七月へ

6月30日(水)

 六月も今日で終はりである。この頃は時の流れが瀧から流れ落ちる水の如く速いので、もう毎月の違ひを認識するのも困難だ。

 時の濁流に呑み込まれさうになったときには、やはりバッハであらうといふことで、無伴奏チェロ組曲のCDを買ふことにした。さういへばAmazon.co.jpのギフト券があるではないか。それを支払ひの足しにしよう。今回は、この頃あちこちで褒められてゐるのを眼にする長谷川陽子演奏のにしてみた。4688円だから、1000円のギフト券を二枚使へば2688円だらうと思って註文したわけだが、キャンペーン・ギフト券といふのは一度に一枚しか使へないのか。そんなこと書いてあったかね。支払ひの時になって、突然さういふことを云ふのはずるいのではないかね。とぶつぶつ云ひながらも、他所で買ふよりは安いので註文してしまった。折角CDを買ったのに清々しい気分になれず、釈然としない気持ちが残ってしまったではないか。

 日曜日にAmazon.co.jpのマーケットプレイスで註文した電子ブック版「聖書」が届いた。しかし、Jammingで表示できないではないか。コトノコでも駄目。クラシック環境でshokendai(書見台)を使ったらやっと表示された。しかし、検索と検索結果が全然合ってゐない。内容をハードディスクにコピーしたら、やうやくJammingでメニュー表示ができるやうになった。でも、検索はできない。メニュー表示で文章を読んでみると、何だか馴染みのない云ひまはしが連なってゐる。これは日本聖書刊行会の「新改訳聖書」ではないか。私は30年近く前から日本聖書協会の聖書(1954-55年改訳)と決めてゐるのだ。いや、学校でそれを使ってゐただけなのだが。私は信者ではないし、聖書もちゃんと読んだことはないのだが、それでも慣れといふのは恐ろしいもので、いつも眼にして耳にしてゐた文章でないと馴染めなかったりするのだ。文語訳の方は徐々に馴染みつつあるけど。
 私が馴染んでゐる版の電子テキストはないのだらうか。

 昨日は健康診断があった。昨年までなかった測定項目が増えてゐたりして、時間がかかるやうになったのが不愉快である。この年で視力や聴力を測ってどうするのだ。視力は低下傾向がやまず、右目は0.5にまで落ちてしまった。今月の運転免許証の更新が心配である。体重は減少傾向にあるやうな気がするが、昨年も同じことを本欄に書いてゐるので、実は安定してゐるのかも。


6月29日(火)

 今日はMacOSの話。職場で主に使ってゐるPowerMac G5のOpenOffice.org 1.1.2も日本語が入力できるやうになったらいいなと思ったのがいけなかった。EasyPackageを使ってkinput2をインストールしたら、OpenOffice.org 1.1.2の最新版をインストールしたら動かなくなった。何度もインストールした挙句、kinput2を先に立ち上げておかないとbus errorになるといふことが判った。一見正常に動くやうに見えたOpenOffice.org 1.1.2だが、日本語を入力しようとすると妙な具合になって、きちんと文字が入力されずやがて勝手に終了してしまふ。仕方がないので、OpenOffice.org 1.1.2EasyPackageを使ってインストールし、言語環境設定をJP_UTF-8にしたり、設定も注意深くやり直して、さうするつもりのなかったちゃんとした日本語入力環境に。さうするとOpenOffice.org 1.1.2で日本語が問題なく入力できるやうになった。いろいろ試してみると、Mozillaでも、geditでも、GIMPでも、Bluefishでも日本語が入力できるやうになったではないか。しかも、EGBRIDGEで。そんなことがあっていいのだらうか。できないと云はれてゐるのに。うまく出来なかったのが、emacsとAbiwordくらゐか。emacsで使へなきゃだめだと云ふUNIX育ちの方もゐるだらうが、私はMac育ちなのでどうでもいい。しかし、EMBOSS-kaptainが使へなくなってしまった。大事なものが駄目になってしまふとは。でも、EMBOSS-RunnerとかEMBOSS-GUIとかがあるから、仕事には差支へなからう。
 しかし、これで五時間くらゐ費やしてしまったのだ。効率の悪い一日だった。

 本の話も少しは書かねば。
 実はジェフ・ヌーン『未来少女アリス』[amazon.co.jp, bk1]を通勤時間に読んでゐる。ダンセイニ翻訳のために小説を読むのを控へてゐるなどと云ったものの、〈プラチナ・ファンタジイ〉を読むのは仕事ぢゃないかと自分に云ひ聞かせ、人目を憚るやうに地下鉄の車中で『未来少女アリス』を読む。誰にも咎められるはづはないのだが。


6月28日(月)

 今日は職場でPowerBook G4を使って、X11環境での日本語の入力を設定してみた。仕事の中心はPowerMac G5に移ってゐるので、万が一のことがあっても、業務に大きな支障は来さないだらう。あちこちのWeb文書を参考にしながらインストールや設定をしてみると、何と、ちゃんと日本語入力ができるやうになったではないか。どうして、我が家のPowerMac G4ではうまく行かないのか。いろいろな設定を書き留めて帰宅。早速、我が家のPowerMac G4の設定を揃へてみる。しかし、入力できない。なぜだ? 職場のPowerBook G4と我が家のPowerMac G4の間での違ひはただ一つ。MacOSXの言語設定が自宅の方は英語表示なのだ。まさかと思ひつつ、日本語に設定して再起動。OpenOffice.org 1.1.2で日本語が入力できるではないか。Aquaでの設定がX11に影響を与へるなんてどこにも書いてゐないぞ。しかも、X11環境下で、Aquaで使ってゐる仮名漢字変換機能EGBRIDGEが使へるのだ。「ことえり」しか使へまいと書いてあったぞ(ATOKが使へるかどうかは知らない)。OpenOffice.org 1.1.2で、「使へまい」とか入力してちゃんと漢字に変換できるのだ。嬉しいではないか。
 問題は、英語の文字の表示が妙に太いこと。普通の文字が、普段のBOLDの二倍くらゐの太さなのだ。PowerBook G4の方ではさらにそれが擦れたやうになる。これでは、英語の文章を書くのには使へまい。

 でも、相変はらずemacsでは文字化け。よく判らない。

 X11環境でEGBRIDGEが使へるやうになって、ちょっと嬉しかったので、『怪奇礼讃』の収録作品を紹介します。ここに書くと長くなるので、別館の方の〈管理人の仕事一覧〉の頁に記載しました。原題を書く元気がなかったので、邦題のみ。お許し願ひたい。
 面白さうだと思ったら、是非購入していただきたい。これ一冊では送料が無料にならないと思ったら、『魔法使いとリリス』[amazon.co.jp, bk1]と一緒に買ふとか、『世界の涯の物語』[amazon.co.jp, bk1]と一緒に買ふといふ手もありますので。


6月27日(日)

 今日は比較的真面目にダンセイニの翻訳とか、「三半球物語」の電子テキスト化に従事する。ダンセイニの文章は欽定訳聖書の影響を強く受けてゐるとしばしば書かれてをり、特に神話系の話では確かに強さうなので、「時と神々」を訳すときには欽定訳聖書のpdfファイルも、デスクトップに広げてみたりする。原文、訳文、辞書、欽定訳聖書の四つの画面を常時開いてゐる訳だ。机の上には『舊新訳聖書 文語訳』[amazon.co.jp, bk1]を広げてゐる。この中で検索が出来ないのが、『舊新訳聖書 文語訳』だ。検索できる日本語の聖書が欲しくなり、Amazon.co.jpで検索してみたが、聖書の電子ブックは新刊書としてはもう手に入らないのか。新しいCD-ROMはないのかとGoogleで検索したものの、どうやらMacOSXで動く聖書はないやうな感じだ(いいのをご存知の方はお教へください)。仕方がないので、電子ブック版の聖書をアマゾン・マーケット・プレイスで購入。あまりこれは好きではないのだが、背に腹は代へられぬ。電子ブック聖書には1991年に出たものと、1997年に出た新共同訳がある。新共同訳はあまり馴染めないので、1991年の方を註文。6000円(+手数料340円)であった。文語訳があればもっといいのだが、そんなものはない(と思ふ)。
 新共同訳など、オンラインで検索できるところはあるのだが、つい手元にCD-ROMを置いておきたくなるのは、古い人間だからか。
 しかし、原文、訳文、辞書の三つはひと目で見渡せる場所に配置してゐるのだが、欽定訳聖書が表に出てゐないのが、寂しい。ときたま検索してみたりするだけだから、さほど重要ではないのに、大きなモニタが欲しいといふ欲求が込み上げてくるのはなぜだらう。19インチ+17インチ×2といふ配置にしてみたいものだ。そのためには、グラフィックカードも一枚増設しなければなるまい。


6月26日(土)

 今日こそダンセイニの翻訳に専念するつもりが、MacOSXのX11環境での日本語入力を諦めずに整へようとしてしまふ。いろいろやってゐるうちに、設定が何だか判らなくなってしまった。やうやくemacsで、何とX11なのにAqua側の「ことえり」で仮名漢字変換ができるやうになりさうなところにまで辿り着いた。変換中にはことえりで候補が選ばれるのだが、確定すると文字化けしてしまふ。OpenOffice.org 1.1.2ではまだ日本語の入力ができない。もう少しのやうな気がするのだが。

 MUMmerの使ひ方がどうもよく判らないと悩みながらも、今日はダンセイニの翻訳の日だったと気がついて、早速翻訳に取りかからうと思ったものの、早川書房からジェフ・ヌーン『未来少女アリス』[amazon.co.jp, bk1](風間賢二訳/660円+税/ハヤカワ文庫FT)が届いてしまった。〈プラチナ・ファンタジイ〉第七弾である。これを読まずにゐられやうか。これを読むのだって仕事だと云ってよいのではなからうか。と云ひ訳をして、少しだけ読んでしまったが、今日は我慢をして翻訳に取りかかる。
 この後、〈プラチナ・ファンタジイ〉の新刊は少し休みになる。今まで毎月出てゐたのが、突然出なくなったら、売れ行き不審で打ち切りかと思はれて当然だが、さういふ訳ではない。第二期へ向けて準備を着々と(本当か?)進めてゐるところらしい。

 予定より随分遅れて「時と神々」を訳し始めたが、どうしても意味の通らないところがある。実はProject Gutenbergからダウンロードしてきたテキストファイルを使ってゐたのだが、どうもこれには間違ひがあるやうなのだ。間違ひの感じから予想するに、スキャナで取り込んだ画像をOCRで処理するときの間違ひではないだらうか。やはり印刷されたものが必要だ。それも疑問を感じたときに直ちに確認できなければならない。といふ訳で、先日届いたばかりのThe Complete Peganaをばらばらにして、スキャナの自動給紙装置の力で一気に取り込んでpdf化/OCR処理を行ふ。Tales of Threee Hemispheresの方はちょっとばらばらにする勇気がない。一ページ一ページ(厳密には二ページづつだが)手動でスキャナを動かして電子化しなければなるまい。The Man Who Ate the Phoenixは15000円以上するので、本を開いてはスキャンしてゐるものの、たとへそれだけでも、頁をぐわっと押し広げるたびに心が痛むのである。それなのに、一冊しか持ってゐないダンセイニの本をばらばらに切ってスキャンしてしまふとは。もう一冊買はうかな。


6月25日(金)

 河出書房新社のO氏から『夢見る人の物語』の表紙絵のファイルが届いたので、ご紹介します。この頁にはなるべく画像ファイルは載せたくないので、別館の方に準備したので、そちらでどうぞご覧ください。第一巻よりも明るくなって、いい雰囲気だと私は思ひます。書店で手に取ったらつい買ひたくなってしまふでせう。問題は、手に取りやすいところに置いてもらへるかといふことでせうか。河出文庫って目立たない場所に置いてあることが多いので心配です。八月上旬刊行予定です。

 先日、Alibrisに註文したComplete Peganaが届く。図書館の放出本で実に汚い。図書館のシールもいろいろと貼ってある。これくらゐ汚いと、コピーを取ったりするのも気楽にできるので、これもまた考へやうによってはいいことである。100ドル以上もするダンセイニの初版を、保存状態がいいものなのに、ぐわっと開いてコピーをとったりするのは本当につらい。仕事に必要だからするけど。当然のことながら、新刊書だったら二冊買ひ、一冊をばらばらに切って自動給紙装置で一気にpdf化をするのだが。
 序文をざっと読んでみたが、どうしてこれにヤン川三部作が入ってゐるのか、よく判らなかった。

 話は変はるが、embossRUNNERをダウンロードして使ってみた。なかなか使ひやすいではないか。Kaptainを使った方法が紹介されることが多いやうだが、これなら、Aqua側で操作できるではないか。ちなみにネットワーク越に使ふときにはEMBOSS::GUIを利用してゐる。これもあまり紹介されることがないやうな気がするが、どうしてのなのだらう。


6月24日(木)

 昼間はBLAST検索を実行するとどうしてもエラーが出てしまふファイルが一つだけあって、どうしても問題点が確定できず諦めて、帰宅する。すると東京創元社から葉書が届いてゐて、『怪奇礼讃』の刊行日程が書いてあった。さうか、かういふのが届くのか。全然知らなかった。
 それによると、刊行は7月28日頃である。各所の文庫新刊情報の類ひでは、上旬刊行になってゐるやうだが、28日前後である。もうすぐダンセイニの『夢見る人の物語』が出ようかといふ時期である。部数は文庫としてこれ以下はあり得ないといふぎりぎりの数字。発売前からすでに稀少本に近い(ちょっと大袈裟)ので、早めにお買ひ求めください。

 一昔前では考へられないやうな本が刊行されるやうな気がする昨今であるが、それは、現実離れした物語が受入れられやすい状況が少し戻ってきたといふのは確かにあるのだが、それよりも、一昔前では考へられないやうな部数で文庫本が刊行されるやうになってきたといふことも、大きな要因であらう。翻訳家の人は大変だらうと思ふ。一冊訳しても収入は二分の一、三分の一と減ってしまふのだから。私は出したいものを訳してゐるだけなので、出したいものが出せる状況の方が嬉しいが。


6月23日(水)

 昨日の記述は間違ってゐた。「二種のバクテリアの全遺伝子を互いにBLASTで総当たりで相同性を探してみたり」しても十分以内に終はってしまふ。あれは、「バクテリアの全遺伝子それぞれを、GenBankに登録されてゐる全遺伝子を相手にBLAST検索すると二晩かかる」といふのが正しい記述だった。PowerMac G5はそんなに遅くはない。
 今日は、二次元電気泳動解析ソフトPSQuestの7.3へのヴァージョンアップで動作確認。さすがにPowerMac G5は速い……一体私は何を書いてゐるのだ。これでは研究者日記になってしまうではないか。

 さて、レイ・ジャッケンドフ『心のパターン』[amazon.co.jp, bk1]は、私がよく判ってゐなかったことや、あまり知らなかったことが出てくるやうになって、だんだん面白くなってきた。しかし、通勤時間だけではなかなか読書時間が足りない。何しろ電車に乗る時間が7分くらゐしかないのだ。一日往復15分では読書は捗らない。

 倉田卓次『裁判官の書斎』[amazon.co.jp, bk1]がまつおか書房から届く。実に状態のよい本である。愛読者カードまで入ってゐるではないか。5刷りだけど。
 これで読みたかったのは、「時と神々」の翻訳に関する記述。著者が元裁判官だから、本書に登場する誤訳の話は主に法律用語に関すること。この作品でも最初の例は "the law" の訳し方が変だといふものなのだが、「一々あげないけど、そういう無神経さがこの一篇だけで何十箇所もあった」などと手厳しく書かれてゐる。翻訳は恐ろしいものである。
 さういふ所謂誤訳があったとしても、荒俣訳ダンセイニの躍動感や勢ひは逆らひがたい魅力がある。所謂誤訳がなくても、死んだ魚の眼のやうなどんよりした文章ではどうしようもない。何しろ相手はダンセイニである。

 そのダンセイニのイギリス版 Fifty-One Tales を数日前にAlibrisに註文したものは、売り切れとかで註文はキャンセルになったといふ聯絡があった。早速、再検索して註文。今度はAbebooks経由でDyskolos Booksに$25.00のものを。初版初刷ではなく、"later printing" と書いてあったが、時間と資金が足りないので、とりあへず註文する。送料は、$9.00(遅い方)。

 『怪奇礼讃』の話を少し。東京創元社にはメールマガジンといふのがあるやうで、それの5月25日の号で本書が紹介されてゐる(題名だけだけど)のはいいのだが、何と題名を間違へてゐる(漢字が違ふ)ばかりか、編者の名前が違ってゐるではないか。私の名前は間違ってゐないのだが、共編者の名前が別の翻訳家の名前になってゐる。合ってゐるのは最初の「吉」の字と、最後の「子」の字だけだ。間の三文字は全く違ふ。いくら何でもこれは酷いなあと思った。

 その『怪奇礼讃』は、本当はいつ出るのだらうか、解説とか表紙はどうなったのだらうかと思って、さういふことはやはり担当編集者の人に訊かなければ判らないと気づき、メールを出したが二日経っても返事はない。だから、はっきりしたことはまだ報告できないのである。つまらないから、収録作品一覧をここに載せてしまはうかなと思ったが、ダンセイニの翻訳を急がねばならないことを思ひ出し、また今度にする。


6月22日(火)

 小説を読むのを控へてゐるので、レイ・ジャッケンドフ『心のパターン』[amazon.co.jp, bk1]を通勤のときに読んでみることにした。これは判りやすい。専門家以外の人に判りやすいやうに文章が工夫されてゐるし、訳文も普通の日本語になってゐる。専門書は、わざと判りにくく仕上げてゐるのではなからうかと思ひたくなるやうな文章になりがちだが、本書は真っ当な日本語になってゐる。人間が自然な言語を自然に習得するのはどうしてかといふやうなことが書いてあるのに、それが自然な言葉でなかったら困る訳だが。しかし、残念なことに、私の知らないことがあまり書いてないのだ。でも、まだ全体の三分の一くらゐか。これから、未知なることが沢山書いてあることを期待して、読み進めることにしよう。

 職場のPowerMac G5にA/G BLAST 2.2.9をインストールしたり、EMBOSSに制限酵素切断部位の情報を入れたり、ClustalWをemmaから動かせるやうにしたり、やうやくMacOSXに慣れてきたやうな感じがする。二種のバクテリアの全遺伝子を互いにBLASTで総当たりで相同性を探してみたりすると、二晩近くかかってしまって、もっと速いコンピュータが欲しいと心の底から感じてしまふのである。家で翻訳をしてゐるときには、もっと速いのが欲しい今すぐ欲しいと思ふことは今のところはないので安心である。自分の頭が追ひついて行かないので。


6月21日(月)

 午前中にAmazon.co.jpで、『怪奇礼讃』に9000番くらゐの順位がついてゐるのを見たやうな気がするのだが、その順位は消滅して、夜になって140000番くらゐの番号で復活した。随分、低いものだ。
 この作品を選び始めたのは三年くらゐ前のことなのだが、随分昔のやうな気がする。まだ三年しか経ってゐないのか。候補にあがったものの落ちていった作品がたくさんあった。たとへば、ジョン・メトカーフの"The Smoking Leg"とか"The Bad Land"、アーサー・キラ=クーチの"The Seventh Man"や"Old Aeson"は、優れた作品だとは思ったが、今回の作品集にはどうも合はないやうは気がして、落選。ニュージェント・バーカーの"One, Two, Buckle My Shoe"といふ作品は、何とも妙な作品で是非収録したかったが、英語がどうにもかうにも歯が立たなかったので断念。5行も訳せなかった。ベリスフォードは"Powers of the Air"はどうかと思ったものの、結局はあの名作に。E・ネズビットは当落線上を彷徨った作品がいくつかあった。ジョン・コリアの"The Invsible Dove-Dancer of Strathpheen Island"といふのは、入れてもいいのかも知れないと思ったが、全然ジョン・コリアらしくないので却下。いつの間にか消えてしまったのはF・マリオン・クロフォードの"The Doll's Ghost"。訳し終へてから、既訳があるのに気づいて、翻訳の苦労が泡と消えたブラックウッドとか(一度は目次から消えたが復活したラスキといふのもある)。他には、腹を割かれる話は嫌だといって落としたものとか、鳥に襲はれる話は嫌だといって落としたものとか、いろいろある。
 収録した作品の何倍もの話を読まねばならなかったわけで、アンソロジーを作るとはさういふものであるのは当然で、何倍もとは云ってもかなりの高確率で作品が選ばれていった方だとは思ふものの、もうこんなことは二度と出来ないやうな気がする。編者二人で分担して作業をしたから何とかできたが、もう二度とできまい。


6月20日(日)

 東京創元社からデイヴィッド・アーモンド『秘密の心臓』[amazon.co.jp, bk1](山田順子訳/1500円/東京創元社)をいただく。ありがたうございました。『肩胛骨は翼のなごり』[amazon.co.jp, bk1]のアーモンドである。こんどの作品はサーカスが舞台になるらしい。
 中に挟まれてゐた6月の新刊案内に近刊として『怪奇礼讃』が載ってゐた。やはり本当に出るのだ。

 今日はほぼ一日ダンセイニの翻訳。しかし、全然捗らない。今やってゐるのが「時と神々」だからか。「時と神々」は「ペガーナの神々」の2.5倍ほどの長さがあるといふことを私はつい最近知った。そして、驚き狼狽へ戸惑ひ嘆き、かうして翻訳に取り組む毎日である。ペガーナの神々に助けを求めてみるが、あまり助けてくれさうな神々ではない。


6月19日(土)

 小説を読むのを控へてゐるので、岩木秀夫『ゆとり教育から個性浪費社会へ』[amazon.co.jp, bk1]を読む。必ずしも釈然としない部分もあるが、どういふ流れでゆとり教育なるものが擡頭して来たのかが判った(やうな気がする)。

 bk1から倉田卓次『裁判官の書斎』[amazon.co.jp, bk1]が入手できなかったといふ聯絡がある。仕方がないので、スーバー源氏で検索してまつおか書房に註文。「正・続」合わせて1800円(+送料)である。

 昼からはダンセイニの翻訳に専念しようと思ったのに、MacOSXのX11環境の日本語入力を設定しようなどと試みて時間を潰してしまった。そんな必要もないのに。結局、日本語は入力できるやうになってゐない。


6月18日(金)

 疲れてゐるので翻訳もできず、ダンセイニの資料をスキャナで取り込んだりするのみ。本を読む元気もない。尤も、今はダンセイニを頭の中に満たしておかねばならないので、あまり小説は読めないのだ。家では『舊新訳聖書 文語訳』[amazon.co.jp, bk1]のページを捲ってゐる。ダンセイニの文体は欽定訳聖書の影響を強く受けてゐるといふのは有名なので、これくらゐなら読んでもよからうと思って。新共同訳なんか読んでもダンセイニとは全然雰囲気が合はないやうな気がするので、文語文だ。もちろん文語体で訳さうといふ訳ではないのだが。
 Amazon.co.jp『世界の涯の物語』は在庫がなくなって「通常2〜3週間以内に発送します」といふ表示になってゐるといふ文句を書いたせゐか(違ふでせう)、「3日以内に発送」に変はってゐた。よかった。
 AlibrisからComplete Peganaの発送の聯絡がある。


6月17日・夜(木)

 bk1はどうして二ヶ月分まとめてクレジットカードの請求をするのだらうか。今日の明細書には4・5月分の支払ひが請求されてゐた。先月は、4月はあまり本を買はなかったのだなと勘違ひして、五月には沢山本を買ってしまったではないか。それとも、わざとさうしてゐるのか。勘違ひしてうっかり大量の本を買はせるために。
 これでは私が毎日のやうに本を買ってゐるやうに見えてしまふではないか。

 そのbk1から本が届いた。恩田陸『Q&A』[amazon.co.jp, bk1]と丸谷才一『ゴシップ的日本語論』[amazon.co.jp, bk1]である。すぐに読みたいが、今はダンセイニで手一杯。しばらく読めさうにない。

 ダンセイニの資料として、Fifty-One Talesのアメリカ版初版をAlibrisを通して註文。$14.95の本に対して送料が$7.49で、合計$22.44。

 『怪奇礼讃』の収録作家について、ここだけの話ですが、こっそりお教へします。是非買ってください。マーガニタ・ラスキ、ウィリアム・ホープ・ホジスン、ヒュー・マクダーミッド、E・F・ベンスン、H・R・ウェイクフィールド、ダイラン・トマス、マーティン・アームストロング、ローザ・マルホランド、ロード・ダンセイニ、アルジャナン・ブラックウッド、ジェイムズ・ホッグ、マージョリー・ボウエン、A・M・バレイジ、A・J・アラン、エイドリアン・アリントン、オリヴァー・オニオンズ、S・ベアリング=グールド、メアリ・エリザベス・ブラッドン、エイミアス・ノースコート、メアリ・コルモンダリー、G・W・ストーニア、J・D・ベリスフォードです。よろしくお願ひします。

 さっき書き忘れたのだが、ジュンク堂書店池袋本店『世界の涯の物語』の在庫が20冊増えて28冊になってゐた。追加分は二刷りだらうか。一方、Amazon.co.jp『世界の涯の物語』は在庫がなくなって「通常2〜3週間以内に発送します」といふ表示になってゐる。そんなにかかるのでは誰も買ふまい。早く在庫を補充して欲しいものだ。ちなみに、bk1では、『世界の涯の物語』は24時間以内発送可能になってゐる。よかった。


6月17日・朝(木)

 あ、『怪奇礼讃』(903円/創元推理文庫)がAmazon.co.jpで予約可になってゐる。bk1ではまだだ。
「発売予定日は2004/07/31です」と書いてある。各所の七月の新刊予定一覧などと眺めてみると七月上旬となってゐるのだが。
 幻想怪奇アンソロジーですが、怪奇とも幻想とも云ひ難い妙な作品も多数入ってゐます。一つよろしくお願ひ申し上げます。


6月16日(水)

 In the Land of Time and Other Fantasy Talesがやうやく届いた。海外からの本は郵便局からの配達になるわけだが、この本は郵便受け(公務員宿舎なので、八軒の郵便受けが並んでゐる)の上に無造作に置かれてゐた。といふのを私は目撃してゐないのだが、前にさういふ状態で置かれてゐた本の宛先を確認して持って帰ったことがあるので、今回もさうだったのだらう。自分で見てゐないのにどうして知ってゐるのかといふと、Amazon.co.jpからの本を届けてくれた宅配便の人が、さう報告して一緒に持ってきてくれたのだ。私が帰宅したときにはその小包みは郵便受けの中になかったから、昼間一度本を配達に来たときにそれを目撃し、これはひどいと思って住所と宛先を確認して、ちゃうど荷物を配達するところだからと四階の私の家まで持って来てくれたのだらう。しかし、私は不在だった。そこで、きっと再び郵便受けの上に放置するに忍びず、Amazon.co.jpからの荷物と一緒に保管して一日持ち運び、再び夜になって配達してくれたのだらう。親切な人である。全く15000円もしたダンセイニの本を、誰のものだか判らなくなるやうな状態で放置して帰らないやうにしてもらひたいものだ。

 親切な宅配便の人が届けてくれたAmazon.co.jpからの荷物には、Michael White "Tolkien"が入ってゐた。


6月15日(火)

 ダンセイニ短篇集第三巻と第四巻について、その内容がほぼ固まったので、ここに報告致します。

第三巻『時と神々の物語』
 1. The Gods of Pegana(全作品)
 2. Time and the Gods(全作品)
 3. Tales of Three Hemispheres(全作品)
 4. The Ghosts of the Heaviside Layer and Other Fantasms(小説のみ。ジョーキンズ作品を除く)

第四巻『最後の夢の物語』
 1. Fifty-one Tales(イギリス版とアメリカ版の差し替へ作品を両方収めて52篇を完全収録)
 2. The Man Who Ate the Phoenix(全作品)
 3. In the Land of Time and Other Fantasy Talesから、初めて単行本に収録された二篇。

 これまで分量にして半分以下しか邦訳のなかった「時と神々」は、初めて全作品が日本語になります。第三巻収録の4は、当時単行本未収録だった小説やエッセイをまとめた本ですが、決して忘れられて当然といった作品を集めた落ち穂拾ひのやうなものではなく、既訳のある「電離層の幽霊」、「秋のクリケット」あるいは「谷間の幽霊」を読んでも明らかなやうに、印象深い優れた作品が収められてゐます。第四巻の2は、41篇の作品を収録した、邦訳すると640枚程度にもならうかといふ短篇集なのに、ほとんど日本では紹介されてゐなかった(邦訳があるのはおそらくただ一篇)貴重な作品集。さらに、四-3にのみ収録されている二篇を加へて、全四巻でダンセイニの幻想短篇小説をほぼ網羅した内容になってゐる思ひます。三巻・四巻は、その分量が第一巻第二巻の凡そ五割増(値段も少し上がります)。第三巻は来年春、第四巻は来年初夏という刊行予定になってゐます。
 ちなみに第二巻『夢見る人の物語』は、八月初旬刊行予定。三巻四巻ももちろん河出文庫です。突然、ハードカバーになったりはしません。
 といふことで、これから数ヶ月はダンセイニに明け暮れることになりさうです。


6月14日(月)

 Alibris.comで註文したArthur C. Clarke and Lord Dunsany: A Correspondenceが届く。興味深いが面白かどうかは判らない。

 ダンセイニ短篇集の第三巻、第四巻の内容がほぼ決まった(と思ふ)。大変なことになってしまった。


6月13日(日)

 bk1から、『認知言語学入門 第5巻 認知文法論2』[amazon.co.jp, bk1]、『ゴシック名訳集成西洋伝奇物語』[amazon.co.jp, bk1]、ロバート・ジョーダン『闘竜戴天 3 九つの月の予言』[amazon.co.jp, bk1]、『東京大学バイオインフォマティクス集中講義 』[amazon.co.jp, bk1]が届く。
 バイオインフォマティクスの本は、大学の教科書といった感じで、基本的なことが記されてゐるのはいいのだが、分量が少なくて些か物足りない。そんなことはどうでもよくて、今回注目すべきは『ゴシック名訳集成西洋伝奇物語』であらう。歴史的名訳によるゴシック小説を収めたといふ本書の大半を、平井呈一訳「おとらんと城綺譚」と黒岩涙香訳「怪の物」が占める。こんな文語体の翻訳作品を収録した本が、文庫本で刊行されるとは一体どういふ時代になったのだらう。何か素敵な夢を見てゐるとしか思へない。ページを捲ってみれば、意外にその文章は読みづらくはなく、のびのびといた自由な日本語を読む愉しみに心が満たされる。今はどうしてこんなに窮屈な翻訳になってしまったのだらう。といっても、突然完全なる自由を与へられても、このやうな名訳を生み出す能力を自分が持ってゐないことは十分承知してゐる。

 早速、平井呈一や黒岩涙香の訳文に浸りたいのを我慢して、今日はダンセイニのThe Ghosts of the Heaviside Layer and Other Fantasmsに収録されてゐる小説作品のpdf化に取り組み、完了する。In the Land of Time: And Other Fantasy Tales (Penguin Classics)収録の、これまで単行本未収録だった短篇二つについても同様に。
 ダンセイニの作品リストを眺めたり、本のページを捲ったりしてゐると、「時と神々」は思ひの他邦訳されてゐないのだといふことに気づき驚く。日本語で読めるのは半分にも遙か及ばないのではないだらうか。作品数ではなく、その分量では。
 "The Man Who Ate the Phoenix"をときをり捲ったりしながら、別のダンセイニの作品の翻訳に取りかかる。必死で呼び戻さうとしても、なかなかダンセイニが頭と躰に戻って来ない。本当にごく稀にだが、指先からダンセイニが滲み出して来るやうな気になることもあるのだ。滅多にないことだが。


6月12日(土)

 ダンセイニの"The Man Who Ate the Phoenix"を読む。まだ、五分の一くらゐしか読んでゐないが、どれもいい雰囲気である。初期短篇のやうな神話的な色彩は薄いが、ダンセイニ独特の法螺話とか、現代文明への不快感に満ちた原始の力を讚える話とか。しかし、分量が予想の三倍くらゐあることに気づき激しく狼狽へる。

 狼狽へたあまりbk1に本を註文してしまった。
○恩田陸『Q&A』[amazon.co.jp, bk1](1785円/幻冬社)
○丸谷才一『ゴシップ的日本語論』[amazon.co.jp, bk1](1500¥/文藝春秋)
 狼狽へて思はず註文してしまっただけなので、控へ目である。恩田陸の本は半ば自動的に新刊は購入するやうなこの頃ではあるが、今は買っても読む時間がないかも知れない。ダンセイニで手一杯だから。丸谷才一の方は、題名が変なのでしばらく迷ってゐたのだが、狼狽へた勢ひで思はず註文。


6月11日(金)

 bk1に倉田卓次『裁判官の書斎』[amazon.co.jp, bk1](2100円/勁草書房)を註文。これもダンセイニの資料である。

 『世界の涯の物語』[amazon.co.jp, bk1]の増刷分ができたやうです。判明した間違ひなどの修正がなされてゐます。マニアの方々におかれましては、店頭で奥付をご確認の上、お買ひあげいただきたくお願ひ申し上げます。

 ダンセイニの未訳短篇に眼を通す日々が続く。これが、なかなか進まない。


6月10日(木)

 昨夜寝る前にもう一度アップルコンピュータのホームページを覗いてみたら、AirMac Expressがアップルストアで註文できるやうになってゐたので、早速註文。

 ダンセイニ翻訳者の一人、安野玲さんから借り受けたダンセイニの"The Man Who Ate the Phoenix"が届く。初期短篇集とは違ひ、文字が詰まってゐるではないか。とにかく、急いで読まねば。
 一体私のはいつ届くのだ。

 颱風が近づいてゐるので、bk1に本を註文(全然理由になってゐません)。
『認知言語学入門 第5巻 認知文法論2』[amazon.co.jp, bk1](2415円/岩波書店)
『ゴシック名訳集成西洋伝奇物語』[amazon.co.jp, bk1](1470円/学研M文庫)
○ロバート・ジョーダン『闘竜戴天 3 九つの月の予言』[amazon.co.jp, bk1](斉藤泊好訳/672円/ハヤカワ文庫FT)
 以上三冊。

 今日はもう眠くて何も書けない。続きは明日。


6月9日(水)

 alibris.comから、ダンセイニの"The Man Who Ate the Phoenix"の発送の聯絡がある。遅いではないか。

 日刊ゲンダイの「文庫あらかると」といふ欄で『世界の涯の物語』[amazon.co.jp, bk1]が紹介されたといふ(8日発行の9日付けのものに)。書影も掲載されてゐるとか。それで、一人でも読者が増えればいいのだが。Amazon.co.jpの順位が300番台に再度急浮上したのはそのせゐ? まさかね。

 ところで、ジュンク堂書店池袋本店の在庫を見てみると、『魔法使いとリリス』[ジュンク堂, amazon.co.jp, bk1]の在庫冊数が8冊になったり9冊になったりするのだが、なぜだらうか。8冊になると一冊づつ補充するのか。それとも、何らかの理由で返品した客が二人続けてゐたのか。それとも、二回続けて在庫の数へ間違ひをしたのか。


6月8日(火)

The Complete Pegana: All the Tales Pertaining to the Fabulous Realm of PeganaAmazon.co.jpに註文しようと思ったら、在庫切れだった。アメリカのAmazon.comでも新刊書は在庫がなく、仕方がないので、alibrisに註文。$34.95プラス送料$11.95である。
 しかし、この本、表紙が不気味である。それに、「Call of Cthulhu Fiction」ってどういふことだ? 全然Cthulhu神話ではないと思ふのだが。
 今日は妙に疲れていつものやうに速く歩けない。かういふ疲れの数日後に激しい胃の痛みに襲はれる率が高いので、すぐに休まなければ。ダンセイニ短篇集第三弾の翻訳分担表を作ったり、『夢見る人の物語』のあとがきの修正をして就寝。


6月7日(月)

 Amazon.co.jpから、"In the Land of Time: And Other Fantasy Tales (Penguin Classics)"が届く。これまで単行本未収録だった短篇が二つ収録されてゐる。S. T. Joshiの註釈つき。ダンセイニについていろいろ考へてみたりする。

 bk1から、千野栄一『外国語上達法』[amazon.co.jp, bk1]、岩木秀夫『ゆとり教育から個性浪費社会へ』[amazon.co.jp, bk1]、メルヴィン・ブラッグ『英語の冒険』[amazon.co.jp, bk1]の三冊が届く。ああ、『外国語上達法』[amazon.co.jp, bk1]をうっかり最後まで読んでしまった。そんな暇はないのに。実は、トールキンの本を読んでゐて、どうしてあんなに言葉を操ることができたのかなと思って、さらにシュリーマンの『古代への情熱』を読んだときのことなどを思ひ出してしまったからだ。当たり前のことしか書いてゐないのだが、当たり前のことを、さうだと主張していいのだと確信と安心を抱くことができてよかった。

 ダンセイニの第三第四短篇集の翻訳は、時間と翻訳者が絶望的なまでに足りないことが判明し、狼狽へながらも早速訳し始めてみたものの、五行くらゐで力尽きてしまふ。一度抜けたダンセイニはなかなか躰に戻って来ないのである。


6月6日(日)

 bk1から、常盤新平『ニューヨークの古本屋』[amazon.co.jp, bk1]、関戸克己『小説・読書生活』[amazon.co.jp, bk1]、『ガーネット傑作集 1  狐になった人妻/動物園に入った男 』[amazon.co.jp, bk1]の三冊が届く。しかし、今は読んでゐる時間がない。そっと書棚に収める。

 英語のトールキン関連本を読み終へ、感想や評価など記してファイルを出版社へ送信。念のため資料を追加して註文しておく。Amazon.co.jpに、Michael White "Tolkien" (Little Brown, 2001, ¥3060) を。

 ダンセイニ短篇集のために、The Ghosts of the Heaviside Layer and Other Fantasmsの小説作品をpdf化しようと作業を始めるものの、一つで力尽きてしまふ。


6月5日(土)

 久しぶりに頭痛の予感がして、早めに帰宅。昼寝をするがなかなか痛みは消えない。酷くもならないのだが、いつまでも消えないので仕事はできない。

 それでも、ときどき起きて『J・R・R・トールキン』[amazon.co.jp, bk1]を読む。夕方にはなんとか読み終へる。きちんとした評伝なので、イケル・コーレンの『トールキン』[amazon.co.jp, bk1]が如何に薄っぺらな内容かがよく判ってしまふ。トールキンと言語の関係とか、一連の中つ国の物語がどのやうな経緯を辿って生み出されてきたかが、ハンフリー・カーペンターの本を読むとよく判る。

 続けて英語のトールキン関連本(二冊の評伝を読んだのはこの仕事のための準備である)を読み始めるが、頭が痛いので進まない。

 alibris.comからArthur C. Clarke & Lord Dunsany: a Correspondence.の発送の通知がある。"The Man Who Ate the Phoenix"の方が少々急いでゐるのだが、まだだらうか。


6月4日(金)

 ダンセイニ短篇集第三冊第四冊の刊行がほぼ確定。幻想短篇全集のやうな方向で努力するといふ方針で。

 『J・R・R・トールキン』[amazon.co.jp, bk1]はまだ終はらない。

 Locus6月号が届く。広告や書評を眺めてゐると何冊か欲しい本があるものの、今日は眠いので註文は明日以降といふことに。

 私が作品を選んだSFマガジンの特集は11月号に延期になったものの、これでほぼ確定。だが、驚くなかれ、今回はファンタジイ特集ではないのだ。

 眠いが、bk1に一冊だけ本を註文。『東京大学バイオインフォマティクス集中講義 』[amazon.co.jp, bk1](2800円/羊土社)である。なんだか同じやうな本ばかり買ってゐるやうな気がしてきた。
 『6か国語 大図典』[amazon.co.jp, bk1](8400円/小学館)に激しく心動かされるが、今日は我慢する。この頃、本を買ふ資金が枯渇してきてゐるのだ。


6月3日(木)

 流石にハンフリー・カーペンター『J・R・R・トールキン』[amazon.co.jp, bk1]はあっといふ間には読み終はらない。

 内容については記さないが、嫌な仕事が一つ終はったので、bk1に本を註文。
○千野栄一『外国語上達法』[amazon.co.jp, bk1](735円/岩波新書)
○岩木秀夫『ゆとり教育から個性浪費社会へ』[amazon.co.jp, bk1](756円/ちくま新書)
○メルヴィン・ブラッグ『英語の冒険』[amazon.co.jp, bk1](三川基好訳/1890円/アーティストハウスパブリッシャーズ)
○常盤新平『ニューヨークの古本屋』[amazon.co.jp, bk1](1995円/白水社)
○関戸克己『小説・読書生活』[amazon.co.jp, bk1](2940円/国書刊行会)
『ガーネット傑作集 1  狐になった人妻/動物園に入った男 』[amazon.co.jp, bk1](池央耿訳/2100円/河出書房新社)
 疲れた日にはつい本を買ってしまふ。しかし、資金不足で『海の上の少女 シュペルヴィエル短篇選』[amazon.co.jp, bk1](綱島寿秀訳/2520円/みすず書房)が買へない。

 alibris.comからメールが来た。ダンセイニの"The Man Who Ate the Phoenix"に関してである。"We wanted to let you know we haven't forgotten your order for the item listed below."といふ文で始まる手紙だが、本当に忘れられてしまったのではないかと思ってゐた。"We have received confirmation that it is available, and we expect it to ship soon. We'll send you a shipment notification e-mail when your book ships."といふことなので、どうやらこの本は確保できたやうだ。


6月2日(水)

 東京創元社近刊案内のページ『怪奇礼讃』の案内が載った。いよいよ本当なのだ。「巨匠の名品をはじめ、怪談通を唸らせる逸品、奇妙な味わいやユーモアに満ちた珍品、そして極めつけの恐怖譚……本邦初訳作を中心に22篇を厳選。古風な怪奇小説をご賞味あれ。」といふ紹介文。どこから読んでも面白い。まあ、私と共編者で選んだのだから、私にとって面白いものが集まってゐるのは当たり前だが。

 Amazon.co.jpから、ハンフリー・カーペンター『J・R・R・トールキン』[amazon.co.jp, bk1]が届く。早速、読み始める。これは仕事である。

その仕事の本体が、ある出版社から届く。急いで読まねば。


6月1日(火)

 イケル・コーレン『トールキン』[amazon.co.jp, bk1]はあっといふ間に読み終へてしまった。いいのか、こんなに早く終はってしまってと狼狽へるほどであった。思はず、100ページくらゐ落としたのではないかと、机の下を探してしまった(といふのは嘘だ)。トールキンの生活はなんとなく判ったやうな気分になれるが、中つ国に対する思ひのやうなものは全くといっていいほど伝はってこない。残念。

 "Fifty-one Tales"のイギリス版初版(二刷だった)が届く。挿絵がないのが寂しい。それよりも前に註文したThe Man Who Ate the Phoenixは一体どうなってゐるのだらう。

 「週刊朝日」の書評コーナーの後ろの方にある〈文庫主義〉といふ欄で『世界の涯の物語』[amazon.co.jp, bk1]が紹介されてゐるらしい。少し読者が広がってくれればいいのだが。

 疲れてゐるので、Lionel Roggをまた聴いてしまふ。


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