10月31日(土)

 紀伊國屋書店から、鈴木努『Rで学ぶデータサイエンス8 ネットワーク分析』(3300円+税/共立出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、金森敬文他『Rで学ぶデータサイエンス5 パターン認識 』(3700円+税/共立出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、田中孝文『Rによる時系列分析入門』(3000円+税/シーエービー出版)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。全部R関連の本。ネットワーク分析は今までまったくやったことがないので、いろいろと新鮮である。

 今日もWilliam Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら出勤。昨日よりも少し進む。

 昼に神田古本まつりをちょっと見てみた。何だか私の知らない古本祭りである。よく判らないのに混雑してゐるので、すぐにその場から去る。

 オンラインの無料間取りアプリケーションを使って、リフォーム・引っ越し後の計画など立ててみようと考へる。使ひ方がよく判らずなかなか先に進めない。使へるやうになったら、別館の方で報告しよう。


10月30日(金)

 アーサー・C・クラーク『メデューサとの出会い』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。小説最後の二篇は素晴らしい。孤独と絶望が清々しいほどである。しかし、「地球太陽面通過」で最後の曲に選んだのがバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」といふところがわざとらしい。せめて「パッサカリアとフーガ」にすべきではないか。と、私の好みを云っても仕方がないのだが。でも、それだと最後まで聴けないから、所謂「小フーガ」あたりが手頃ではないかとか。

 帰りの電車では、William Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読む。40ページまで。あまり読みやすくないやうな気がするが、まだ話は始まったばかりだから何とも云へない。

 この頃、電車の中で咳をしようものなら殺されさうな目つきで睨み付けられる。咳をしないやうに心がけてゐる今日この頃である。

 この頃、電車の中で鼾をかく人の音に悩まされて本が読めない朝が増えたやうな気がする。中学生の頃から電車で通学してゐたが、鼾で読書の邪魔をされたことなんかなかった。最近の人は疲れてゐるのだらうかと思ったものの、よくよく考へてみれば、昔は五時四〇分に家を出て、六時十分の電車に乗ったりはしなかったことに気がついた。早起きしすぎなのだらうか。

 先日、朝の電車の中で本を読んでゐたら、これから急停車をするから気を付けてくれといふ放送が入ってから、電車が急停車した。この頃は急停車すると教へてくれるから親切である。尤も、放送がなくても、あの独特の「プシュー」といふブレーキの音がすると無意識のうちに吊革などに手を伸ばすやうになってゐるのだが。中学生の頃は黙って急停車するだけだった。ある朝、満員電車の中で重い鞄を両足の間に置いて立ってゐたら、不意に電車が急停車した。よろめいた私は両足の間にある荷物に足をとられて倒れてしまった。周囲の乗客の驚いたやうな目が突き刺さるやうに感じた。立ち上がるとまた身動きが取れないほどの圧力になる。なぜこんなところで倒れられたのか不思議なくらゐである。仕方がないので終点までそのまま乗っていった。学校に着いて友人にこの話をしたら、すぐに降りたんだらうなと云はれたので、満員だからそのまま終点まで乗ってゐたと答へたら驚愕された。恥づかしくなかったのか、普通降りるだらうと、そいつは叫んだ。そいつは友人といふほど親しいわけではなかった。当時、友人なんてゐなかったやうな気がする。
 いづれにせよ、急停車で倒れた乗客は自分以外に見たことはない。


10月29日(木)

 アーサー・C・クラーク『メデューサとの出会い』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。今日は三分の一くらゐを読む。「憎悪」がクラークの短篇集には意外な感じがして強く印象に残った。冷戦時代を背景に、なまなましい憎悪と残酷な状況の描写が強烈である。気持ちのよい宇宙の美しさを感じさせてくれるのは、「太陽からの風」である。かういふ作品を読むと宇宙に行きたくなってくる。

 ワニブックスPLUS新書などといふものが出てゐたとは気づかなかった。それにしても、今から新書の創刊はいくら何でも厳しいのではないか。多すぎる、新書があまりにも多すぎる。とりあへず、新書新刊情報のページに追加した。


10月28日(水)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢3 森と狼の凍土』(和爾桃子訳/1000円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。迫力ある戦ひが終はって一段落。しかし、この話はこれで完結ではなかったのだ。宿敵は脱獄して逃亡し、如何にもこれからいろいろなことが起こりますよといふ雰囲気を漂はせて終了するのだった。極めて映像的な描写なので、日本のアニメにでもすれば楽しさうだが、昼間っからTVで放映はできないやうな場面が多すぎるかも。鞭打たれる描写とか、皮を剥がれる場面は、私の苦手とするところである。身体的苦痛は苦手なのだ。と云ひながらも、続きが出たらきっと読みに違ひない。

 紀伊國屋書店から、James P. Blaylock The Ebb Tide: A Langdon St. Ives Adventure (Subterranean, July 31, 2009) [Amazon.com, Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届く。130ページしかない短い本である。活字も大きくゆったり組んでゐるので、一冊の本ではあるが、長篇といふより所謂中篇といった程度の長さだらう。前にどこかに載ったものを贅沢に薄い本にしてみたといふやうな本かも知れないと思ってゐたのだが、新作のやうである。ラングドン・セント・アイヴスの冒険の物語である。『ホムンクルス』(ハヤカワ文庫FT)と同じである。読んでみようかなといふ気が少ししてきた。

 今朝は吐く息が白く見えるほど寒かった。心を温めようと、紀伊國屋書店に本を註文。しかし、懐が寒くなってしまった。
●鈴木努『Rで学ぶデータサイエンス8 ネットワーク分析』(3300円+税/共立出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●金森敬文他『Rで学ぶデータサイエンス5 パターン認識 』(3700円+税/共立出版)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●田中孝文『Rによる時系列分析入門』(3000円+税/シーエービー出版)[Amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上三冊。最近出たRの本二冊と、去年出たRの本一冊である。ほとんどR本蒐集家状態になってゐる理由が自分でもよく判らない。でも、つい買ってしまふ。何か新しい使ひ方が判るのではないかと期待して。さういへば、R version 2.10.0が一昨日あたりに発表されてゐた。すでにダウンロードもできるやうになってゐる。


10月27日(火)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢3 森と狼の凍土』(和爾桃子訳/1000円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]続き。360ページまで。戦ひの話はあまり得意ではない。だんだん状況や作戦が判らなくなってくる。

 紀伊國屋書店から、坂崎重盛『神保町「二階世界」巡り』(1900円+税/平凡社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、『神田神保町古書街2010』(1429円+税/毎日新聞社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、アーサー・C・クラーク『メデューサとの出会い』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]、カリン・ロワチー『海賊の子』(嶋田洋一訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた。『神田神保町古書街2010』はぱらぱらとページを捲ってゐるだけで楽しい。

「第55回学校読書調査」の結果、本を読むことが好きな中学・高校生の割合が7割を超え、8年前と比べともに10ポイント以上伸びたことが判ったさうだ(毎日新聞)。読書をする時間を設ける学校が増え、生徒に読書をする習慣がついたことや「ケータイ小説」のヒットで、新しい読者層が生まれたことなどが原因ではないかと書いてあるが、それが今年急増した原因だらうか。俄に信じられないのだが、本を読む若者が増えて本が売れれば私は嬉しい。さうはいっても、翻訳小説を読む読者層が増えてゐるかどうかは判らない。
 それにしてもいろいろな読書調査があるものだ。


10月26日(月)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢3 森と狼の凍土』(和爾桃子訳/1000円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。思ひのほか捗らず、今日は150ページまで。まだ話は始まったばかり。

 秋の読書週間のせゐか、読書に関する世論調査がいくつか報告されてゐる。毎年のやうに、本を読む人が減ったと報じられてゐる。本でなくても文字を読んでゐればいいとは思ふ。でも、本が売れないとちょっと困るといふ事情もあるのだけど、それはまた別の話。
 毎日新聞の調査ではグーグル書籍データベース化に関する質問項目もあった。この頃、Google Booksに反対してみせるのが流行りのやうな感じになってゐないか。「6割「評価せず」」といふやうに、評価しないのが世の中の流れだと印象づけてゐるやうにも感じられるのだが、よくよく読んでみればここで「評価しない」は「反対」といふ意味ではなく「評価しない理由は「ネットや携帯で本を読むと目が疲れそう」が37%で最も多く、事業の内容よりインターネットで本を読むこと自体に否定的」といふやうに、まったく質問の意味と異なる答へが返ってきてゐる。これが求める答へだったら質問者は莫迦である。敢へてかういふ答へを排除せず「評価せず」の割合を高めてゐるのなら、質問者は狡猾である。「評価する理由は「書店や図書館に行かなくても読める」の41%がトップ」となってゐるが、Google Booksの検索で出てくる新しい本の大半は作品を読むことはできない。まるで、日本の作家たちの作品がいくらでも読まれてしまって大変だ! みたいな論調なのだが、みな勘違ひしてゐないか。あるいは、勘違ひするやうに仕向けられてゐないか。最初は、アメリカで入手不可能な本は全部絶版扱ひになりかけたが、今では修正されてゐるはづ。著作権のある作品を何でも読めるやうにしてしまってはゐない。全文を読まうと思ったら、やはり購入しなければならないのだ。検索しても結果は数行が表示されるだけだが、極端に短い作品だったら全部読めてしまふのではないかといふ問題は残ってゐる。短い詩とか、短歌、俳句といったものは、数行の検索結果表示で一作品が読めてしまふぢゃないかといふ指摘は尤もである。が、何百ページもある作品がどんどん読めてしまふわけではないのだ。本当に自分で使ってみて状況を理解したうへで、「本の売り上げが減って出版業が衰退するのではないか心配」と云ってゐるのかどうか甚だ疑問である。
 私はそれなりに評価してゐる。一企業が勝手にスキャンしてといふ人もゐるが、他にやるところがなかったのだから、仕方がないではないか。本当は公的機関がやってくれればいいのだが、どの国もやってくれない。全文検索は、全文表示とは限らないのだから、それで売れ行きが落ちる理由は判らない。そして何より、日本人の45%もの人が、出版業の衰退や日本の作家の著作権のことを心配してゐるとはとても信じられないのだ。そんなに心配なら、日本人作家の本をもっと買って読めばいい。「1カ月に読む書籍は平均1.5冊で、「最低1冊は読む」人の割合が5割を切った」といふ状況を呈してゐる国の人々の意見であることが不思議な感じがする。

 そんなこと考へてゐないで、もう寝よう。


10月25日(日)

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢3 森と狼の凍土』(和爾桃子訳/1000円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み始める。どういふ状況だったのかすぐには思ひ出せず、頭の中が混乱する。この頃は何もかもたちまち忘れてしまふ。読みながら何となく思ひ出してくる。

 昨日に続いてまた少し昔の話など。ハヤカワ文庫FTの創刊は1979年2月だった。それまでは、ヒロイック・ファンタジイなどは同文庫SFで出てゐた。あとは創元推理文庫帆船マーク(怪奇と冒険小説部門)からは何冊か剣と魔法の話が出てゐたが、数は少なく(『コナン』『戦士ブラク』といったあたりか)、もっと怪奇よりの作品が多かった。さういふ文庫本よりも私の心を強く惹きつけてゐたのが、国書刊行会の《世界幻想文学大系》、《ドラキュラ叢書》、月刊ペン社の《妖精文庫》といった叢書である。どれも高かった。《妖精文庫》なんて文庫本だと思ったら大間違ひである。《世界幻想文学大系》は第一期 1975-1977、第二期 1979-1981、第三期 1983-1986年にわたって刊行された。《妖精文庫》は1976-1983年、《ドラキュラ叢書》は1976-1977年である。実は私はこれらの叢書はもっと昔に刊行されたものだといふやうな印象を抱いてゐた。《妖精文庫》と《ドラキュラ叢書》は全部揃へたが、《世界幻想文学大系》は未だに全部は持ってゐない。《妖精文庫》のダンセイニやW・H・ホジスン、E・R・エディスン、A・ブラックウッドのページを胸躍らせながら捲ったものだ。《世界幻想文学大系》のレ・ファニュ、ジョージ・マクドナルド、デヴィッド・リンゼイの本を愛ほしむやうにページを捲った。《ドラキュラ叢書》は私には珍しく全部読んだ。ホジスン、ブラックウッド、ロンドン、ハワード、ホワイトヘッドなど、どれも私の心を捕へて離さなかった。所謂〈クトゥルー神話〉を知ったのも、この叢書だったかも知れない。ここでは『ク・リトル・リトル神話体系』だったか。売れ行きは悪かったやうで、神田の書店に大量のぞっき本が出回ってゐた。私も大半をそんなところで購入した。だから、よく見るとどこかに密かな印が入ってゐるはづである。売れなかったのは、装幀が悪かったのではないだらうか。《世界幻想文学大系》や《妖精文庫》の美しさに比べるとかなり見劣りする。いや、本当は読者層が薄かったのだらう。読者の数よりも本の刷り部数の方が多かったのだ。これには幻の第二期がある。さういったことも含めて詳しい話が藤原編集室通信「ドラキュラ叢書」で紹介されてゐるので興味のある方はぜひ読んでいただきたい(興味のある人だったらとっくに読んでゐるやうな気もするが)。もう一つ、もっと古いと思ひ込んでゐたのが、創土社の「ブックス・メタモルファス」であるが、もう面倒くさくなってきたやめておく。
 どうしてこんなことを書いたのかといふと、1970年代後半から1980年代前半は広い意味での幻想小説読者にとって実に豊かな時代だったのではないかと思ったからである。当時は私は生まれたのが遅すぎたと思ってゐたのだが、まったくそんなことはなくて、ちゃうどいい時期に海外ファンタジイや怪奇幻想小説の世界を知ることができたのだらう。「SFの黄金時代は13歳だ」と云った人がゐるが、私にとってのファンタジイ・怪奇幻想小説の黄金時代は1970年代末から80年代初めだったのかも知れない。


10月24日(土)

 William Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を読みながら帰宅。肩の痛みは少しづつ和らいできたやうな気がするが、あまり読み進められなかった。新幹線の中で眠ってしまったからだ。疲れるやうなことはしてゐないのに。

 帰宅したらSFマガジン 2009年12月号 [Amazon.co.jp, bk1]が届いてゐた。《秋のファンタジイ特集》である。シオドラ・ゴスやM・リッカートは短篇集を買ったはづだが、全然読んでゐない。困ったものだ。クレイギスは図書館の話なので、面白さう。ハヤカワ文庫FT30周年記念の記事もある。あれから30年も経ったとは、私も歳を取るわけだ。
 もうなくなってしまった池袋の芳林堂書店の二階で本当に創刊されたハヤカワ文庫FTを目にしたときは感激したことはよく覚えてゐる。SFマガジンの予告を見ても現実のこととは思へなかったのだ。1979年2月にマキリップ『妖女サイベルの呼び声』、フィニイ『夢の10セント銀貨』、デ・ラ・メア『ムルガーのはるかな旅』の三冊が出て、予告では同時に出ることになってゐたダンセイニ『ペガーナの神々』は翌月刊行されたさうだが、そこまでは覚えてゐなかった。何れにせよ、この文庫は全部買って全部読まうと心に決めた。が、FT012 ニール・ハンコック『竜の冬』で早くも挫折してしまった。
 偏屈な高校生だった私はどちらかといふと古めかしい作品が好きで、ダンセイニ『ペガーナの神々』、M・R・ジェイムズ他『五つの壺』、ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン』、アレクサンドル・グリーン『黄金の鎖』、チェスタートン他『ビバ! ドラゴン』、ダンセイニ『魔法使いの弟子』、A・メリット『イシュタルの船』、ハネス・ボク『金色の階段の彼方』、ホープ・マーリーズ『霧の都』といった作品に大喜びしてゐたものである。が、その頃から三部作・五部作といった長い作品の割合が急増して私の心は少しこの文庫から離れてしまったのだった。
 何と云っても私の一生を変へたのはダンセイニだ。ペガーナはこの文庫がなくても読めただらうが、これでしか読めないものも少なくなかった。『魔法の国の旅人』は、神話的世界とは異なるダンセイニの別の一面を知って感激した。もっとこの〈ジョーキンズ・シリーズ〉を読みたいと思ひ、原書で少しづつ揃へていった。数年前には再編集されたジョーキンズ集が出てほとんどの作品が手元に揃ったのだが、実はそんなに読んでゐないことはあまり云ひたくない。
 本当に好きなのはハヤカワ文庫FTよりも、国書刊行会の《世界幻想文学大系》や月刊ペン社の《妖精文庫》に収録されるやうな作品なんだと思ひながら育った偏屈な高校生は、やがて偏屈な大人になって、この文庫の解説文をかかせてもらへるやうになる。初めて解説を書いたのはFT131 ブレイロック『リバイアサン』(1989年10月)で、その後、どちらかといふと苦手な大河ファンタジイの解説も少し書いたりもした。初めて(そして唯一)翻訳をやったのは、FT351 シャロン・シン『魔法使いとリリス』(2003年12月)だった。私が訳したり、強く推して刊行された作品は、そんなによく売れなかった。このシャロン・シンは売れた方である。
 ハヤカワ文庫FT創刊30周年記念の記事を読みながらそんなことを考へつつ、紀伊國屋書店に本を註文。
●坂崎重盛『神保町「二階世界」巡り』(1900円+税/平凡社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『神田神保町古書街2010』(1429円+税/毎日新聞社)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●アーサー・C・クラーク『メデューサとの出会い』(中村融編/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●カリン・ロワチー『海賊の子』(嶋田洋一訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上四冊。ハヤカワ文庫SFの新刊二冊と、神保町の古本屋関連の本二冊である。

 そんなに疲れるやうなことはしてゐないのに、風呂から出てきたら動けなくなって八時頃眠ってしまった。そんなわけで、これも翌朝書いてゐるわけだが、昔のことを思ひ出したりしてゐたら妙に長くなった。


10月23日(金)

 今日は妙に「させていただく」の多い話を聞かされた。「装置に〜をさせていただく」はいくら何でも変ではないか。装置がそういうことをできるようにしましたと云ひたいやうだ。野口恵子『バカ丁寧化する日本語』(760円+税/光文社新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]の「させていただきたがる人々」を思ひ出す。

 この頃本をあまり買ってゐないが、面白さうな本がないからではなく、二ヶ月後くらゐに引越しをしなければならないかと思ふと、つい控へてしまふ。また、エレベータのない建物の四階なので、大変さうである。大変なのは私ではなく引越し業者だが。


10月22日(木)

 William Heaney The Memoirs of a Master Forger [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]を手に取って出張。神戸までの新幹線で読み進めるはづだったのだが、肩の痛みで読書に気持ちが集中できない。痛い。痛すぎる。17ページしか進まなかった。何といふことだ。

 東海道新幹線に乗るのは何年ぶりだらう。

 右肩が痛くてかうやってキーを打つのもつらい。ここ数日ずっとさうなのだが。だから、あまり長くは書けない。旅が嫌ひだから、書くこともないのだけど。


10月21日(水)

 パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』(原島文世訳/880円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books, 東京創元社]を読み終へる。決して終はらないのではないかと思へた冬の物語は春の到来とともに終はる。

 ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢3 森と狼の凍土』(和爾桃子訳/1000円+税/ハヤカワ文庫FT)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を訳者の和爾桃子さんからいただきました。ありがたうございました。

 右の肩が痛くてもうキーを打てない。明日から二泊三日で出張。少しは肩の痛みは和らぐだらうか。


10月20日(火)

 森見登美彦『新釈走れメロス』(562円+税/祥伝社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。青春をこじらせた大学生たちの活躍である。が、それにしても、「桜の森の満開の下」は怖い。原作も怖いが、森見登美彦版も怖い。怖すぎる。
 ばかばかしくて可笑しいのは「走れメロス」。友情で結ばれた腐れ大学生が二人桃色ブリーフ一丁で踊り狂ふ場面は壮絶だが、原作でも全裸の若者がひしと抱き合ふ(片方は服を着てゐるが)場面は妙である。そもそも走るだけで衣類がぼろぼろになってはがれ落ちるのがよく判らない。あそこで全裸になる理由、必然性が理解できない。太宰治は判らないと思ったのは、この場面を読んだときである。私に判るのは「とかとんとん」くらゐだらうか。

 パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』(原島文世訳/880円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books, 東京創元社]を半分くらゐまで読み進める。前に一度読んでゐるからだいたいのことは判ってゐるが、細かいところは忘れてゐる。でも、この冬の寒さだけは忘れてゐなかった。とにかく、この話は寒い。雨が降ったり雪が降ったり、とにかく寒い。冒頭の一部だけである、暖かいのは。読んでゐるだけで凍えてくるやうな感じがするが、この寒さ、冷たさがいいのだ。これだけは忘れない。寒くなるまでとっておいて、真冬の冷たい雨の降る夜に、忍び寄る闇を押し返す明かりの下で読んで、身も心も冷たくなってみればよかった。


10月19日(月)

 パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』(原島文世訳/880円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books, 東京創元社]を手に取って出勤。75ページくらゐまで読み進める。帰宅時はなぜか森見登美彦『新釈走れメロス』(562円+税/祥伝社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に電車に乗る。

 文豪の名作を森見登美彦風味に仕上げた作品。最初の三篇を読んだが、残り二篇は元になる作品を読んでゐないことに気がついた。
 それにしても、森見登美彦の腐れ大学生はどうしてこんなに面白いのだらう。私が大学生だった頃、十分に腐れてゐなかったからだらうか。若い頃、マッドサイテンティストか高等遊民になりたかったのだが、結局どちらにもなれなかった。大学に真面目に通いすぎたのだらうか。私は九年間大学に通ったが、それは留年したり休学したりしたわけではなく、きちんと大学院に進んで真面目に勉学に勤しみ、学位を取得するといふ、面白くも何ともない学生生活を送ったからである。もう一度大学生に戻れても、たぶん私は腐れ大学生にはなれない。

「札幌の本棚崩落事故で消費者庁が職員を派遣 拡大の恐れないか確認へ(産経ニュース)」などといふニュースがあちこちから出てきてゐる。伝染病ではないのだから、被害が拡大するはづがないではないか。変な規制が始まらなければいいが。検査基準を満たした書棚しか販売できなくなり、書棚の価格が高騰したりしたら困る。もうすぐ引っ越しするので、きっと書棚をいくつか買はなくてはならないのだ。


10月18日(日)

 山岸俊男・吉開範章『ネット評判社会』(1600円+税/NTT出版ライブラリーレゾナント)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読む。前半の方の、Yahoo! オークションなどでの出品者・購入者の評価法といった話は実際に使ったことのある人には当たり前のことで面白くないかも知れない。研究論文を掲載する学術雑誌の評価法に関する話題あたりから興味深く読んだ。論文の著者と評価者の関係はそれに近いとか、さうなるとGoogleのランク付けの話も出てくるのは当然で(なぜなら論文のImpact Factorをヒントにランク付けを思ひついたのだから)、それから他人に対する一般的な信頼度に関する各国の違ひは面白かった。日本は極めて低く、中国人は特別高いのだといふ。自分が信頼してゐると相手に知らせることの重要性に対する評価の違ひが原因ではないかといふ話はなるほどと思った。日本人は自分が相手を信頼してゐることを知らせるほどつけ込まれると思ってゐるのだらうといふ。最後に、これから高度に発達した評判システム社会へと進んで行くだらうといふ話で終はってゐる。そこが面白いところなのだが、さういふ予測をするのは本書の目的ではないのだらう。これからさらに発達するであらうネット社会では情報が瞬時に広まると同時に、評価が刻一刻と変化していく社会である。人々は額に評価を掲げて歩くやうな感じになるだらう。それにどう対処するか今から考へておいた方がいいかも知れない。

 東京創元社から、パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』(原島文世訳/880円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books, 東京創元社]をいただきました。ありがたうございました。この作品は原書が出たときに読んでゐて、ある出版社に強く邦訳を強く推したのだが、そのときはうまく話が進まなかった思ひ出がある。原書が出てからもう十年以上になるのか。明日からこれを読んで思ひ出してみよう。

 海外のオンライン書店からブレイロックの新作を買ったかい? といふメールが来たのだけど、紀伊國屋書店に註文してしまった。知らせてくれたのに申し訳ない(自動送信だけど)。送料が高いから仕方がないのだ。
○James P. Blaylock The Ebb Tide: A Langdon St. Ives Adventure (Subterranean, July 31, 2009) [Amazon.com, Amazon.co.jp, 紀伊國屋]
である。豪華版といふことになってゐるけれど、きっとそんなに豪華ではない。128ページしかないのにこの値段は豪華かも知れないけど。あ、1500円以上だったら送料が無料といふのは20日からなのか。まあ、一ヶ月以内に5000円以上註文したことがあったはづだから今回は無料だと思ふ。
 大きい声では云へないが、多分、読まないと思ふ。


10月17日(土)

 配送するときには少しまとめて発送してくれればいいのにと私が書いたからではないだらうが、紀伊國屋書店から、「今まで、和書は出荷の準備ができたものから随時発送となっておりましたが、この度の物流改善により、ご注文を頂いた和書の「買い物かご」毎にまとめてお届けできるようになりました!」といふ通知が来た。同時に、「今までは「5,000円以上のお買上げで30日間送料無料」とさせていただいておりましたが、この度の改定で「一回のご注文金額が1,500円(税込)以上は送料無料」となります!」とも書いてあった。この頃、多くのオンライン書店が金額に拘らず送料無料にしてゐるので、紀伊國屋だけ5000円以上といふ厳しい条件では難しかったのだらう。でも、5000円以上といふのは、そのときの註文だけではなく、その後一ヶ月の間は註文金額に拘はらず送料が無料になってゐたから、必ずしも厳しい条件とは云へなかったと思ふのだが。

 玄華堂から「新建築1977年5、6、7、8月 4冊合本」が届く。さすがに合本は重い。それにしても、これは誰が合本にしたのだらう。よく図書館では雑誌をまとめて製本して保存するが、これには図書館の蔵書らしい印が何もない。どこかの建築関係の会社か何かが資料として持ってゐたものなのだらうか。

 三省堂書店本店で「デザインの現場 2009年10月号」[bk1, Amazon.co.jp]を購入。特集は「これからの本のつくりかた」。当然デザインの話が中心だが、その他の視点からも「本」といふものの魅力を考へてゐる。電子書籍についての記事も多い。昔、この雑誌をよく買ってゐた時期があった。久しぶりに手に取ったら、またときどき読みたくなってみた(と前にも書いたやうな気がするが)。

 トバイアス・S・バッケル『クリスタル・レイン』(金子浩訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。面白く読み進めることはできるのだが、二勢力間の戦ひの話が中心で、戦闘の場面は私はあまり楽しめない。表題の「クリスタル・レイン」は一言しか出てこないことには驚く。どういふ考へでこの題名を付けたのか理解できない。本書の内容にとって全く重要ではない単語だと思ふのだが。


10月16日(金)

 あまり面白くないなどと文句を云ひながらも、トバイアス・S・バッケル『クリスタル・レイン』(金子浩訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を面白く読んでゐる。二勢力間の戦ひの話。それにSF的な背景と、家族の物語が付加されてゐる感じである。

 書棚が倒れて姉妹が怪我をした事件がしきりに報道されてゐるが、書棚の危険性を強調しすぎではないだらうか。どうも倒れたといふより、書棚が崩壊したやうで、転倒防止は関係なささう。何かの弾みで一つの棚が外れて次々に棚が外れるか壊れるかして本が雪崩のやうに落ちてきたのか。これで、本棚設置基準とか制定されたら嫌だな。一万冊以上の本を所有する者は届け出をして、書棚の設置条件が基準を満たしてゐるかどうかの検査を受けなければならないとかいふことになったら困るではないか。さらに、本棚を設置するためには試験を受けて書棚設置士の資格をとる必要だといふことにでもなったら大変である。どうしても試験に合格できない愛書家が、資格を持つ者と同居せざるを得ないことになるとか。資格が更新性になるとか。階級別になって、一級書棚設置士が一番偉いとか。考へてゐるうちに虚しくなってきたので、もう寝よう。


10月15日(木)

 トバイアス・S・バッケル『クリスタル・レイン』(金子浩訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。150ページくらゐまで進んだが、あまり面白くない。よくある異世界ファンタジイにありがちな導入と変はらない。でも、もう少し読んでみよう。

 紀伊國屋書店から、山岸俊男・吉開範章『ネット評判社会』(1600円+税/NTT出版ライブラリーレゾナント)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と『建築家のメモ 2 メモが語る歴史と未来 』(2400円+税/丸善)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた。『建築家のメモ 2 メモが語る歴史と未来 』には梵寿綱の記事があるのだが、何とこれは一人二ページ(見開き)しかないのだった。ちょっと残念。

 玄華堂に、「 新建築1977年5、6、7、8月 4冊合本」を註文。梵寿綱の記事が載ってゐるからである。いつものやうに。最初、1977年5月号だけが欲しかったのだが、それで4冊合本は無駄だと思ってゐた。ところが、1977年7月号にも載ってゐることが判り、この際4号合本でもいいかといふ気になったのだ。

 Locusの年間購読を更新。95ドルもするのかと思ったが、まあ円高だからいいか。


10月14日(水)

『時の娘』(中村融編/920円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。ロバート・F・ヤング「時が新しかったころ」を読んで、私も実は甘い話が好きだったのかと思った。チャールズ・ハーネス「時の娘」はタイムパラドックスの味はひ深い作品。C・L・ムーア「出合いのとき巡りきて」は壮大なSFである。SFだからこその時を越えた恋の物語である。このアンソロジーを読むと、きっとロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』を読み返したくなってくる。

 紀伊國屋書店から、トバイアス・S・バッケル『クリスタル・レイン』(金子浩訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。三冊揃ってから送ってくれてもいいのに。紀伊國屋書店ではそんなふうに指定はできないやうである。

 高原書店から、新建築 1992年12月号が届く。マインド和亜のカラー写真が多数掲載されてゐる。住人以外は入れない部分の写真も多い。梵寿綱といへば、今日は永谷園のおかげでEST ESPERANZAの場所が判った。アーキテクトfanといふブログで梵寿綱設計のEST ESPERANZAが紹介されてゐるのを発見したのである。場所は青山、永谷園といふ仕出し屋が使ってゐると書いてある。これなら簡単に場所が特定できるだらうと喜んだのだが、永谷園はすでに宅配弁当から撤退してしまってゐたのだ。だから、いくら検索しても判らない。仕方がないので、永谷園の「商品に関するお問い合わせ」といふページのメールフォームで訊ねてみた。商品に関する問ひ合はせでなくてすみませんと謝りながら。返事は来ないかも知れないと思ってゐたのだが、数時間で返事がきた。「開店当初の「麻布店」があった場所ではないかと思われます。」といふことで、場所を教へてもらへたのである。販売してゐる商品と何の関係もない質問にもすぐに答へてくれるなんて、永谷園は親切ぢゃないか。私の心の中で好感度は急上昇し、もうお茶漬けは永谷園のものしか買ふまいと心の決めた。でも、心に決めなくても今までもさうだったやうな気がしないでもないが。何れにせよ、永谷園ありがたう!


10月13日(火)

『時の娘』(中村融編/920円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出勤。まだ途中だが、ジャック・フィニイの「台詞指導」に感心した。見事である。もう若くない私が、若さが打ちのめされるところが気に入っただけかも知れないが。いや、それだけではあるまい。

 夢屋から、デザインの現場 1987年10月が届く。「建築を愉しもう」といふ特集に梵寿綱に関する記事があるのだ。梵寿綱の項は「民芸としての建築」といふ題名で、向丘老人ホーム「無量寿舞」とドラード早稲田が、カラー写真で多数紹介されてゐる。いつか、向丘老人ホームも見学したいものである。


10月12日(月)

 SFマガジンの原稿を書かなければならないのだが、肩が痛すぎて気持ちが集中できない。いや、集中力に欠けるのはいつものことだが、もう右の肩のことしか意識に残ってゐない。肩が! 肩が!

 肩が痛くても本は買える。紀伊國屋書店に、
●トバイアス・S・バッケル『クリスタル・レイン』(金子浩訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●山岸俊男・吉開範章『ネット評判社会』(1600円+税/NTT出版ライブラリーレゾナント)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●森見登美彦『新釈走れメロス』(562円+税/祥伝社文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
『建築家のメモ 2 メモが語る歴史と未来 』(2400円+税/丸善)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
以上四冊。肩が痛いのでこれ以上は無理だ。最後の建築家のメモは梵寿綱が載ってゐるから。首から肩、背中にかけて、もう気が狂ひさうなくらゐ痛いのだが、肩が痛くて気が狂ったといふ話は聞かないから多分大丈夫だらう。


10月11日(日)

 ロマンティック時間SF傑作選『時の娘』(中村融編/920円+税/創元SF文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を編者の中村融氏からいただいた。ありがたうございました。

 発狂しさうなほど肩が痛いので、今日はパソコンの前に座る時間を減らし、外を歩くことにした。梵寿綱設計の建物を見て回らうといふ計画だ。その話は、屋根裏の備忘録の方で報告する。

『時の娘』が届いてゐることに気づいたのが梵寿綱探索から帰ってきてからだったので、出かけるときには持って行けず、青砥恭『ドキュメント高校中退』(740円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手に取って出たのだった。これまでも、学歴格差が世代を越えて固定されてゐることを警告する本は何冊かあった。本書はそれは貧困問題に他ならないことを明確に示してゐる。貧困が学歴格差を増長し、学歴格差が貧困を世代を越えて固定するのである。高校中退者には仕事はないのだ。自己責任と受益者負担といふ考へ方が彼らを追ひつめていく。

 一日街を歩いても肩の痛みは消えなかった。痛い。気が狂ひさうである。


10月10日(土)

 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(浅倉久志訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をやうやく読み終へる。こんな話だったのか。全然覚えてゐなかった。もしかしたら読んでゐなかったのかも知れない。何れにせよ、これを新鮮な気持ちで読めてよかった。短篇集の方を読み返したくなってしまふのが、些か困るところだが。

 アメリカのSF情報誌Locus 10月号が届く。

 発狂しさうになるほど、右肩が痛い。『ノーストリリア』のことももう少し書かうと思ってゐたのだが、とても無理なので、今日はこれで。


10月9日(金)

 紀伊國屋書店から、青砥恭『ドキュメント高校中退』(740円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]と、藤井孝一『週末起業サバイバル』(700円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届いた。『週末起業サバイバル』を読んでみた。正社員といへども如何に不安定な状況に置かれてゐるかを考へれば、週末起業は生き残るための重要な手段となる時代であると主張する。そのとほりだと思ふが、それでも誰もが週末起業で成功するとは思へない。でも、諦めるよりはいいだらう。何かをしなければ何もできないのは間違ひない。
 本書の最初の方で、今の若者たちは仕事に楽しさや充足感を求める傾向が高まってきてゐると指摘してゐることが気になった。これは、他の本でもよく言及されてゐて、若者の下流志向を支へる考へ方だとよく云はれることでもある。しかし、やりがひだけで食べていけないといふ指摘もまた正しい。どうやって生き延びるか、私も考へなければならないのかも知れない。

 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(浅倉久志訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]をさらに読み進める。が、まだ終はらなかった。遅すぎる。

 日本の古本屋で検索して、デザインの現場 1987年10月夢屋に、新建築 1992年12月号高原書店に註文。それぞれ1500円、1000円である。どちらも、梵寿綱の記事が掲載されてゐるから註文した。どうも気になると集めてしまふ。困ったものであるが、そんなに高額なものを集めたりしないからいいぢゃないかと思ふ。骨董品とか美術品とか、あるいは自動車とかだったら大変である。


10月8日(木)

『影との戦い—ゲド戦記〈1〉』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読み終へる。さうか、かういふ話だったか。すっかり忘れてゐたが、第一巻だけを読む限りでは、異世界を舞台にした魔法使ひが主人公のファンタジイには珍しく、主人公は世界を揺るがす大事件に巻き込まれず、人類の運命を左右する戦いに挑むこともなく、極めて個人的な事件と戦いと決着で話が終はるのに、昔ちょっと驚いたことを思ひ出した。

 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(浅倉久志訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を少し読み進める。さうか、こんな話だったか。何もかも忘れてゐたかと思ってゐたのだが、ク・メルとかアルファ・ラルファ大通りといった固有名詞が目に入った途端、何か記憶の奥底にあるものを強く刺激するのを感じた。何なのだ、これは。記憶の奥底に蠢くものは。


10月7日(水)

 紀伊國屋書店から、William Heaney The Memoirs of a Master Forger (Gollancz, Aug 13, 2009) [Amazon.co.jp, 紀伊國屋]が届いた。British Fantasy Awards長篇部門を受賞した作品である。著者は実はGraham Joyce。何とかこれは読みたい。

 なぜか『影との戦い—ゲド戦記〈1〉』[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手にとって出勤。これもあまり覚えてゐなかった。何もかも覚えてゐない。困ったものだ。

 すでにあちこちで話題になってゐるが、Kindleが日本でも買へるやうになった。中身の方はまだ英語のみのやうだ。便利なのだらうか。よく判らない。実際に使ってみたことがないから、まったく想像もできない。Kindle for iPhoneがあれば、KindleがなくてもKindle用電子書籍が読めるといふことだらうか。でも、これはまだ日本ではダウンロードできないのだ。私は紙とインクの匂ひが大好きなのだが、電子書籍も大好きである。理由は場所を取らないことと、検索ができること。


10月6日(火)

 紀伊國屋書店から、トマス・M・ディッシュ『歌の翼に』(友枝康子訳/2400円+税/国書刊行会)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]が届く。

 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(浅倉久志訳/980円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を読みながら出勤。全然覚えてゐなかった。もしかしたら、私は前に読んだと思ひ込んでゐただけで、読んでゐなかったのだらうか。しかし、全然覚えてゐなかったら、何れにしても同じことである。


10月5日(月)

 ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』(駒月雅子訳/860円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]読了。謎めいた作家が毒殺されてしまって、調査が進むうちに意外な過去が暴き出されていく。面白い話を読んだといふ満足感を抱いて最後のページを読み終へることができる。それでゐて長すぎない。題名は他愛もないゲームの名前だが、それが後で効果的に効いてくる。素晴らしい。

 来年から住むところを買ふ契約を不動産屋で済ませてきた。大きな買ひものである。金額も、広さも。これで安心して本を置けるやうな広いところなのだが、預金残高は激減し、本を買ふ金が残ってゐないやうな気がする。大丈夫なのか。


10月4日(日)

 少し気分を変へたくなったので、ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』(駒月雅子訳/860円+税/創元推理文庫)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手にとってみる。面倒くさい書類を読んだり銀行に行かなければならなかったり、私の苦手とする作業がいろいろ重なって、ここは一つマクロイにしようかと思ったわけだ。このところ、妖精の国だとか異星の上を彷徨ふことが多かったから、現代のアメリカ(といっても半世紀ほど前だけど)が舞台だといふだけで、妙に新鮮な感じがするのだ。とはいへ、まだ読み始めたばかり。

 紀伊國屋書店に久しぶりに(さうなのか?)本を註文。
●トマス・M・ディッシュ『歌の翼に』(友枝康子訳/2400円+税/国書刊行会)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●青砥恭『ドキュメント高校中退』(740円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
●藤井孝一『週末起業サバイバル』(700円+税/ちくま新書)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]
久しぶりなので控へ目に三冊のみ。ディッシュのは、未来の文学の最新刊。以前サンリオSF文庫で出たものの、改訳版。多分、これは1980年に出たときに読んでゐないから、読めば今回が初めてといふことになる。二冊目は、副題の「いま、貧困がうまれる場所」といふのが気になって。三冊目は、ここらで週末起業でもしてみようか……といふわけではないのだけど、何となく。


10月3日(土)

 昨日は、スタニスワフ・レム『泰平ヨンの航星日記 改訳版』(深見弾訳・大野典宏訳/1000円+税/ハヤカワ文庫SF)[amazon.co.jp, bk1, 楽天, 紀伊國屋書店, Yahoo! Books]を手にとって出張。思ったほど読めない。実はこの路線に乗ったことがなく、物珍しくて窓から外を眺めてゐたら、なかなか読めなかったのである。そんなに私は鉄道好きだったわけでもないのに。
 やはりヨンは面白い。レムの作品とはいへ、あまり難しいことを考へずに、ただ単に面白いと喜ぶ読者がゐてもいいはづだ。

 梵寿綱の設計した住まいを港区狸穴町まで見に行く。別に持ち主に招待された訳ではないので、数枚写真を撮って帰るだけだけど。

 帰宅すると高原書店から、住宅建築 1981年10月号建築文化 1981年8月号が届く。もちろん梵寿綱の設計したものに関する記事が掲載されてゐるのである。


10月1日(木)

 ジョージ・マクドナルド『世界幻想文学大系〈第22巻〉ファンタステス』(蜂谷昭雄訳/国書刊行会)[Amazon.co.jp]を読む。途中で何だか判らなくなってくる。作品中に挿入されてゐる鏡の物語は面白かった。

 明日は一泊で出張。といふことで、本欄の更新は明日は休みです。

 何時間の列車での移動中に読む本を選ばなくてはならない。基本的に旅行は嫌ひなので、あまり楽しくない。私は家でぢっとしてゐるのが好きなのだ。とは云ふものの、鉄道での移動では本がたくさん読めるので、さういふ点ではいい面もある。結局、本さへ読めれば何でもいいといふことなのだが。


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