12月31日(水)

 紀伊國屋書店から、レスリー・デンディ&メル・ボーリング『自分の体で実験したい』(1900円+税/紀伊國屋書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。ちらりとページを捲っただけで、悲惨な実験が垣間見えてしまって読むのが怖くなってしまった。でも、読みたいと思ってゐる。

 佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』(760円+税/文春新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。毎日新聞低俗記事事件のことは、何となく知ってゐたが、実はどういふものだったのかを初めて本書で知った。私は古典的な情報源から物事を知る方が好きなのかも知れない。いや、きっとさうだ。本書では、世代間の衝突といふ観点からブログ論壇(あるいはネット論壇)を捕へてゐる。古い世界の言論を支配してゐた団塊の世代と激しく対立するロストジェネレーションの世代である。さうすると私はちゃうどその両者の間に位置するといふことにならうか。それは十七世紀のコーヒーハウスの討論に似た状況だといふ。そこでは参加自由でタブーがなく、発言者の社会的地位が度外視されてゐる。なるほど、さういふ目で見ると、ネット論壇の形成と影響力は興味深い。
 本書で何度か触れられてゐることだが、マスメディアが小泉元首相を「ワンフレーズ政治だ」と嘲笑し、ロストジェネレーションの世代を中心とするインターネットの世界では逆に「小泉を支持しよう」といふ声が飛び交ったことがあった。この認識自体は私も同じなのだが、どうしてかうなるのかが全く理解できない。小泉改革で最も苦しめられたのがこのロストジェネレーションの世代ではないのか。郵政解散のとき、あまり小泉改革で苦しまない層の方が小泉政権に懸念を抱き、最も苦しむ層が圧倒的に支持したやうに感じられてならないのである。前に読んだ香山リカの本では、自分たちよりも少しだけ上の、少しだけいい目を見てゐるを層を引きずりおろすことに喝采し、遙か上の層がますます肥え太っても何ら関心がないのだと書いてゐたが、さういふことなのだらうか。ネット論壇と直接関係のあることではないのだが。

 もう一つ、直接関係ないことなのだが、この中で「直截」に「ちょくさい」と振り仮名が降ってあった。「ちょくせつ」ぢゃないのか。辞書にも「ちょくせつ」と書いてある。あ、今日初めて知ったのだが、「ちょくさい」は慣用読みなんて書いてあるぢゃないか。さうだったのか、「独擅場(どくせんじょう)」を「どくだんじょう」といふやうなもの? 「洗滌(せんでき)」を「せんじょう」といふやうなもの? 「口腔(こうこう)」を「こうくう」といふやうなもの?

 今年も今日で終はりである。私はあまり一年の区切りに重要な意味を見出してゐないので、どうでもいいのだが、買った本の数くらゐ数へてみようか。折角かうやって日記を書いてゐるのだから。黒丸と白丸の数を集計するだけだから、簡単なのだ。さういふふうに作ってゐるのだ。
 和書が267冊、洋書が72冊、合計339冊である。一日あたり0.94冊である。日本人の平均値と比べると多いだらう。私は随分我慢してゐるのだが。買ふ本よりも読む本を増やしたい。


12月30日(火)

 今月後半に紀伊國屋書店に註文した本がばらばらと届いてゐる。ここは、発送時に宅配便のお知らせが来て、配達日時を予め設定できるのである。註文するときにはそんないつ届くか判らない本の配達時間なんか指定のしようもないのだが、何日に配達予定だけど何時がいいですかと問はれれば答へられるわけだ。さうやって、昨日今日と答へてゐたら、明日も明後日も本が届くことになってしまってゐた。宅配便の人は大変だ。大晦日も元日も配達しなければならない。

 今日はちょっと忘れ物などあって、予定外の出勤。パトリシア・A・マキリップ『茨文字の魔法』(原島文世役/940円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店]を読みながら。図書館の謎めいた本がたくさん出てくるので、楽しい。まだ、ほんの最初だけど。
 帰りに紀伊國屋書店福岡店に寄って、
●岩田昭男『「信用偏差値」』(730円+税/文春新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』(760円+税/文春新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。まづは『「信用偏差値」』を読む。クレジットカードと電子マネーの話である。その歴史と両者の争ひの話はあまりよく知らなかったことなので興味深い。それで、最近は電子マネーに押され気味だったクレジットカードは、個人の信用の格付けを行ふことで逆襲しようとしてゐるところだといふ。クレジットカード会社が大銀行系列へと統合されてきて、それと相まって信用情報の一本化が成功し、これからさういふ時代に入る可能性が高いといふことである。それはアメリカが辿った道であり、そこからサブプライム問題も発生したのだが、さういふものを日本はそのまま取り入れようとするのは危険だと警告しつつ、さうはいっても、そこで生きていく方策も考へなければならないといって、できるだけ有利にことを運ぶやり方も紹介してゐる。確かに、さういふ方向へ進んでいったとしたときのために準備しておいた方がいいことはあるだらう。とりあへず、無駄に増えたクレジットカードを整理しようか。

 昨日届いた石田基広『Rによるテキストマイニング入門』(2800円+税/森北出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を眺めながら、RMeCabとかRCaBoChaとかをインストールしてみたりする。あ、CaBoChaの新しいのが出てゐたんだ。RMeCabもRCaBoChaもいろいろなことができるものだと感心する。私が仕事で使ふことはあまりなささうだが。


12月29日(月)

 紀伊國屋書店から、高階知巳『プログラミングR 基礎からグラフィックスまで』(3800円+税/オーム社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と石田基広『Rによるテキストマイニング入門』(2800円+税/森北出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。Rの本二冊である。半年前に九天社から出た『Rプログラミング&グラフィックス』を持ってゐるはづなのに何も覚えてゐないのは、読んでゐないからである。これを機会にRを一般のプログラム言語としても使ってみようと思ふ。思ふだけになりさうだが。テキストマイニングの本も役立ちさう。

 呉善花『漢字廃止で韓国に何が起きたか』(950円+税/PHP研究所)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。漢字廃止の歴史については全然知らなかったので私には新鮮であった。日本でも漢字廃止論は何度も出てきてゐるが幸ひにも今も漢字仮名交じり文が通常の日本語として採用されてゐる。仮名遣ひは変はってしまったけれど。日本語で漢字が廃止されたらどうなるかを考へると恐怖以外の何ものでもないのだが、それを実行したのが韓国である。多数の同音異義語による混乱を避けるために漢語由来の言葉の使用頻度が減って、なかなか抽象的な言葉を用いた思考ができなくなってきてゐるのは、日本語で漢語を使はず大和言葉で何でも表現しようとしたときのことを考へれば想像がつくと著者は云ふ(さういふ表現ではなかったかも知れないが)。さう云はれればさうなのかも知れないと思ふけれども、抽象的な思考ができるかどうかを測定したわけでもないので、俄に信じがたい部分もある。著者は韓国での漢字使用と、さらに韓国語では従来なかった日本語の訓読みに相当する漢字の使用法の導入を望んでゐる。多分、それは実現できないだらうと思ふ。日本で歴史的仮名遣ひを復活できないのと同様に。ちょっと違ふか。

 パトリシア・A・マキリップ『茨文字の魔法』(原島文世役/940円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店]を少し読み始める。ネペンテスといふ登場人物が出てきて、それってウツボカズラのことではないかと思ったら、別の意味もあった。調べてみてよかった。あやふくネペンテスといふ名前が目に入るたびにウツボカズラが頭に浮かんできてしまふところだった。


12月28日(日)

 紀伊國屋書店から森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(552円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]とPython GE-PACKT 4. Auglage (Mitp-Verlag; August 2008) [紀伊國屋, Amazon.de]が届く。Python 3.0のことなんか全然書いてゐないぢゃないか。ちぇ、騙された。

 Amazon.co.jpから、塩満典子・室伏きみ子『研究資金獲得法』(1900円+税/丸善)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。当たり前のことが書いてあるだけに見えるとはいへ、持ってゐればそれなりに役に立ちさう。主な科学研究費が一通り紹介されてゐる。

 東京創元社から、パトリシア・A・マキリップ『茨文字の魔法』(原島文世役/940円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店]を東京創元社からいただきました。ありがたうございました。休みのうちに読まう。

 紀伊國屋書店に、
○Michael Pollan The Omnivore's Dilemma (Penguin USA; Reprint版; 2007/8/28) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
○Rosamond Purcell Egg & Nest (Belknap Press, October 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
を註文。気分がすぐれないときは本を註文するに限る。と云ひながらも、それで気分が晴れることは決してない。この鳥の巣と卵の本は一体何なのだらう。不思議なので註文してみた。

 今日は森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(552円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。これは面白い。出てすぐに買って読めばよかった。独特の飄々として且つどたばたとした文体で、乙女と冴えない大学生と妖怪(のやうな者たち)が描かれる。こんな浮世離れした女子大生がゐること自体ファンタジイだが、妖怪(のやうな者)たちも魅力的である。「解説」は私には理解できなかった。
 この作者の本を他にも持ってゐたはづである。うまく見つけられたら読んでみようか。


12月27日(土)

 三崎亜記『バスジャック』(476円+税/集英社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。「二階扉をつけてください」、「雨降る夜に」、「動物園」の三篇が気に入った。「二階扉」は回覧板をきちんと読まなかったために生じる危険性と空間移動の話。「動物園」は特殊な能力で動物を擬態することを職業としてゐる人の話。「雨降る夜に」は雨降る夜に図書館を訪れる若い女の話で、この本の中で一番気に入った作品である。他に、「バスジャック」、「二人の記憶」、「しあわせな光」、「送りの夏」があり、巻末の「送りの夏」はちょっと悲しすぎる話であった。この不思議な感覚は癖になりさうである。


12月26日(金)

 今年の本の註文はもう終はりだと心に決めてゐたのに、また註文してしまった。Amazon.co.jpに、
●塩満典子・室伏きみ子『研究資金獲得法』(1900円+税/丸善)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。先月こんな本が出てゐたとは気づかなかった。

 今日は遅いので、これで。


12月25日(木)

 三崎亜記『バスジャック』(476円+税/集英社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。面白い。語り手の部屋を図書館と思ひ込んで雨の晩に訪ねてくる若い女の話が気に入ってゐる。「二階扉」は私には怖すぎる。薄い本だが、まだ半分も進んでゐない。

 紀伊國屋書店に、
●高階知巳『プログラミングR 基礎からグラフィックスまで』(3800円+税/オーム社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●石田基広『Rによるテキストマイニング入門』(2800円+税/森北出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●レスリー・デンディ&メル・ボーリング『自分の体で実験したい』(1900円+税/紀伊國屋書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文する。もう今年は本の註文はしないと心に決めたばかりなのに。の本二冊と「自分の体で試すことを決意した科学者・医学者たちの涙ぐましい物語」である。「Rプログラミング&グラフィックス」(九天社2008年5月刊)の改題改訂だと実はたった今知った。さういへば、他にも前に九天社から出てゐたR本がオーム社から出たやうな気がするので、九天社のサイトを見に行ってみたら、何と「九天社の跡地」になってゐるではないか。今年の6月に倒産したといふ。全然知らなかった。九天社版を持ってゐる私はこんな本を買ふ必要はなかったといふことなのだらうか。

 紀伊國屋書店から、デイヴィッド&リー・エディングス『高峰の決戦』(宇佐川晶子訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。何か読まなければならない事情がなければ、読まないやうな気がする。


12月24日(水)

 セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をやうやく読み終へる。結局どうしてそれが計算なのか私には解らなかった。よく解らなくても、少しでも新しい概念の本を読めば私の思考に何らかの影響を与へて、いつか気がつかないうちに前とは異なった世界の認識ができるやうになるかも知れないと思ふので、決して無駄な読書ではないと信じてゐる。自分でも気づかないうちに微かな世界観の変化が生じてゐるかも知れない。それが積もり積もって新しい世界が見えてくるかも知れないではないか。量子コンピュータはやはりまだ解らなかった。

 SFマガジン 2009年2月号(940円/早川書房)[Amazon.co.jp]をいただきました。ありがたうございました。特集は「日本作家」。新城カズマ、森奈津子、蘇部健一、樺山三英が掲載されてゐる。

 紀伊國屋書店から、三崎亜記『バスジャック』(476円+税/集英社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 何だかクリスマス・イヴとやらで街が賑やかである。一人で過ごすイヴの夜は悲惨なものらしい。若者たちがクリスマスを恋人と過ごすべき夜と位置づけてゐる理由が私には全く理解できない。ナザレのイエスの誕生日をなぜキリスト教徒でもない日本人たちが挙って祝ふのか。イエスと恋人との関連性は一体どこにあるのか。私には全く理解できない。信仰心がない私には特にイエスの誕生日を祝ふ理由が見出せないので特に何もせずに過ごすが、バッハのクリスマス・オラトリオはいい曲だと思ふ。


12月23日(火)

 紀伊國屋書店から、ジム・ブッチャー『ドレスデン・ファイル3 血塗られた墓』(田辺千幸訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、芦田正巳『統計力学を学ぶ人のために』(2600円+税/オーム社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、『Make Volume05』(1500円+税/オライリー・ジャパン)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、青木正美『古本屋群雄伝』(1200円+税/ちくま文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]、テリー・グッドカインド『魔宮の凶鳥2 選ばれた民』(佐田千織訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、阿部彩『子どもの貧困』(780円+税/岩波新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、藤沢晃治『「分かりやすい教え方」の技術』(800円+税/講談社・ブルーバックス)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、キャロル・エムシュウィラー『カルメン・ドッグ』(畔柳和代訳/1700円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ウィリアム・ギブスン『スプーク・カントリー』(浅倉久志訳/1900円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、大森望・日下三蔵編『虚構機関』(創元SF文庫/1100円+税)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 藤沢晃治『「分かりやすい教え方」の技術』(800円+税/講談社・ブルーバックス)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。申し訳ないが、かなりがっかりした。もう当たり前のことが書いてあって、全然面白くない。意味のない挿絵(漫画)やグラフがあったり、私の嫌ひな強調したいことや要点が箇条書きの太文字で書いてあるし。もう、この箇条書きの一覧表だけでよかったんじゃないかと思ふくらゐである。情熱を持って、押しつけず詰め込みすぎず力みすぎず、褒めなさいとか。間違ったことはまったく書いてゐないと思ふが、それだけではわざわざ買って読む意味がない。

 阿部彩『子どもの貧困』(780円+税/岩波新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。子供に与へられる機会の不平等が圧倒的なものになって、それが次世代に引き継がれるやうになってゐるといふ指摘は今ではもう珍しいものではない。それがきちんとしたデータとともに示されてゐる。出典や解析方法も明記されてゐるので信頼できるといふ印象を受けた。驚いたのは、税金や社会保障制度による所得の再配分後の方が、子供の貧困が悪化しているといふ数値である。この計算を信頼するなら、そんな国は日本だけである。低所得層の方が負担が重く、高所得層の方が負担が軽い。所得の再配分によってさらに所得格差を拡大させてゐるのが本当だとしたら、この国の税金や社会保障の仕組みは完全に破綻してゐるとしか云ひやうがない。本当なのか……

 フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕訳/980円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]の表題作だけ読んでみた。四半世紀ぶりに読んだが、その輝きは今なほ失はれてはゐなかった。この古くさい話がどうしてこんなに素敵なのか自分でもよく解らない。
 巻末の解説を読むと、オブライエンの幻想小説はもう一冊分あるらしい。少し英語の本を買ってみようかといふ気持ちになってしまふのが怖い。きっと読まない本に金を使ってしまふだけだらうから。でも、さういふ気持ちになってしまふだけの魅力がある作家なのだ。


12月22日(月)

 早川書房から、テリー・グッドカインド『魔宮の凶鳥2 選ばれた民』(佐田 千織訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をいただきました。ありがたうございました。

 セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]はもう少し。しかし、よく解らないな。それは実験や観察であって計算ではないのではないかと思ふし、百歩譲って計算だとしてもだから何なんだらう。と思ってゐたら、答へが文中に記されてゐて、新しいパラダイムによって世界を新たな形で考へられるやうになり、学問が進歩し、世界の理解が深まるといふのだ。なるほど確かにさうだ。ちょっと感心した。


12月21日(日)

 今日はセス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へようと思ってゐたのに、あまり進まなかった。なぜなら、三回もパンを焼いてゐたからだ。焼きすぎである……いや、今週の朝食分を焼いておかうと思ふと仕方がないのだが、そんなに自分で焼く必要があるのか、本を読む時間を削ってまで焼く必要があるのかといふ点については自分でも実は疑問に思ってゐる。そのうちパンを嚙みしめながら考へてみよう。

 年賀状を作らうかなと思ふ。来年は丑年らしい。牛である。牛といへば件。件と云へば内田百閒である。でも、うまく年賀状にならなかった。もう一度考へる。来年は丑年らしい。牛である。牛といへばミノタウロスである。ミノタウロスといへばパブロ・ピカソである。でも、うまく年賀状にならなかった。難しい。諦める。

 選書新刊情報に「DOJIN選書」を追加してみた。あまり知られてゐない選書だが、このページがあまりにも寂しいので追加することにした。前に「東洋文庫」を入れてみようかと思ったのだが、刊行点数が多すぎて嫌になった。手頃な選書があったら、また追加してみよう。

 今年はもう本の注文は控へておかうと昨日思ったばかりなのに、今日になったらなぜか本を註文してゐた。紀伊國屋書店に、
○Leonard Mlodinow The Drunkard's Walk: How Randomness Rules Our Lives (Pantheon, May 13, 2008) [紀伊國屋, Amazon.com, Amazon.co.jp]
○Carl Zimmer Microcosm: E. coli and the New Science of Life (Pantheon; 1 edition, May 6, 2008) [紀伊國屋, Amazon.com, Amazon.co.jp]
を。今まであまり買ってゐない類ひの本だが、急に欲しくなって。人は誰でも急に本が欲しくなって我慢できなくなるときがあるはづだ。


12月20日(土)

 今日もセス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。よく判らないなりに、興味深くは感じてゐるので、とにかく読み続ける。量子の世界は苦手である。

 東京創元社から、ロイス・マクマスター・ビジョルド『死者の短剣』(小木曽絢子訳/1200円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を頂きました。ありがたうございました。ビジョルドのファンタジイ新シリーズ(四部作)第一巻である。

 今年もあと十日ほどしか残ってゐない。さうだ、本を買はう。紀伊國屋書店に、
●ジム・ブッチャー『ドレスデン・ファイル3 血塗られた墓』(田辺千幸訳/940円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●デイヴィッド&リー・エディングス『高峰の決戦』(宇佐川晶子訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(552円+税/角川文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●芦田正巳『統計力学を学ぶ人のために』(2600円+税/オーム社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『Make Volume05』(1500円+税/オライリー・ジャパン)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。最初の二冊はハヤカワ文庫FTの新刊。森見登美彦のは二年前のハードカバーで出たときに、資金不足で買へなかったのだ。そして、いきなり統計力学である。不意に統計力学を知らなければならないといふ気分になったのである。それさへ判れば世界が明るく見えてくるんぢゃないかといふ希望である。多分、関係ないのだが。最後にオライリーのMakeシリーズ。

 今年はほぼこれくらゐだらうか。去年より少しは減っただらうか。年末の休みに集計してみよう。

 あと、日経サイエンスの定期購読を申し込んでみた。


12月19日(金)

 セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。量子の話が出てくるとどうも何か騙されてゐるやうな気分になって来るのはなぜだらう。よく理解できないからなんだらうが。

 紀伊國屋書店に本を註文。
●青木正美『古本屋群雄伝』(1200円+税/ちくま文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店]
●テリー・グッドカインド『魔宮の凶鳥2 選ばれた民』(佐田千織訳/680円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●三崎亜記『バスジャック』(476円+税/集英社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●阿部彩『子どもの貧困』(780円+税/岩波新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●藤沢晃治『「分かりやすい教え方」の技術』(800円+税/講談社・ブルーバックス)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●キャロル・エムシュウィラー『カルメン・ドッグ』(畔柳和代訳/1700円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ウィリアム・ギブスン『スプーク・カントリー』(浅倉久志訳/1900円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●大森望・日下三蔵編『虚構機関』(創元SF文庫/1100円+税)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上九冊。藤沢晃治『「分かりやすい教え方」の技術』なんていふ本をなぜか註文してゐる。実は私は人に何かを教へるといふ行為が大嫌ひなのだ。だから、教へ方もひどいんだらうと思ふ。後はSFの新刊とか。


12月17日(水)

 ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳/1900円+税/筑摩書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。何度も云ふが、これは面白い。でも、〈ヴァーチャル図書館〉はよく判らなかった。〈共有図書館〉との関係のあたりが。最後の方では夏目漱石も登場したりして、実に楽しい。結末部分の、読まずに書物のことを語るときにこそ自由な発想で創造する力を得るのだといふところには、感動を禁じ得ない。
 しかし、同時に、私は本を自分で読んだときにこそ、今までその作品が位置づけられてゐたところとは異なる関係で新たな位置づけが可能であることに気づくことがあるのだと思ってゐるので、読むことを完全に放棄することはできない。何より、読むことは楽しいから。

 紀伊國屋書店から、呉善花『漢字廃止で韓国に何が起きたか』(950円+税/PHP研究所)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。近いうちに読んでみよう。


12月16日(火)

 今日もピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳/1900円+税/筑摩書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。相変はらず面白い。『第三の男』は実は本は読んでゐないのだけど、映画は何度も観た。あの講演会の場面でこんな風に考へることはできなかった。『薔薇の名前』のときもさうだったが、もっと「本を読む」といふことについて考へながら本を読まなければ。いや、それより本を読まずに「内なる書物」について考へたくなってきてしまった。

 紀伊國屋書店から、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕訳/980円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ナンシー・クレス『プロバビリティ・サン』(金子司訳/880円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ジャスティーン・ラーバレスティア『あたしをとらえた光』(大谷真弓訳/780円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、野崎昭弘『離散数学「数え上げ理論」』(980円+税/講談社ブルーバックス)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。ああ、オブライエン! でも、読むのが怖い。昔、大好きだった本を数十年ぶりに読んでがっかりしたらどうしよう。


12月15日(月)

 Amazon.co.jpから、赤穂昭太郎『カーネル多変量解析』(3500円+税/岩波書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、化学 2008年12月号(840円/化学同人)[Amazon.co.jp]、および現代化学 2008年12月号(800円/東京化学同人)[Amazon.co.jp]が届く。『カーネル多変量解析』は難しすぎたかも知れない。難しさうな数式がいっぱい出てくる。化学の雑誌はまあまあ面白い。両誌とも今月はノーベル賞話が多い。オワンクラゲのせゐもあって、内容が生物系に偏ってゐるやうな気もする。この頃は大抵さうなんだらうか。

 ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳/1900円+税/筑摩書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。これは面白い! I-3はエーコの『薔薇の名前』の話が出てくるので、特に面白い。読まない本、読んだけれどもすっかり忘れてしまった本、人から聞いただけの本について語ることで、これほど刺激的な内容にできることにも感心する。題名から聯想してしまふやうなふざけた内容ではない。本を読まないことこそ、想像的な読書への近道なのではないかと思はせてくれる本である。


12月14日(日)

 紀伊國屋書店から、James P. Blaylock The Knights of the Cornerstone (Ace Books, Dec 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]が届いた。久し振りのブレイロックの長篇だから、早速明日から読まうかなと思ったのだが、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳/1900円+税/筑摩書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って読み始めたら面白くなってきたので、これを読むことにする。
 冒頭に『特性のない男』に登場する司書に言及し、目次と目録しか読まなくても全体を俯瞰することができる、いや読まないからこそできるのだといふ発言が引用される。今度、本を買ってばかりで読まないことを責められたら、真の読者が把握を試みるべきは、個々の書物が他の書物と取り結ぶ関係であると云ってみようか。今更誰にもそんなことは云はれないやうな気がするが。

 asahi.comで「3LDKの壁に5000冊の本収納?」といふ記事を見つけた。壁をすべて書棚にするといふ話である。5000冊か。もう少し増やしたいところである。間仕切りをすべて書棚にしたときのスケッチなども描かれてゐるのだが、こんなふうに作ると直射日光が当たって本が焼けてしまふのである。埃の掃除も大変である。全面に遮光カーテンを掛けたいものだ。我が家の南側の部屋にある書棚にはカーテンが掛かってゐる。埃も少なくていいと思ふ。とにかく本を収納する空間が足りなくて、かういふ記事が気になって仕方がない。読んでも解決はしないのだけど。


12月13日(土)

 紀伊國屋書店から、James P. Blaylock The Adventures of Langdon St. Ives (Subterranean, November 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]が届いた。セント・アイヴスが活躍する作品が集められてゐて、長篇二つに短篇四つが収録されてゐる。470ページもある重い本である。多分、読みさうにない。

 紀伊國屋書店福岡店で、
●田村隆明・村松正實 『基礎分子生物学 第三版』(2800円+税/東京化学同人)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。読んで面白いものでもないが、幅広く簡潔にまとめられてゐるので、値段も安いのはよいのだが、あまりにも簡潔で、こんなので判るのだらうかと思ふくらゐだ。ある程度の予備知識のある人にはちゃうどよいかも知れない。この頃、挿絵にばかり力が入ってゐる教科書が多くて値段が悉く上がってしまってゐるが、これは絵に過剰な力を注ぎ込んでゐないので、買ひやすい価格になってゐるのもよいところだと思ふ。

 新書新刊情報文庫新刊情報の新着情報がどうも十二月に入ってから素早く更新されないから変だと思ってゐたのだが、問題が判って慌てて修正した。今のところ、bk1の情報のみで更新される新書や文庫と、さきにAmazon.co.jpで新刊情報を取得してからbk1の情報と照合してデータベースに加へる新書や文庫の二種類があって、この頃更新されなかったのは後者の本だけであった。よくよくスクリプトを眺めてみると、十二月だから問題が生じたのだと気がついた。常に来月よりも前に出る本の一覧を刊行日が若い方から順に並べ、予約ではなく在庫ありで、且つbk1でも購入可能なものを新刊書として選んでゐる。「今月」が12月の場合、12に1を足すと1に戻ってしまふやうだ。一方、2008年がそのままだと一年以上前の新刊書のみを呼び出してデータと照合することになる。12月の場合のみ時間の処理方法を変更するやうに書き加へて(多分)期待通りに動くやうになった。といふ訳で、今日はいきなり多くの新刊情報が一気に流れ込んできてしまったが、お許し願ひたい。


12月12日(金)

 ストロスを読みながら帰宅。しかし、なかなか捗らない。すぐに眠くなってしまふ。もしかしたらこの巻はあまり面白くないのかも知れない。こんなにすぐに眠くなってしまひ、こんなに進まないといふことは。

 紀伊國屋書店に、
●フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕訳/980円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ナンシー・クレス『プロバビリティ・サン』(金子司訳/880円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ジャスティーン・ラーバレスティア『あたしをとらえた光』(大谷真弓訳/780円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●セス・ロイド『宇宙をプログラムする宇宙』(水谷淳訳/2200円+税/早川書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●呉善花『漢字廃止で韓国に何が起きたか』(950円+税/PHP研究所)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●野崎昭弘『離散数学「数え上げ理論」』(980円+税/講談社ブルーバックス)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。フィッツ=ジェイムズ・オブライエンは楽しみである。『失われた部屋』は私が一番好きなサンリオSF文庫だった。

 大きい画面は使ひやすい。出張中Inspiron mini 9 (ubuntu)で自分が必要とする一通りのことはできたのはよかったが、やはり小さい画面は使ひにくい。尤も、画面が大きくなれば重くて大きくなってしまひ、それはまたそれで困る訳だが。


12月11日(木)

 小林雅之『進学格差』(680円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。細かい事実が列挙されてあまり面白くないやうな気がしたが、胡散臭いグラフや表は全然ない。好感が持てる。出典も明記されてゐるから、情報源を確認できる。さういふ意味で将来役に立つかもしれないと思う。諸外国の状況も米欧のことだけでなく中韓のことも含めて比較してゐるところも信頼できる。

 武内修二『マンション・チラシ解読術』(740円+税/中公新書ラクレ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。マンションを購入する予定はないのだが、いつでも騙されないやうに備へておく必要はあるだらう。知らないことばかりなので、いろいろ新鮮である。
 世の中誰も彼も騙さうとしてゐるやうに思へてくる。
 明日はストロスを読まう。


12月10日(水)

 松下祥子『科学者たちの奇妙な日常』(850円+税/日経プレミアシリーズ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。私にとってはただの日常なので、別におもしろくもなかったが、これが奇妙な日常だと思はれるものだと知ったのは驚きであり、収穫であった。ただ文章をわざと軽快にしようとしてゐるんだらうが、ちょっと私には馴染めないものだった。


12月9日(火)

 昨日、書かうと思ってゐたのに忘れてゐたことがあった。『TAP』では、こんなところでRFLPといふ言葉に出会ふとは思ってもをらず驚いてしまった。PCRとか、あまりにも私の日常に密接に関連のある言葉が出てくると、ちょっと狼狽へてしまふ。関連があるのに、私の日常の言葉と違ってゐると落ち着かない。これは決して翻訳の悪口を云ってゐるのではない。研究室ごとに方言のやうなものがあるから、何が正しいといふことはないのだ。PCRとかフィンガープリントとか、テキストマイニングとか。ずいぶん前のことになるが、グレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』を読んだときに、遠心分離機の回りのエチジウムブロマイドを拭き取らない奴が気になって話が頭に入ってこなかったことがあった。

 ストロスを手に取って学会場へ。午後は頭が痛くなってきたので早めに宿に戻る。が、帰りにブックファースト三宮店で、
●香山リカ『私は若者が嫌いだ!』(686円+税/ベスト新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●小林雅之『進学格差』(680円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●武内修二『マンション・チラシ解読術』(740円+税/中公新書ラクレ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●松下祥子『科学者たちの奇妙な日常』(850円+税/日経プレミアシリーズ)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を買ってしまった。荷物が重くなってしまふではないか。新書は読みやすいからといって四冊も買ふことはないだらう。困ったものだ。

 香山リカ『私は若者が嫌いだ!』を読む。この頃他の本でも書いてゐる若者の様子と重なってゐるのであまり新鮮味がない。そこに、自分が若者が嫌いだという気持ちを正直に書いてゐるのだが、私がこの頃読んだ本では既に擁護する論調ではなかったので、これもまた新鮮味はない。著者にとっては思ひきって決断した末に書いたことなのかも知れないが。私はもともと若者が大嫌ひだったから、大嫌ひだと思ったり書いたりすることに何も驚きを感じないせゐもあるのかもしれない。

 この小さい画面で書くのはやはり大変だ。キーも小さいし。


12月8日(月)

 グレッグ・イーガン『TAP』(山岸真訳/1900円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。「自警団」とか「要塞」とかはよく判らなかった。「ユージーン」くらゐまでは判ったのだけど。頭が悪いのか。「TAP」はもう一度読んで確かめたい。

 今日から出張。出かけるのは嫌ひなので、憂鬱である。


12月7日(日)

 グレッグ・イーガン『TAP』(山岸真訳/1900円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を一篇しか読めなかった。遅すぎる。しかし、日曜日はパンを焼いたり、牛頬肉の赤ワイン煮を作ったりしなければならないので、本ばかり読んでゐるわけにも行かないのだ。明日からに出張の準備もあるし。仕方がないので、明日はこれとストロスを持って出かけよう。

 昨日本を註文したことを書くのを忘れてゐた。紀伊國屋書店に、
Python GE-PACKT 4. Auglage (Mitp-Verlag; August 2008) [紀伊國屋, Amazon.de]
を註文。今年の夏に出た第四版である。第三版を持ってゐて、日頃手元に置いてよく使ってゐるのだが、第四版はPython 3.0にも対応してゐるといふので、これも註文しておくことにした。ユーロが前よりも安くなって、ドイツの本も少しは買ひやすくなってゐるはづだ。

 今日は、出張中に荷物が届いてもいいやうに、配達先を勤務先にしてAmazon.co.jpに、
●赤穂昭太郎『カーネル多変量解析』(3500円+税/岩波書店)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
と、化学 2008年12月号(840円/化学同人)[Amazon.co.jp]、および現代化学 2008年12月号(800円/東京化学同人)[Amazon.co.jp]を註文。仕事で使ふ本といへるかも知れない。


12月6日(土)

 グレッグ・イーガン『TAP』(山岸真訳/1900円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を訳者の山岸さんからいただきました。ありがたうございました。
 さうだ、これを来週の出張に持って行かうと思ったけれども、考へ直した。どうして月曜日まで待つ必要があらう。いま読めばいいのだ、今すぐ読めばいいのだ。もっと早く、もっと速く、読まなければ。読む本の量が少なすぎる。あまりにも少なすぎる。

 中村弦『天使の歩廊』(1500円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。この世の人間とは思へない建築家の物語。人が願ひ求める建築物を、いや、それ以上の住まひを設計できる。人はそこで安らぎを得、永遠に生きる。時に内側は外側よりも広く、異世界に通じてゐる(のかも知れない)。建築に限らず、すぐれた構造物は時空を超越した力を持つと私は信じてゐる。


12月5日(金)

 本を註文しようと思ったが、今日註文すると配達が来週前半になりさうだと気がついた。来週は出張なのだ。留守の間に本が届くのは何となく嫌だ。出張先で註文して、帰ってきた頃に届くとちょうどいいのだらうか……

 中村弦『天使の歩廊』(1500円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。謎めいた建築家が作る不思議な建築物の話らしい。不思議な建築物といへば、ジョン・クロウリー『リトル・ビッグ』(国書刊行会《文学の冒険》/1997年)[ I / II ]が頭に浮かぶが、これが入手できない状態とは! そんなことがあっていいのか。

 まだ最初の50ページだが、いまのところ面白い。


12月4日(木)

 里見蘭『彼女の知らない彼女』(1200円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。帯に書いてある量子論はあまり関係ないと思ふ。清々しいマラソン・ファンタジイである。平行宇宙の自分の代役として、全くの素人がマラソンで金メダルを取らうと走る。実は私は走るのが大嫌ひなのだ。42kmも何のために走るのか理解できない。だから、何か物足りないまま読み終へてしまったのだが、走ることに多少なりとも楽しみを感じられる人にはお勧めである。

 私がもっと速く、少しでも速くと努めるのは、本を読むときだけである。


12月3日(水)

 紀伊國屋書店から、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳/1900円+税/筑摩書房)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』(大森望訳/933円+税/扶桑社ミステリー)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、中村弦『天使の歩廊』(1500円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、里見蘭『彼女の知らない彼女』(1200円+税/新潮社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、佐々木豊文『頭がよくなる超読書法』(800円+税/PHPビジネス新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 待ってゐた胡散臭い本である。頭が良くなる超読書法である。妙にわくわくした気分で読み始めてみると当たり前のことを延々と回りくどく書いてゐる。読書とは何かとか、読書をするといふことの意味、我々が受ける影響とか、そんなごく当然のことを書いてゐる。速読とは関係ない。でも、そんなに間違ったことを書いてゐるとも思はない。食べ物とか、食品添加物の話になると一気に胡散臭くなってしまふのが残念。牛乳は躰に悪いとか。そんな単純なものではないだらう。さうやって、延々と引っ張っておいて、最後の二章が速読の話。よい姿勢でリラックスして、上から下(あるいは左から右)へと文字の並びに沿って滑らかに眼を動かす、声を出さずに意識を集中させて。それってただの普通の読書ぢゃないのか。そんなことしても、さほど速度も理解力も上がらないと思ふ。そりゃあ、意識を集中させてよい姿勢でリラックスして、それを読みたいといふ真剣な気持ちで読んだ方がいいに決まってゐるが。

 さて、明日から何を読まうか。ストロスは来週の出張のときに読むことにしようか。あまりにも時間が掛かりすぎるから。


12月2日(火)

 バーコードリーダを買って喜んでゐたものの、その後データベースを作ることもなく、机の上に放置してゐたら、娘が「全然バーコードリーダ使ってゐないでせう。それって無駄遣ひぢゃないの」と冷たい声で云ひ放った。「日曜日は家族のパンを焼くのに忙しかったのだ、人はパンのみで生きるのではないと聖書にも書いてある」と訳のわからないことを云って誤魔化さうとしたが、駄目だった。

 どんなふうに作らうか、考へてゐるところなのだ。かうやって考へてゐるときが、結構楽しかったりする。最初は自宅サーバにMySQLでデータベースを構築しようと思ってゐたのだが、GoogleAppEngineにしてもいいかなと思ひ直したところなのだ。さうするとGQLとかいふデータベースだ。認証はどうするんだったかなとか、いろいろ調べたりしなければならないわけだ。関心をなくしたわけでも忘れたわけでもない。


12月1日(月)

 12月になってしまった。もう今年も終はりぢゃないか……人並みに師走に言及してみたけれど、実はどうでもいいと思ってゐる。人並みといふより月並みでせうか。

 紀伊國屋書店に本を註文。12月だから、本くらゐ註文しなければ。
○James P. Blaylock The Knights of the Cornerstone (Ace Books, 2008/12/2) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
○Jonathan Strahan, ed. Eclipse 2: New Science Fiction and Fantasy (Night Shade Books, December 2008) [Amazon.co.jp, Amazon.com, 紀伊國屋]
以上二冊。ブレイロックの久し振りの長篇とJeffrey Ford、Peter S. Beagle、Ted Chiang、Margo Lanaganといった作家たちの作品が載ってゐるアンソロジー。


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