8月31日(月)

 颱風が東京に接近。午後から雨が強くなる。でも、夜には雨雲は抜けてしまふだらうと思って、通常通りに仕事を終へたが、外に出るとまだ雨が降ってゐた。今住んでいるところは駅から遠いので、濡れてしまひさうだった。もう少し時間を遅らせて帰らなければ。仕方がないので、渋々池袋東武の旭屋書店に寄る。颱風のせゐである。仕方がないことだったのだ。

 月末だし、颱風だし、本を買はずに帰ることはできないので、やむを得ず、
●ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』(駒月雅子訳/860円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法泥棒』(原島文世訳/1200円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽##, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●山田玲司『キラークエスチョン』(660円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
の3冊を購入。颱風対策としてのやむを得ない措置である。

『キラークエスチョン』は、「会話がはじめられない、もしくはすぐに終わる」人、「初対面の人と話すのが苦手」、といふ人と何を話したらいいか判らない人向けの本だといふ。まるで私のためにあるかのやうな本である。尤も、本気でどうにかしようと思ってこの本を買ったのではなく、何か面白いことが書いてゐないかと期待したわけだが。会話は質問だといふ。その質問の例を見ると、私がされたくないなと思ふやうなものばかり並んでゐる。「昨夜はちゃんと眠れましたか」なんて訊かれても、「いつも通りよく眠れませんでしたね」とでも答へればいのか。「最強の野球チームを作るなら、いつの時代の誰を選びますか」などと訊かれても、「野球には興味がありません」と答へるしかない。「これは読んでおけ、と言える本を教えてください」「あなたにとっての映画ベストスリーは?」なんて訊かれたら、面倒くさいことを訊く奴だと不愉快になるに違ひない。「あなたにとって何が大事なのかよく判らないので「これは読んでおけ」などと云へるはづがありません。そこまであなたのことに詳しくはないし、そもそもあなたにそんなに関心がありませんから」と云ってはならないのだらう。「あなたのお母さんはどんな人?」なんて云はれたら気か狂ってゐるのかと思ってしまひさうだ。なぜ初対面のあなたが私の母に関心があるのですか。何か変だと思ひませんか? などと云ってしまひさう。
「今ここにタイムマシーンがあったらどうする?」といふ質問には当然「壊す」と答へるだらう。だいたいタイムマシンがあるとろくなことが起こらない。今まで数々のSFを読んできたが、さういふものだった。「朝目覚めて14歳に戻っていたらどうしますか?」にはちょっと困る。あまりにもあり得ないことだから。強いて云へば「がっかりする」だらうか。「牛を殺して犬を殺さないのはなぜですか?」は質問の意図自体がよく判らない。「牛は美味いが、犬はそれほど美味くないからだらう」としか答へやうがないと思ふ。「神様が一つ願いを叶えてくれるとしたら、どうしますか?」とりあえず、「放っておいてください」と頼むだらうか。いや、今なら梵寿綱のマンションが欲しいとでも云ふかも。
 こんな答へを皆がしたら本当に気まづいひとときを過ごす羽目になる。しかし、訊かれたくもない質問ばかりなのだ。でも、これは私に質問する人が読むほんではなく、私が普通の人を相手に質問するときの資料なのだから、私が質問されたときの心配はしなくていいのである。

 本当は私は他人にはあまり関心がないので、気まづくなってもならなくても、どうでも良かったりする。


8月30日(日)

 クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』(大瀧啓裕訳/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読まうとするが、全然捗らない。今日も住まひ探しに暮れた一日だったのだ。

 そんなわけで、Amazon.co.jpに、
『快適に暮らせるリフォームの基本』(1200円+税/成美堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●建築資料研究社出版部『リフォームハンドブック〈2009〉』(2800円+税/建築資料研究社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。今や私の頭の中はどのやうに本を収納すればいいかでいっぱいなのだ。


8月29日(土)

 一日住まひ探し。そして頭痛。といふわけで、今日は一回休み。


8月28日(金)

 クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』(大瀧啓裕訳/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。ストロスはちょっと休みである。
 クラーク・アシュトン・スミスはこれほどまでに読んでゐて心地よいものだったのか。すっかり忘れてゐた。如何にもわざとらしいほどに黒々とした雰囲気を漂わせる言葉を重ねていくが、決して安っぽくならない。勢ひで飛ばして読めるやうなすかすかの文ではないので、なかなか捗らないので、電車の中で少し疲れてしまふのではあるが。

 クラーク・アシュトン・スミスを読みながら帰らうとしたら、池袋駅で東上線の車両故障の放送を聞く。全線止まってゐるといふ。とりあへず、電車に乗って『ゾティーク幻妖怪異譚』を読み始める。ゆっくり復旧してくれたまへと思ひながらページを捲るのだが、頻繁に案内放送が入るので、ページに気持ちが集中できないのが不愉快であった。これでは読書時間にならないではないか! 結局今日一日で129ページしか進まなかった。

 Mac OS X 10.6 Snow Leopard [Apple Store, Amazon.co.jp] が届く。早速インストールすると、特別変はった様子もない。詳しい報告は別館の方で。


8月27日(木)

 Charles Stross Saturn's Children (Amazon.co.jp) を読みながら出勤。

 クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』(大瀧啓裕訳/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を東京創元社編集部よりいただきました。ありがたうございました。
 クラーク・アシュトン・スミスといふと、ウィアード・テイルズに作品を掲載した作家たちの中でも特別な存在だと思ふが、日本ではそんなに知られてゐない作家かも知れない。中学生の頃、東京のどの洋書店に行ってもクラーク・アシュトン・スミスのPanther版短篇集がたくさん置いてあったことを覚えてゐる。結局そのときは買はなかったのだけど。後にArkham House版The Black Bookを買ったりしたものだ。が、結局一冊も読んでゐない。この本は明日から読まう。
 解説が長くて詳しい。リン・カーターがひどく貶されてゐる。


8月26日(水)

 Charles Stross Saturn's Children (Amazon.co.jp) の続き。私にしては順調に進んでいる。

 Amazon.comから、Hadley Wickham ggplot2: Elegant Graphics for Data Analysis (Springer, $48.31) [Amazon.com, Amazon.co.jp ]とRichard M. Heiberger and Erich Neuwirth R Through Excel: A Spreadsheet Interface for Statistics, Data Analysis, and Graphics ($52.25, Springer)。[Amazon.com, Amazon.co.jp ] これは何れもUse R!というシリーズの一冊。後者は、Excelのスクリーンショットが多すぎて気持ち悪い。Excelは苦手なのだ。

 今日の午前中もこのサーバにアクセスできなくなる。一時間ほどで復旧。

 ほぼ一日、住まひについて考へる。本棚をたくさん置くにはどうしたらいいかを考へると、単純に面積だけの問題ではないことに気がつく。いろいろ難しい。


8月25日(火)

 Mac OS X 10.6 Snow Leopardが、Apple Storeで註文できるやうになってゐたので、早速註文する。Amazon.co.jpでも予約註文ができて、こちらは5%の割引があるではないか。それでも、私はApple Storeに註文してしまふのである。もしかしたら、一日くらゐAmazon.co.jpよりも早く届くのではないかなどと思って。その一日が重要な意味を持つ訳でもなく、理由もなくただ少しでも早く手に入れたいからである。単に気が短いだけのことだと思ふ。

 朝出勤するとき、手近なところに未読の本がなかった。私はいつもと同じ時間に家を出ないと甚だ不愉快な気分になるので、極力遅れたくない。咄嗟に手に取ったのが、Charles Stross Saturn's Children (Amazon.co.jp) である。日本語がよく出てくる。「ちびちゃん」とか「一番」とか。主人公のアンドロイドの名前もFreya Nakamichi-47である。逃亡者となった主人公が金星への怪しげな荷物の運搬を引き受けるところまで。凡そ20ページである。帰りの電車の中で眠くなってしまひ、そこまでしか読めなかった。眠らないやうに目の前の席が空いても座らずに立ってゐたのに、そのままうとうとしてしまった。だから、真夜中にこんなものを書いてゐてはならないのだ。もうやめよう。

 でも、今日疲れたのは、住まひ探しのせゐである。


8月24日(月)

 わぐりたかし『地団駄は島根で踏め』(880円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読んだ。これは面白い。もっと早く読めばよかった。語源を巡る旅である。あひづちを打ちに京都へ行き、島根で地団駄を踏み、愛媛で独り相撲をとり、三重であこぎなことをして(嘘)、神奈川でごたごた云ったりする旅である。辞書である程度は調べられるが、本当にそれがそこにあるのかを見に行く。さうすると本当にあったと確認できるだけでなく、意外にも想像してゐたのとは違ったとか、本当は違ふのではないかとか、いろいろな発見や想像が楽しめる。どれも私の知らないことばかりで、唯一知っていたのは「つつがなく」の語源だけであった。
 本書で何度も言及されてゐる「日本国語大辞典(略称、日国で親しまれてゐる)』を私もオンラインでいつでも利用できるやうJapanKnowledgeに会費を払って登録してゐるので、ほとんど利用してゐない。使へるやうになっただけで安心してあまり使はない辞書は多い。困ったことだ。

 Amazon.co.jpから、『センスよく暮らす人の収納スタイル』(1200円+税/集英社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と田中徹也『成功する中古マンション売却術』(1400円+税/同文舘出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が、紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が、紀伊國屋書店から、『POST‐OFFICE—ワークスペース改造計画』(1800円+税/TOTO出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]とブルースタジオ『リノベーション物件に住もう!』(2000円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。『POST‐OFFICE—ワークスペース改造計画』は思ってゐたものと全く異なってゐて、当てが外れた。ブルースタジオ『リノベーション物件に住もう!』は、ブルースタジオのリノベーションの本。いろいろ参考になることが載ってゐる。あまり期待せずに手に取った『センスよく暮らす人の収納スタイル』(1200円+税/集英社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が良かった。蔵書の収納例がいくつか出てゐるのだ。ただ、結構大きな一軒家を持ってゐる人の例が多く、すぐには私の役に立ちさうもない。本がたくさんある姿が美しいので、スキャンしてここに載せたいくらゐだが、それは違法なのでできない。

 早川書房SFマガジン編集部からSFマガジン10月号 [Amazon.co.jp] をいただきました。ありがたうございました。今月は「ロシアSF小特集」として二作品が掲載されてゐる。他に、神林長平特集、谷甲州特集、野阿梓特集がある。


8月23日(日)

 買ったままなぜか読んでゐなかった、わぐりたかし『地団駄は島根で踏め』(880円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取った。第一話「急がば回れ」から第二三話「地団駄を踏む」まで、よくある云ひ回しの語源を訪ねる旅の本である。面白さうだが、今日は住まひ探しで全然読めなかった。明日からはきっと読む。

 鳥居みゆきの『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が発売初日に重版が決まったなどといふニュースをあちこちで見かける(たとへば日刊スポーツ)。初版は8000部で重版は7000部だとか。本が売れるっていふのはいいことである。内容に関しては前に感想を少し書いたが、これは手で書いたあとに携帯メールで編集者に送ったって本当だらうか。手で書いたらFAXで送れば? と思ってしまふが。あるいは郵送とか。どうでもいいんだけど。鳥居みゆきの場合、一人で二冊以上買ふ読者なんかがゐるから、8000人の読者がゐたとは限らないけれども。

 一日住まひ探しのことで頭がいっぱいになって困る。落ち着いて本も読めない。


8月22日(土)

 野口恵子『バカ丁寧化する日本語』(760円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。全くそのとほりと云ひたくなることばかり。気持ち悪いほどバカ丁寧化する日本語に毎日襲はれてゐるからだ。第一章は「させていただきたがる人々」。何でも「させていただく」と云へば丁寧になると思ってゐる風潮には辟易する。そして所謂「さ入れ言葉」。これが組合はされて最強の気持ち悪い敬語になるわけだ。丁寧語は相手との距離を置き、よそよそしくなることも本書で指摘してゐるとほりで、私が気になるのは病院などでの丁寧語の強化である。国公立の病院でも、報酬を受け取る相手だからお客様扱ひしなければならないといふ傾向が強まり、「××様」と呼び出し、聴診器を当てるときに「失礼します」なんて云ったりする。嬉しい人もゐるのかも知れないが、私は、あなたとは支払ひをする客とそれに見合ふ治療を施すといふだけの関係ですよと云はれてゐるやうで、まったく嬉しくない。食料品店にとって一個十円の飴玉を買ふだけの客よりも五千円の牛肉を買ふ客の方が「よい客」であるやうに、単なる風邪で来る患者よりも、高額医療を必要とする重病人の方が「よい患者」なのだらうかと思ってしまふのである。私の健康を心配してくれてゐるやうに見えるのは、支払ひをするからだけなんだらうか。といふわけで、私がいま通ってゐる歯科医院は、〜さんと読んでくれるので、優しさうに感じられて、私にとっては好感度が高いのである。
 第四章は「丁寧語と想像力」。想像力がないと丁寧語はうまく使へないといふ話である。相手の状況や気持ちを想像できないと、その時その相手に相応しい言葉は使へないのだといふ。マニュアル通りに「正しい」敬語を使ってゐるつもりでも、相手に不快感を与へることになってしまふのだといふ指摘はその通りだと思ふ。おそらくそれは、「私は悪くない」と責任を回避したいといふ今の日本で働く人々の状況が反映された結果なのだと私は思ふ。相手の気持ちを想像して失敗するよりも、マニュアル通りに対応して失敗したらそれは与へられたマニュアルが悪いのだから「私は悪くない」と云へるので、そちらを選びたいのだらう。だから、三十個のハンバーガーを袋に入れてくれと頼んだ客に対して平気で、「こちらでお召し上がりですかお持ち帰りですか」と訊ねられるのであらう。
 面白かったのは、自分の方が正しいと判ってゐる言葉遣ひでも、正しくない言葉遣ひが優勢な場合には衝突を避けて言葉を選び直すことが多いといふこと。たとへば所謂「ら抜き」言葉になり得る言葉の場合、云ひ替へにより「ら抜き」言葉にならない語形にするといふことで、これは私と全く同じである。この人も、電車の車内放送を聞いては不愉快になり、ハンバーガーを註文するときには怒りがこみあげてきて、テレビ番組を観てゐるときには驚愕するのだらう。私もさうだが、なかなか心安らかに暮らせないのである、かういふ人は。
 それにしても、殺人事件の容疑者についてアナウンサーが「凶器の使ひ方をご自宅でもかなり練習されてゐたさうです」って云ったのは本当なのか。俄に信じがたい話である。

 三省堂書店本店で、
『リフォームはこうしてやりなさい』(1429円+税/ダイヤモンド社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。この手の本を取り憑かれたやうに買ってゐるので、もうあまり新鮮な驚きはなくなってゐるが、別にそんなに悪いわけでもない。しかし、いちいち「かうしなさい!」「かうしなさい!」って偉さうなのだ。私は天の邪鬼だから、あまりかうしなさいって云はれると逆らひたくなってしまふのである。新書にもこの頃、妙に偉さうなのが多い。

 AbeBooks.comで註文した、Michael Swanwick HOPE-IN-THE-MIST: The Extraordinary Career & Mysterious Life of Hope Mirrlees (July 2009, $20.00, Temporary Culture)が届いた。ホープ・マーリーズについての本である。著者の署名入りだった。残念ながら私はさういふことにほとんど関心がないので、特別嬉しくはない。買っただけで満足して読まない可能性は高いと思ふ。


8月21日(金)

 木村紀子『原始日本語のおもかげ』(740円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。面白いが古文が続くとちょっと大変である。話題が原始日本語だからなるべく古い言葉まで探さなければならないのは当然だが、読みにくいことに変はりはない。それでも、いろいろな古い云ひ回しを考えるのは楽しい。

 紀伊國屋書店から、野口恵子『バカ丁寧化する日本語』(760円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と全国不動産鑑定士ネットワーク監修『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』(1800円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。マンションの本をざっと読む。同じやうな本を何冊も読んでゐるので、少しづつ内容が頭にすり込まれてきてゐるやうな感じがする。日本語の本は早速明日の出勤時から読み始めよう。

 取り憑かれたやうに住まひの本を買ひ続ける。Amazon.co.jpに、
『センスよく暮らす人の収納スタイル』(1200円+税/集英社)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●田中徹也『成功する中古マンション売却術』(1400円+税/同文舘出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を註文。収納スタイルの本は、表紙が書棚だったから。ただそれだけの理由で。

 紀伊國屋書店にも註文。
『POST‐OFFICE—ワークスペース改造計画』(1800円+税/TOTO出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ブルースタジオ『リノベーション物件に住もう!』(2000円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
すっかり取り憑かれてゐる。こんなことばかりしてゐる訳にも行かないのだが、何しろ取り憑かれてゐるのでどうしようもない。

 さういへば、大爆笑!!サンミュージックGETライブ Vol.1 出会い編Amazon.co.jp)がAmazon.co.jpから届いたのだった。まだ観てゐない。鳥居みゆきはなんと黒まさこである。


8月20日(木)

 天野彰『六十歳から家を建てる』(1000円+税/新潮選書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。まだ六十歳でもないし家を建てるわけでもないが、私は早めに準備するのが好きなのだ。家を建てるとは限らないが住まひのことは考へておきたい。といふより、今は住まひことで頭がいっぱいである。
 私は何かあると本を買ってしまふ。今は来年春には見つけなければならない住まひのことに関連した本を取り憑かれたやうに買ってしまってゐる。中古マンションを考へてゐるのだが、そんなものは買ったことがない。私が知ってゐる買ひものは、本とパソコン関連商品くらゐである。それに私は買ひものは基本的に怖いので、慣れない店でものを買ふのは大変なのだ。買ひものをして怖くないのは書店だけである。だから、未だに職場のそばで弁当を買へる店が二つしかない。私にとって現実の世界で生きていくのはなかなか大変なことなのである。その私が中古マンションを買ふなんて、どれほど大変なことか、自分でも想像できないほどである。
 想像できなくても否応なくさういふ状況に追ひ込まれてゐるわけだ。不安を和らげるためにも本を買ふ。仕事帰りにジュンク堂池袋店で、
『マンションは絶対「中古」を買いなさい! 09〜10年版 』(1300円+税/成美堂出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●石井成光『素人でもできる賢くマンション・住宅を売る方法 』(1500円+税/週刊住宅新聞社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
を購入。電車の中で、『マンションは絶対「中古」を買いなさい! 09〜10年版 』を読む。なるほどねえと感心することばかり。何も知らないのだから、何を読んでも感心してしまふ。しかし、こんなものばかり読んでゐると莫迦になってしまひさうなので、木村紀子『原始日本語のおもかげ』(740円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を50ページまで読む。茸の話とか粥の話とか。いろいろ面白い。原始日本語に心動かされながらも、私はさらに住まひに関する本を買ひたくなってゐるのである。これくらゐの本では私の不安を和らげるには到底足りないのだ。


8月19日(水)

 草森紳一『本の読み方』(1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。とにかく、ひたすら本を読み続ける著者が、本を読むことについて書き綴ってゐる。本を読む姿勢・格好とか、本を読む場所、本を読んでゐる人の姿の話とか、とにかくさまざまな視点から本を読むことについて語ってゐる。目的とか利点とかを偉そうに説教しないところがいい。「読みたいから読む。やむにやまれずにただひたすらに。」といふ態度だからだ。かういふ本を読むと、自分もただひたすら本を読み続けたくなるのがちょっと困る。毎日仕事もしなければならないし、今は住まひを探さなくてはならないのである。それもこれも、本を買ふためには収入がなくてはならないし、本を置き本を読むために暮らす場所がなければならないといふことを考へれば、それらもまた本を読むために必要なことだと納得でき、何とかやっていけるのである。

 紀伊國屋書店から、天野彰『六十歳から家を建てる』(1000円+税/新潮選書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と松本洋『買ったときより高く売れるマンション』(アーク出版/1400円+税)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が、届く。後者を電車の中で読む。いろいろ面倒くさいなあ、マンションを買ったり売ったりするといふのは。

 オンライン書評情報東洋経済の書評を追加した。経済の本だけかと思ったら、そんなことはなかったので、追加することにしたわけだ。


8月18日(火)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢2 蜘蛛たちの宮廷』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[bk1]を読み終へる。思ひがけない大冒険へと話が進んで、このまま悪い方悪い方へと進みっぱなしなのかと心配になって来たが、やうやくまた大きく流れが変はって物語が大きく動き出さうかといふところで、第三巻へ。

 紀伊國屋書店から、山本久美子『買い上手こそ!中古マンション購入&リフォーム』(1300円+税/小学館)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、碓井民朗『得をするマンションの選び方』(705円+税/角川oneテーマ21)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、草森紳一『本の読み方』(1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。註文した翌日には届くのだから便利な世の中になったものだ。本当の新刊書以外はこのごろは書店を訪れてもほとんど目的の本を見つけられない。結局諦めてオンライン書店に註文してしまふわけだ。
 住宅のこととか土地のことなど、今までほとんど関心がなかったので、驚くことばかり。雑誌なので購入記録には書かなかったのだが、地域の世帯所得額なんかが判っているうへに、駅の利用者の所得額推定なんて一覧表もあってびっくりした。私には別の惑星の話のやうに感じられる。でも、そんなことばかり云ってゐても事態は好転しないので、慣れない内容の文章をあれこれ読んでみる。


8月17日(月)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢2 蜘蛛たちの宮廷』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[bk1]を読み始める。事態が急展開して話は面白くなってくる。それにしても、これでもかと艶めかしい場面が繰り返される。私が求めてゐるファンタジイとは若干方向性が違ふやうな気がする。

 紀伊國屋書店に中古マンションに関する本を註文する。さうなのだ、住まひを探さねばならないのだ。
●山本久美子『買い上手こそ!中古マンション購入&リフォーム』(1300円+税/小学館)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●全国不動産鑑定士ネットワーク監修『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』(1800円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●碓井民朗『得をするマンションの選び方』(705円+税/角川oneテーマ21)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●天野彰『六十歳から家を建てる』(1000円+税/新潮選書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●松本洋『買ったときより高く売れるマンション』(アーク出版/1400円+税)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
 もちろん、マンション以外の本も註文する。
●野口恵子『バカ丁寧化する日本語』(760円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●草森紳一『本の読み方』(1600円+税/河出書房新社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上、8冊。

 眠い。もう寝なければ。


8月16日(日)

 ホープ・マーリーズ『霧の都』(船木裕訳/ハヤカワ文庫FT) [Amazon.co.jp]は残り50ページ。西の妖精の力のせゐか、電車の中で眠くなってしまふことがあるので、そんなときは香山リカ『悪いのは私じゃない症候群』(686円+税/ベスト新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。これは面白い。36年前の殺人事件もきちんと解決する。妖精軍の侵攻と、ナサニエル判事とその息子の帰還も鮮やかな場面として頭の中に広がっていく。この本こそ、私にとっての妖精の果実に他ならない。かうして見ると、やはり1920年代はファンタジイの黄金時代だと云へるだらう。少なくとも私にとってはさうだ。20年代の傑作を列挙してみようかと思ったけれど、すぐには思ひ浮かばなかった。今度少し丁寧にリストアップしてみようか。

 今日はいろいろ検索しなければならない用事があって、読書が全く捗らない。眠いので、これで。


8月15日(土)

 ホープ・マーリーズ『霧の都』(船木裕訳/ハヤカワ文庫FT) [Amazon.co.jp]は残り50ページ。西の妖精の力のせゐか、電車の中で眠くなってしまふことがあるので、そんなときは香山リカ『悪いのは私じゃない症候群』(686円+税/ベスト新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読んでみたのだが、気がついたら読み終へてしまってゐた。今の日本に蔓延る「悪いのは私ぢゃない」といふ主張を考へる内容である。確かに、今は自分の努力と成果を自ら声高に主張することが求められる。それがいいことだと云はれ、さうするやうにと指導される。私もここ十年くらゐ、さういふ報告書を書けと云はれ続けてきた。でも、世の中うまく行くことばかりではない。自分が悪くなかったら、うまく行かないことがあった場合、悪いのは他の誰かである。だから自分が責められる前に人を責めなければならない。自己防衛のために。私の大嫌ひなスピリチュアル・ブームも「前世が悪い」といふ救ひをもたらすものだと云へる。さらに集団として、そして国家として、自分たちが悪くないといふ考へが受け入れられる世の中になってゐるといふ。たとへば、日本は悪くないと訴へる田母神氏の主張である。私は石破茂前防衛相が「歯切れがよくて威勢がいい」主張が持つ「閉塞感のある時代においてはブームになる」といふ性質がこの田母神人気の本質だと見抜いてゐることに感心した。人を顔で判断してはよくないと反省した次第である。また、この本でも、私が前から小泉改革によって不利益を被るとしか思へない人々が積極的に小泉政権を指示するのはどうしてかといふ疑問に対する答への一つが示されてゐる。歪んだ平等主義やいびつな正義感が日本社会に満ちてゐるからこそ、負け組予備軍やそれ以下の層が熱狂的に小泉政権を支持したのだといふ。六本木ヒルズの住人にうらやましさを感じないのに、近所の公務員宿舎に腹が立つのはそのせゐだといふのだ。まあ、これは本書で引用されてゐる山口二郎といふ人の言葉だが、同様のことを香山リカもやはり前に別の著書で書いてゐた。「負けないためには勝つ、もし勝てないのならそれを誰かのせゐにする」といふのがこの今の日本で生き延びるための基本条件になったといふのが本当なら、この流れは当分変はることはないだらう。私もこの時代をそれなりに生き延びてゐるといふことは、「悪いのは私ぢゃない」といふ〈病気〉に気づかないうちに罹ってゐるかも知れない。ほとんど期待せずに読んだ本だったが、意外な収穫であった。

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢2 蜘蛛たちの宮廷』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[bk1]を訳者の和爾桃子さんからいただきました。ありがたうございました。


8月14日(金)

 数日前にいろいろ思ひ出したホープ・マーリーズ『霧の都』(船木裕訳/ハヤカワ文庫FT) [Amazon.co.jp]を読み始める。昔の文庫本はこんなに字が小さかったのか。今のハヤカワ文庫はどうしてこんなに大きくする必要があるんだらうといふくらゐ大きい。そのせゐで字があまり入らなくなって判型を大きくしてしまったほどである。初めは戸惑ったが、これくらゐ小さくても読めるぢゃないかと慣れてくる。今日は半分を少し越えた辺りまで。女学生は靴がすり減るくらゐコロンバンを踊って走り去っていった。

 池袋東武の旭屋書店に寄って本を購入。
●木村紀子『原始日本語のおもかげ』(740円+税/平凡社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●香山リカ『悪いのは私じゃない症候群』(686円+税/ベスト新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上新書二冊である。最初の本は、少し中を覗いた感じではそんなに「原始」でもないやうな気がするのだが。香山リカの方は、この人の本はもういいと思ひながらも気になって買ってしまふ。私の気になってゐることに触れてゐることが多いから。それは多分私だけが気になってゐる訳ではなくて、世の中の皆がさうだからだらう。もし私だけだったら、この人の本が売れてゐるはづはないからだ。

 ふと気づくと、明日は8月15日ではないか。何の日かといふと、AmazonのProduct Advertising APIが署名認証を含まないリクエストを一切処理しなくなる日である。まだまだ先だと思ってあまりきちんとサイトの修正をしてゐなかった。といふことは明日からあちこちエラーが出てみっともないことになるわけだ。ずいぶんいろいろAmazonの検索を利用してゐるから。Amazonは簡単に署名認証をしてくれといってくれるが、HMAC-SHA1 署名の作成は意外に面倒くさい。世界中のサイトで明日からエラーが頻出しさうな気がするが、まあ人のことを心配してゐる余裕は私にはない。修正しようとしたら、それ以外の問題を多数見つけてしまって修正に時間がかかってしまった。

 いろいろな蔵書管理アプリケーションなどに、自動的にAmazonから情報を取得する仕組みになってゐるものがあるが、あれも全部動かなくなるはづだ。アプリケーションに自分のID等を設定する項目を作ればいいのだらうが、そんな話はまだ聞かない。

 とにかく、Amazon.co.jpトップ100オンライン書店横断検索ISBN検索AmazonSearch50とか、その他、ブログ検索付きアマゾン書籍検索とか、アマゾン似たもの検索とか、カタカナ著者名原書検索とか、新刊情報RSSとか、直接ページに表れない情報収集スクリプトとか、それはもう大変な数のファイル修正を余儀なくされたのだ。日本だけでなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの各国のAmazonに対してである。ああ、疲れた。まだまだ不具合は残ってゐるけれども、もう時間切れである。Amazon以外でもあちこち不具合がある。こまめに修繕してゐないと忽ち廃墟のやうになってしまふのである。正常に表示されないところがあったらお知らせください。修正できるかも知れません。といっても、ほとんど知らせてくれる人はゐないのだけど。


8月13日(木)

 ジャック・ヴァンス『ノパルガース』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。最初は遠い異星の種族間戦争の話かと思ってゐたら、寄生生物に対する戦いの話になって、気がつくと地球人類の戦いの話になってゐる。実に安心して楽しめると感じてしまふのは、私が歳を取ったせゐかも知れない。それにしても、ジャック・ヴァンスの作品が邦訳されるのはずいぶん久し振りなのだが、どうしてもっと出ないのだらう。そんなに売れないからだといふことは判ってゐるのだが、そう云ってみたくなるのである。

 人類に異星の何かが張り付くといへば『人形使い』が有名だが、その作者ロバート・A・ハインラインのロバート・A・ハインライン『夏への扉 新訳版』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読んだ。もちろん、私も多分高校生のときに一度読んでゐる(ハヤカワSFシリーズではなく文庫で読んだから高校生だと思ふ)が、今回は新訳版といふことで、30年経って再読するとどのやうに感じるのか知りたかったのだ。
 もっと悪い印象を抱くかと心配してゐたのだけど、さうでもなかった。私は猫が別に好きではないので、その辺りは何とも感じないことは高校生の頃と同じ。徹底的に痛めつけられた主人公が逆転していく様子は気分がいい。しかし、11歳の少女に真面目に求婚する30歳の男って、いくら何でもちょっと気持ち悪くないか。


8月12日(水)

 クリス・アンダーソン『ロングテール アップデート版』(篠森ゆりこ訳/1400円+税/ハヤカワ新書juice)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。この概念は前にもどこかで読んだことがあるから、そんなに驚きは感じなかった。売れる商品から順番に並べていくと、一番左のトップセラー商品から遠ざかるにつれてだんだん少ししか売れない商品がどんどん並んでいる。少ししか売れないけれど、少しは売れる。その商品数は膨大である。商品棚に制限のある店ではそんなものを陳列しておくことはできないが、場所の制限のないオンラインショップなどではそれが可能である。そのテール部分を伸ばしていけばそれなりに利益があがる時代なのだといふ話だと思ふ。乱暴に要約すれば。さうなんだらう。情報と選択の幅が増えてきた今、皆が同じものを買はなくなってきて、ミリオンセラー商品が減ってきたことは数字で容易に確認できる。これまで扱ってゐた商品の十分の一しか売れないものでも、十倍以上の種類を揃へておけばいいわけだ。
 しかし、作る方はさうはいかない。私の関心事は本なので、本を例に話を続けるが、作家が書いて(あるいは翻訳家が訳して)作品ができ、出版社で編集や校正の人たちが手を加へて商品へと形作られる。これに費やす労力と時間と費用は今までもこれからもそんなに変はらない。一種類の本の売れ行きが十分の一になったから十倍の品揃へにすればいいかといふと、さう単純にはできない。今までの十分の一の手間と時間で一つの商品を作り出すことはできないのだから。映画だったらもっとたくさんの人が関はってゐるだらう。金と時間をかけないしょぼい映画しか作れなくなるのだらうか。
 そんなわけで、私の関心事である翻訳小説出版に話を戻すと、専業翻訳家として生活していくことができなくなるのではないかと危惧する次第である。これからは金と時間と才能を持てあましてゐる大金持ちが小説を書いたり翻訳をしたりするのだらうか。いや、金と時間を持てあましてゐる人が才能まで持てあましてゐるとは限らない。なかなか世の中うまくいかないものである。となると、金と時間を持てあましてゐる人が、才能はあっても金と時間が足りない人に資金を提供するやうになるのか。金持ちが、小説を書いたり曲を作ったり絵を描いたりする人の後援者になる時代になるのかも知れない。日本の格差も固定してくれば、そんな時代になりかねないやうな気もする。

 荒俣宏『世界大博物図鑑』(平凡社)をeBookJapanで買ってみた。いきなり全巻は不安だったので、試しに「魚類セット」2520円だけにした。購入手順自体は普通のオンラインショップと同じである。購入した商品は「トランクルーム」といふところに保存した。次にMac本体に ebiBookReaderといふ名のアプリケーションをインストール。それを開いて、トランクルームから一冊をダウンロードして開いてみた。次にこれをトランクルームに戻して別のMacやiPod touchで読まうと考へたのだが、戻し方が判らない。説明画面を見るとWindowsの画面で、その操作に必要なボタンがMacの画面では見あたらないのだが。どうすればいいのだ。iPod touchで読まうと思ったら、今度は、登録は二台までとかいって、すでにMac miniを二台登録済みなのでiPod touchの登録ができなかった。どうすればいいのだ。甚だ不愉快である。

 ジャック・ヴァンス『ノパルガース』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。しかし、電車の中で眠気に襲はれ、あまり進まず。もっと短い睡眠時間で足りる躰になりたいものだ。


8月11日(火)

 鳥居みゆき『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。短編小説集だが、今までに聴いたことのあるコントも収録されてゐる。「心配性(葉子)」とか「マッチ売りの少女(或るマッチ売りの少女)」とか。文体がほとんど若い女の独り言あるいは日記風なので、あまり小説といふ感じではない。が、暗くて怖い話が多い。巻頭の「きれいなおかあさん」は少女の心中の独白のやうな形式だがこれが怖い。怪奇小説アンソロジーに収録されてゐてもあまり違和感なく読めると思ふ。「のり子」の「ぶーん、ぶーん」が怖かった。私は、「ぶーん、ぶーん」が苦手なのだ。途中いつもの鳥居コントのやうなふざけた言葉遊びなんかがあって油断してゐると、最後に語り手の視点が変はった瞬間に驚かされることになる。可笑しかったのは「華子の花言葉」。鳥居みゆきらしい妄想コントだが、花言葉から「ネクタイ言葉」「ぼたん言葉」「たばこ言葉」「マンション言葉」と止め処なく繰り返されながら、破滅へ突き進むところが面白い。一つ、「先立つ不幸」はちょっと受け入れがたい。「先立つ不孝」ではないか。編集とか校正の人は見逃したのか、それともさういふ字の間違ひをしてしまふ登場人物といふ設定なのか。
 先日「社交辞令でハイタッチ」で云ってゐたけれども、元気なときに読むと気が滅入るかも知れない。

 紀伊國屋書店から、ジャック・ヴァンス『ノパルガース』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、ロバート・A・ハインライン『夏への扉 新訳版』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 昨日、アメリカのSF情報誌Locus8月号が届いたのだった。書き忘れてゐた。発行人Charles N. Brown死去の記事。書評欄で紹介されてゐたMichael SwanwickのHOPE-IN-THE-MIST: The Extraordinary Career & Mysterious Life of Hope Mirrlees が欲しいのだが、大手オンライン書店では入手できない。版元のTemporary Cultureは直接註文はできるがクレジットカードが使へないやうなので、送金小切手を銀行で作らなくてはならないのか。この頃、そんな元気はないな。と思ってゐたら、AbeBooks.comで註文できることが判ったので、
○Michael Swanwick HOPE-IN-THE-MIST: The Extraordinary Career & Mysterious Life of Hope Mirrlees (July 2009, $20.00, Temporary Culture)
Kathmandu Booksに註文。本体$24.00、送料$17.00だった。
 このHope Mirrleesといふのは『霧の都(Lud-in-the-Mist)』(船木裕訳/ハヤカワ文庫FT) [Amazon.co.jp]の作者名。私はこの話が大好きだった。妖精が禁止されたドリメア自由国で、妖精の林檎を食べてしまったことによる変はった事件が起こるやうになり、チャンティクリア判事は事件解明にのりだすが……といふ展開なのだが、現実世界と妖精の世界の混ざり具合が独特で面白かったのだ(が、細かいところは覚えてゐない)。


8月10日(月)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢1 八天使の王国』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。地下鉄の駅を降りて地上に出ると激しい雨である。信号が青に変はるまで駅へ通じる通路で待ち、信号が変はるのを見計らって思ひきって飛び出す。数百メートル歩いただけで膝からしたはびしょ濡れである。鞄は濡れないやうに旨の前に抱へてゐたのだが、少々雨がかかってしまったやうだった。数時間後、鞄の中から書類を取りだしたら水分でよれよれになってゐた。やれやれと思って書類を広げたときに、鞄には本も入ってゐたことを思ひだした。慌てて鞄から「クシエルの矢」を取り出すと、下の方が水分を吸ってふよふよになってゐるではないか。なんといふことだ! 本をかき抱き涙を流しながら、濡らしてしまったことを謝ってみた。

 そのジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢1 八天使の王国』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。まさかの閨房ファンタジイ。昔のヨーロッパを単純化したやうな世界が舞台で、それでこの社会の仕組みが成り立ってゐる状況といふか理由といふか必然性がよく判らない。

 Amazon.co.jpから、鳥居みゆき『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が二冊届いた。なぜ二冊も?! いや、私が二冊註文したからである。判ってゐたのだけど、ちょっと驚いてみせたりする。


8月9日(日)

 苅谷剛彦『教育と平等』(中公新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み進めるがちょっと飛ばしてしまった。自分はこの話題にあまり関心がないことに気づいてしまったのだ。だから別に内容が悪い訳ではないのだ。私が悪いのである。

 さて、そんなところで、飛行機に乗る時間になったので、ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢1 八天使の王国』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手にとって機内へ。機内誌など読んでみてから、おもむろに『クシエルの矢1 八天使の王国』を開いたのだが、何といふことだ、私は思はず「ぐあ〜〜〜っ」と叫びさうになってしまった。これは往路の機内で読み終へたブランドン・サンダースン『ミストボーン2 霧の落とし子』(金子司訳/820円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]ではないか! もう離陸の準備に入ってゐるので、席を立って頭上の荷物置き場から鞄を出して本を交換する時間はない。どうすればいいのだ。私は既に読んでしまってゐるハヤカワ文庫FTを手に、涙を流した。私に残された時間は決して多くはないのに、既に読んだ本を手に羽田までの飛行時間を過ごさなければならないのだ。私は嗚咽を押さへることができなかった。と、そのとき、「どうしましたか?」といふ優しい声が。顔を上げると隣の美しい女の人が不思議さうにこちらを見つめてゐて、間違へて読み終へた本を持って来てしまったのですと説明すると、それなら羽田に着くまで私の本と交換しませうと差し出してくれた本がジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢1 八天使の王国』だった……なんてことがある訳はないし、元気なときの読むとちょっとよくないかも知れませんと云ひながら差し出してくれた本が鳥居みゆき『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]だった……などどいふこともなく、茫然と窓の外の雲を見つめてゐるうちに羽田に着いたのだった。私に声をかけることがなかった隣の人に続いて飛行機を降りて間違へた文庫本を鞄の中から取りだして交換し、モノレールに乗ってジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢1 八天使の王国』(和爾桃子訳/860円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始めた。帰宅するまでに半分くらゐまで進む。飛行機の中で読んでゐれば、もう終はってゐたかも知れないのに。

 帰宅して「鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ最終回」を観てゐたら地震が! 今の部屋は仮住まひだから本棚の固定をしてゐないのである。がたがたゆらゆら揺れてゐる間、書棚を手で押さへてゐた。結構長い時間だった。


8月8日(土)

 苅谷剛彦『教育と平等』(中公新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。が、なかなか捗らない。

 紀伊國屋書店に本を註文。
●ジャック・ヴァンス『ノパルガース』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●ロバート・A・ハインライン『夏への扉 新訳版』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊。ジャック・ヴァンスの作品が邦訳されるなどどいふのは実に久しぶりなので、楽しみである。スタージョンのは〈奇想コレクション〉から文庫に落ちてきたもの。ハインラインのは日本人に異常に人気のある「夏への扉」の新訳版。


8月7日(金)

 ブランドン・サンダースン『ミストボーン2 霧の落とし子』(金子司訳/820円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。いろいろあったけれども、話はあまり進展しない。主人公は成長して能力高め知識を増やしてゐるが、事態は進むどころか一歩後退といふ漢字で終はってしまふ。先は長さう。つまらないと云ってゐるわけではない。独特の異世界で魅力ある物語が展開してゐる。もう少してきぱき話が進んでくれるともっとうれしい。

 荒俣宏『世界大博物図鑑』(平凡社)が電子書籍になるといふ。1980年代末から刊行された博物図鑑で、これを全部揃へるのは、高価な本なのでなかなか大変だった。私が大学院生の頃からアメリカに行ってゐた辺りだったと思ふ。そんなものを買ふ金はもちろんなかった。それが、eBookJapanで全巻17640円で購入できるやうになった。ここは、以前はMacintoshでは利用できなかったのだが、今ではMacでもiPhone/iPod touchでも利用できるやうになってゐるのだ。私はもうすっかり買ふ気になって登録をして、購入しようとしたらLinuxでは購入できなかったのだ。今はubuntu 8.04の入ったInspiron mini9を持って福岡に来てゐるので、ユーザ登録までしかできなかった。3日後にMacからアクセスできるやうになったときには、もう忘れてしまってゐるかも知れない。持ってゐなくても全然困らない本ではあるのだが。ても、欲しい。綺麗なのだ、とにかく。


8月6日(木)

 鞄を買った。三泊くらいの出張などにちょうどいい鞄がなかったからだ。3〜4日だったら本も3〜4冊は持っていきたい。もちろん、途中で買ってもいいわけだが、読みたい本がうまい具合にあるとは限らない。今はたいていどこでもネット接続環境があるから(さういふホテルにしか宿泊しない訳だけど)、ノートパソコンを入れるといふことも考慮しなければならない。ちょうど三泊で福岡に行くので(出張ではないけれど)鞄を買ってみた。買ひものに店を訪ねる元気も時間もなかったので、いつものやうに通販である。楽天にビジネスキャリーケース(スーツケース)Sサイズを註文してみた。昨日届いたんだけど、大袈裟な雰囲気である。開閉部分が多すぎないか。商品説明と異なるところはないので、もちろん嘘ではない。よくみれば、商品説明の下の方に載っている「身長179cmのモデル」が気持ち悪い。あんな感じになるなら使ひたくないと思ってしまふ。「できる男の必須アイテム!」といふ謳ひ文句がこれまたみっともなく恥づかしい。でも、もう仕方がない。こいつに文庫三冊、新書二冊を入れて出かけることにした。

 羽田空港へ向かふまでに、安部公房『壁 改版』(438円+税/新潮文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。どうもよく判らなかった。昔から安部公房は苦手なのだ。いろいろな壁に取り囲まれてゐるやうな気持ちになってしてしまった。とりあへず、そこに扉を開けなければ。

 飛行機の中でブランドン・サンダースン『ミストボーン2 霧の落とし子』(金子司訳/820円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。三分の二くらゐまで読み進める。世界が灰色に変はってしまった理由がなかなか明かされないまま話が進んで行くところがなんとも焦れったい。まあ、焦らしてゐるんだらうが。

 天神駅で降りて、丸善とジュンク堂に寄って鳥居みゆき『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[Amazon.co.jp]を探したけれども見つからなかった。まだ福岡には届いてゐないのか。昨夕、東京で買ったといふ人がゐたのだが。


8月5日(水)

 ロバート・チャールズ・ウィルスン『無限記憶』(茂木健訳/1240円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。第三部が残ってゐるので、まだ謎は解明されない。この第二部の結末は如何にもこの作者の作品だと思はせるやうな特徴を示してゐると感じた。不思議な生育を見せる謎の生命体が圧倒的な勢ひと数で迫ってくることや、大いなる存在の前で無力な地球人、その存在に吸収されたりしなかったり。DarwiniaBiosがその典型的な例だと思ふ。

 明日から三日ほど福岡に行くので、更新が不規則になるかも知れない。


8月4日(火)

 ロバート・チャールズ・ウィルスン『無限記憶』(茂木健訳/1240円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。一日で半分くらゐまで進む。実はこの辺りまでは原書で読んだのだった。最後まで読んでおけばよかった。もちろん、翻訳で読んでも面白さは変はらないが。

 Amazon.co.jpに、『テディです!【実況解説:鳥居みゆき】 [DVD]』を註文した。鳥居みゆきである。今回は1枚。2枚買ったりはしない。発売日は10月9日で、ちょっと先である。

 ゲンダイネットの書評欄は、二月にミステリー評が終はってしまって、そのまま忘れてゐたのだが、その後もそれなりに新刊紹介が出てゐることに気づいたので、新刊書書評情報にデータを取り込むことにした。情報収集スクリプトを書いて、cronに登録したから、これからはちゃんと自動で新情報を取り込んでいくはづ。


8月3日(月)

 アーサー・C・クラーク『ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク2 90億の神の御名』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。大宇宙を前にした小さな存在ながらも、果敢に前進しようといふ人類の姿が目に見えるやうに描かれる。時には、恐怖や絶望を感じながら、あるいは喜び期待を抱きながら。クラークが如何に偉大なSF作家だったかを改めて認識できる短篇集である。第三集を読むのが楽しみである。とはいへ、私が一番気に入ったのは大宇宙SFではない「究極の旋律」である。〈白鹿亭綺譚〉といふ連作短篇の一つである。解説でも記されてゐるやうに、ダンセイニの〈ジョーキンズ〉シリーズの影響を強く受けてゐる。ダンセイニの〈ジョーキンズ〉、日本で出せませんかね。無理でせうね。さういへば、ダンセイニ・クラーク往復書簡集といふやうな本を持ってゐるけれども、ほとんど読んでゐなかった。ダンセイニの短篇集のあとがきを書くときの参考にしようと思ったのだけど、余裕がなくて結局役立てることはできなかった。
『白鹿亭綺譚』(ハヤカワ文庫SF)を私は高校三年の九月に読んでゐることが判った。実は今日、昔の読書記録を発見したのである。その月は、フリッツ・ライバー『妻という名の魔女たち』とか、ジェーン・ギャスケル『アトランの女王1』などを読んだやうだ。

 昔の自分がいつ何を読んだのかを見るのは意外に面白い。


8月2日(日)

 関岡英之『拒否できない日本』(700円+税/文春文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。この本を読んで誰もが驚くのはアメリカの「年次改革要望書」のことだらう。帯の「石原慎太郎氏激賞」といふのを見て読むのを躊躇ってきたのだけど、読んでよかった。早速、最新の年次改革要望書を見てみよう。アメリカ大使館の「制作関連文書」にある「経済・通商関連」というところに、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」といふ名前で掲載されてゐるのがそれだ。確かに、事細かに指示がなされてゐる。目に付いたのは、著作権侵害事件を捜査・起訴に権利保有者の同意要件を廃止するといふことと、個人の信用度評価制度を導入せよといふところだらうか。私はこれに対抗するやうな影響力は持ってゐない。次の選挙で与党が変はっても多分対米関係に劇的な変化はもたらされないだらう。「要望書」をよく読んで将来に備へることくらゐはできるかも知れない。信用度評価をされたときに酷い目に遭はないやうに準備するとか。
 この本の最後の方に、アメリカ人的な個人主義の特徴として次の四つが挙げられてゐる。「反国家主義:国家の権威に対する懐疑的敵意を抱く」、「自立主義:他者や集団への依存を拒絶する」、「情緒的非集団主義:集団への情緒的一体化を拒絶する」、「自己利益追求主義:集団の利益より自己の利益の追求を絶対視する」といふことなのだが、最初の三つは自分によく当てはまると思った。最後のも「絶対視」までは行かないけれども、自己の利益よりも集団の利益を優先させられることに対しては強い抵抗を感じる。日本の社会の中でやっていくのはなかなか難しさうである。しかし、アメリカではもっとうまくやっていけないことは判ってゐるので、私は日本の方がいい。二年しか住んでゐないのに何が判るのかと云はれるかも知れないが、確かに大したことは判らなかったものの、自分がうまくやっていけさうにないことだけはよく判った。

 明日からはクラークの短篇集を読まうか。私が初めて買ったSFマガジンはクラーク特集だった。中学一年の二月(三月号)である。一月末に買へたはづだが、買ふまでに少し迷った記憶がある。そこに載ってゐたクラークの短篇を読んでみてさっぱり判らず、SFは難しいのかも知れないと思った。次の号が確かスタニスワフ・レム特集で、やはり難しい作品が載ってゐた。そのせゐかどうか判らないが、私はあまりSFマガジンに載ってゐる作品を読まなくなった。


8月1日(土)

 前にも読んだことがあるやうな気もするが、ニック・ランド『言語と思考』(細井友規・若林茂則訳/新曜社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。認知心理学の視点から言語を論じてゐる。とはいっても、かなり初歩的な導入的な位置づけとして書かれてゐるので、内容は研究や学説の簡単な紹介が中心で文章は判りやすくすらすら読める。あまりにもすらすら読めるので、帰りの電車なの中で読む本がなくなり、本当に辛かった。いろいろ忘れてゐたことを思ひだせてよかったといふ感じである。

 Amazonの「近日発売」の文庫・新書検索の続き。検索時にKeywords = "××文庫"などとすると同時にPower = "binding:文庫"というのを追加し、Power = "title:××文庫"を外す。すると概ね希望通りの結果が得られるのだが、扶桑社文庫で二見文庫の本が、ちくま文庫の検索で聞いたことのない文庫の本が紛れ込んできたりする。とりあへず、「keywords=扶桑社文庫」で且つ「Publisherが扶桑社ではない」ものを除外する処理を加へた(ちくま文庫も同様)。だが、PHP新書や集英社新書のところなど、出版社は合ってゐて、新書版なのだらうが、叢書としての「PHP新書」や「集英社新書」ではないものが混入してゐるものもある。それに、少し混乱してゐるのが「角川文庫」。いろいろな角川文庫があってよく判らない。中には角川文庫と書いてゐないものもあったりするやうだ。これらを自動で識別する方法を今のところ思ひつかないので、気がついたら手動でチェックできるやうにした。bk1で、検索結果と個別ページの表示が違うのは今のところ、諦めてゐる。そんなこんなで、今のところAmazon.co.jpとbk1の文庫および新書の近刊本としておよそ460件のタイトルがデータとして集まってゐる。

 Amazon.co.jpに、
●鳥居みゆき『夜にはずっと深い夜を』(1300円+税/幻冬舎)[Amazon.co.jp]
を二冊予約註文。鳥居みゆきの短篇小説集である。あまり期待してあとでがっかりすると嫌なので、密かに少しだけ期待しておく。


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