3月へ

2月27・28日(木・金)

 辞書専用ハードディスクの中身をみてゐたら、全然使ってゐない辞書などあって、もっと有効利用した方がいいなと思ひ、どうして利用してゐないかを考へてみたら、圧縮してディスクイメージにして収納してゐるので、使ふときはいちいち広げてデスクトップに置かなければならないからに違ひないと思ひついた。起動と同時に自動的にデスクトップに並べるやうに設定しておけば手間はかからないのだが、容量の大きいものを同時にDiskCopyで展開するとエラーが出て途中で終了してしまふのだ。昨今はハードディスクも大容量のものが安くなってゐるのだから、贅沢に圧縮せずに収納しておくことにした。そこで、辞書以外のファイル(『新潮文庫の100冊』の類ひや二年前の青空文庫全作品フォルダとか、Locus indexファイルとか)を外付けハードディスクに移動して、使ひさうな辞書を圧縮前の状態で収納しなほす。やってみると容量が2〜3倍になってもったいないが、もうさう決心したのだから、とにかくさうするのだ。次にJammingで辞書の設定。ところが、設定辞書が20を越えたらエラーがでて「予期せず終了」してしまふやうになった。仕方がないので、使ひさうにない辞書(エスペラント辞書とか和独辞書とか)を外す。17個にまで減らして、「英和」「和英」「国語」「科学」の4グループを作って登録。使ひやすくなった。

 使ひやすくなったところで翻訳に勤しむ、筈が、これで安心して疲れてしまって就寝。いつものことである。一月二月は忙しいのではないかと思って時間を空けておいたのだが、その仕事が全然入ってこなくて、もう三月になってしまふので、別の仕事を急がねばならない時期になってしまった。


2月26日(水)

 早川書房からSFマガジン四月号が届く。コニー・ウィリスの短篇を読んでみる。面白いが、ローカス賞といふのはかういふ作品がとるものだとは知らなかった。ちょっと、驚いた。ページを捲ってゐたら、私の海外SF紹介の文章を見つけた。

 Amazon.co.jpから『知っておきたいイギリス英語』[amazon.co.jp, bk1]が届く。これなら電子辞書になってゐてくれると嬉しいのにとつくづく思ってしまふ。もう一冊、Amazon.co.jpからシャロン・シンのAngelicaも届く。分厚いではないか。私は長い話は読まないことにしてゐるのに、これでは困るではないか。どうやら、サマリア三部作よりも時代を遡った物語のやうである。このシリーズ、どんどん増えて大河小説のやうになったらちょっと嫌だ。読むかどうかの心配よりもシャロン・シンを訳さなければ。


2月25日(火)

 出張から帰ってくると、bk1から本が届いてゐた。テリー・グッドカインド『魔石の伝説7 霊たちへの祈り』[amazon.co.jp, bk1]、井辻朱美『魔法のほうき』[amazon.co.jp, bk1]、 『東京古本とコーヒー巡り』[amazon.co.jp, bk1]の三冊。古本屋と珈琲店の本は、暇なときにぱらぱらと捲ってみたい本。暇なときといふのがないのが問題だが。


2月23日(日)

 bk1から本が届く。『ダレン・シャン7 黄昏のハンター』[amazon.co.jp, bk1]、 Red Hat Linux Survival Guide[amazon.co.jp, bk1]、 ジョー・R・ランズデール『モンスター・ドライヴイン』[amazon.co.jp, bk1]、ロバート・ジョーダン『昇竜剣舞3 戦士の帰還』[amazon.co.jp, bk1]、リーネ・コーバベル『秘密が見える目の少女』[amazon.co.jp, bk1]、カート・ヴォネガット『タイムクエイク』[amazon.co.jp, bk1]の6冊。

 昨日ちょっと手に取ってみたピーター・ストラウブ『シャドウランド(上[amazon.co.jp, bk1]・下[amazon.co.jp, bk1])』(大瀧啓裕訳/創元推理文庫/各840円)の中に「うなづき」といふ表記があったのだけれど、現代仮名遣ひでは「うなずく」でせう。私がここで「うなづく」と書くのはよいのですがね。もちろん、まともな日本語感覚の持ち主ならば「うなづく」と書きたくなるのはわかるけれども。

 X11のことが気になって仕方がないが、今日はあれこれいぢるのを我慢して仕事。Mac OS Xの方は、今日から日本語環境で使用する決意を固めた。何がいいことがあるのかといふと、EGWORD PUREが使える、T.Clipが使へる、日本語のファイル名をつけると認識できないことが減る、メールを返信するときウムラウトのある月(来月)にうっかり引用の言葉をそのままにしておくと文字化けして読めない相手がいるという事態が減る、エラーや警告の内容が判りやすい、などである。一方、ドイツ語表示でないと困ることは、何もない。でも、なんとなく寂しい。

 明日から二日間松戸(千葉県)に出張。


2月22日(土)

 朝起きてまづは本の註文。bk1に三冊。

 テリー・グッドカインド『魔石の伝説7 霊たちへの祈り』[amazon.co.jp, bk1](佐田千織訳/ハヤカワ文庫FT/660円)
 井辻朱美『魔法のほうき』[amazon.co.jp, bk1](広済堂出版/1600円)
『東京古本とコーヒー巡り』[amazon.co.jp, bk1](散歩の達人ブックス/1429円)

 洋書はAmazon.co.jpの方に。

 Gregory Norminton The Ship of Fools (Sceptre, Mar 2002)
 Neil Gaiman Coraline (HarperCollins, July 2002)
 Jeff VanderMeer City of Saints and Madmen (Lightning Source Inc, May 2002)

 去年買ひ逃した本。そんなに読める訳がないと思ひながら。

 今日は朝から翻訳に勤しまうと思ってゐたのだが、X11の最新版は日本語に対応してゐるらしいと知って、その辺りのことを細工しようとしたのがいけなかった。日本語環境を設定して再起動してから作業を進めなければならないところを、X11だけを一旦終了して再度立ち上げればいいと思ってしまったのだ。いや、そんなことはどうでもよくて、それはただ失敗するだけだから。X-Darwin環境でGaleon(wwwブラウザ)をインストールしようとしたのがいけなかったのだ。そんなことをする必要など全くないのに。ダウンロード・インストール作業が始まって、それがいつまで待っても終はらない。  本でも読んで待たうと思って『認知心理学3 言語』[amazon.co.jp, bk1]を手に取った。もう残り少しだったもの。最後から二番目の章「言語と思考」といふところで、言語相対性仮説の話が出てきたので期待したが、私が読んで楽しい内容とはちょっと違ってゐた。つまり否定的な話が多いといふ訳である。まあ、止むを得まい。
 まだインストール作業が続いてゐるので、北村薫『街の灯』[amazon.co.jp, bk1]を読む。少々古風な文章(舞台設定が昭和七年だから)が安心して読める(のは私だけか)。若い女性の主人公が日常的な状況に見出す謎を解く話。といっても、人が死んだりするからあまり日常的ではないけれど。
 まだ作業が終はらないので、三冊目に手を伸ばさうとして、こんなことではいけないと思ってその手を止め、インストールを進めながら翻訳を始める。しかし、インストール作業が気になって仕方がないので、まづは夕食にして風呂に入らうといふことにした。つまりもう夕刻であったのだ。夕食後、インストールは終はったが、日本語は入力できない。インストールしてみたGaleonが動かなかったが、Mozillaが動くやうになってゐた。日本語のホームページも表示できる。でも、入力はできない。韓国語も、中国語も、アラビア語も表示できるので、表示だけはできるといふことだ。再起動すると、先にインストールしてあったものの、メニューの表示がおかしくて字が出てゐない。恐らく日本語にならうとしてゐるのにきちんと対応できてゐないのだらう。再インストールしようとしてもうまくいかない。そこで、finkで全体をアップデート。また、それがいつまでたっても終はらない。といふことで、アップデート作業をさせたまま就寝。ああ、こんなことでいつ翻訳をするのか。


2月21日(金)

 余計なことをしたばかりに、職場のRed Hat Linuxが起動しなくなってしまった。ちょっと動きがおかしくなったので、修正しようとしたところが却って泥沼にはまってしまひ、たうとう起動しなくなったといふ訳だ。ありがちな話である。といふ訳で再インストール。しかし、総ての環境を再現するのに半日しかかからず、しかも前より調子はいい。Mac OS Xとの共有にも慣れてきた。後は辞書の利用と縦書き入力である。電子辞書の利用法については既に調べてあるので、あとは実行するのみ。辞書サーバも作れるといふからやってみようか。それから今日初めて知ったのだが、OpenOffice.org 1.0.1では日本語縦書き入力もできるらしい。もしかしたら、原稿を書く(翻訳する)のもLinuxでできるのかも知れないといふ気がしてきた。

 帰宅するとエルゴソフトからEGWORD PURE8とEGBRIDGE14の優待アップグレードの葉書が届いてゐた。何でも辞書が引けるらしい(今でも引けるけど)。新辞林新英和和英中辞典がついてくるらしい。らしい、らしい、ばかりでよくわからないが、買ってみることにした。ヒラギノ20000字対応といふのは嬉しいが、柔軟な喋り言葉への対応といふのはどうでもいい。喋り言葉よりも歴史的仮名遣ひに対応してもらひたいものだ。アンケート葉書にいつも書いてゐるのだが、やはり需要が少ないのだらう。


2月20日(木)

 数日前にクレジットカードの請求書が届き、開封する前はこれで破産するのではないかと怯えてゐたのだが、払へない額ではないことがわかって一安心。早速本を註文する。

 まづはbk1に日本語の本を。

 Red Hat Linux Survival Guide[amazon.co.jp, bk1](ソフトバンクパブリッシング/3200円)
 ジョー・R・ランズデール『モンスター・ドライヴイン』[amazon.co.jp, bk1](尾之上浩司訳/創元SF文庫/600円)
 ロバート・ジョーダン『昇竜剣舞3 戦士の帰還』[amazon.co.jp, bk1](斉藤伯好訳/ハヤカワ文庫FT/640円)
 リーネ・コーバベル『秘密が見える目の少女』[amazon.co.jp, bk1](木村由利子訳/1500円)
 カート・ヴォネガット『タイムクエイク』[amazon.co.jp, bk1](浅倉久志訳/ハヤカワ文庫SF/740円)

 以上四冊。次に、Amazon.co.jpに洋書を。

 Eric Sanvoisin The Ink Drinker (Random House Children Pub. 2002/2, 538円)
 Eric Sanvoisin A Straw for Two (Random House Children Pub. 2003/1, 583円)
 Ellen Datlow & Terri Windling The Green Man: Tales from the Mythic Forest (Penguin USA, 2002/5, 1935円)

 久しぶりに本を註文したら、それだけで疲れてしまった。


2月18・19日(火・水)

 Amazon.co.jpから、Graham Joyce The Facts of LifeとJames P. Blaylock The Man in the Moonが届く。両方今すぐ読みたいが、大抵本が届くと今すぐ読みたいと思ふので、今回もさう思ふだけだらう。

 小学館から『スーパー・ニッポニカ2003』[Mac版, Win版]が届く。代金引きかへといふことをすっかり忘れてゐたのだが、さいはひ現金が手元にあった。早速インストールしようとしたが、何故かできない。「はじめにお読みください」といふファイルが見つからないといふのだ。もしやと思って日本語環境にして再起動して再びインストールを試みると問題なく成功。その後に、ドイツ語環境に戻しても勿論利用するぶんには全く問題はなかった。しかし、ドイツ人がインストールしようと思ったら可哀想である。EGWORDも日本語環境でないと動かないから、近いうちに日本語で使ふやうにしようかとも思ってゐる。

 職場のRed Hat Linuxでpdfファイル群の一括全文検索にやっと成功し、それを隣のMacOS Xから検索・表示ができるやうになった。MacOS Xで、pdfファイルを纏めてテキストファイルに変換する方法もわかった。LinuxとMacOS Xの間でのディスクの共有もやっとわかった。今、知りたいのは、フォルダ(ディレクトリ)の何層かに渡って収められてゐるファイルを一気に外に出すやり方。数年前にはMacOSでそれくらゐのことは簡単にできたのだが、今ではすっかりやり方を忘れてしまってゐるのだ。


2月17日(月)

 オーストラリアのThe Book SearchersからDavid Henry WilsonのThe Coachman Rat (Robinson Publishing, 1989) が届いた。abebooks.deで検索して註文したものである。開封してちょっと驚く。私が持ってゐるハードカバー版と表紙絵が違ふ。同じ本を二冊手元に置くといふ目的に適はないではないか。もう一冊註文しておかねばなるまい。
 この本の著作権表示のページをみると、"First published in West Germany in 1985 by W. Kruger/S.Fischer Verlag GmbH, Frankfurt am Main, under the title Ashmadi"と書いてある。で、イギリスでは1987年に初めて刊行されたとなってゐる。ドイツが先といふ記憶は間違ってゐないやうなのだが、自分でドイツ語で書いたといふのは記憶違ひか。では、ドイツで人気があるらしいJeremy Jamesシリーズは翻訳なのか。表紙の画像を睨んでみても翻訳家の名前は書いてゐない。尤も、欧米では普通翻訳家の名前は表紙に書かないからわからなくて当然だが。買へばわかるのだが。買ってしまはうか。


2月16日(日)

 昨日miでrtfも検索できると書いたが、どうやら間違ってゐたやうだ。英語のファイルだと検索できるみたいなのだが。よくわからない。いろいろ試してみたが、結局それぞれ一長一短。これといふ決定打は出ないのだ。
 この頃、少しRedHat Linux 8.0を使ってみて、アイコンをクリックすれば圧縮ファイルも展開できるし、捨てたいファイルはゴミ箱に入れればよいし、Mac OSを使っているのとあまり変らない(といふのは嘘だけど)。電子メールのやりとりをして、オンラインで買ひものや調べものをして、原稿を書くくらゐなら、もうこれで事足りるのではないかといふ気がしてきた。電子辞書も、私は無闇に集めてゐるが、実際に使ふ辞書の殆どはオンラインで検索できる。35000円でOSなしのコンピュータを買って、オンライン辞書の使用料を払っても安上がりなのではなからうか。しかし、ときどきしか使はない辞書はなくてよいかといふとさうでもないし、デュアルモニタがまだできないやうだし、縦書きで原稿を書けないみたいだし、もう少しといふところか。
 娘に新品のコンピュータが欲しいと云はれたらLinuxにしてしまはうか。でも、学校で苛められたら可哀想かも。子供は少数派に厳しいから。Linux? 何それ、変なの、とか云はれて。物陰でその様子を見てゐたパソコンマニア少年(小太りで眼鏡をかけて蒼白い奴)が、僕もLinuxなんだ、とか云って話しかけてきたら気持ち悪いな。

 早川書房から『SFが読みたい2003年版』[amazon.co.jp, bk1]が届いた。ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』[amazon.co.jp, bk1]が10位に入ってゐるのが何とも変である。昨日、池上永一『夏化粧』[amazon.co.jp, bk1]が面白いと云ってゐた人がこのカーシュの短篇集の一部を訳してゐる。私の弟子だと云ってもよい人である。といふと偉さうだが、少なくとも本人はさう云っても怒りはしない筈だ。


2月15日(土)

 pdfファイルをtextファイルに変換する方法はわかったが、多数のファイルを一度に処理する方法が思ひつかない。数年前ならできたやうな気もするのだが、今の頭ではどうにも思ひつかない。とりあへず諦める。こんなことばかりしてゐる訳にはいかないのだ。いろいろやってゐる間に気がついたのだが、miのマルチファイル検索機能は優れてゐる。どうやらMicrosoft Wordのファイルもrtfも検索対象になるやうだ。これでpdfもできたら完璧なのだが。しかも、これで無料なのだから、驚くばかり。

 昨日、知り合ひの翻訳家が、池上永一『夏化粧』[amazon.co.jp, bk1]が面白いと云ってゐたので、書棚を探したが見つからない。一旦は諦めたのだが、ふと机の上をみたら積み上げられた本の下の方にあるのを見つけた。早速読んだ。いい話である。いつものやうに魂の話である。私の魂は希薄なやうな気がする。


2月13・14日(木・金)

 岡本綺堂『江戸っ子の身の上』[amazon.co.jp, bk1]を手に取って出勤。大体読み終へる。「わたし見たやうな」といふ表現に久しぶりに出合ふ(若い人のために記しておくと、これは「わたしみたいな」といふ意味である)。

 Amazon.co.jpからSteven Sherrill The Minotaur Takes a Cigarette Breakが届く。面白さうだが、今すぐ読むのは難しい。

 pdfファイルの検索は難航。どうやら何度作ってもインデックスのできないファイル群があるやうなのだ。検索機能はよいのだが、相変らずヒットした文書をクリックして開くことができない。時間ばかりが過ぎてゆき、キーを叩きすぎたせゐか腕が痛む。


2月12日(水)

 疲れてゐるので、岡本綺堂『江戸っ子の身の上』[amazon.co.jp, bk1]を手に取って出勤。電車の中でぱらぱらとページを捲って読んでみる。気分の落ち付く本である。

 職場ではLinuxでのpdfファイルの全文検索にやうやく成功する。MitakeSearchといふのを使ふと、pdfでもMicrosoftWordの書類でも、何でも全文検索の対象にできるのだ。便利なものである。隣のマックからWWWブラウザで検索できるところがまた素晴らしい。ただ、まだ検索して当たった文書をクリック一発で開くことができない。どうすればよいのか。しかし、もう眠いので、先日送ったSFマガジンの原稿を書き直して就寝。


2月11日(火)

 今日は休みなのに出勤したら午後から頭が痛くなって来た。本も読めず、翻訳もできず、熱い湯に入ってから就寝。


2月10日(月)

 職場で使はうとしてゐたLinuxの具合ひが悪くなってたうとう起動もできなくなった。ええい面倒臭いと、Linuxを再インストール。しかし、同じものでは面白くないからと、今度はRedHat Linux 8.0。慣れてきたせゐか、アップデータを追加インストールしてから、プリンターの設定やメールの設定などまで数時間で終了。思ひのほか調子よく動くので、このまま使はうかとも思ふ。しかし、さうすると一度も使ふことのなかったVine Linuxの本二冊の立場はどうなるのか。些か、可哀想ではある。
 前より早く作業が済んだとは云へ、その間、ほとんど他の仕事ができなかったのだから、今日終へる筈の仕事が机の上にたまったまま。それにしても、OpenOffice.orgで研究助成金関係の書類を一つ書いて送った後で本当に良かった。MacOS XのMicrosoft Wordが今朝突然使へなくなり(すぐに異常終了してしまふのだ)、書類が作れないのではないかと不安になったところを救ってくれたのがOpenOffice.orgであった。

 仕事をやり残したまま帰宅すると、Locus2月号が届いてゐた。毎年二月号は、前年度の総括である。推薦図書など眺めてゐると、グレアム・ジョイスの本のことが書いてあるではないか。うっかり見逃してゐた。直ぐに買はねばと思ってAmazon.co.jpで検索したが見つからない。六月のアメリカ版の予約ならできるば、随分先の話だ。Amazon.co.ukで検索すると簡単にみつかった。念のためISBNを使ってAmazon.co.jpで再度検索してみるとでてくるではないか。ちゃんとThe Facts of Life (Gollancz S.F., 2002/12/5, 2168円) が出てくるではないか。「通常8〜11日以内に発送します」と書いてある。どういふことか(実は後でよく見たら、最初の検索結果でもちゃんと表示されてゐた。私が見逃しただけだった。疑ってすまなかった、Amazon.co.jp)。とにかくこれは註文しておかねばと思ったら、気がついたら註文手続きを終へてゐた。ああ、今日も本を買ってしまった。ジョイスは来月にも短篇集Partial Eclipse and Other Stories(Subterranean, 4795円)が出るやうだ。こちらは今日は我慢。
 まだかまだかと期待しながら待ってゐるレズニックのThe Return of Santiagoは、Amazon.co.jpでは、三〜五週間以内に発送といふ表示になったが、本国の方では未刊行のままだ。とにかく、早く読みたいものである。

 帰宅すると届いてゐたものがもう一つ。HMVから届いた古今亭志ん生のCDが二枚。『古今亭志ん生名演集26 今戸の狐・百年目・金明竹』『同27 ふたなり・中村仲蔵・因果塚の由来』である。

 今日は『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』[amazon.co.jp, bk1]を読了。明治の頃からの、品がないと云はれてゐた「てよだわ言葉」がお嬢様言葉になってくるところは大体知ってゐが、それでも言葉の変遷は面白い。


2月9日(日)

 ビーグルの短篇の内容をまとめたりしながら、Amazon.co.jpで調べものをしてゐたら、Sharon Shinnの新作の予約ができることに気がついた。Angelica(3月1日刊行予定/2441円)である。これって、あの<サマリア三部作>の続きといふことだらうか。前に何かで記事を読んだやうな記憶もあるが、まあとりあへず註文。James P. Blaylockの新刊も出てゐるぢゃあないか。今年一月にSubterraneanから出たThe Man in the Moon(4076円)である。どうやらこれは二〇年くらゐまへに書いた作品のやうだ。よくわからないので、とりあへず註文。もう一つ、ブレイロックは四月に短篇集が出るやうだ。Thirteen Phantasms and Other Stories(Berkley Pub Group, 1427円)だ。当然、これは買っておかねば。ただ、これは1500円に73円足りないので、送料がかかってしまふ。何かないかなと思ったときに、辞書のことを思ひだした。『類義語使い分け事典』(研究社/5664円)が欲しいと思ってゐたのだ。しかし、先月似たやうな(本当は似てゐるかどうかは知らない)『岩波日本語表現辞典』を註文したから迷ってゐたのだ。それとも、『シェイクスピア事典』(研究社/6195円)にしようか(絶対使はないといふ声が聞こえる)。どちらにしようかと迷った末に、先のブレイロックと合はせて『ロイヤル英文法 VER3.2』(システムソフト/4312円)を註文。『ロイヤル英文法』は既に我が家にあるのだが、これのCD-ROM版って一体どういふものなのか知りたくなってしまひ。


2月8日(土)

 bk1から『計量言語学入門』[amazon.co.jp, bk1]が届く。今日はこれはそっと書棚に収め、ビーグルのThe Rhinoceros Who Quoted Nietzsche and Other Odd Acquaintancesを手に取り、その必要なところはほぼ読み終へる。


2月7日(金)

 ビーグルを読まねばならないのに、ふと気付くと『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』[amazon.co.jp, bk1]を読んでゐる自分に気づく。「田舎言葉」では、予想どほり木下順二の夕鶴が出てきた。
 これを読みながらいろいろ考へてゐると、「〜したのぢゃ」とかいふ「老人語」「博士語」を使ふ奴などゐはしないと云ひながらも、それを使ふことでそれなりの効果を得ることができるので、翻訳のときには使ってもいいのかなといふ気がしてきた。私は今まで「そんな言葉を使ふ老人や博士に会ったことはない」のを理由に頑固に使用を拒んできたのだが、別世界を舞台にしたファンタジイの老魔法使ひなどに関しては、「そんな言葉を使ふ魔法使ひなんかゐやしない」などと云っても無意味なので、ゐるゐないはあまり重要な問題ではないやうに思へる。ガンダルフが「さよう、まともなものには見えん。とてもそうとは思えん。だからして、やっぱりあんたの計画どおりにするのが一番じゃとも」と云って、そんな言葉遣ひをする魔法使ひはゐないと異を唱へる奴はゐない。でも、作品の雰囲気がちょっと子供っぽくなってしまふやうな気もするし、まあ、そのときそのときで判断しなければならないのは当り前ではあるのだが。
 そんなことを考へながら帰宅すると、先日abebooks.deに註文したASHMADIが届いてゐた。はやい! 註文して一週間ではないか。封筒から出してみると、何とカバーがない。これはもともとかういふものなのか。1985年のWolfgang Krueger版なのだが、どうなのだらう。amazon.deで調べてみると、それにカバーがあるかどうかを調べることを忘れ、ペーパーバックがあるから註文しておかうかと思ってしまった。念のため、日本アマゾンで検索してみたら、ベーパーバック版が1〜2週間で発送しますと出てくるではないか。私はわざわざ読めないドイツ語でドイツの古本屋に註文して無駄使ひをしてしまったといふことか。悔しいのでAmazon.co.jpAshmadi (Fischer, 1996, ¥773)を註文。一冊では寂しいので、大石五雄『知っておきたいイギリス英語』[amazon.co.jp, bk1](平凡社新書/760円)も註文。そんなにイギリス英語を知らなくてもよいやうな気もするが、何か役立つこともあるかも知れないので。


2月6日(木)

 ヘレン・マクロイ『歌うダイアモンド』[amazon.co.jp, bk1]を晶文社からいただく。ありがたうございました。もう買ってしまってゐるけれど。

 bk1から金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』[amazon.co.jp, bk1]が届く。これは面白い。「博士語」「お嬢様言葉」「アルヨことば」などについて考察してゐる。しかし、眠くて今日は断念。


2月5日(水)

 ヘレン・マクロイ『歌うダイアモンド』[amazon.co.jp, bk1]をあと二つほど読んでみる。「風のない場所」が好みである。懐かしいSFの雰囲気が漂ふのが心地よい。

 A Dance for Emiliaを読み終へる。死んだ友人が猫の躰に宿って戻ってくるのだが、ダンサー志望だった友人は猫の躰で踊るのだ。感情豊かに悲しみの場面をビーグルは描いてゐるのだが、猫が踊るといふ場面では、姿を想像して笑ひさうになってしまふのである。日本で、猫が踊ると云へば、猫ぢゃ猫ぢゃだ。

 猫ぢや猫ぢやとおしやますが
 猫が、猫が下駄はいて
 絞りゆかたで來るものか
 オツチヨコチヨイノチヨイ

 下戸ぢや下戸ぢやとおしやますが
 下戸が、下戸が一升樽かついで
 前後も知らずに酔ふものか
 オツチヨコチヨイノチヨイ

といふ訳である。愛する人が甦っても、猫ぢゃ猫ぢゃを踊られてはちょっと。「ビールを飲んで酔っ払い、猫ぢゃ猫ぢゃを踊りたくなり愉快なものだと「御月様今晩は。」の千鳥足。気が付いてみると烏の勘公が行水に使ふ甕の中に落ちてゐた。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。」といったら百間だ。
 「おしゃます鍋」といふ鍋料理があるのだが、これには猫肉を使ふといふ。「おしゃます」といふのは「猫ぢゃ猫ぢゃ」の「猫ぢゃ猫ぢゃとおしゃますが」から来てゐるのだ。「エミリアのためのおしゃます鍋」だったらちょっと怖い。


2月4日(火)

 bk1から本が届く。ヘレン・マクロイ『歌うダイアモンド』[amazon.co.jp, bk1]、ジョン・ベレアーズ『ジョニー・ディクソン』[amazon.co.jp, bk1]、スティーヴン・バクスター『真空ダイヤグラム』[amazon.co.jp, bk1]、バリー・ヒューガート『霊玉伝』[amazon.co.jp, bk1]、ローリー・バウワー&ピーター・トラッドギル編『言語学的にいえば...』[amazon.co.jp, bk1]、リン・ティルマン『ブックストア』[amazon.co.jp, bk1]、北村薫『街の灯』[amazon.co.jp, bk1]の七冊。一度に一遍に来てしまふとは勿体ない。一日づつ来てくれれば楽しみも長持ちするといふものだが。

 『歌うダイアモンド』[amazon.co.jp, bk1]を少し読んでみる。懐かしいSFの雰囲気が漂ふ。フレドリック・ブラウンのやうな、ロバート・シェクリイのやうな、ヘンリー・カットナーのやうな。


2月3日(月)

 今日は本も届かなければ、註文もしなかった。こんな日は我慢できない。さうだ、本を読んだ日にすればいいのだと思ったが、本を一冊読み終へるのは簡単ではない。本が届くといふのは自分ではどうにもならないことなので、一番簡単なのはやはり註文だ。本を買ひたい本を買ひたいと呟きながら、A Dance for Emilia を読んで内容を思ひだす。さうか、こんな話だったのか。ちょっと感情表現が濃厚過ぎて私にはあまり合はなかったことを思ひだした。


2月2日(日)

 bk1から本が届く。黒田玲子『科学を育む』[amazon.co.jp, bk1]、中村うさぎ『犬女』[amazon.co.jp, bk1]、斎藤美奈子『趣味は読書。』[amazon.co.jp, bk1]、それにVine Linuxの本が二冊。で、中村うさぎを読んでしまった。買ひものエッセイとは違って(ある意味で通じるものもあるのかも知れないが)、暗く澱んで絡みついてくるやうな文章が心地よい。腰巻きに書いてある「戦慄の」ってほど怖くはないが、いや〜な感じが不気味である。あとがきに書いてあるやうに、嫌な女を徹底的に悪意をこめて書いたりしてゐるのだからそれは当然で、その点では成功してゐるといってよいのであらう。

 いけない、私はビーグルを読まねばならなかったのだと気がついて、The Rhinoceros Who Quoted Nietzsche and Other Odd Acquainancesを手に取る。"Come Lady Death""Lila the Werewolf"を読む。二つとも翻訳があるので以前読んだことはあるが、原文で読んだのは今回が初めて。"Come Lady Death"は傑作である。明日からA Dance for Emilia (Roc, 2000) を読むことにしよう。前に一度読んでゐるのだが、いつものやうに内容を全然思ひだせないのであった。

 今日は本を買ふのはやめようと堅い決意で過ごしてゐたのだが、誘惑に負けて一冊だけ。bk1に金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』[amazon.co.jp, bk1](岩波書店/1500円)を。これは「もっと知りたい! 日本語」といふシリーズの七冊目、最終巻である。内容紹介に、「「そうじゃ、わしが博士じゃ」としゃべる博士や「ごめん遊ばせ、よろしくってよ」と言うお嬢様に、会ったことがあるだろうか。現実には存在しなくても、いかにもそれらしく感じてしまう日本語、これを役割語と名づけよう。誰がいつ作ったのか、なぜみんなが知っているのか。そもそも一体何のために、こんな言葉づかいがあるのだろう?」と書いてあるのを読み、すぐに註文したくなったのである。翻訳のときに悩む問題でもある(他の人はどうだか知らないが、少なくとも私は)。博士がでてくると確かに「さうぢゃ、わしが博士ぢゃ」と喋らせたくなるものである。そんな博士に会ったこともないのも事実。そんな奴はゐないなと思ひながら、それらしい雰囲気を簡単に出せるので使ってみようかなといふ誘惑にもかられるし、気になる言葉である。
 お嬢様の言葉と云へば、数年前に読んだ加藤ゑみ子『お嬢さまことば速修講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/1200円)[amazon.co.jp, bk1]が面白かったことを思ひだす。ふと検索してみると『お嬢さま生活復習講座 改訂版』[amazon.co.jp, bk1](ディスカヴァー・トゥエンティワン/1300円)とか『気品のルール』[amazon.co.jp, bk1](ディスカヴァー・トゥエンティワン/1100円)といふやうなものもあることに気付いてしまった。といふことは、この著者は本気で書いてゐたのか。笑ひを目的とする本ではなかったのか。試しに何冊か買ってみたくなってしまったが、今日は我慢する。我慢できたことで自分を褒めながら就寝。


2月1日(土)

 小学館から『スーパー・ニッポニカ2003』[Mac版, Win版]の案内が届いた。そんなに最新の情報が必要な訳でもないのでいつもなら捨ててしまふのだが、今回はMacOS X 10.1.5以上に対応といふことなので思はず註文してしまった。何度か買ってゐるので、登録者優待販売価格16000円で購入。2月19日以降に発送といふ。MacOS Xで動く日本語の百科事典は私はまだ他には知らない。だから、一つくらゐいいだらうといふことで。

 もう月が変ってしまった。はやいものである。月が変ったら本を買ふのが普通だらう。今日はbk1に。

 ジョン・ベレアーズ『ジョニー・ディクソン』[amazon.co.jp, bk1](林啓恵訳/集英社/1600円)
 スティーヴン・バクスター『真空ダイヤグラム』[amazon.co.jp, bk1](小野田和子訳/ハヤカワ文庫SF/820円)
 バリー・ヒューガート『霊玉伝』[amazon.co.jp, bk1](和爾桃子訳/ハヤカワ文庫FT/740円)
 ローリー・バウワー&ピーター・トラッドギル編『言語学的にいえば...』[amazon.co.jp, bk1](研究社/1700円)
 リン・ティルマン『ブックストア』[amazon.co.jp, bk1](宮家あゆみ訳/晶文社/2500円)
 北村薫『街の灯』[amazon.co.jp, bk1](文藝春秋/1762円)
 『ダレン・シャン7 黄昏のハンター』[amazon.co.jp, bk1](橋本恵訳/1500円)

 うっかり七冊も註文してしまった。最後のは娘にせがまれて予約。

 David Henry WilsonのTHE COACHMAN RATを買っておかうといふ気になったものの、新刊書店では手に入りらないやうなので古書店で検索。この本は、ドイツ語版と英語版が同時に出てゐるやうなので、ここは一つドイツ語版も手元に置いておかねばといふ気分になってきた。そこで、abebooks.deで検索して、ASHMADIを註文。7.70ユーロである。それに送料が9.95ユーロ。本代よりも高い。英語版ももう一冊手元に置いておかうと思ひ、そのままドイツのabebooksで検索してオーストラリアの書店に註文。ドイツ経由で註文するのも変だが、まあいいやといふことで、4.64ユーロの本に送料が10.68ユーロ。ドイツ語の註文画面はなかなか難しい。

 気がつくと随分買ひものをしてしまったやうだ。註文はこれくらゐにして、中断してゐたビーグルの本を手に取って読む。


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