報(「Amazon.comで購入した書籍も引き継げる」米アマゾンKindle担当者Q&A【ITpro】)もあるのだが、今後はAmazon.comで今まで通りKindle本を買へるのかとかいろいろ判らないことは多い。明日、日本のKindle Storeが開いたら少しづつ判ってくるだらう。

 紀伊國屋書店に本を註文。書店に寄る元気がない今日この頃なのだ。
●エリザベス・シュ-エル『ノンセンスの領域』(高山宏訳/白水社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
●小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』(新潮社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
資金不足で二冊だけ。

 SFマガジン12月号ご恵贈賜りました。ありがたうございました。今月の特集はThe Best of 2011。よく判らない特集名である。The Bestといったら一つのやうな気がしたのだが、5篇ほど載ってゐるので安心した。

 さういへばAppleの新製品も発表されたのだった。iPad miniは私の上着の内ポケットに入らないから買はない。尤も、iPad miniの入るポケットのある服を誂えるといふ手もあるのだが、それはそれで金がかかるので今は無理。それより、Mac miniの購入を検討中。数日中に註文しさうな予感。


10月23日(火)

 やうやく函カバー付きの『現代ドイツ幻想短篇集』が届いた。やれやれ。内側の透明のぴらぴらしたカバーが付いていなかったので、それだけ前に買ったものから持ってきてつけた。函カバーは如何にも退色しやすい色だと思ふ。

 今日は昨日よりも本格的に頭が痛くなりさうな感じなので、もう寝る。


10月22日(月)

 紀伊國屋書店から、エイモス・チュツオ-ラ『やし酒飲み』(土屋哲訳/岩波文庫)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、ジェニファ-・イ-ガン『古城ホテル』(子安亜弥訳/RHブックス+プラス)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、日経アーキテクチュア編『どこに頼む? マンション大規模修繕』(日経BP社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、『基礎から考える化学』(化学同人)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、『ライフサイエンス基礎化学』(化学同人)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]が届く。

 今日は風邪で気分が悪いので寝る。たうとう風邪をひく躰になってしまった。風邪なんかひかないと心に決めればひかないと思ってゐたのだが。まあ、実際は感染症のはずだから、さういふわけにもいかない。


10月21日(日)

 昨日の『現代ドイツ幻想短篇集』は、註文した古本屋にメールで確認して、函カバーなしだと判ったので、再度検索して、山梨県の岡本書店にまた註文。今度は通信欄に函カバーの有無を確認する言葉を書いておいた。世界幻想文学大系の古本を註文するときは、これから毎回さうしよう。しかし、当分世界幻想文学大系は見たくない。

 出身大学の図書館が新しくなり、旧館が閉館する前に写真撮影会があるといふので行ってみた。撮影会といっても、勝手に入れるやうになってゐるだけ。写真などは、別館の方に書いておいた。

 梵寿綱設計のマンション「ルポワ平喜」(南池袋)にも行ってみた。前に見に行ったことがあるところだが、前回写真を撮らなかったエントランスホールなどの様子を見てきた。これも報告を別館に。

 サリヴァンの〈ロイス&ハドリアン〉シリーズ第三巻Nyphron Risingを六割くらゐまで読む。王女が湯を沸かす場面が怖い。


10月20日(土)

 数日前に註文したG・マイリンク他『現代ドイツ幻想短編集』(国書刊行会)が届いた。何とカバーがない。確かに商品説明にカバーがあるとは書いてゐない。函と月報はあると書いてあるから嘘ではない。私がいけなかったのだ。これが800円で買へる訳がないと思ふべきだったのだ。ただちに、再度「日本の古本屋」で検索して名古屋の古本まゆに「函、函カバー・月報欠」……あ、この中黒の位置から考へれば函があって函カバーと月報が欠けているといふ意味にしか読めない。何といふことをしてしまったのか。また、函カバーなしを註文してしまったのか。やれやれ。念のため、函カバーがないといふことですかと問ひ合はせてみた。もう発送してしまったやうだが。

 紀伊國屋書店に本を註文。
●エイモス・チュツオ-ラ『やし酒飲み』(土屋哲訳/岩波文庫)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
●ジェニファ-・イ-ガン『古城ホテル』(子安亜弥訳/RHブックス+プラス)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
●日経アーキテクチュア編『どこに頼む? マンション大規模修繕』(日経BP社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
『基礎から考える化学』(化学同人)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
『ライフサイエンス基礎化学』(化学同人)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
 以上五冊。

 バッハオルガン曲を全曲ダウンロードさせてくれる気前のよい演奏家のサイトを知ったので、早速ダウンロードして聴いてゐる。James Kibbie氏のBach Organ Worksである。

 電子書籍には函カバーとかないからいいな。


10月19日(金)

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novel読了。謎の本を手がかりに不死の秘密を解き明かさうといふ秘密結社に挑む若者の話……と書くと何だかかなり雰囲気の異なる本のやうに感じられてしまふが、まあそんな感じの内容。古本屋から話が始まるところがなかなかよい。そして、最後の締めくくりの文章も若々しい感覚で好感が持てる。ただ、何となく物足りない感じもする。登場人物の一人が云ってゐた「こんなの不死ぢゃない!」といふ言葉に同意したくなるところもある。しかし、さういふところも含めて楽しめたから、これでいいのだ。

 Amazon.co.jpから、小里洋行『マンション100年化計画』(産学社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]と伊藤洋之輔『まちがいだらけの大規模修繕』(ダイヤモンド社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]が届いた。百年化計画の本は、精神論みたいな雰囲気ばかりで、あまり実質的な内容がなくがっかり。実質的な内容は、今度は会社の宣伝になってしまふのだ。まあ、最初から会社の宣伝だと思って読めば腹も立たない。いま住んでいるマンションは百年もって欲しいのだ。さうでないとちょっと困る。後者はもう少し詳しい内容なのだが、それでも自分の会社の宣伝のやうなことになってしまってゐるページも多い。これはこれで参考にしながら、さらに何冊か買ってみよう。


10月18日(木)

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novelは残り9%。今日読み終へるつもりだったのだが、間に合はなかった。

 日本の古本屋で検索して、名古屋のこもれび書房に、
●G・マイリンク他『現代ドイツ幻想短編集』(国書刊行会)
を註文。世界幻想文学大系の一冊。すぐに発送の聯絡がある。

 他にもいろいろあったやうな気がするのでが、とりあへず眠くて倒れそうなので、とりあへず寝なければ。


10月17日(水)

 紀伊國屋から豊田秀樹『因子分析入門』(東京図書)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]が届いた。『データマイニング入門』に出てきた女の先輩と男の後輩の物語はないのだった。あると邪魔だと思うのに、ないとちょっと淋しかったりするものである。

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novelは80%を超えて第三部へ。本棚を後で再現するために数千枚の写真を撮る場面がある。実は私も自分の書棚の写真を撮らうと考へた。一段に二列並べてゐる場合は、まず手前の本をどかしてから撮影しよう。もし、それができれば他のさまざま書棚の本を撮影して、できればバーコードリーダで書棚とISBNの対応をとっていければ何かと便利になるやうな気がする。

 そして、本棚の撮影。これが意外に難しい。奥の方は影になったりして暗くなるとか、パラフィン紙がかかってゐる本は書名がすぐに読めないとか、いろいろ発見した夜だった。でも、全部撮るのは大変だ。ところで私は何冊本を持ってゐるのだらう。

 ジュンク堂池袋で、
●キース・ロバーツ『パヴァーヌ』(越智道雄訳/ちくま文庫)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
を購入。

 48時間経っても何の返事も来ないAcrobatXI Proの註文についてAdobeに確認する。すると、確かに身分証明の書類は受け取り、註文は受理されて発売日を待ってゐる状態だといふ。それなら48時間以内に返事がなかったら聯絡しろなんて注意書きを入れないでほしいものだ。心配してしまったではないか。


10月16日(火)

 Canon バッテリーパック NB-6LがAmazon.co.jpから届いた。充電池が本が何冊も入る大きな箱の底にへばりついてゐた。

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novel (Farrar, Straus and Giroux)は三分の二まで進んだ。面白さを維持して順調に進んでゐる。

 来週にもMac miniの新機種が発表されるといふ噂が出た。iPad miniにはあまり関心がないが、Mac miniをそろそろ買ひたいと思ってゐるのだ。購入資金の準備をしなくては。しなくては!

 今日は疲れてゐるので、これで。


10月15日(月)

 紀伊國屋書店に
●豊田秀樹『因子分析入門』(東京図書)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
を註文。同じ作者の『データマイニング入門』も持ってゐる。統計に詳しい女の先輩と、その先輩を頼る若い男が出てきて、他愛もないことを喋るといふおまけみたいなものが付いてゐるのだが、最初はこんなの邪魔でしかないと思ってゐた。この頃はかういふ下らないものもいいではないかといふ気持ちになれるやうになった。そして、決定木の説明が判りやすかったので、これも買ってみようといふきになったのである。本当はかういふのは電子書籍で売って欲しいのだが、仕方がない、自分で買ってすぐにスキャンしてしまはう。

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novelは53%まで。謎の結社と不死の秘密みたいな感じになってきて、面白いのか陳腐なのか判らなくなってきた。が、もちろん最後まで読む。

 本棚の本を探す手間を省くために書棚の写真を撮っておくといふ方法を考へる。できれば、書棚とISBNの対応くらゐはあると検索しやすい。一段に二列以上本を並べてゐる場合は、手前と奥の両方の写真を撮らなければならない。といふより、さういふ風に複数列並べてゐるときこそ写真に撮っておいて奥の列の本も簡単に探せるやうにできるといふ利点があるわけだ。今日から少しずつ撮っていかうと思ってゐたのだが、すでにその元気はなくなってゐて、きっと何もせずに寝てしまふ。


10月14日(日)

 Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novel (Farrar, Straus and Giroux)を読み始める。24時間営業の古書店の夜中を担当した若者が主人公。天井は高くて暗くて、そこへ聳える書棚は闇の中へと消えて行くやうに感じられ、闇の原始林の如き趣だといふ。そこには一般の販売用書籍の他に、特定のメンバーに貸し出す特殊な本の棚があって、そこに収められてゐる本とそれを借りに来るメンバーたちの正体を探らうとする主人公は、Googleで働く美人プログラマとともに謎を解き明かさうとする話のやうである。今日は第一部(42%)を読み終へた。

 これが終はったら、『量子怪盗』を読みたい。


10月13日(土)

 今日は英語の本をたくさん読んでゐる人が薦める本を三冊も買ってしまった。そんなにすぐに読めないのに。でも、すぐに買はないと忘れてしまふのだから仕方がない。
○Robin Sloan Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore: A Novel (Farrar, Straus and Giroux)
○G. Willow Wilson Alif the Unseen (Grove Press)
○Ernest Cline Ready Player One: A Novel (Broadway)
以上三冊。何れもKindle本(リンク先は必ずしもKindleではない)。本屋の話から読み始める。

 仕事の帰りに三省堂書店本店に寄って、
●ハンヌ・ライアニエミ『量子怪盗』(酒井昭伸訳/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
を購入。一緒に「本の雑誌」11月号も購入。特集は「神保町で遊ぼう!」。

 デイヴィッド・アーモンド『ミナの物語』(山田順子訳/東京創元社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]をご恵贈賜りました。ありがたうございました。『肩胛骨は翼のなごり』の前日譚である。『肩胛骨は翼のなごり』は出たときに読んだのだが、よく覚えてゐない。隣の廃屋に何かがゐたといふ話だったか。

 古書山翡翠から「新建築1981年8月号」を受け取る。数日前に一度届けられたのだが、不在で持ち帰られてしまったのであった。梵寿綱設計の「倶会櫻聴院」が載ってゐる。これのカラー写真は他所にはないのである。私はこの建物をわざわざ見に行ったのだが、塀の外からなかなかうまく写真が撮れなかった。個人宅なので庭に侵入するわけにもいかないし。外国人のための賃貸住宅らしい。去年、取り壊されてしまったのではなかったか(勘違ひかも知れない)。

 Amazon.co.jpからCanon デジタルカメラ PowerShot SX260HS 光学20倍ズーム GPS機能 PSSX260HSが届く。説明書を眺めて、今のデジタルカメラはずいぶん進歩してゐるのだと驚いた。人物認証とか、ウィンクを合図に撮るとか、写真にほとんど関心がなかったから驚くことばかり。電池の予備がないと不安なので、Canon バッテリーパック NB-6LもAmazon.co.jpに註文した。


10月12日(金)

 Michael SullivanのNyphron Risingを読み進める。半分近くまで進んだだらうか。

 突然(でもないのだが)新しいデジタルカメラが欲しくなって、Amazon.co.jpにCanon デジタルカメラ PowerShot SX260HS 光学20倍ズーム GPS機能 PSSX260HSを註文した。SDカードが付いてゐないといふので、16GBのカードも一枚。今年の春の機種である。
 今見たら、昼間に註文したときに比べて値段が百円くらゐ安くなってゐるのは少々不愉快である。
 いま使ってゐるのは、四年半ほど前に買ったIXY digital 10である。SDカードはしばらくしてから1 GBのを買った。もともと、妻が欲しいと云って買ったやうなのだが、専ら私が使ってゐた。数日前に復元工事が終はった東京駅の夜の姿を撮影したときに、どうもうまく撮れないなと思ひ、新しいのが欲しくなったのである。本の写真を撮りたかった訳ではない。でも、新しいカメラで図書館の写真でも取りに行かうかと密かに企んでゐる。

 そんなわけで、flickrのアカウントも作った。別館の方に貼る画像を、元のファイルはAmazon EC2のインスタンスには置かずに、flickrに置いたものから引っ張って来ようといふ魂胆である。自宅サーバのときはディスク容量に余裕があったのだが、EC2だと保存容量をなるべく減らしたいので。そして、flickrだと写真ファイルを一枚アップロードすれば、いろいろな大きさのファイルを自動生成してくれて、それへのリンクも用意してくれるといふではないか。よく写真を撮る人には当然のことなのだらうが、私は写真には疎かったので全然知らなかったのだ。これを機会にいろいろ使ってみようかと思ってゐる。

 Adobe Acrobat XI をアカデミック価格で註文して身分を証明する書類をファックスで送ったのだが、48時間経っても何の返事もないやうな気がする。確認の聯絡とか面倒臭いなあ。このままなかったことにしてしまひさうな予感。

 机の上に置いておいたKindleが突然 Software Update を始めたのでちょっと驚いた。フォントが新しくなって読みやすくなったらしいのだが、どこが新しいのかよく判らなかった……と書いたら、ずいぶん読みやすくなりましたよといふ人もゐた。よく判らないけど、Paperwhite欲しい。


10月11日(木)

 Hannes Bok: A Life in IllustrationがAmazon.comから届いた。大きい、そして重い。モノクロの絵は、Gerry de la Ree版の画集でも見たりする機会があったが、カラーの方はそれほどでもないやうな気がする。Weird Talesの表紙はそれでもほとんど見たことのあるものばかり。それに対して単行本はあまり記憶になく、Shasta社やFantasy Pressの本の表紙は初めて見るものもあって、嬉しくなってページの間に顔を埋めたくなるものの、この本自体はそんなにいい匂ひではないのが残念。

 ブランデージの画集はいつ届くのだらう。

 先日読み終へたジョン・スコルジー『アンドロイドの夢の羊』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]だが、訳者の内田昌之氏によると、「ボツになったタイトル案のなかには、『アンドロイドの夢の羊をめぐる冒険』というのが」あったそうです。さうだったのか。その方が十倍くらゐ売れさうな感じがする。残念ながら村上春樹氏は今年のノーベル文学賞をとれなかったとはいへ。


10月10日(水)

 紀伊國屋書店から本が届いた。大森望『新編 SF翻訳講座』(河出文庫)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、N・K・ジェミシン『世界樹の影の都』(佐田千織訳/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、苅谷剛彦『グローバル化時代の大学論 2』(中公新書ラクレ)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、白取春彦『独学術』(ディスカヴァー携書)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]、ジャネット・ウィンタ-ソン『オレンジだけが果物じゃない』(岸本佐知子訳/国書刊行会)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]である。早速、すぐに読めさうなのから読んでみた。

 白取春彦『独学術』(ディスカヴァー携書)。残念ながら当たり前のことしか書いてゐなくてがっかり。本は買はなくては勉強できない(線を引く必要がある)とか、(だから)図書館の本では勉強できないとか、パソコン画面では勉強できないとか、変な思ひ込みで断言してゐることも少なくない。何かを学ぶことと習ふことは別のことで、結局は自分で学ばなくてはならないといふことは強く同意できるのだが、それだけである。そのための手段は人それぞれで、iPad画面で読んだってやる奴はやるのだと思ふ。

 今日の電子化本。
◆白取春彦『独学術』(ディスカヴァー携書)
『エクスプレス イタリア語』(白水社)
 さっき読んだ本をもうスキャンしてやった。ちょっと虚しい。どうしてこんな本を買ってしまったのか。そんな内容ではないだらうかといふ予感はあったのだ。それでも買ってしまった。ときどき、自己啓発本を買ってしまふのと同じ衝動だらうか。


10月9日(火)

 Michael SullivanのNyphron Risingを読み始めてみる。まだ十分の一くらゐ。読みやすいのは、第一巻と第二巻を日本語で読んだからだらう。三巻以降の邦訳時期が未定だと、第二巻の後書きに書いてあったので原書で読んでみようかと思ったわけだが、シリーズ作品が途中でとまってしまふのはあまりにも残念である。

 今日は疲れたので、これで。


10月8日(月)

 新宿区早稲田の古書山翡翠に「新建築1981年8月号」を註文。1050円+送料500円。この号に載ってゐる梵寿綱の記事が目当て。私が住むマンションを設計した建築家である。

 大きい書棚が欲しいと日々思ひ続けてゐるわけで、書棚関係の記事はよく眺めてゐるのだが、今日見つけたのはdezeenといふ建築関係の雑誌(?)のサイトに載ってゐたVertical Loft by Shiftといふもの。ロッテルダムにある19世紀に建てられたタウンハウスがすっかり荒廃してゐたのだが、そこを開発業者が一括で買ひあげて、中身をすっかり取り払ひ、各自が自分好みに改装して住めるやうにして販売したところだとか。そこの一つが、壁を一つ撤去して階段の側面の壁を全部書棚にしたといふ家を紹介してゐる。一階から三階までである。建築専門誌なので図面が載ってゐるところがいい。こんな階段はいいなあと思ふが、我が家は日本のマンションだから階段がないので、真似はできない。残念ながら。

 19世紀の集合住宅を改築・改装しながら使ひ続けるといふのは日本ではないだらうが、今後は百年くらゐ使ふこともあるのだらうか。日本は地震が多いといふ不利な環境であるわけだが、丁寧に管理していけば、百年くらゐ使へるのだらうか。私が住むこのマンション、築38年とかなり古い。いつまで住めるだらうかと考へてゐるうちに、マンション管理の本が欲しくなってしまひ、Amazon.co.jpに本を註文。
●小里洋行『マンション100年化計画』(産学社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
●伊藤洋之輔『まちがいだらけの大規模修繕』(ダイヤモンド社)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
の二冊。前者は104頁しかないのは些か不安である。後者は題名が気に入らないのだが、目次を見たらタイルの管理に関する記述がありさうなので、註文してみた。
 丁寧に管理して長く使わないと本を置くところがなくなってしまふ。


10月7日(日)

 J. K. RowlingのThe Casual Vacancyを30%くらゐまで読み進めたけれど、面白くないので続けるのを諦めた。イギリスの田舎町で一人の男が脳梗塞か何かで突然死んでしまうのだけど、その死が引き起こす波紋を描く内容。中でも町の議会に欠員ができてそれを巡っていろいろあるやうだが、具体的に何かが起こるところまで進んでゐないのでよく判らない。話がなかなか進まないのだ。そして登場人物が多すぎて誰が誰だか判らなくなってくる。
 BBCのインタビュー(動画あり)なども観てみた。ディケンズに似てゐるのでは? なんてインタビュアーが云ってゐるが、ローリングの返答はよく聞き取れなかった。登場人物が多すぎるとか、人物像が大袈裟で嘘っぽいとか、話がなかなか進まないとか、そういうところだろうか。ピクウィックペーパーみたいな? さういふ面白さならディケンズを読んだ方が面白いのではないだらうか。それとももう少し読み進めるとディケンズを読んでゐるときの楽しさを味はへるのだらうか。そんなにディケンズを読んでゐるわけではないから偉さうなことは云へないが。

 両親のところへ行って雑用を片づけてくる。廃棄本の山の中から何冊か救い出して持って帰ってきた。
『エクスプレス イタリア語』(白水社)
・豊田有恒編『ロマンチックSF傑作選』(集英社文庫)2冊
・豊田有恒編『ユーモアSF傑作選』(集英社文庫)
・福島正美『ロマンチスト』(ハヤカワSFシリーズ)
・アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・アガサ・クリスティ『死が最後にやってくる』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
以上だが、どうしてハヤカワSFシリーズやポケット・ミステリが捨てられようとしてゐるのだ。どうなってゐるのかよく判らない。

 この頃はなるべく街の書店で本を買はうと心がけてゐたのだが、疲れてきたので、紀伊國屋書店に本を註文。
○大森望『新編 SF翻訳講座』(河出文庫)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
○N・K・ジェミシン『世界樹の影の都』(佐田千織訳/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
○苅谷剛彦『グローバル化時代の大学論 2』(中公新書ラクレ)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
○白取春彦『独学術』(ディスカヴァー携書)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
○ジャネット・ウィンタ-ソン『オレンジだけが果物じゃない』(岸本佐知子訳/国書刊行会)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]
以上五冊。相変らず控へ目である。最後の『オレンジだけが果物じゃない』は新刊ではなく、2002年の刊行。文学の冒険も揃へたくなってきたのだ。さういへば、この叢書の『完全な真空』は持ってゐた。持ってゐないはずがないのだ。ちょっと安心したところでもう寝よう。


10月6日(土)

 ジョン・スコルジー『アンドロイドの夢の羊』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! boox]読了。大銀河連邦に数百の世界が所属する未来の話。地球とニドゥ族との間に戦争につながりかねない事件が起こる。地球にはまともにやり合って勝ち目はない。ニドゥ族は地球の「アンドロイドの夢」といふ品種の羊を要求した。が、なぜかその羊は地球上から抹殺されてしまってゐた。唯一、その羊の遺伝子を持つ個体が発見されたが何と人間の姿だった。〈進化した羊の教会〉といふ謎の宗教団体が出てきたり、反ニドゥ勢力が出てきたりで、羊探しの任務を命じられた退役軍人ハッカーは大変な目に遭ひながら羊女を連れて逃げる。『羊をめぐる冒険』か! と思ふが全然関係ない(当たり前だが)。主人公が何もせず一人で料理を作ったり読書をしてゐると羊男がやって来るなんてこともない。やれやれなんて云ったりもしない。こちらの主人公は素早く行動し必死で戦ふのだ。普通さうだけど。全編を、皮肉っぽくてわざとらしい大袈裟な台詞回しが繰り返されて面白い。こんな会話を楽しめる読者には嬉しいユーモアSFである。しかし、残念ながらこの手の会話を楽しむ読者は日本にたくさんゐるとは思へないのだが大丈夫だらうか。

 この日記の更新情報を表示するRSS用のxmlファイルの生成が八月から止まってゐることに今日気がついた。XMLファイルの操作権限の設定を確認してゐなかったのがいけなかった。特に閲覧数が減ったりしてゐないので、多分誰も利用してゐなかったのだらう。

〈文学の冒険〉は六十巻ほど出てゐるのだが、2001年以降はほとんど持ってゐないことが判った。何とレムの『完全な真空』も持ってゐないことが判って激しく動揺する。この際、全部揃へておくべきだらう。来年、きっと揃へようと決意する。世界幻想文学大系もまだ揃ってゐないのに。


10月5日(金)

 ジョン・スコルジー『アンドロイドの夢の羊』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)がまだ終はらない。大学生の頃は大抵の文庫本は一日で読めたやうな気がするのだが。これが歳をとるといることか。
 羊女と一緒に逃げる男。人里離れた屋敷でゆっくり料理をしてゐると羊男が向うからやって来てくれる世界とはまるで違ふ。

 今日の電子化本。
『データのとり方とまとめ方』(共立出版)
 今日も一冊のみ。

 早川書房が「新刊の翌月電子書籍配信」を発表して話題になってゐる。なぜ同時配信ではないのかといふ不満はあるが、この決断は喜びたい。ただ、早川書房の本はどうしても資料として確保しておきたいものが多いので、電子版はあまり買へないかも知れない。でも、きっと蒐集家は両方買うのだらう。

 私がいま読めさうなのは、紀伊國屋書店で買ふKinoppy版か、楽天で買ふkobo版かのどちらかだらうと思ふ。尤も、楽天はRabooのやうにいつ撤退するか判らないので安心して買へないのだが、紀伊國屋書店は書店だからさう簡単には撤退しないだらうし、撤退あるいは路線変更があってもあっさり切り捨てたりしないと信じてゐる。

 どうでもいいけど、Amazonは日本でも早くKindleを販売するやうに。少なくともアメリカから日本へKindle Paperwhiteを発送するやうにしていただきたい。さうすれば直ちに一台買ふ準備をして今か今かと待ち構へてゐるのだから。


10月4日(木)

 久しぶりの電子化。
◆マーカス・ウォールセン『バイオパンク』(矢野真千子訳/NHK出版)
 これではいつまで経っても千冊電子化が達成できない。

 札幌市の共立書院からベルナルス『悪魔の陽の下に』(国書刊行会/1975年)が届いた。かなり綺麗。今年中に世界幻想文学大系を全部集めるといふ目標は達成できないのは明らか。来年中には揃へたい。

 今日書いた原稿に蠟燭と書きたかったのだが、XeLaTeXがコンパイル時にエラーを起こしてしまって使へなかった。残念。しかし、UTF8で設定してゐるのに駄目なのはなぜなのか。よく判らない。蝋燭といふ文字はあまりにも間抜けである。

 ジョン・スコルジー『アンドロイドの夢の羊』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)を一気に読み進めようと思ってゐたのに、仕事をしてしまってまったく進まなかった。実は今日は休みだったのだ。創立記念日とかで。一日家にゐた方が(一人で机に向ってやる)仕事は捗るやうな気がした。しかし、電車に乗って出勤しないと読書が捗らない。本を読むためにも出勤した方がいいのかも知れない。地球の命運を賭けて「アンドロイドの夢」といふ品種の羊を探す話。読みながら、主人公が泊まるホテルがドルフィンホテルだったり、頻繁に「やれやれ」と云ひ始めたりしたらどうしようといふ不安がときどき思ひ出したやうに私を襲ってくるのだが、どうすればいいのか。やれやれ。


10月3日(水)

 札幌市の伊藤書房清田店から、風間賢二『快楽読書倶楽部』(創拓社/1995年)が届いた。何が読みたかったのだらう。村上春樹に会ってSFやパルプ雑誌の話を聞いたときの話だらうか。ラヴクラフトを愛読してゐるといふ話が出てくる。雑誌「幻想文学」に載ったインタビューでもそう云っているし、ラヴクラフト全集の帯に推薦文を書いたりもしてゐる。『アンダーグラウンド』では、ラヴクラフトの名前を出して闇の恐怖について書いてゐる。そのとき、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で地下の神殿に向って逃げるところはラヴクラフト的な闇の恐怖を描いたものだという意味のことを書いてゐてちょっと驚いた。確かに云われてみればラヴクラフトが書きそうな場面ではあるのだが、読んだときには全然ラヴクラフトなど連想することはなく、ラヴクラフト的な闇の恐怖も感じなかった。しかし、村上春樹はラヴクラフト的な闇を描くには、あのやうな書き方が相応しいと思ったといふことなのだらう。闇の恐怖を描くに相応しい文体はかうであると考へたのだらう。私の感じてゐたラヴクラフト的な闇とはまったく違ってゐたが。もしも、本当に村上春樹がさう思ってゐるのなら、ラヴクラフトの文体を評価しないのは仕方がないと思へてくる。闇を描くのに相応しいと思った文体とはまったく異なるものだから(ここでは村上春樹がラヴクラフトを何語で読んだかは問はない)。さうすると、どうしてラヴクラフトを愛読できたのかが不思議である。文体が評価できないのならつまらないのではないだらうか。あのやうな闇の恐怖を描く者にとって、ラヴクラフトは面白いのだらうか。その辺りが不思議でならない。

 ジョン・スコルジー『アンドロイドの夢の羊』(内田昌之訳/ハヤカワ文庫SF)[Amazon.co.jp] を訳者の内田さんからお送りいただきました。ありがたうございました。早速読み始めました。
 筒井康隆の作品にこんなのあったんぢゃないかといふやうな冒頭の場面。


10月2日(火)

 髪が伸びてきたので床屋に行きたいと思ってゐた。前回、話し好きのおばさんにあたって中国との領土問題なんかを語られてしまったのでもう店を変へたいと思ひその近所の別の床屋を探しておいた店へ向ったのだがそこは3700円かかるのに対して今まで通ってゐたところは1500円であるといふ重大な問題があり、しかし私は高度な専門技術を要する仕事にはそれに見合った正当な対価を支払ふべきだと信じてゐるしそれは即ちデフレに対抗する毅然とした態度であると疑わないことをここではっきり示さうとも決意してしてゐたにも拘らずふと気がつくと今までと同じ1500円の床屋に入ってゐたことに愕然とした火曜日の黄昏時であった。だがまだこの2200円を無駄に書店で使ふことによって日本経済に貢献することは可能である。そのとき気をつけなくてはならないことは、どうせ買ふつもりだった本を買っても仕方がないといふことだ。買ふつもりもなかったものを買ふのでなければ経済活動の上積みにならないではないか。そこで問題は大抵の関心のある本はどうせ買ふつもりだといふことだ。買ふつもりのなかったものを買はなくてはならない。そんなわけで今は必死に買ふつもりがなかったのによくよく見れば買ひたくて仕方がなくなる本を探してゐるところなのである。


10月1日(月)

 電子書籍が主流になったらどうなるだらうかとときどき考へる。いや、頻繁に考へる。古本屋とか減るだらうなとか。ベストセラーの文庫本なんかを扱ふ書店はなくなって、古くから営業してゐる稀覯本を扱ふ古書店は生き残るだらう。その中間の本がどうなるかはよく判らない。関心を持つ人が減って商品にもならなくなるのか、稀覯本化していくのか。流通量が減ったら価格は上がるだらう。予想はつかないが、もしものときに備へて今のうちに古本を買っておかう。買って買って買ひまくらう。そして積み上げよう。天まで積み上げよう。

 早速(といふわけでもないが)、日本の古本屋で検索して、
●風間賢二『快楽読書倶楽部』(創拓社/1995年)
を札幌市の伊藤書房清田店に、
●ベルナルス『悪魔の陽の下に』(国書刊行会/1975年)
を札幌市の共立書院に註文した。後者は世界幻想文学大系の第11巻。今年中には全部集められさうにない。

『快楽読書倶楽部』はどうしてだらう。何らかの理由で過去の私が買ふべき本として、「日本の古本屋」の気になる本に登録してゐたのだ。理由は全く思ひ出せないのだけど、過去の自分を信用することにしよう。


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